鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
星合の七夕祭り その1
7月7日、昼下がり。
7月7日という日がどのような日なのか。もったいぶった説明を挟む必要もなく自明な行事である七夕の日だよ。
天の川によって引き離された夫婦、織姫と彦星。その二人が唯一会うことの許された日、それが七夕、別名星合の日だよ。星合なんて、なんとなくロマンチックな響きがするね。
「まあ、僕らからしたら願い事を短冊に書いて吊るすだけの日であって、星を見る人なんてあんまりいないけどね」
それに新暦の方の7月7日じゃ、梅雨の時期で星なんて見えやしないんだから風情も何もないよ。
「そんなこというなよ、氷雨。こういうのはやるってことに意味があるんだって」
僕の否定的な言葉に一夏が宥めてくる。まあ、愚痴ったところで現状が変わるわけでもないし、一夏の言う通り、七夕は元々お盆の行事の一環だったわけだし、ご先祖様を迎えるためにやることに意味があるのかもね。僕のご先祖様はここに居ないけどね。
「しかし、男だからっていう理由で千冬姉もひどいよな」
「全くだよ。労働力として見られるのは仕方ないかもしれないけどさ、こういうのって教職員の仕事じゃないの?」
二人で愚痴を呟きながら手を動かす。
え、どういう状況なんだって? それはですね、七夕ですから願い事を書いた短冊を吊るす笹がいるわけですよ。うん、ここまで言えばわかるんだろうけど、僕らは今学園の中で用務員の十蔵さんが趣味で育ててた笹を切ってる最中なんです。
ギコギコと鋸が笹を削る音だけが林の中に響く。7月だからね、そこそこに暑くてこんな労働をすると汗がしたたり落ちるわけだよ。そしたら服がべたついて、さらに暑苦しくなる。そしたら愚痴りたくもなるよね?
「あー、ダメだ。さすがに10本は辛いよ」
気力の消費が激しい。こうなったら鈴ちゃんの笑顔を妄想して回復するしかない。
「だよな。これ、IS使ったら怒られるよな……」
鈴ちゃんが笑顔で僕の名前を呼んでくれているシーンを想像していたところに一夏が天才的な発言をする。
「それだ!」
「え?」
こんな作業、僕とペイルライダーなら秒殺だよね!
「やれる、やれるんだ俺は!」
「おい待て、落ち着け氷雨」
僕は一夏の静止を右から左へ聞き流し、ペイルライダーを起動する。
「行くよ!」
『ビームブレード、レディ』
握りしめたビームブレードをしっかり構え、標的を見据える。視線の先は無数に生い茂る笹林だ。
「消えろ! イレギュラー!」
『笹です』
そうして、僕は笹林を全てなぎ倒したのだった。
◇ ◇ ◇
生徒指導室
「はい、あの時はどうかしていたんです。はい、暑さで冷静な判断ができなかったんだと思います。はい、反省してます。え、いや、そんなつもりはなくて。はい、もうしません。今後一切、笹は切りません、一夏に任せます」
その一言の末、僕の頭は出席簿の衝撃を受け止めた。
「反省してないだろ」
「してますとも。さすがに全部切っちゃったのは、十蔵さんに申し訳ないと思ったし、あわや下敷きになりかけた一夏にも申し訳ないと思ってますよ」
逃げ切れた一夏に称賛を送りたいよね。さすが、主人公!
「そこじゃないだろ」
そういうと千冬さんは少しため息を吐く。何だろう、僕は何か間違った回答をしていたのだろうか。
「もういい。今日は七夕祭りだ。あまり拘束しても仕方ない」
そうそう。僕と一夏が笹を切ってたのはこの夕方から夜にかけて行われる生徒会主催の七夕祭りのためだったんだよね。だったら、生徒会が笹とってくればよくない?
「この反省文を書いたら帰っていいぞ」
「ちょ! また原稿用紙10枚ですか!? 書くことなくなるんですよ、4,000字あっても!」
ごめんなさいを引きのばすのにも限界があるんですよ? カルピスだって600倍に希釈したら、それはもう水なんですよ。
「4000字でも6字でもお前の書くことは変わらんだろ」
「いや、変わりませんけどね」
「否定するところだぞ……」
大きなため息をつき、どうやら千冬さんは呆れているようだ。と言っても、僕の反省文なんて何度も見てるんだから、もう分かってると思うんだけどね。
「じゃあ、頑張って書きますね」
「もう何も言わん。カギは職員室に返しておけよ」
「はーい」
そうして僕の執筆が始まって……
◇ 10分後 ◇
終わった。
『鬼神の如き速さでしたね』
「も、もう、腱鞘炎待ったなしだよ……」
途中で左手に交代してなかったら右手の手首が疲労骨折してたかもね。
「また世界を縮めてしまった……」
『反省文の世界ですが』
達成感に少し浸る。この疲労感、何かを成し遂げたという感覚。……2度と味わいたくないね。
「はっ! 呆けてる場合じゃなかった!」
そう、今日はお祭り、その上、実は浴衣の日でもあるのだ。というわけで、女子たちは気合入れてみんな浴衣を着てくるそうなんだ。
「鈴ちゃんの浴衣を見に行かなければ!」
そうして、僕は職員室にカギと反省文を渡しに行ったのち、自分の部屋に戻ったのだった。
「……」
『ごめんなさい×666』
その要約する間もなくごめんなさいという反省文を前に、千冬はただ黙ってため息を吐くのだった。
◇ ◇ ◇
自室。
さてさて、自室に戻ってきた僕の前に居たのは浴衣に身を包んだラウラでした。多分、シャルに着付けを手伝ってもらったんじゃないかなって思うけど、シャルって着付けできるのかな?
「というか、その浴衣面白いね」
「だろう。クラリッサが送ってきたのだ。私に似合うのはこれだとな」
濃い目の紺色を基調とし、アクセントにピンクのスカートのような丈でフリルのついた浴衣にフリルのついた帯で、なんというかゴスロリチックな浴衣になっている。
「あとは髪を束ねるだけなのだが」
「はいはい、分かってるよ」
僕はベッドの端に座って膝を叩く。すると、ラウラは嬉しそうな表情を浮かべ、小走りに僕のもとへ寄ってきて膝の上に腰を下ろす。そうすると、僕に髪を梳かすことを催促するように頭を揺らす。
その動きがちょっと愛らしかったので僕は頭を少し撫でる。梳く必要があるのか疑わしいくらいさらりと流れる髪に触れると、驚いた様子でラウラが振り向く。
「あ、ごめん。嫌だった?」
「そうではない。少し驚いただけだ」
そう言ってラウラは前を向く。
「もっと撫でていいぞ、お兄ちゃん」
そう言ってくるので、僕は引き続き頭をなでる。すると、ご機嫌な様子で足をパタパタと動かしていた。
「そういえば、ラウラは七夕がどういう日か知ってる?」
髪を梳き始めて、僕はラウラに問いかける。
「当然だ。私を見くびってもらっては困るぞ、お兄ちゃん」
僕を気遣ってか、頭は動かさないように小さく胸を張る動作をするラウラ。あ、やっぱり知ってるよね。多分、クラリッサの間違った知識だろうけど。
「短冊に願いを書けば、織姫と彦星が叶えてくれるのだろう?」
あれ? 意外にまとも? さてはシャルに聞いたね。
「シャルに聞いたの?」
「いや、何やら気合を入れていた箒に聞いたところそういう回答を得た。つまり、正装でないと願いは叶えられないのだろう」
「そういうわけじゃないけどね」
ラウラと箒っていうのは意外な取り合わせだね。しかし、気合を入れてるっていうのは言わずもがな、一夏に見せるためだろうね。頑張れ、箒! 浴衣なら勝機はあるはずだよ!
「それで、ラウラはどんなお願いをするの?」
「うむ。私は、私が疑うことのない何かを見つけたい」
う、うん?
「それを願いとして叶えてもらうつもりはないが、あくまで願掛けだからな。それが私の願いだ」
「お、おお」
年頃の女の子の願いとは思えないほどカッコいいお願い事だ。
そっか、あの事件以来、ラウラはそれを探してたんだね。
「見つかるといいね」
「ああ」
「何かあったらお兄ちゃんを頼るといいよ。約束したからね、手助けはするって」
髪を梳き終え、僕はラウラに渡されたリボンでその髪を束ねる。
「はい、出来上がり」
「ありがとう、お兄ちゃん」
どっちに対しての言葉だろう。多分、どっちもに対してなんだろうけど、僕は深く考えずにその感謝の言葉に笑みを返した。
えー? あれー? なんか気が付いたら七夕だったよー?
……お久しぶりです、かきなです
なんだかんだで更新滞っていますが、私は元気です
書く時間がないーって喚きながらカラオケとか言ってましたが、元気です。
あ、徹カラ明けは元気じゃないです、燃え尽きてます
私の居る地方ではあいにくの曇り空で、どうやら織姫と彦星の逢引きは見られそうにないです。
まあ、視力が悪いので晴れてても見れないと思います
これ、続きます。多分書きます。本編を書く時間は、まだないです
もうしばらくお待ちください<m(__)m>