鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
生徒指導室
大臣が事故にあったという知らせは次の日には千冬のもとへ届いていた。それを聞いた千冬はある程度そうなるだろうことを予想していたために驚くことはなかった。それが誰の仕業であるかも……。
それを聞いてすぐに千冬は再び鈴を呼んだ。
呼び出された鈴は何事かと不思議そうな表情であったが、大臣のことを話すと少し安堵した表情になる。自分が悪いことをしたわけではないと分かったからだろう。
「それで、凰、お前はこれから少しの間氷雨との接触を避けろ」
千冬がそう鈴に言うと鈴は話の脈略のなさに思わず声を上げる。
「はぁ!? どういうことですか、千冬さん!」
「織斑先生だ」
出席簿で鈴の頭を軽く叩く。千冬もこの反応は仕方ないものだと感じたからいつもより弱めに叩いたのだろう。
「大臣の件はどうであれ、そういう命令があった後に氷雨と仲良くしてみろ。お前のことを知っているものならいざ知らず、知らないものからすればハニートラップを実行しているのではないかと思うだろう」
千冬の言わんとすることが分かった鈴は不本意ではあるがそれを承知した。鈴も自分の持つ行為が紛い物のハニートラップなどと思われることは望んでいなかった。
そうして要件を終えたので、鈴を退出させる。これで鈴には危害は及ぶまいと、千冬は考えたのだが、どうにも嫌な予感がしていた。
「気のせいだといいがな」
一々面倒を起こす篠ノ之という名前に、千冬は少しため息を吐いたのだった。
◇ ◇ ◇
一週間後。
……時間が飛んでるけど、僕と鈴ちゃんとの関係は全くと言っていいほど進展していない。というか、もう鈴ちゃんが隠す気もなく僕を避けてくる。この前、教室に会いに行ったら窓から飛び出して逃げていったよ。確かに僕も鈴ちゃんが僕を避けるだろうなっていうのは予想していたんけど、まさかここまでとは思わなかったよ……。
「まあ、恥ずかしがる鈴ちゃんも可愛いんだけどね」
「お前はぶれないな」
一夏が笑いながら言う。
「いや、鈴ちゃんに逃げられてうなだれたら、廊下の角で鈴ちゃんが顔だけ出してこっちを伺ってた時なんて、その可愛さに悶えてブリッジしちゃったよ」
「氷雨が廊下でブリッジしたっていう噂は本当だったのかよ……」
なんだか呆れ顔の一夏。でもね、仕方ないと思うんだ。ひょっこり顔だけ角から覗かせてこっちにばれないように伺ってるけど、ツインテールがしっかりはみ出てるから全然隠れられていないのに、それに気づいてない鈴ちゃんなんて見せられたら、僕がのけぞっちゃうのは必然だと思うわけですよ。
「っと、そろそろだぞ、氷雨」
「うん、分かった」
一夏にそう言われて僕は立ち上がる。向かう先はピットからアリーナへと続く扉。
そう、今日のこの日はクラス対抗戦の当日なのだ。そして今からがその一回戦になる。僕の対戦相手は誰かって? それはもう、なんというか千冬さんが仕組んだんじゃないかってくらい都合のいい相手だよ。
「約束、覚えてるよね」
「あ、当たり前じゃない」
一回戦、一組vs二組。
対戦相手はもちろん、鈴ちゃんだった。
◇ ◇ ◇
ピットで待機している鈴の頭の中には、一週間前の廊下での出来事がぐるぐると何度も再生されていた。
そして、そのたびに鈴は自分の口走った言葉に羞恥を覚え、赤く染まっていく顔を手で覆いうなだれる。
これだけ思い出して恥ずかしいと感じているのだが、後悔しているのかと問われると、鈴は回答を躊躇う。氷雨に言おうとした言葉は確かに自分の正直な気持であったし、ああ言わなければ氷雨の行動を止められなかっただろうと思えば間違っていたとは思わないし、自分の言葉を否定する気にはならなかった。
けれど、鈴は少女である。恋に恋する、とそこまではいかなくとも少なからず告白などに理想を抱いているわけである。だから先日直前で千冬に遮られたことを後から思えば少し感謝していた。
やはり、告白するなら二人で出かけて、帰る間際の夕暮れ時か、綺麗な夜景を背にして、できれば氷雨から……なんてことを考えていた。故のこの約束である。鈴はこの戦いに勝つことで、告白のタイミングを作ろうとしていた。
「でも、あいつ強いわよね……」
本気で戦ったことはほとんどない。なので、二人の間に実力差がどのくらいあるのかは分からない。しかし、はっきりとわかるのはこんな動揺したままの自分では勝てないということだ。
顔を覆う手を放し、自身の頬を叩いた。パチンッと、音がピット内に響く。
「よし、切り替えていくわよ」
気持ちを切り替え、気合を入れる。勝つ、勝って思いの丈を氷雨に伝えるのだ。
出来レースであることは黙っておいた方がよさそうだろう。
◇ ◇ ◇
アリーナ。
クラス対抗戦はそんなに大きなイベントではないはずなんだけど、やっぱり男性操縦者ってことかな、観覧席は同級生だけじゃなく上級生も混じって飽和状態だった。
僕の目の前には鈴ちゃんが甲龍を身にまとい、こちらを見ていた。
「勝った方が負けた方の言うことを何でも聞くんだよね?」
僕は再度鈴ちゃんに約束の内容を確認する。
「そうよ」
「なんでも?」
「なんでもよ」
「ここでは言えないような、それはもう過激なことでも?」
「いや、それは断るわよ」
あれ、そこは乗ってくれないのね。
しかし、意外と話してくれるみたいだね。あれだけ避けていたからここでもすぐに戦闘を開始して話してくれないかと思ってたよ。
「常識の範囲よ、常識。……といっても、あんたにそれを求めるのは酷かもね」
「ひどい!」
いつもの調子で話してくれる鈴ちゃんに少し安心する。あれ? でもそれじゃあ、なんであんなに僕を避けてたんだろうか。先週のあの時のことを気にしてたからだと思ってたけど、面と向かっても動揺していない様子を見ると、なんだか違う理由なのかな?
「ジー」
「な、なによ」
僕は疑惑の目で鈴ちゃんを見つめる。そうして僕は一つの結論に至った。
つまり、僕に悟られたくなくて、その上、僕と一緒に居られないような理由があったのではないか? 実は会いたかったけれど、それを許されないような理由、それは!
「NTRか!」
「は? 何それ」
うん、分かってた! 鈴ちゃんの反応から違うことを確信したけど、そもそもNTRをされるにもこの学園には女子しかいなかったよ。いるとしても、人畜無害の一夏と十蔵さんだけ。いや、百合展開というのもあるかもしれない……。
『戻ってきてください』
「はっ! ごめん、トリップしてた」
危ない危ない。まさか僕が鈴ちゃんの心理作戦に嵌まるとは……さすが鈴ちゃん!
『独り相撲です』
相も変わらずペイルライダーのツッコミは辛辣なんだけど……。
向き合ってから僕らが一向に戦わないので周りのギャラリーはどうしたんだろうと、不思議そうな感じであった。
「おしゃべりは終わりにするわよ」
そう僕に言う鈴ちゃんの目にはどこか強い意志を感じられた。昨日まで鈴ちゃんは僕を避けていたけど、今日は違うと言わんばかりだ。
なら、僕はこれ以上の問答をするわけにはいかない。
「そうだね、さすがにこれ以上みんなを待たせちゃ悪いよね」
欲を言えばこの場で聞きたい。鈴ちゃんが今何を思っているのか、どうして僕を避けていたのか、そして、あの日の言葉の続きを……。
「聞きたいことはまだまだあるし、言いたいこともいっぱいあるけど……それは全部!」
ビームブレードを展開して構える。それに合わせて鈴ちゃんも青竜刀を構え、僕を見据える。
「この試合に勝ってから聞くよ!」
馬鹿正直に飛び出す僕に鈴ちゃんは合わせるように龍咆を放つ。不可視の砲弾ではあるが、その特性上、気圧情報を読み取ることでその気圧の高い部分が弾道であると読むことができる。
予測された龍咆を回避し、僕は止まることなく鈴ちゃんに接近する。
鈴ちゃんも龍咆で僕が止まると思っていなかったのか、双天牙月の連結を外し、両手持ちにして僕を待ち構えていた。
「チェリオー!!」
肉薄し、僕はビームブレードを振り下ろす。鈴ちゃんはそれに応えるように双天牙月をぶつけてくる。
アリーナに二人の得物がぶつかり合う音が響き渡る。
だけど、この時、僕は自分の刃に疑問を持ってしまった。存外簡単に降り下ろしたその剣の先には鈴ちゃんがいたというのに……。
「僕は……」
その疑問は小さなものだったし、色々言い訳もできたかもしれない。しかし、確かに感じたその疑問は僕の心を揺さぶり、動揺させた。
どうもどうもかきなです
うだるような暑さの中、夏を感じつつクーラーのスイッチを入れ引きこもるダメな人です
お知らせです
2015年9月6日 こみっく★トレジャー26
にて、サークル名『猫撫さん』で参加します。はい、友人にそそのかされての初参加です
スペースは 5号館ツ27a で
艦隊コレクションの日向さんの4コマと小説を出す予定です
進捗報告なんかはTwitterを活用しようと思います
もしこみトレに来たときはちらっと覗いて鼻で笑ってやってください