鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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タイトルかっこいいですね!


十三話 Wer lieh seine Hand für sie?

 アリーナ。

 

 それは誰から見ても決着がついていた。

 

 それもそのはずである。氷雨の駆るペイルライダーのシールドエネルギーは残り10%。これまで攻撃を受けずにラウラを追い詰めるまで行ったものの、遂にはAICに捕えられてしまう。

 

 もし、ここで先ほどと同様にベクターキャノンを展開したとしても、その瞬間向けられた銃口から装填済みのレールカノンが残りのシールドを削り取るであろう。

 

 ゆえに誰しもがこの試合の決着をそこに見たのである。

 

 それは当事者であるラウラとて例外ではない。

 

 勝ちを確信する彼女は自身の掌の先にいる氷雨を余裕の表情で見据える。

 

「篠ノ之氷雨。勝負は決した」

 

 そのラウラの声はオープンチャネルで氷雨に届く。

 

「そして、私はさっきの戦いで確信した。貴様、いや、篠ノ之氷雨、お前もまた教官と同じだ」

 

 その声に試合開始時のような侮蔑は籠っていない。眼前にいるのが女装した氷雨であってもである。

 

 教官と同じであると語るラウラ。

 

「お前はこのような場所に留まっているべきではない」

 

 その言葉を聞き、氷雨もまたオープンチャネルに声を乗せる。

 

「それは、どういう意味?」

 

「そのままの意味だ。このような場所では、お前の能力は活かしきれない」

 

 能力……この場でのそれは、純粋な戦闘技能を指すのであろう。残り一発、そんなわずかなエネルギーであるにもかかわらず、その一撃が与えられず追いつめられる過程で見た篠ノ之氷雨という人間の強さ。

 

 それはラウラの考えを変えるに足るものだったということだ。

 

「ここにいるのはISをファッションか何かと勘違いした、認識の甘い連中ばかりだ」

 

 その声はただ馬鹿にしたものではない。何かを危惧し、氷雨を諭すような声色であった。

 

「競争意識がなく、真剣に訓練に取り組まず、楽しそうにISに触れる」

 

 IS学園で目にする光景は、自分がいた軍とは当たり前であるが違う世界。だが、生まれた時から軍に生きることを定められたラウラであるから、軍の価値観がラウラの世界を形成する絶対の基準であった。

 

 故に認められない、許容できない。

 

「ISとはそんな顔で扱うものではない! それを理解できていない人間に与えるには大きすぎる力だ!」

 

 兵器として最強。ISに対抗するものはISしか存在しない。

 

 そう謳われるほどの大きな力を、学園という形で使い方を教える。

 

「選ばれた人間しか使うべきではない。自分の未熟さから目を背け、周りに流され現状を良しとするような連中の集まるこの学園に……」

 

 選ばれた人間……その言葉を発すると、蘇るのは昔の自分。選ばれなかった自分だ。

 

 それと同じような力しか持たない者たちが、嬉々として笑うこの学園は、彼女にはどう映っていたのだろうか。

 

「教官やお前はいるべきではない!」

 

 その言葉は氷雨だけでなく、専用機を持つ者たちの全てが聞いていた。

 

 ある者はそれを肯定するだろう。

 

 また、ある者はそれを否定するだろう。

 

 あるいは、理解することなく一蹴するかもしれない。

 

 そんな中で、氷雨の胸には一つの解が生まれている。

 

「ドイツへ来い。我が軍なら、お前の本当の力を活かすことができる」

 

「就職難のこの時代に、ありがたいオファーだね」

 

 その放たれる肯定の言葉にラウラの表情は少し緩む。

 

「では……」

 

「だが、断る」

 

 しかし、氷雨から紡がれたのは拒絶の言葉だった。

 

「だいたいは理解したよ? 周りのみんなのレベルが低いから、僕のレベルに合った場所に連れて行こうって感じでしょ?」

 

 本質はそこではないが、氷雨はわざと表面だけを掬いとりまとめる。

 

「でもさ、僕は別に好きでここに入ったわけじゃないしさ、僕の意思で出ることはできないんだよね」

 

「それができるなら、来ると言うことか?」

 

「え? そんなわけないじゃん」

 

 氷雨は笑い飛ばす。

 

「もし、国が良いよって言っても僕はいかないよ」

 

「っ! 何故だ! そこまでの力を持っていて、何故このような場所に留まろうとする!」

 

「力があるからって、戦いたいわけないでしょ?」

 

 そもそもISの軍事利用は禁止されているはずである。わざわざ軍に入る意味が、果たしてあるのだろうか。

 

「それに!」

 

 その怒声にラウラはビクリと身体を震わす。

 

「ドイツ軍に、鈴ちゃんはいないじゃないかぁぁああ!」

 

「なっ! だ、だが、教官は連れて帰らせてもらう。それが約束だからな!」

 

「……」

 

 ラウラが見据える先にある氷雨へレールカノンは火を吹く。それを避ける術を持たぬ目の前の氷雨は、その弾丸を無抵抗に受け、試合終了のブザーが鳴る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところがぎっちょん!」

 

 ……はずであった。

 

「なっ!」

 

 声がする方に居たのは、徐々に光学迷彩の剥がれる氷雨の姿であった。そして、眼前に迫るは空間圧縮破砕砲。

 

「チェックメイトには、一手およばなかったね」

 

「貴様ぁぁああ!」

 

 光はラウラを飲み干し、残りのエネルギーを根こそぎ削っていく。

 

 そして、試合終了のブザーは鳴り響いた。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 ラウラの敗因は二つ。

 

 一つは追い詰められて、ちゃんと確認しなかったこと。

 

 AICが発動した瞬間、僕はデコイを発動させた。捉えられた身体は装甲に圧力を加え、生成されるデコイが肩代わりしてくれる。展開装甲の試作システムということもあって、発動には予備動作がいらない。装甲を加圧し、表面をデコイとして分離、その上で分離面から光学迷彩の粒子を纏い、僕は退避する。

 

 デコイがISのシステム系にハックして誤認させていることもあって並大抵ではばれないにしても、動きがなければすぐに偽物とばれる。

 

 だけど、相手の動きを止めるというAICならどうか。

 

 動かないのは当たり前だから、何の疑問も浮かばない。そこにつけこんだのが今回の作戦。

 

 だとしても、すぐにレールカノンを撃ちこめば違うことは分かる。だから、もう一つの敗因は勝ちを確信してベラベラと口上を垂れたこと。

 

 いや、それもプライベートチャネルなら良かったんだ。一対一の通信なら、発信源が正面のデコイとずれていることに気づくだろうからね。

 

 でもラウラが行ったのはオープンチャネルだ。

 

 恐らく、他の専用機持ち達にも言いたかったからなんだろうけど、それは失策だったね。

 

 ……確かに、この学園は守られ過ぎている。生徒たちはISがどれほど社会に影響を及ぼし得るものかを理解しきれていない部分はあるとは思う。

 

 でも、それでも、ISを学ぼうという意欲だけは本物だ。……一夏が関わると別だけど。

 

「悪く思わないでね。僕は、この学園が好きなんだ」

 

 そこに千冬さんも欠けてほしくないだけなんだ。

 

『お見事でした』

 

「ダメージ受け過ぎちゃったね。後でメンテするから許してね」

 

『はい。お疲れさまで――』

 

 そこでペイルライダーの言葉は途切れる。

 

「どうしたの?」

 

『高エネルギー反応検知。氷雨、戦闘準備を』

 

「え……。あ」

 

 そう。ここで終わるほど、ISという世界は甘くなかったのだ。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 光に包まれる中、ラウラの意識はコアネットワークに沈んでいった。

 

「(負ける……この私が……)」

 

 シールドエネルギーがなくなるのは確かに見た。あの兵器は残るエネルギーを全て奪い去っていったのだ。

 

「(いや……だ……)」

 

 沈んでいく意識は抵抗を受けながらゆっくり闇に落ちて行く。海の底に落ちて行くような感覚。水面を輝かせる光は次第に遠くなり、自身を照らしてはくれなくなる。

 

「(消え……ないで……光……)」

 

 どんなにすがろうとも、今度は手を差し伸べられない。自分を光の元へ引き上げてくれる、あの頼もしい手は見つけられない。

 

 また自分の周りを包む闇に身体は震える。

 

「(また……またあの頃に戻るのはいやだ……また……)」

 

『Möchtest du die Kraft ?(力が欲しいか?)』

 

 手が差し伸べられる。もうラウラは光のある方向がどちらか分からない。その手が差し出されているのは上なのか下なのか右なのか左なのか。

 

「戻りたくない。そのためなら、私に……力を!」

 

 差しのべられた手はどす黒く、しかし力強く、どこか教官を思い出させる手であった。

 

「(私に……また、光を……)」

 

 その手を強く握り、安心感を覚える。

 

 それが導くは、どこまでも暗い、底なしの闇であることも知らずに。

 

 




なんか昨日見た時より一気にお気に入りが増えてるんですが……
何が起きたんですか


今回苦労したのはüとöを出すことでした
なんて書いたら変換できるんだ……

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