鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
そんなことがあった後で、僕も浴衣に着替えていた。
そこにやっと一夏が帰ってきた。
「あれ? 遅かったね、一夏。どこに行ってたの?」
そう声をかけると、少し恨めしそうな目で一夏はこちらを見てきた。
「お、おう、何ですか、その眼は」
「そっちが反省文書いてる間、俺は七夕祭りの設置とかで忙しかったんだよ……」
ああ、それは申し訳ないことをしたね。でも、それは生徒会の人がやるから一夏に仕事なんて回ってこないんじゃ……。
「その後、楯無さんに色々絡まれて……」
「うわぁ、ご愁傷様」
僕は一夏に向けて手を合わせる。あの人は面白い人ではあるんだけど、疲れてる時に絡まれるとなかなかしんどいよね。
「それより、さっさと着替えていくよ、一夏」
「ああ。ちょっと休んでから行くから、先に行っててくれ。さすがに疲れたぜ」
そういってベッドに倒れこむ一夏。うーん、一夏が来ないと悲しむ人が何人かいるんだけどな……。箒も気合入れてたみたいだし、セシリアやシャルもだよね。かといって、この死体のような一夏を引きずっていくのも気が引けるし……。
「ああ、デコイでダミー一夏を作ればいいんじゃないかな」
『根本的解決にはなりませんね』
まあ、確かに。
……仕方ないか。
「じゃあ、先に行くけど、ちゃんと来てよ? みんな楽しみにしてるんだからね?」
そう言うと一夏は言葉も発さず、手をひらひらと振り了解の意を示していた。ほんとに大丈夫かな……。
少し心配ではあるけど、束さん特製の目覚ましをセットして、僕は集合場所へ向かった。
◇ ◇ ◇
グラウンド。
「あ、やっと来たわね」
そんな声が聞こえてそっちに顔を向けると、そこには黄色の浴衣に身を包んだ鈴ちゃんの姿があった。
「遅かったじゃな――」
「うわあああ、可愛いいいいいい!」
「ふえっ!?」
僕の声は鈴ちゃんの声を遮り、グラウンドに響く。いきなり大きな声を出した僕に驚いた鈴ちゃんは何ともかわいらしい声を出した。
「天使? 天使!? あ、天使だ! 鈴ちゃんだ! もう、何ですか、その反則的な可愛さは! ここが地上か疑っちゃうくらいのかわいさだよ!」
「ちょ、ちょっと、氷雨……」
顔を紅くしてしどろもどろになる鈴ちゃん。あ、まずい。これは鈴ちゃんに迷惑をかけている。いったん落ち着こう。
「すーはー」
大きく息を吸って、大きく息を吐く。よし、落ち着いた。今なら冷静な思考ができる。
そうして僕は視線を上げる。するとそこには浴衣を身にまとった天使がいた。
「うわあああ、可愛――」
「無限ループですわ!」
後頭部を叩かれて、僕の暴走は止められる。振り返るとそこにはパーソナルカラーの青色の浴衣を着たセシリアが立っていた。
「あれ、僕より遅かったの?」
「女の子の準備は時間がかかるものですわ」
「何だと! それは暗に鈴ちゃんが女の子じゃないって言いたいの!?」
「深読みしすぎですわ!」
と、そんな感じでこの場には僕と鈴ちゃんとセシリアしかまだ集まっていなかった。……と言ってもだよ、集合時間は早めにしてある。七夕祭り開始の20分前にはみんなで集まろうということにしていたわけだから、まだ時間はあるんだよね。
「それよりも氷雨さん、わたくしのこの姿を見て何の感想もないのは少し失礼ではありません?」
セシリアにそういわれて確かにそうだなと思った。せっかく浴衣を着てきた女の子に対して全く浴衣を褒めないのは失礼だし、ナンセンスだよね
「確かにそうだね」
では、改めて……。
「鈴ちゃん、その浴衣可愛いね! いつも可愛い鈴ちゃんが今日はさらに可愛いくなってるよ!」
「あ、ありがとう……って、あんたいつもそんなことばっかり言うから、言葉に重みがないのよ」
「とか言って、毎回嬉しそうな顔してくれる鈴ちゃん、やっぱり可愛いよ」
今も紅くなってるしね。嬉しさを隠しきれず頬が緩んで口角が上がってるところもやっぱり可愛いね。
「それに、僕が鈴ちゃんにいつも可愛いって言ってるのはいつもそう思ってるからだし、毎回僕の全身全霊こめて可愛いって言ってるから軽い言葉なんかじゃないよ」
「あんた、よくそんな恥ずかしいこと臆面もなく言えるわね……」
「本心だからね!」
そんな会話を隣で聞いていたセシリアが口を開く。
「“本心だからね”ではありませんわ!」
開いた瞬間僕への叱責が飛んできた。え、なに? 僕は間違ったことを言ってた? ……いやいや、僕が言ったのは要約して『鈴ちゃん可愛い』だからまったく間違っているところはないはずだよね。
「鈴ちゃんが可愛いってのは間違ってないと思うんだけど?」
「そこはどうでもいいですわ!」
鈴ちゃんの可愛さがどうでもいいという言葉で一蹴されてしまった。
「鈴さんのことは先ほど褒めてらしたでしょ?」
いや、鈴ちゃんの浴衣は褒めてなかったから……。まあ、浴衣も含めて今の鈴ちゃんを褒めたんだから、むしろ別個で褒めるのはおかしかったかもね。
「なら、わたくしのことを褒めるべきではありませんの!?」
「自分から褒めろと言うのはちょっと……」
「あなたが言わせてるんですわよ!?」
まあ、冗談はこのくらいにしておこうかな。さすがの僕もあの場面でセシリアを褒めるべきだったことくらいわかるさ。あ、でも鈴ちゃんのことを可愛いって言ったのは冗談じゃないからね。本心だから。
「冗談だよ、セシリアも浴衣似合ってるね」
「ついでの様な言い方は好きませんわ」
あらら、すねちゃったよ。セシリアは反応が面白いからついいじっちゃうけど、こんな風に拗ねられると悪かったな、と反省する。
「ごめんって、ほんとに似合ってるから機嫌直してよ」
「……かわいいですか?」
「ん、なんて?」
僕はセシリアのつぶやきが聞き取れず首を傾げる。
「ですから、わたくしは可愛いですかと、聞いていますの!」
「え、可愛くはないかな」
その返答にセシリアはショックを受けたようで驚愕を顔に浮かべたのち、表情を曇らせた。
「そ、そうですわよね……わたくしの浴衣なんて……」
「うん、どちらかというと綺麗だよね」
「綺麗ですわよね……え、綺麗?」
曇っていたセシリアの表情が変わり、“綺麗”とはどういう意味だったかと思案するような顔をしていた。少ししてその答えに到達したのか、セシリアの顔は瞬時に紅く染まった。元々の肌が白いので、その変化は顕著だった。
「な、ななな、何をおっしゃいますの!?」
おかしな挙動をしながらセシリアは僕を責めるような大きな声を出す。え、何って、感想だけど、何かおかしかったかな?
「まあ、確かにセシリアのちょっと抜けた性格を知ってたら可愛いっていう方が当てはまるかもね」
「な、ななな」
もはや頭が回っていないのか、僕の『ちょっと抜けた性格』という文言にも何の反応もせず、セシリアは黙ってしまった。
「そ、そういえば、他の方は遅いですわね! わ、わたくし、ちょっと様子を見てきますわ!」
「え、あ、ちょっと」
僕が何かを言う間もなく、セシリアは寮の方へ走り去ってしまった。浴衣は走りづらいと思うんだけど、驚くほどスマートな走りだったよ。
それを見送っていると、横から僕は二の腕を叩かれた。
叩かれた方に目を向けると、そこにはそっぽを向いた鈴ちゃんの姿があった。
「え、どうしたの鈴ちゃん」
「……」
返事をしてくれないってことは、怒ってるのかな? な、何か僕は悪いことしましたっけ!?
「ごめんなさい!」
「……ふふっ、なんで謝ってんのよ」
僕が謝罪をすると、鈴ちゃんは噴き出したように笑い、こっちを向いてくれる。
「あんた、謝るのが早すぎるのよ。もうちょっと怒らせなさいよ」
「ええ? だって、僕が悪いことしたなら僕が謝るのは当たり前じゃないか」
そういうと、鈴ちゃんは少し呆れたような笑顔になって、僕の方をじっと見つめてくる。
「思ったことをそのまま口にするのはあんたのいいところだけど、悪いところでもあるのよね」
「褒められた?」
「微妙ね」
なんとなくおかしくて僕らは笑った。
思ったことを口にするのは僕の長所であり短所か……ん?
「もしかして、鈴ちゃん、さっきやきもちやいてた?」
セシリアを褒めた後に怒ってたし、思ったことを口にするのが短所っていうし、もしかすると嫉妬してくれたのかも……。
そんなことを言うと、鈴ちゃんは僕の胸を小突いた。
「そういうのが悪いところなのよ……」
恥ずかしそうに顔を紅くした鈴ちゃんが上目使いで僕を責めてくる。な、なんという破壊力。こ、この気持ちを口にすることが悪いことだって言うのか? 否、断じて否。
「鈴ちゃんは僕の織姫様だね!」
「じゃあ、年に一度しか会えないわね」
「やっぱり鈴ちゃんは鈴ちゃんだね! 織姫? 何それ、私は拒絶する?」
「こうなるんだから、今度からは考えてから言うことね」
そういう鈴ちゃんであるけれど、その表情はどこか嬉しそうに見えて満更でもないのかな、と思った。
七夕終わりましたねー
無事に織姫と彦星はイチャイチャできてたんだろうと思います(血涙
皆さんは何か願い事しましたか?
私は図書館の短冊に単位が降ってきますようにとお願いしました。切実な願いです
予定では次のその3で終わると思います
その3で終わらなかったらさすがにひっぱりすぎな気がするので頑張って終わらせます