鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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六話 新たな風と変わらぬ蒼

 

 シャルと僕は制服に着替え、教室に戻ろうと廊下を歩きだす。

 

「しかし、面白い盾だったね」

 

「そうだね。僕もビックリしたよ」

 

 あの盾は『ラファール・ブークリエ』というらしい。盾の前方円柱空間に強力な力場を発生させ、迫ってくる対象に盾の動径方向の加速度を与えるというものだ。それによって対象は軌道を変えられ、逸れるというわけだ。

 

 その特性はAICと似てるけれど、AICと違いその空間に作用するため、ビームに対しても実弾と同等の効果を得ることができた。さらにその特性上射撃だけでなく近接攻撃もいなすことができる。

 

「はっきり言って強すぎると思うんだよね」

 

「だね」

 

 一番の驚きはあの兵器を初めて使ったシャルがあそこまで運用できるというところだ。第三世代機のコンセプト通りと言えばそうなんだけど、AICやBT兵器と違って使用者を選ばないのは強みだね。その辺のシステムまわりは束さんがやったんだろう。そりゃオーバースペックが出来上がって当然か。

 

「カタログスペックも凄いんだよ。推進翼が減ったのに瞬間の加速度も最高速も上がってるんだよ!」

 

 そう興奮気味に語るシャルの姿を見てると、束さんに頼んでよかったと思えた。あの後の束さんからの難題も嬉しそうなシャルの姿の対価と思えば安いものだよね。

 

 そんなことを考えていた僕がどんな表情をしていたのかは分からないけど、こちらを見たシャルがハッとした顔になる。

 

「ご、ごめん。ちょっと新しい専用機が嬉しくて」

 

「分かるよ。テンションあがっちゃうよね」

 

 新しいゲーム機を買った時なんて凄くわくわく感があるよね。

 

「改めて、ありがとね、氷雨」

 

「ん?」

 

 突然のお礼に僕は何のことか分からなかった。

 

 そんな理解できていない僕の表情からシャルが察したのか、言葉を続ける。

 

「こうして今まで通り、代表候補生として学園にいられるのも、新しい専用機を持てるのも、氷雨のおかげだから」

 

「いや、その話はもうやったよ? そんな気にしなくて良いよ、シャル」

 

 僕がやりたいからやったわけだし。

 

「それでも、こうして専用機を目の当たりにしたら、やっぱり言いたくなって」

 

「シャルは律儀だね。都合のいい友人がいて儲けたって思っておけばいいんだよ」

 

「あはは、流石にそれは酷いよ」

 

 僕の軽口にシャルが笑う。そうそう、あまり真剣に感謝されてもどう返せばいいか分からないからね。

 

 話しながらも歩みは止めず、教室が見えてきた。

 

 廊下は夕日に照らされ淡い朱に染まり、なんとも言えない良い雰囲気である。いつもの学園の喧騒もどこへやら、しんと静まりかえり、響くのは僕らの足音だけであった。

 

 ……え、夕日?

 

      ◇   ◇   ◇

 

 廊下

 

 シャルの新機体の試運転が終わる頃には授業も終わっている時間になっていたらしく、教室にたどり着くともう誰もいなかった。なので現在、僕の足は寮の自室へと向いている

 

 ちなみに、シャルも一緒に帰ろうとしたが、一夏との特訓があることを思い出しそっちのアリーナへと向かった。なんだか別れ際に残念そうな顔をしていたけど……。

 

「もっと僕と一緒にいたかったのかな」

 

 なんて、冗談だけどね。そこまで僕は自意識過剰じゃないさ。

 

『馬に蹴られて骨折すればいいです』

 

「え、なんでちょっとリアルテイストなの? あ、でもことわざよりマイルドだね」

 

 でもそれだと普通に僕の怪我を望んでるようにしか聞こえないよ。

 

『一夏のことを悪く言えませんね』

 

「そ、それにしてもあの盾はチートだったね」

 

 なんだかペイルライダーの毒舌が続きそうな予感がしたので無理やり話題を変えてみる。

 

『そうですね。作用するものが実弾、ビーム問わないだけでなく、近接格闘にも及ぶ、というのが』

 

 そうそう。実弾とビームだけなら射撃が完封されるだけでやりようはあるけど、格闘にまで及ぶとなると、シャルが本気で守りに徹したらちょっとやそっとじゃ崩すことはできなくなるよね。

 

 

「でもそこまでなら別にAICの方が優秀なんだよ」

 

 だって、AICなら反撃もなく一方的に攻撃できるからね。

 

『どういうことですか?』

 

「あれ? ペイルライダーにしては珍しいね。分からない?」

 

『偉そうですね。もぎますよ』

 

「何を!?」

 

 ペイルライダーの言葉に内股になってしまう。やめてよね。想像しただけでキツイんだから。

 

『それで、どういうことですか』

 

「いや、簡単な話だけどね。あのラファール・ブークリエの利点は多人数戦でも適応されるってところだよね」

 

『そう言うことですか。確かにあの盾は多人数戦でも有用ですね』

 

「そうそう」

 

 攻撃の量がどれだけ多くなったとしても搭乗者の技量次第では全てを完璧に防ぐことがシステム的に可能なのがAICと違ったあの盾の長所だよね。

 

「おまけにシャルはそもそもラピッド・スイッチという第三世代機と戦えるだけの技能を所持してるから、代表候補生の中で頭一つ抜けるかもね」

 

 とは言っても、それはシャルが攻防を一体化させた戦い方を習得した場合だけどね。

 

「さて、僕は早く部屋に戻って用意しなきゃね」

 

『なにをですか?』

 

 ペイルライダーが問いを投げかけてくる。何をだって?

 

「そんなの決まってるじゃないか」

 

 自室の扉を開け、机の引き出しから道具を取り出し、机の上に並べる。

 

「ガンプラビルドの準備だよ」

 

 勿論、鈴ちゃんのためである。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 自室。

 

「と言うわけで準備はできてるよ、鈴ちゃん!」

 

「机の上、プラモよりお菓子とかジュースとかのほうが多いんだけど」

 

 そりゃ、鈴ちゃんを部屋に招待するわけだし、これくらいの準備は必要だよね! え、さっきガンプラビルドの準備って言ってただろって? 逆に聞こう。たかだかニッパーややすりを取り出すことと、鈴ちゃんをもてなすためにお茶菓子を用意する事、果たしてどちらが重要だと思うんだい?

 

「勿論、鈴ちゃんだよね!」

 

「いきなり何よ」

 

 あ、声に出しちゃった。まあ、そういうわけなので、鈴ちゃんも来たことだし取りあえず飲み物を出さなきゃね。

 

「あ、鈴ちゃんはジュースと紅茶と緑茶とウーロン茶とジャスミンティー……」

 

 えーと用意してるのはこれくらいかな。

 

「でいいよね?」

 

「それ選択じゃなかったの!? あんた、あたしに全部飲ませる気!?」

 

 おおー、なんだか鈴ちゃん元気だね。ツッコミが冴えわたってるよ。

 

「冗談だよ。はい、オレンジジュースね」

 

「ありがとう」

 

 コップに注いだジュースを鈴ちゃんに手渡す。その時に鈴ちゃんの細い指が僕の手に少しふれる。それと同じタイミングで鈴ちゃんはびくりと身体を震わしたと同時に手を引っ込める。

 

 僕は渡した気になって手を放したので、コップは重力に従い落下する。

 

「「あ」」

 

 僕と鈴ちゃんの声が重なる。

 

 しかし、その後僕らが予期したような事態は起きず、なぜかコップは空中で停止した状態であった。

 

「ふっ。間一髪だったな、お兄ちゃん」

 

「あ、やっぱりあんたもいるのね」

 

 なんだか残念そうな声を出す鈴ちゃんの視線の先にいたのは、ISを部分展開したラウラであった。なるほど、この空中で停止したコップはAICによるものだったのか。

 

「なるほど……」

 

「? どうした、お兄ちゃん」

 

 AICにはこう言う使い方もある。それはラファール・ブークリエにはできないことだ。そういうことだったのか。AICは日常生活でも役に立つ。そう言う側面まで持っていたとは……。浅はかだった。

 

「AICが劣ってるなんて言ってごめんよ、ラウラ!」

 

 そう言いつつラウラを抱きしめる。

 

「ど、どういうことだ。なにをする、お兄ちゃん!」

 

 抱きしめると少し身じろぎして抵抗する。抵抗するってことは嫌がっているってことなので、そこで僕はラウラを解放した。

 

 僕から解放されたラウラは顔を少し赤らめ僕の方を抗議の目で見つめる。そのあとなんだかそわそわとし出した。かと思ったら、脱兎のごとく部屋から飛び出していった。

 

「ラウラが、脱兎のごとく……」

 

 あ、これギャグだ。

 

「ほんと、ろくなことしないわね」

 

「褒め言葉と受け取っておくよ」

 

 呆れ顔の鈴ちゃんに僕は笑顔を返す。そしたらなぜかさらに呆れ顔をされた。

 

 ジュースはこぼれた。

 




お久しぶりです

日刊から月刊に衰退していったかきなです


なんか前回も謝っていた気がしますが今回も長い時間が空いてしまって申し訳ないです
じ、次回は早いから! 多分早いから!!
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