鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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前回のあらすじ


幽霊かと思った? 残念、ペイルライダーさんでしたー




ていうか、下腹部でナニをしようとしていたんですかね?


第二話 打ち明けた想いの納め処

 

 保健室

 

 結局あの後ペイルライダーの執拗な攻めに困惑している間に夜が明けてしまった。決して寝不足というわけではないけど、6時間にも及ぶアタックに少し疲弊している。

 

 とりあえず、食堂が開くと同時に朝食を済ませてしまおう。あまり人型のペイルライダーを見られるわけにもいかないしね。授業の間は寮にいてもらって、放課後に一夏たちに事情を話しておこう。

 

「じゃあ、行くよ」

 

「返事をもらっていないのですが?」

 

「えと、突然すぎるから保留ってことで」

 

「はっきりしない男はモテませんよ」

 

「それをペイルライダーが言うの!?」

 

 でもまあ、今の僕は恰好悪いよね……。

 

  ◇   ◇   ◇

 

 教室

 

 僕以外誰もいない教室で、僕はぼんやりと考える。

 

 ペイルライダーは僕のことを好きだと言ってくれた。鈴ちゃんに振られた僕の傷心を慰めたいと。それはとてもうれしいことだし、僕だってペイルライダーのことは好きだ。でも、僕の中のペイルライダーという存在は長い間一緒にいた、所謂相棒としての好意だと思う。

 

 どんな時も共に世界を共有してきた欠かすことのできない存在。今更失うなんて考えられないし考えたくもないけれど、恋情を抱いているかと問われれば、僕は首を傾げてしまう。それは失礼なことなんだろうけど、でも、ペイルライダーの想いに僕は適当な答えで返事をしたくないんだよね。

 

「うーん、なんというか……難しい問題だよ」

 

 そんな風に頭を悩ましていると、少しずつ教室に人が増えていき、そろそろ授業が始まるかという時間になってようやく一夏たちの姿が見えた。

 

「あっ、氷雨!」

 

「おはよー」

 

 僕が手を振って挨拶をすると、箒が眉間にしわを寄せて迫ってきた。え、ええ。僕、なにか怒らせるようなことしてたっけ?

 

「大丈夫なのか、氷雨!」

 

「あれ?」

 

 しかし、その予想に反して箒の口からこぼれた言葉は僕の身を案じる言葉だった。

 

「もう体調はいいのか?」

 

「体調?」

 

 箒の後ろから来た一夏も僕を気遣うような言葉を発する。えと、何かあったっけ?

 

「もしかして、覚えてらっしゃらない?」

 

 セシリアの言葉に僕は思いだそうとする。そんな様子の僕にシャルも心配そうに近づいてくる。

 

「本当に大丈夫? 氷雨は昨日の夜に食堂で倒れたんだよ?」

 

 あ、ああ。そう言えばそんなこともあったような気がするね。ずっと昔のことのような気がするのは多分、ペイルライダーのことが衝撃的過ぎたからだよね、きっと。

 

「その節はみんな心配かけてごめんね。でも、ほら。もうこの通り大丈夫だから」

 

 そう言って両手を広げ自分の健康体を主張してみると、何を勘違いしたのかシャルが両手を広げて近づいてきて、ついには僕に抱き着いてきた。

 

「ちょっとシャルル?」

 

「ん、どうしたの、氷雨?」

 

 いや、どうしたってこともないんだけど、さっきのはハグを求めたわけじゃないんだよね。一夏たちに視線を送ると、一夏はシャルの勘違いに笑っているようだった。箒はシャルの行動に不思議そうな顔をしていたが、セシリアは普通そうだ。外国人の感覚ではさっきの振る舞いはそういうものと認識されているんだろうか?

 

 まあ、僕も別に悪い気はしないから何も言わないでおこうかな。ていうか、シャルも女の子なんだから僕と接触するのはあまり望まないんじゃないかな?

 

 ちょっとして離れたシャルは箒の不思議そうな顔を見て首を傾げた。

 

「あ、あれ? 箒さん、僕、何か変なことしたかな?」

 

「いや、突然抱き着いたからどうしたのかと思ってな」

 

 そう言われてシャルは自分の行動が勘違いだったことに気づき、顔を紅くした。

 

「ご、ごめんね、氷雨。き、気持ち悪かったよね」

 

「え? いや、別に気持ち悪くはなかったよ。柔らかかったし」

 

 僕の言葉にさらにシャルは顔を紅くする。あ、フォローの言葉選び間違えたかも。

 

「シャルルさんは筋肉質ではありませんものね」

 

 あ、なるほど。そう捉えることもできるのね。やっぱり性別で表現の印象も変わる者なんだね。

 

「え? あ、そ、そうだね! ぼ、僕はあまり鍛えてないからね」

 

「ま、ISに筋力はいらねーもんな」

 

 要らないってわけじゃないんだろうけど、筋力がないと扱えない外骨格って言うのは本末転倒だし、必須ではないよね。

 

「それにしても、昨日はどうしたんだ、氷雨」

 

「んー、まあ一時的な発作なんじゃないかな? ほら、僕って病弱キャラだし」

 

「どこがだよ」

 

 まあ、血液中のナノマシンのおかげで体調管理は完璧だから風邪なんて引かないんだけどさ。病弱キャラが最強っていうのはこうくすぐられるよね、主に厨二心を。そして、戦闘後に疲労で吐血するとかね。

 

「まあ、何事もなくてよかったですわ」

 

「あ、セシリアがデレた」

 

「デレた、とはどういう意味ですの?」

 

「素直になったとかそういう意味だよ」

 

「そういう意味でしたら、わたくしはデレましたわよ」

 

 うん、確かに素直だよね。素直に僕の嘘を信じてくれるなんてね。

 

「氷雨、あんまりからかってやるなよ」

 

「なっ! わたくしはからかわれましたの!?」

 

「あ、うん。ほどほどにするね」

 

「人の話を聞きなさい!」

 

 と、そんな中で廊下の方から声が聞こえてきた。

 

「一夏、いる?」

 

 それは鈴の音のような可愛らしい声。つまるところ鈴ちゃんの声である。その声に一夏が振り返ると、驚いた様子を見せた。

 

「お、お前、もしかして鈴か?」

 

「そうよ。今日から二組に転入してきたの」

 

 その言葉に教室はざわつく。まあ、IS学園の転入試験って難しいらしいからね。と言っても、鈴ちゃんの前では障害にもなりえないだろうけどね。

 

「へー、そうなのか」

 

「知り合いなのか?」

 

 箒が一夏に尋ねると、一夏は僕らに鈴ちゃんのことを紹介する。

 

「ああ。鈴は箒や氷雨が転校した後に知り合った幼馴染なんだよ。箒と氷雨をファースト幼馴染としたら、鈴はセカンド幼馴染だな」

 

 鈴ちゃんの紹介をする一夏は思わぬ再開に嬉しそうだった。

 

「ん?」

 

 鈴ちゃんは一夏が自分を紹介しているのがどんな人物かを見る過程でその視線を僕に向けた。

 

「あ、あんたは昨日の」

 

「やあ、昨日振りだね」

 

 鈴ちゃんはあからさまに嫌そうな顔を見せる。それに僕は少し悲しくなったけれど、どうしてだろうか、昨日ほどの落ち込みはなかった。その理由は多分ペイルライダーの好意だろうか。僕には鈴ちゃんだけじゃない、ペイルライダーや一夏たちもいるということを気付かせてくれたから、余裕ができたんだろう。

だから、僕は冷静に言葉を紡ぐことができた。それは最も伝えたかった言葉。

 

「昨日はごめんね。凰さんの気持ちも考えないで変なこと言っちゃって」

 

 伝えたい言葉を伝える。それが、こんなに疲れることだなんて知らなかった。でも、それだけの疲労に見合うものだと思う。

 

 僕の言葉に鈴ちゃんは少し意外そうな顔をする。

 

「へえ、なんか昨日あった時とは印象違うわね」

 

「そうかな?」

 

 確かに昨日の僕とは違うかもしれない。あの時の僕は突然の出会いに興奮してたからね。差し詰め、昨日の僕は紅いマントに突進する闘牛のような直進だったからね。

 

 そんな僕をまじまじと鈴ちゃんは見て、頷く。

 

「許すわ。というか、昨日のことはなかったってことにするわ」

 

 そう言って鈴ちゃんは笑う。

 

「というわけで、初対面ね。あたしは凰鈴音。あんたは?」

 

「篠ノ之氷雨。このクラスの代表だよ。よろしくね」

 

 そう言って手を差し出すと、鈴ちゃんはそれを躊躇いなく掴み、握手に応じてくれた。

 

「よろしく。ていうか、あんたが代表なの? 一夏じゃなくて?」

 

 鈴ちゃんは意外そうな顔をする。そんな鈴ちゃんに一夏が問いかける。

 

「というか、なんで俺だと思ったんだ?」

 

「いや、昨日事務受付の場所を聞いた子に一組の代表ってだれ? って聞いたら男になったって言うからあんたなのかなって」

 

 うん。昨日の鈴ちゃんが男って聞いて僕と一夏の二択だったら一夏の方が代表になったと思うよね。

 

「なんだ。一夏じゃないならクラス代表変わってもらう必要なかったじゃん」

 

「てことは、二組の代表は鈴なのか? すげーじゃん」

 

「まあね。なんたって、あたしは専用機持ちだし」

 

「へー」

 

 誇らしげに言う鈴ちゃんだったが、一夏の反応は思ったよりも薄いものだった。

 

「へーって、なによ。もっと驚きなさいよ」

 

 そんな一夏の反応が気に食わない鈴ちゃんはそう言って突っかかる。一夏はそれに「悪い悪い」と謝りながら、訳を話す。

 

「いや、鈴が専用機を持ってるのは驚きなんだけどさ、なんというかあまり珍しいものでもないというか……」

 

「どういう意味よ!」

 

 あんまりな一夏の説明に鈴ちゃんが怒ったので僕が一夏に変わって説明をしてみる。

 

「あのね、うちの一組にね。代表候補生が3人いて、それでいて一夏も僕も専用機を持ってて、専用機持ちが5人いるんだよね」

 

「え、何その過剰戦力」

 

 ですよねー。鈴ちゃんの反応は最もだと思う。僕もそう思うし、多分みんな思っていたと思う。まあでも、今思えば国としては希少な男性操縦者に自国の代表候補生を接触させたいというのは仕方のないことなのかもしれないね。

 

 予鈴が鳴り響き、教室ではみんなが席につき始める。

 

「あ、鈴。さっさと戻ったほうが良いぞ」

 

「言われなくても戻るわよ。じゃ、またね」

 

 そう言って去っていく鈴ちゃんは扉付近で千冬さんに出会い、出席簿の洗礼を受けたのであった。南無。

 






え、ペイルライダールートって一体……
というわけで、今回は清算回でしたね。
まあ、こんな話も一話くらいありますとも、ええ!
だから、ペイルライダーがいないじゃないか! っていう感想が来ることも見越して先に言っておきましょう

次回からはペイルライダーばっかりです!!

タイトル?
ああ、鈴ちゃん好きね。
そっちの氷雨くんはもう添い遂げたからいいよね。

ペイルライダーの容姿は皆さんの方で勝手に妄想しておいてください
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