鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
上げ直し
いらいらは大臣だけに留まりました
自室。
俯いたままの鈴ちゃんを部屋の中に招き入れる。鈴ちゃんを昨日と同じようにベッドに座らせると僕はいそいそと冷蔵庫から昨日用意していた膨大なドリンクの中から無難な紅茶を取り出しコップに注ぐ。僕の分は無論ドクペだけど、それはどうでもいいのでさっさと鈴ちゃんの元へ戻る。
机の上にコップを二つ置くと鈴ちゃんの隣に腰掛ける。正面の机の上には昨日から片付けていないペイルライダーのプラモが置いてある。それを見ると、昨日と変わらない空間のはずなのに、昨日と違い明るい空気はそこには無かった。
「何かあったの?」
僕の問いに鈴ちゃんは頷いて肯定を示した。それから少し間を置いて、鈴ちゃんは昨晩あったことを放してくれた。
◇ ◇ ◇
「はい」
鈴は嫌々ながらではあるが、かといって政府の通信を無下にすることもできないので返事をする。
「私よ」
そう言ってくる声の主は以前一夏に負けた時にヒステリックを起こしたフェミニストの大臣であった。
鈴は声の主が誰であるかを認識すると、「またか」と、あからさまに嫌な顔をする。
「なんの御用でしょうか?」
だが、そんなうんざりした気持ちをおくびにも出さず、鈴は応答する。無駄に相手の機嫌を損ねるような対応を取っても、話が長くなりこっちに不利益があるだけであると分かっているからである。
「いい情報が入ったのよ」
機嫌のよさそうな声色で言う。しかし、彼女の言ういい情報は自分にとってのいい情報ではないのだろうと思う鈴であった。
「今、学園には二人の男性操縦者がいるわよね」
大臣は確認するかのように話す。
「一人はブリュンヒルデの弟、織斑一夏。あなたが先日の試合で負けた男ね」
そう付け足すあたりに、彼女が未だに学年別トーナメントの敗北を根に持っているのが分かる。
「そして、もう一人。ISの提唱者であり、世界で唯一コアを作れる天才、篠ノ之束。その弟である篠ノ之氷雨」
その名前が出た時に少し反応してしまったことに苦笑する鈴であったが、この話の流れから、その氷雨に関しての何かについてであることは明らかであった。
「それで、その情報ってのはなによ」
氷雨という名前が出て、少し口調が砕ける鈴。しかし、いつもならそれを咎めるであろう大臣もこの機嫌の良さでなにも言わない。
むしろ、なにがおもしろいのか大臣は少し笑い声を洩らす。
「それはね、その男、あなたに好意を寄せてるらしいのよ」
わらっちゃうでしょ、と付け足す大臣。
しかし、もったいぶった割にはその程度のことだったので鈴は呆れると同時に少し安心する。そして、そんなことのためにわざわざ通信してきた大臣という役職はよほど暇なのだろうとさえ思った。
「それでね」
しかし、それはそこで話が終わればと言うものであった。
「それを聞いた時にね、私ひらめいたのよ」
そう、鈴が感じていた嫌な予感が現実のものとなる。
「あなた、その男と恋仲になりなさい」
「…………は?」
大臣の言葉を受けた鈴はしばらくの間言葉を失った。口から出てきたのは間の抜けた声だけであった。
「どういうことよ」
「言葉通りの意味よ。そもそも相手があなたに好意を寄せているなら簡単なことでしょ?」
さも当然のことであるかのように大臣は言い放った。それがどういう意味なのかを考えることもなく、ただ思いついたからというような軽い口調であった。
「そうなったら、その男はあなたに気を許すわ。そしたらやってほしいことがあるの」
鈴の頭は混乱していた。畳みかける大臣の言葉は鈴の理解力を越えているのだ。
「あのIS、ペイルライダーとか言ったかしら? あのISはおそらく篠ノ之博士が作ったものでしょうね。でないと、あんな戦いが男にできるわけがないわ」
あんな戦いとは先日の学年別トーナメントの時のことである。その戦いを見た大臣は感心する前に疑ったのだ。どうして男があんなに強いのか、ありえない、と。そしてたどり着いた結論がこれである。
「そうなれば、あのISは天才篠ノ之博士の技術の結晶、いわばオーバーテクノロジーの塊よ。ここまで言えば、分かるかしら?」
それに鈴は答えない。大臣はそれでも楽しそうに鈴へ最悪の命令を叩きつける。
「恋仲になって、待機状態のISを奪取してきなさい」
「なによ、それ……」
◇ ◇ ◇
鈴ちゃんはそこまでを説明し終えると、俯いたまま再び黙り込んだ。
そんな鈴ちゃんを見て、さっきから僕の中で渦巻いている感情が沸々と湧きがってくる。
よし、中国を潰そう。
『やめてください』
ペイルライダーが僕の思考を読んで止める。でもね、これはちょっと我慢できる感情の度合いを越えそうだよ? まだ辛うじて身体が動きだして無いのは漠然とした解決策があるからだよ。
「ねえ、鈴ちゃん」
隣に座る鈴ちゃんに声をかける。その声に反応して鈴ちゃんは顔を上げ、視線を僕の方にやる。
「鈴ちゃんさえよければさ、その……付き合ったってことにしない?」
「えっ?」
僕の提案に鈴ちゃんは少し驚いたような声を出す。
「も、勿論、本当に付き合うわけじゃないよ! ただ、そのくそみたいな頭のいかれた大臣を納得させるためにはやっぱり一度付き合ったってことにしたらいいと思うんだ」
くそアマさんの命令に従うのは嫌だとは思うけど、実行しましたって言う感じを出しちゃうのが一番だ。
「その後で、ISの奪取は失敗しましたって報告すれば、それで終わりじゃないかな? あ、でも、鈴ちゃんが嫌じゃなければだけどね。嘘でも僕と付き合うって言うことになっちゃうから……」
そう提案してみたのだが、鈴ちゃんの顔は未だに暗いままであった。
……あ、分かった。やっぱり僕と付き合うってところが嫌なんだろう。
「そ、そうだよね。僕なんかと付き合うのは嫌だよね……」
「ち、違うの! そうじゃないんだけど……」
鈴ちゃんは大きな声でそれを否定してくれるものの、どうにも歯切れが悪い。て、あれ? そこを否定してくれるのは嬉しいんだけど、ならどうして浮かない顔をしているんだろう。
ISを奪取して来いという命令はどう考えても無謀なものだ。だから、向こうの脳みその足りない政府の人たちは奪取はダメもとで、僕と恋仲になるまでを一番重要視しているはずだ。だって、そこまで行けば一度失敗してもそのあと何度でも機会はありそうなものだしね。
だから、虚偽でも付き合ったと報告すれば、それで鈴ちゃんへのお咎めなんかはないだろうと思うのだけれど……。
んー、もしかして、他に理由があるとか?
「あのさ、鈴ちゃん。なにか隠して無い?」
僕は何となく引っかかったので、鈴ちゃんに尋ねてみる。隠してる、という表現は間違っていると思う。どちらかと言えば、言っていないだけなのだ。でも、この場であえて言っていないことがあるとするなら、それは鈴ちゃんが隠したいことのなのかもしれない。
そう思って問いかけてみたら、鈴ちゃんはびくりと身体を震わせた。おっ?
「話したくない?」
「……あまり、気分の良い話しじゃないわよ」
ははは、そんなの最初からだよ。なんなら国家に喧嘩売りに行ってもいいくらいだよ。
「それでも、僕は鈴ちゃんの力になりたいからさ、話してほしいんだ」
そこまで言うと、鈴ちゃんは話してくれた。さっきの通信の続きを……。
◇ ◇ ◇
「なによそれ……」
そう呟くと、通信の向こうの大臣は笑う。
「何を驚いてるのかしら。遅かれ早かれ、こう言う命令が来ることは決まっていたじゃない」
「は?」
いきなりのことに混乱している鈴をさらに混乱させる発言をする大臣。
「あら、気付かないものなのかしら?」
その大臣の言い方から、それは明らかなものであったらしいのだが、当然鈴はそういう認識をしたことはない。
「だいたい、たった一年やそこらで何のコネもない一般人が国家の代表候補生になんてなれるわけがないでしょ?」
それは確かにそうである。ISという最先端技術を預ける人材であり、国家代表と言うのはその国の国力を誇示するためのものであるに等しい。そんな大役なのだから、それの候補となる人材も厳格な審査があるのは当たり前である。
しかし、事実として鈴は中国の代表候補生である。だからこそ、このIS学園に通っているのである。
そんな鈴の疑問に答えるかのように大臣は畳みかける。
「あなた程度の人材ならいくらでもいるし、あなたより強い子だって探せばいるわ」
探せば、のところ辺りにこの発言が大臣の推測であることが窺い知れるが、鈴は気づかない。
「なのにその中でどうしてあなたごときが候補生に選ばれたか、分かるかしら?」
その大臣の問いに鈴は答えられない。それを大臣は面白く思ったらしく、楽しそうにその解を語りだす。
「それはね。あなたが世界で二人しかいない男性操縦者の一人、ブリュンヒルデの弟と知り合いだったからよ」
その言葉に鈴は愕然とする。自分の力で勝ち取ったと思っていたその代表候補生と言う地位は結局のところ自身とは全く関係ない要素で与えられていたと言われたのだから当然だ。
自分の一年間の意味を、たった一言で無に還された喪失感は鈴にしか分からないだろう。
「そんなあなただからこそ、男性操縦者が見つかった後早々にあなたを学園に送り込もうとしたんじゃない。他の国に先を越されないようにとね」
鈴が反応できないことに心底満足しているようで言葉の端々に笑いが零れていた。
「あなたの代わりはいくらでもいるの。もし、これを実行しなかったり、失敗したりしたら……」
その先の言葉を鈴は聞きたくなかったが、大臣はそんな鈴の気持ちも構うことなく、続けた。
「代表候補生の座を降りてもらうわ」
それが、氷雨に伝えなかった通信の全貌であった。
◇ ◇ ◇
氷雨と恋仲になれという命令。恋仲になる自体は鈴も嫌ではないが、それを政府の命令で、しかも氷雨の専用機を奪取する事を目的としたものとなれば、それは氷雨の好意を裏切るような行為であり、鈴は絶対にそれを実行したくはなかった。そんなことをしてしまえば、鈴はその後ろめたさで、氷雨の隣にいても今まで通りでいることは出来なくなるだろうと思ったのだ。
しかし、そうしたら自分は代表候補生を降ろされる。そうしたら国からの支援もなくなり、このまま学園に残ることもできなくなるだろう。シャルの時と同様、国からの支援がなくなることは帰国と直結するのだ。
どういう選択をしても自分は氷雨と居られない。そういう風に身動きが取れなくなってしまい、どうしようもなくなったと感じたから鈴は政府に対する怒りの感情よりも、どんよりと沈んだ感情が先行したのであった。
話したくなかった理由は明白だ。実は自分は凄くない。政府の打算的な選択で代表候補生になった。そんな恥ずかしい自分を氷雨に知られたくなかったからだ。
鈴は話を聞いた後の氷雨の反応が怖くて、話し終えてからしばしの間、氷雨の方を見れなかった。
しかし、氷雨は話を聞いても何も言わなかった。
そんな氷雨の無言が余計に鈴を不安にした。幻滅したんじゃないだろうか、軽蔑されたんじゃないだろうか。そんな悪い方の予想ばかりが頭に浮かんでしまう。
意を決して鈴は氷雨の方を横眼で見る。
そして、視界に入ってきた氷雨はいつもの腑の抜けたような表情が消え、まさに無の表情を顔に浮かべていた。
「??」
そのなんともシュールな氷雨の顔を見て、鈴の抱いていた不安は驚きと混乱に上書きされてしまった。
「ひ、氷雨?」
「……」
鈴の声に氷雨は反応しない。それどころか手を膝の上に置いて微動だにすらしないのだ。
これには常日頃から氷雨の奇行を近くで見ていた鈴でさえもなにがなんだか分からなくなっていた。
「……ス」
「え?」
やっと反応があったと思えば、口だけ動かして何かを呟いただけであった。
「……ロス」
また呟いたかと思えば氷雨は静かに立ち上がる。
「……野郎、ぶっころしてやぁるぅうううう!!」
氷雨はいきなり表情を崩し、般若面の様に怒りをあらわにした表情に変わると、廊下へ走り出した。
「ちょ、ちょっと!」
鈴はどこまでも嫌な予感がして、さっきまでの沈んだ気持ちはどこへやらと言った具合に氷雨を追いかけた。
ど、どうだ!これなら文句あるまい!
書き直しましたが、作者はこっちの方が気に入ってます
え、上げ直しってどういうこと? 知らないよ? って言う人は、そのままのあなたでいて下さい。
もし上げ直す前のやつを見た人
上げ直し? 何それ? 更新おつ!
って、何事もなかったかのように読んでくれると、私はあなたを好きになります