マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

11 / 131
小出しの連続。
今後の展開に対し、土台作り。


火薬と歓喜

 

すごい! すごいぞ! こいつは大発見だ!

 

クラフターは歓喜した。

腰は激震。 腕は音を切り、首振りで空と大地を混ぜ合わす。

感謝感涙。 滂沱合掌。 澄む天見上げ栄光を存分に浴びる。 ありがとう村人。 ようこそ幸運。 我が愛しの創造道。 栄転の道。

久しく忘却していた感情が溢れ出る。

苦節長年。 需要に対し、供給が追いついた!

 

 

「うわ、いつもより動き気持ち悪っ!?」

 

「そんな事いっちゃ駄目だよ。 とても嬉しい事があると、ああやって踊るんだから」

 

「……踊ってるんですか、アレ」

 

 

鉄棒を作業台に載せ、分解した際だ。

本体下部に刺さっていた、湾曲した部品を本体から分離。 更に分解を重ねる。 やがて金塊モドキになったから、試しに9個並べた。

が、ブロックにもインゴットにならない。 期待する価値は無い。 そう捨てかけた。

しかし、更に分解すると火薬と鉄塊になった!

刹那、歓喜溢れる衝撃たるや。

 

おお、火薬だ! 火薬であるぞ!

 

遂に、希求してきた発見を遂げたのである!

クリーパーやガストやウィッチを狩り立て収集しなくても良いのだ。

その辺の鉄棒から手に入る。 その事実が判明したのは大いなる収獲。 そういわずしてどういわす。

クラフターは飛び跳ね天に拳を繰り出した。 同志によっては弓矢を真上に打ち上げ、落下してくる矢で自らを射抜く。

またある者は、笑顔で殴り合う。

僅かに残る理性が、防具の耐久値を無駄に減らすのを忌避。 脱着してから拳を握った。 やるなら最初から脱ぐべきだ。 一度始めると急に止まれず損をする。

なるほど。 そうか。 皆は頷いて脱ぎ合い、次にはむさ苦しい拳の語り合いが勃発した。 野太い声を晒し合う。 クラフター悦びの表現。 暴力振るって気持ちが良い。

 

 

「不良のチープアーモで何を喜んでるんです。 というか、なんで笑顔で殴り合ってるんですか!? 私の知らない世界なんですか? これが大人なんですかああ!?」

 

「この人達なりのコミュニケーションかなぁ」

 

「理解出来ないんですけど!? え、なに、私がコイツらに話すには一々殴らないといけないんですか!?」

 

 

それも棒からのドロップ量が多い。

失敗して爆発四散しない。 確実に手に入る。 鉄塊のオマケまである。

撃たれる危険性は付いて回るが、砂漠を昼夜問わず走り回る苦労を思えば微々たる脅威だ。 天秤に掛けるまでもない。

ふと、立ち止まる。 火薬を求め、苦悩していた日々をつらつら想う。

 

 

「急に冷静になられても怖いんですけど。 情緒不安定すぎやしません?」

 

「何か考え事してるんだよぉ」

 

「なんだろう。 どうせ私達に関係ないか、碌な考えじゃなさそうなんで、止めて貰って良いですかね……って、言葉も通じないのが、こんなにも辛いなんて……」

 

 

近くで興奮していたチビ村人も、合わせるように冷静になってくる。 我々に似る。 村人の事はまだまだ分からないが、クラフターはこの顔を知っていた。 同情だ。

そうか。 分かってくれるか。

或いは似た経験者かと首を振る。 伝わるかはさておき、忌まわしき回想に浸る。

 

 

「いや、頷かれても。 妙に生暖かい目を向けないで下さい。 何考えてるのかも分からないんで」

 

「そんなイジワル言ったら可哀想だよ」

 

「こんな時ほど、先輩のお気楽が羨ましいと思ったことはありませんよ……」

 

 

アレは遠い過去。 元の世の事。

血相変えてクリーパーのスポーンブロックを捜索した日々の事だ。

あの頃は、度重なる火薬需要を満たす為に奔走していた。 スポブロさえ確保すれば、トラップタワーを建造出来る。 それで全て解決する筈だったからだ。

けれど遂には発見出来なかった。 何故ゾンビやスケルトン、蜘蛛のスポブロは存在するのに、クリーパーは無いのか。 世界は無情で、クラフターに対してあまりにも残酷だった。 打ちのめされた。 改めて我々の努力が矮小だと気付かされた。

認めねばならなかったのだ。 クラフターは世界に生かされているのだと。

ある者は絶望のまま鼠賊に身を堕とし、他人のチェストを漁る粗相まで働いた。

あれは誰の目にも擁護出来ない盗人である。

黒曜石に封印されて鬱憤晴らすリスキル祭りが開催されたのは仕方ないね、と独りごちた。

 

 

「遠い目で薄ら笑みを向けないでくれます?」

 

「思い出し笑いだろうねぇ」

 

「人に向けてしないで欲しいです……」

 

 

ともあれど。 この世界で火薬は身近だ。

TNT作り放題も夢では無い。 量産の暁には、キャノンを並べて撃ちまくってやるのだ。 若しくは花火の打ち上げだ。

そうだ。 花火も作り放題だ。 エリトラで青空を飛びまくれる。 スプラッシュポーションも投擲し放題だひゃっほい。

 

 

「……コイツらは不気味ですけど、アビドスの砂漠化や借金問題を思えば、耐えるべき試練でしょう」

 

 

問題はエリトラの耐久値だ。

回復する手段が、この世界で確認出来ていない。

徹夜してもファントムは現れる気配がない。

不浄の大地に対し、清涼感ある青空まで穢れないのは喜ぶべきとはいえ。

他にも牛とか豚とか羊とかの家畜に難儀している。 レッドストーンもだ。

モンスターとも邂逅し難い。 お陰でエンチャントもし難い。 ツールの修復もままならない。

 

 

「そんな深刻に考えちゃ駄目だよぉ」

 

「いや考えましょうよ。 本来なら、私たちだけで解決すべきだったんですから……連邦生徒会も助けてくれませんし」

 

「それは……そうだけどぉ」

 

 

いや、諦観は早い。 手段はある。

ネザーゲートを作れば、ネザー経由で元の世界に戻れるかも知れない。 試す価値はある。

地下に作ろう。 地上だと村人が煩いし、余計な事故が起きるかも知れない。 ゾンビピッグマンが稀に湧く事であるし。

 

 

「あっ、また動き始めましたよ」

 

「アビドスの為に……私たちも頑張るよ! 市民と生徒の誘致、シンボルであったオアシスが新しく復活したから、お祭りもしたいもん!」

 

「それと資金を稼がないといけませんよ」

 

「あぅう……」

 

 

いやぁ参ったな?

新発見もやりたい事も溢れてさ?

 

クラフターは走りながらジャンプを始める。

やるべき事に向けて、それぞれが分散した。

遊び切れない毎日だ。 世界はワクワクやドキドキに満ちている。




更新常に未定
銃火器や装甲車、機関砲とした現代兵器の安易なクラフトは避けたい気持ち。
だけど鹵獲運用、使い捨て感覚で使用したくもあり。 あとはバニラでどこまで戦えるか考えたいですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。