ラグナロク・イズ カム トゥルー   作:土天改名

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いずれ、終わりはやって来る

 俺は、仇成(アダナシ)(カイ)、とても普通……だと思われる人生を送っている最中の高校生だ。

 普段から、設定豊かなネット小説を読み漁っている健全なオタク君であり、クラスでもそれなりに友人がいるし、クラスメイトであれば誰が相手でもそれなりに話す、つまり溶け込めている、と自負する普通キャラである。

 

 苗字と名前だけは一人前の変な奴だが、最近のリアルの風潮だとそこまで珍しい訳でもない。

 むしろキラキラし過ぎないレベルで厨二臭くて、かっこいいとまで思っていた時期もあった、あの頃は俺も若かった。

 

 あの時は、自分が気付いていないor知覚していないだけで、魔法や異能があると思ってワクワクしながら路地裏を覗いてみたりしたものである。

 

 とても危ないので皆はしないようにしましょう。

 

 

 

「カイ、そろそろ俺らも飯食べようぜ」

 

「あいよ。お前はまた彼女さんの手作りか?」

 

「へへ、羨ましいだろ?」

 

「とってもな。……くそ、なんでお前に彼女が出来るんだよソウヤ!」

 

「そうだそうだー!」

 

「爆発しろー! 末永くなぁ!?」

 

「うわわっ!? ……ふっふっふ、どうだ非リアども、ひれ伏せぃっ!」

 

「「うぎゃー!?」」

 

「ははははは!」

 

 

 

 とまぁ、こんな感じに。

 (何故彼女が居ないのか、と不思議に思っていた方の)友人に裏切られて、それを踏まえて馬鹿やったり……毎日を楽しく過ごしている。

 

 俺に彼女? いやぁ、遠慮したい。

 二次元だったり、友人のあれやそれを聞く限りだと羨ましいけどね、そりゃあ俺も男だし。

 

 でも自分がするとなると……ってなる、最近は。

 ソシャゲでもビジュアルだけで推しを増やしてしまうような人種なのだ俺は、人生の推しを一人決めて、それを貫き通す自信はないのである。

 

 異世界転生とかでハーレムしてー! ってなってた中学生と、俺は、ハッピーエンドの恋愛ごとを第三者視点で笑って見ている友人枠くらいが丁度良い、とまでなって来る高校生。

 自分でも笑ってしまうほど変わるのだから、歳を重ねるというのは不思議なものだと思う。

 

 

 

「そういやさ、今朝のニュース見たか?」

 

「今朝? あー、ちょっと前にネットがどうとか、って奴?」

 

「そうそう、なんかすげーよなぁあれ、サイバーテロで世界全国の会社のパソコンに、同じ時間に同じ動画を流させるってよ」

 

「親父もあれ受けたって言ってた」

 

「お袋も」

 

「え、そうなのか?」

 

「ニュースとか掲示板で、それができる奴は世界を滅ぼせるって言われてたなぁ」

 

「流石に人間にできることじゃねぇだろ」

 

「でも、ウイルスとかは見つからなかったって言われてるし、大丈夫なんじゃね」

 

「誰にも見つけられない未知のウイルス……とかだったりしてな」

 

「だはは! それも流石にねぇだろ!」

 

 

 

 

 

 この世界に、魔法やら異能はあるのかも知れない。

 けどそれは多分、俺みたいなのには関係の無い話なんだろうなって、思ってる。

 

 

 割と本気で思ってた……んだけど。

 

 

 

「……」

 

「えと……とりあえず傘いる?」

 

 

 

 まさか、目の前に訳アリそうな女の子が、ずぶ濡れで立ってる状況になるとは、夢にも思わないんだから、さ。

 

 

 

「……っとほら、タオルとかその他」

 

「……感謝する」

 

 

 

 ちっぽけな脳みそをフル回転させ、女の子に俺ができること、をやってみているのだが。

 風呂……は辞めておこう、現実でそんな羨まゲフンゲフン、犯罪臭のするシチュエーションなんてしたら俺が捕まる、犯罪者にはなりたくないのだ。

 

 

 

「えーと……で、君は? 自分の家の場所だとかわかる?」

 

「……」

 

「あー、答えたくないなら、答えないままでも」

 

「ない」

 

「え?」

 

「ない……私は、今帰れば二度と自由にはなれない」

 

「あ、そう……」

 

 

 

 やばい。

 とんでもなくやばい何かである。

 自分をそうだと思い込んでいるお年頃か、そうではないのか。

 どちらにせよやばい、やべぇ語彙力死んでる。

 

 

 

「信じられないか?」

 

「い、いやまぁ……そりゃあ、ね?」

 

「だろうな」

 

 

 

 女の子は、至って普通……に、見える。

 俺読心術とか持ってないしなぁ、表情の固い幼馴染がいる訳でもないのだ、そもそも女の子で近所の幼馴染がいない、ぴえん。

 

 

 

「では、普通ではないと言う証拠を見せよう」

 

「え」

 

「この家に、パソコンの様なものはあるだろうか」

 

「え、あ、ちょい待ち」

 

 

 

 何が何だか……確か、父さんのパソコンが二階にあった筈だ。

 でかいしノートじゃないし、そもそもパスワードもわからないしで放置している代物なのだが。

 

 

 

「二階にある。で、それがどうしたんだ」

 

「……そこまで、案内して欲しい」

 

「言葉の証明になるかは、私に判断できないが」

 

「私が普通ではないことだけは、実証して見せよう」

 

 

 

 

 

「ここか」

 

「ああ」

 

 

 

 ……あの時のまま、だからかそれなりに綺麗だと思う。

 

 

 

「埃っぽいのは、許してくれよ」

 

「問題ない」

 

 

 

 電源は……問題ないらしい、ピロン、と言う軽快な起動音がなっている。

 

 

 

「少々、型は古いが」

 

「良いパソコンだ、証明には問題ないだろう」

 

「……なぁ、一体何をする……って、おい!?」

 

 

 

 女の子が、徐に手首の包帯を取り外し始める。

 体中に巻いてあるそれらは、非常に痛々しく見えるんだが、外してだい……じょう……。

 

 

「……」

 

「……あまり、見ない方がいい」

 

「これは、常人にはいささか刺激が強過ぎる」

 

 

 

 女の子の手首に、端子の差し込み口が付いている。

 え、いや、待て、それ……え?

 

 

 

「……説明は後だ、証明を続ける」

 

「いや、ちょ……」

 

 

 

 あまりの非現実的な現実を、処理できずにいる俺を傍目に、女の子はパソコンの端子を……己に、繋いだ。

 

 

 

「……ふむ、セキュリティも旧型にしては申し分無い……が、この程度であれば、容易い」

 

「へ、あ……?」

 

「……セキュリティを解除、パソコンの内部データを私にインストールする」

 

「え、何をする……!?」

 

 

 

 パソコンのパスワード画面が、ものの数秒で切り替わったのも驚きだが、そこからどんどんと色々なタブが開いて閉じて……を繰り返し、数秒後にぷつりと画面が暗転する。

 

 

 

「電源を落とした、これ以上は必要ないからな」

 

「何を……」

 

「アダナシ・カイ、17年前に生まれ、それからずっとこの街で両親とこの家で暮らしている高校生」

 

「は!?」

 

「丁度3年前に……いや、これ以上は不要だな」

 

「……信じてもらえただろうか」

 

「いや……何をしたんだ、一体」

 

「このパソコンを介して、ネット上にある君の個人情報を検索した」

 

「見ての通り、私は人間でありながら機械と接続できる」

 

「そして……少し前に起きたサイバーテロは、私の手によって引き起こされたものだ」

 

「……マジで?」

 

「事実だ、そして、私を助けてくれた君に、厚かましいながらにもう一つ、願いたい」

 

「……私を、匿って欲しい」

 

 

 

 父さん、母さん。

 とても信じられないと、思うだろうが。

 

 この日、世界を滅ぼせるかもしれない少女と、出会ったんだ。

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