鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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みなさん、あけおめ!

学生の方はまだ休みですね
社会人の方はもうお仕事ですね

今年も暇つぶしに楽しんでいただけたら幸いです



三話 ヤクソクの清算

 お昼。

 

「鈴ちゃん、復活おめでとう!!」

 

「おめでとう」

 

 僕とラウラは食堂でクラッカーを鳴らす。周りがなんだなんだと振り返るも、僕の仕業と分かると「ああ」と納得した顔ですぐにいつもどおりに戻る。

 

「たく、風邪くらいで大袈裟よ」

 

「いやいや、風邪だって長引けば合併症を起こすかもしれないでしょ?」

 

「お兄ちゃんの言うとおりだ。それに、戦地での体調不良はすなわち死だからな」

 

「あんたは何と戦ってるのよ……」

 

 今日のお昼は昨日いきなり消えたことに怒っているラウラも一緒に食べる。

 

「まあ、昨日はありがとう。世話掛けちゃって」

 

「いいよ。困った時はお互い様だし、今後長い目で見たら、僕の方がお世話になるしね」

 

 家事とかでね!

 

「な、長い目で見過ぎじゃない?」

 

「ふむ」

 

 ラウラが僕の発言を受け、なにやら思案顔になる。そうして、少しするとある答えにたどり着いたようで、鈴ちゃんの方に向き直る。

 

「つまり……鈴は私のお義姉ちゃんになるわけだな」

 

 その言葉に鈴ちゃんは驚いた顔をする。

 

「な、なるわけないでしょ!」

 

「ええ!?」

 

「あんたが反応するの!?」

 

 いや、だって、つまりそう言うことでしょ? え、ええ……。

 

「べ、別にあんたのことは嫌いじゃないわよ」

 

「ほんと!?」

 

 いや、ちょっと今のあれだよね、遠回しに好きって言ってるんだよね? つまり告白? いや、待って。き、気持ちの整理が……。

 

「ち、近いわよ!」

 

 あ、ごめん。思わず乗り出しちゃったよ。

 

 というか、よく考えたら、鈴ちゃんが言ってる嫌いじゃないって友達としてだよね。むぅ。どうすれば鈴ちゃんに振り向いてもらえるのだろうか。

 

「……何難しい顔になってんのよ」

 

「え、あ、いや。どうやったら鈴ちゃんに振り向いてもらえるかな~って思って」

 

「はぁ!?」

 

 ほぁ! 普通に口から本音が滑っちゃった!

 

「あ、あたしは……」

 

「そんなもの、夜這いしかないだろ、お兄ちゃん」

 

「「夜這い!?」」

 

“ガタタッ”

 

 ラウラの言葉に僕と鈴ちゃんが過剰に反応し、それを耳にした周りの人たちが立ち上がる。

 

「違うのか? 確か日本で夜這いは男女の営みの文化と聞いたぞ?」

 

 その言葉に、鈴ちゃんが僕をジト目で睨む。

 

「あんた……なんてこと教えてんのよ」

 

「え? 僕? いやいや、流石の僕でもそんなこと教えないよ!」

 

『流石のとは……氷雨自身、自分が異常であることを理解しているのですね』

 

 え? あ、う、うん……。あれ?

 

 なんだかペイルライダーに指摘されて口をついて出た僕自身の言葉に深層心理の片鱗を見た気持ちになったけど、そんなに僕はおかしい人間ではないはずだよね。

 

「僕、教えてないよね、ラウラ」

 

 隣に座るラウラに確認を取る。

 

「ああ。これは私の部隊の副隊長から聞いた話だが、なにか間違っているのか?」

 

「間違ってるわよ!」

 

 ラウラの返事に鈴ちゃんは即座に否定する。

 

 いや、現代ではそうだけど、昔ならあながち間違いじゃないんだけどね。

 

「そうなのか。だが、今朝、お兄ちゃんは受け入れてくれたぞ?」

 

“ガタタッ”

 

 そのラウラの誤解を生む発言に再び周囲が立ち上がる。鈴ちゃんも再び僕を睨んでくる。

 

「いや、ただ一緒に寝ただけだよ? 兄妹ならするでしょ?」

 

「あんたたち本当の兄妹じゃないじゃない」

 

 いや、そうなんだけどね。それを言ったら、箒だって血が繋がってないから本当の妹じゃないけどね。

 

「それでも心は兄妹なんだよ!」

 

「その通りだ」

 

「……仲いいわね」

 

 何故か微笑ましそうに見る鈴ちゃん。

 

「ま、あんたの事だし、本当にそうなんだろうけどね」

 

「そうだよ。僕は正直な人間だからね」

 

「自分に、の間違いじゃなくて?」

 

 鈴ちゃんの茶々に思わず納得しそうにもなるが、首を振る。

 

「いやいや、そんなことないからね!? 僕なんて、日々自分を押し殺して生きてるからね!?」

 

「ダウト」

 

「ごめんなさい、その通りです」

 

 色々とはっちゃけちゃうのが僕の悪いところだよね。

 

 とんとん、と肩を叩かれ隣に座るラウラの方に視線を移す。

 

「私は自分に正直なのは美徳だと思うぞ」

 

 妹の何気ないフォローに僕は嬉しくなって頭を撫でる。

 

「ありがとう」

 

「感謝されるようなことは言ってないが……悪くないな」

 

 どこか気持ち良さ気に目を細めるラウラ。ひとしきり撫でると、鈴ちゃんの方に向き直る。

 

「そういえば、鈴ちゃん、二組のクラス代表になったんだよね?」

 

「ん? そうだけど……。あ、そういえば、あんた一組の?」

 

 鈴ちゃんは僕の話題振りから一組のクラス代表が僕であることを察する。僕は鈴ちゃんの問いに頷いて肯定すると、何故かラウラがそれについて誇らしげに語りだす。

 

「ふっ、お兄ちゃんは代表候補生が複数いる中でその代表の地位に誰も異議を唱えなかったんだ」

 

 胸を張り、どうだと言わんばかりだ。そんなラウラの行動に鈴ちゃんは微笑む。

 

「へ~、凄いね」

 

「だろう。私のお兄ちゃんは凄いのだ」

 

 何だろう。親子の会話に見えてきた。

 

「てことは、あたしと戦うわけね」

 

「そう言うことだね」

 

 心苦しいけど、鈴ちゃんとの戦いは避けることができないのです。鈴ちゃんと戦うということはたとえ一時的であれ、鈴ちゃんに剣を向けるということ。想像したら、なんだか本当に戦えるのか不安になる。

 

 そんな風に悩んでいるのが顔に出ていたのか、鈴ちゃんは何かを思いついたように僕に提案してくる。

 

「じゃあ、こうしない? 負けた方は勝った方の言うことを何でも聞く」

 

「え、いいの?」

 

 それ物凄くやる気が出てくるんですけど。

 

「勝ったらよ? ま、あんたの強さは見たけど、相性は悪くなさそうだしね」

 

「しかし、お義姉ちゃんよ」

 

「お義姉ちゃんじゃないわよ」

 

 鈴ちゃんの指摘をラウラは華麗にスルーし話を進める。

 

「お兄ちゃんの強さは相性など些細な要素にしかならないと思うぞ」

 

「いやいや、ラウラ。それは過大評価だと思うよ?」

 

 というか、そもそもペイルライダーはオールラウンダーだから相性の良い機体なんて存在しないと思うけどね。

 

 だけど、鈴ちゃんの甲龍もオールラウンダーだし、特筆して相性が悪いというわけでもなさそう。

 

「ま、やってみないと分からないってものよ、勝負なんて」

 

「だよね。何が起こるか分からないから面白いんだし」

 

 あ、でも多分だけど、クラス対抗戦って束さんがちょっかいかけて来るよね。原作通りならだけど。え、その場合勝敗はどうなるんだろう。無効試合かな。だとしたら、束さんに釘刺しとかなきゃね。それに、万が一鈴ちゃんに怪我があったらいけないしね。

 

「楽しみにしてるわよ」

 

「僕も。いくら鈴ちゃんといえど、手加減はしないからね!」

 

 クラス対抗戦……俄然楽しみになってきたね!

 

   ◇   ◇   ◇

 

 放課後。

 

 鈴は一夏を呼び出していた。

 

 別に大したことでもない。ただ、鈴の中で生まれた答えが、彼女にそれを実行する余裕を与え、今に至ったというだけのものだった。

 

「あ、鈴」

 

 一夏の声が聞こえ振り返る。そこにいるのは鈴の初恋の人物。それが、この場でどんな意味を持つのか。だが、鈴の中でそれは些細なものだった。

 

「な、なんの用だよ」

 

 一夏と鈴はまだ喧嘩中である。もうすでに一夏の中に怒りなんてものはないが、喧嘩中である手前、取りあえずのそっけない態度を鈴に見せる。

 

 そんな一夏の行動を鈴は少しおかしく思い、笑う。それは彼女の余裕の表れであるが、そんなことを知らない一夏にとってはいつもの鈴と違う反応であり、怪訝そうな顔をしてしまうのも道理である。

 

「ふふ、別に。大したことじゃないわよ」

 

 しかし、鈴の口調が怒っておらず、いつもの声色であることを認知すると、一夏はなんだか肩すかしをくらったような表情を一瞬するも、すぐにほっとする。

 

「ただ、いつまでも意地張ってるのは疲れるじゃない? もう怒ってるわけでもないしさ。仲直りでもしようかと思って」

 

 その言葉に一夏は嬉しそうな顔をする。

 

「そ、そうか。よかった、このまま疎遠になるかと思って結構ビクビクしてたんだぜ」

 

「そうなの?」

 

 鈴は存外一夏が自分のことを考えていたことに驚く。

 

「ああ。また昔みたいに遊べなくなるんじゃないかってさ」

 

 それは友達として。一夏の中での鈴と言う存在はいつまでたってもそこを抜け出せそうになかった。

だが、鈴はそれでいいと思っている。それ以上を求めることにもう諦めはついた。

 

「まったく。あんたも相変わらず頑固よね」

 

「なんだと。鈴の方こそ意地っ張りは変わってないよな」

 

 そう二人で言いあい、二人で笑った。

 

「用件はそんだけ。どうせ他の子待たせてるんでしょ? 行くわよ」

 

「おう。あ、鈴も特訓に付き合ってくれるのか?」

 

「別に良いけど、あたしは二組で来週のクラス対抗戦の敵よ?」

 

「敵って……別にいいだろ。どうせ戦うのは氷雨だし」

 

 その一夏の言葉には氷雨への信頼が乗っていた。鈴はなぜかそれを嬉しいと感じてしまう。

 

「ん? なんで笑ってるんだ?」

 

「え、あたし笑ってた?」

 

「ああ。笑うというか、なんかにやついてたぞ」

 

 指摘されて自分の頬を触って、そうして初めて鈴は気づく。

 

「なんか俺、可笑しなこと言ったか?」

 

「ううん。思い出し笑いよ」

 

 不思議そうな顔をする一夏。

 

 そんな二人の会話は途切れ、アリーナまでの歩を進める。だが、二人の間に流れる空気は別に気まずいとか、そういったものではなく、どこまでも穏やかなものであった。

 

 皆が集まっている第三アリーナの入口まで来ると、一夏はふと思い出したように鈴に語りかける。

 

「あのさ、約束って言ってたじゃん」

 

「え、うん」

 

「あれってさ。酢豚をおごるんじゃなくて、毎日酢豚を作ってくれるだったっけ?」

 

「え?」

 

 一夏が思い出したことに鈴は驚く。その反応を見て、一夏もそれが正解であると察した。

 

 そして、言葉をしっかり思い出したかと思うと、一夏は再び口を開く。

 

「もしかしてだけどさ、それって、日本で言う味噌汁を毎日作ってあげるとかと、同じ意味だったか?」

 

 どうしてここで思い出すのだろう。いつも間が悪い、一夏はそんな奴だったと、鈴は思い出す。

 

 だからと言って、もうその言葉は鈴の中に響かない。鈴の音は共鳴する音を見つけた。その音が一夏ではなかったことに、鈴はもう困惑はしない。まだ慣れていない感情であるが、いやなものではなかった。

 

 鈴は笑う。過去の恋を吹き飛ばすように、軽く笑った。

 

「違うわよ。そんなわけないじゃん」

 

 その笑顔に一夏は安心する。いつもの鈴であることに。

 

「だよな」

 

 一夏もそれに笑い返した。今までならそれに怒ってたかもしれないな、と鈴は何となく他人事にそれを思った。

 




これは鈴ちゃんメインヒロインですわ!(確信


新年一本目に鈴ちゃんが登場しなかったらどうしようかと思ってましたが、鈴ちゃんメインの章で助かった……


ヤクソクって片仮名で書くとヤケクソって読み間違えますよね
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