マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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前書き
文面の乱れ、面白みのなさに己の文才の無さと心身の衰えを感じています。
最終章にあたり、書き方や更新頻度を考え中。


崩壊と日常

───ある並行世界。

或いは違う時間軸。

 

とあるマインクラフターがマフラーを拾った。

 

奇遇にも持主を知っていたから、親切にも届けてやろうと思い立った。

なにせ初期スポーン地点となったアビドスの生徒、シロコのものだ。 数多くの人と出会ってきたクラフターだが、記憶に残る者の1人である。

運動が得意で手癖が悪く、クラフターの倉庫にも侵入して金のインゴットや金目の物を盗む大胆さと恐れ知らずだったのもある。

 

なにより彼女の水色マフラーは砂漠1色の中でも大変目立つ明るさで、しかし春夏秋冬構わず四六時中、彼女は大切に装備していた。

そんな物が何故、砂漠の真ん中に落ちているのか。 クラフターは首を傾げた。

 

取り敢えず耐久値が擦り減っている事に気がついて落ち着かない。

とにかく回復だと水色羊毛や蜘蛛の糸で修復を図り、更には余計なサービス精神を発揮させて耐久エンチャント。 薄ら輝いて視認性が高くなる。

 

丈夫になっただけでなく無くす可能性も低くなったろう。 持主に返せば褒め千切るっしょとクラフターは呑気に思い、シロコを真似るように首……ではなく頭部に巻くと、るんるんと本人探しの旅に出た。

 

周囲は赤く、遠くには黒い太陽が昇っているという異様な空なのに、この時のクラフターの童心は澄み渡り晴れやかであった。

 

もしこの持主が平和な日常を送り続けていたのなら、改造された事に困惑し、普段の温厚さを捨て激怒していたに違いない。

何故なら、そのマフラーは先輩のホシノから譲り受けた思い出の品であり、替えの効かないものだから。

 

けれど、この時間軸のシロコは一切の気力を失っている。 仲間は死に、先生も蘇生困難と判断された中、1人で頑張るも心身共に満身創痍。 大切なマフラーを風で飛ばされて生きる糧をも失い、遂に死を受け入れた。

 

刹那、色彩が絶望に誘われるがまま現れ、シロコは黒い光に曝露。 シロコはテラー(恐怖)化、死神アヌビスとして覚醒。

運命のまま、能力のままに皆に死を与え、キヴォトスに破滅を齎し、更には奇跡的に目覚めた先生が止めに来た際、全てを終わらせよう、楽になろうとトドメを刺そうと拳銃を向けたのだ。

 

けれど唯一残った大切な人を殺すまでは出来ず躊躇。 すると、再び色彩が現れて……今度は先生を呑み込み、大きな彫刻のような怪物……プレナパテスへ変えられてしまった。

 

絶望するシロコ。 最早運命には抗えない。

 

死を受け入れたばかりに、己が所為で先生をも失った彼女は、自身を呪いながら、与えられた使命のままにキヴォトスに破滅を齎し続ける。

それは全ての時間軸に対して永遠と行うようであった。

 

だが、それでも。 それでも希望はある。

破壊の対極、創造のマインクラフターがいる。

 

因果律と共に、バンダナの様に頭にマフラーを装備する為か、シロコ*テラーが別時空へ移動すれば、クラフターも転送される。

 

他のクラフターは移動こそ叶わないが、砂漠の底に生存者を匿い、死神と色彩が去しキヴォトスの再建を図る。

 

そうした時間軸では大人も子供もお姉さんも、かつての半分と生きちゃいない。

けれど誰もが色んな経験をする。 1人で抱え込んではいけない。

思い出を胸に、生存者達はマインクラフターに倣い、ツルハシやシャベルを握り、未来の為のマインクラフトを始めるのだ。

 

無名の司祭は驕る異物に遺憾の遺。

だがプレナパテスは心底で信じている。

シロコは運命に抗う術を乞いている。

 

そしてマインクラフターは……ただ作るだけ。

その寄り道に希望が届く。 それだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど終焉ですか。 確かに今、キヴォトスは終焉への道を辿っているといえます」

「リンちゃん! 分かってくれたんだね!」

「誰がリンちゃんですか」

 

 

サンクトゥムタワー。

地面と接地せずに高く聳え建ち、光の柱を常に空へと伸ばしている異様な建築物を、連邦生徒会は当然の様にオフィス化している。

そして今日も白服を纏う役員達が往来し、事今に至ってはシャーレの先生とリン行政官兼連邦生徒会長代理が交流している。

それ自体はいつもの事だが、内容はやや深刻そうである、と居合わせたクラフターは後に語った。

 

 

「寧ろ気付くのが遅過ぎました。 いえ必死に知らないフリをしていたのです」

「そんな、どういうこと?」

「2年前。 マインクラフターが突如としてアビドス砂漠に登場し、キヴォトス中で違法建築の限りを尽くすなど悪夢以外の何物でもありませんから」

「全然信じてない!?」

 

 

予知夢の内容を語るも、現実に見えているクラフターの仕業だ手遅れだ、もうお終いだぁと諦観するリン。

半分は冗談なのだが、表情が固い生徒なだけに読み取るのは難しい。

一方、クラフターは個体差あれど表情豊かだ。 キヴォトス人が筆談以外で読み取れる、数少ない表現の1つだ。

 

 

「ですから予知夢ですよね?」

「そ、そうです」

「先生が見た、夢のお話なのですね。 キヴォトスが終焉を迎える……その根拠となる証拠もなく、いつかも定かではない『終焉』ですか」

「リンちゃんに知らせようと思って」

「分かりました。 連邦生徒会の記録やデータを確認してみます。 同様のケースが無いかも調べてみましょう。 クラフターについてもです。 興味さえあれば何でも手を出す彼等が、大惨事を起こす可能性は多分に含まれます」

「えっ……?」

 

 

荒唐無稽だと信じなさそうな、オカルト要素による警告を受け入れるリン。

それは過去の経験から来るものか。 それとも話にちょいちょい出てくるクラフターの所業や存在がオカルト染みているからか。

 

 

「勿論、生徒か誰かの可能性もあります。 セイアさんの夢に出てきた百鬼夜行と思われる人物についても調べましょう。 彼方の精度は高くありませんが、少しでも手掛かりを掴まれば御の字です」

「信じてくれるのかい?」

「先生自身もよく分からないのでしょう? けれどわざわざ報告に来た。 先生は少なくとも信じているのは間違いないのです。 あなたは連邦生徒会長が指名した方、であれば私は準備し対応するのみ。 それが会長への義理立てとなります」

「ありがとうリンちゃん!」

「ですが他の役員や各自治区の生徒会を説得するには証拠が必要です。 揃えられる事が出来れば、スムーズに進むでしょう」

「うん。 クラフターにもお願いしてみる」

「この件だけに時間は掛けられませんが、出来る限りの事はしてみましょう。 また近いうちに連絡します。 私は用事があるのでこれで」

 

 

ただまぁ、それは事実だ。

クラフターにとっての当たり前は、キヴォトスでは非常識に映る。

2年もの間に多少慣れたとはいえ、まだ空中に土や石が微動だにせず浮く様は異様だし、通常ではあり得ない物理運動を日常的に発生させているのも多くの頭を悩ませる。

当人らクラフターは、そんなキヴォトス人達に説明する気も起こさず、当たり前として利用し続け、建物や装置を作り続ける手を止めない。

 

 

「意外と早くに説得出来たねアロナ?」

『マインクラフターという不思議な人達の存在が大きかったかも知れませんね!』

「そうだね。 ただ、滅ぼす存在にもなり得るのが彼等だ。 ユメのように信じてあげたいけどね」

『例えそうでも、クラフターは一枚岩ではありません。 その時は対抗してくれるクラフターを引き入れれば何とでもなりますよ! それに私が先生を守ります!』

「うん。 いつもありがとうアロナ」

『えへへ……』

 

 

マフラーを頭に巻く奇行種もまた、作り手だ。

 

この世界は変わった結果なのか、そうではないのか。 多くの者には知る術は無い。

 

観測出来たのはゲマトリアと。

きっと、マインクラフターだ。

 

だからこの先は予定に無い未来だ。

どう作るのか。 或いは壊すのか。

 

それはまだ、誰にも分からなかった……。




後書き
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