マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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事態と救援

カイザー社、遂に動いたな。

マインクラフターは確信する。 作り手は一枚岩ではない。 故に更生は不可能だと懐疑的な意見も持ち合わせていたが、結局は想定通りである。

こうなれば現実と戦わねばならない。 元々好かん連中であるから、この機に殲滅しようとも思う。

 

 

「リン行政官、カイザー社の襲撃です! 彼等はサンクトゥムタワーを制圧し、戒厳令を敷いて通信網及び物流を封じ、行政制御権を強奪、生徒側の動き全てをシャットダウンする気かと思われます!」

「カヤ防衛室長……今確認しました。 マインクラフターが実働部隊と交戦中ですが事態は逼迫しています。 ですが今の私は不信任決議案が議決され、権限を喪失しています」

「把握しております。 ここは私にお任せを、荒事への対処は元よりの仕事です。 リン行政官はアオイ財務室長と話し合い、一時的にでも意見を撤回させるか、投票で再信任可決を要求してください。 それくらいは許されるべきです」

 

 

地を這う戦車は地面の下からの攻撃に弱い。随伴歩兵がいようが関係ない。 飛翔するヘリも地下道へ攻撃は出来ない。

これらは坑道戦術でどうとでもなった。 アリウスでの紛争経験が生きている。

 

 

「SRTの出番ですよ。 FOX小隊はRABBIT小隊を支隊とし行動。 シャーレの先生を保護してください。 サンクトゥムの制圧が困難となれば、その次に権限の強い連邦捜査部が対象となるのは避けられません。 連中も馬鹿ではありませんからね」

「良いのか? カイザーとは協力関係だった筈だ、裏切りになるぞ」

「それは向こうもですよ。 アビドス砂漠でオーパーツを入手すれば、私は用済みで捨てられる予定だったので。 ならば此方から先に斬り捨ててやろうという話です。 そもそもクラフター相手に武力で負けるようでは、先が見えませんよ」

 

 

同志からの連絡ではカイザーは第3隊に分裂し、別々の目的で行動していると分かる。

 

1つ、サンクトゥムの制圧。

2つ、砂漠の遺跡制圧。

3つ、シャーレの制圧。

 

度し難い。

現地の同志と軍事部が対処中だが、向こうも2年前と違い兵力が強化されている。 簡単に殲滅とはいかない。

それでもリスポーン地点を更新、やられたらやり返す倍返しの精神で果敢に攻める。 勝利は時間の問題であろう。

 

 

「既にヴァルキューレの公安局が、警備局と生活安全局を連れて向かっています。 ですが装備の質や数に期待は持てませんので、合流するならお早めに」

「その判断は私たちに任せて貰う。 FOX小隊行くぞ。 交戦は避け最短距離で向かう」

「そうこなくっちゃ!」

「後輩ちゃんの面倒も見なきゃね」

「これこそSRTの仕事、正義だよね!」

 

 

面白い事に、ミレニアムの空中戦艦の同志が実験も兼ねて、ミサイルやキャノンによる砲撃支援を始めてくれた。

 

 

「砲撃まできやがった!?」

「どこからだ!?」

「ミレニアム自治区からです!」

「馬鹿な、サンクトゥムの権限のようにD.U.全体の通信網を遮断は出来ずとも、外部と連絡が取れないように妨害電波やチャフは撒かれているというのにか!?」

「建築魔の謎技術で通信してるんじゃ!?」

「おのれマインクラフタアアアア!!」

 

 

祭りだ。 祭りだひゃっほい。

そうこなくては面白くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『先生、更なる増援を確認! シャーレの建物を1個中隊規模が包囲! 屋上から戦術輸送ヘリ! 戦闘員がヘリポーンしてきます!』

「そこまでの規模か。 カイザーがここまでするなんてね。 今はクラフターが持ち堪えているけど、いつまで持つか」

 

 

耐える。 耐える事なくして勝利はない!

マインクラフター、シャーレの地上階と屋上で必死に抵抗。 防衛行動を取り続ける。

歩兵隊や戦車隊、パワードスーツ類のゴリアテ隊、後方支援の狙撃班や砲兵の攻撃に硝煙弾雨と晒される。

黒曜石で入口は塞いだが、物質も人手も全て守れるほど数は無い。荒らしも馬鹿じゃない。 外壁の脆弱部を爆破、突破口を開いては歩兵隊が内部に雪崩れ込む。

 

 

「今の爆音は!?」

『な、中に歩兵隊が侵入! クラフターも中に撤退、戦線を再整備! 時間を稼いでいます!』

 

 

丸石でバリケードを張りつつ後退。 弓矢で応射。 遅延行動に蜘蛛の巣を張り巡らす。

時に蜘蛛の糸と鉄インゴットからワイヤートラップをクラフト。 TNTと繋げて迂闊に前に出てこないよう仕向ける。 わざと見える位置に設置しキルゾーンへ誘導もする。

 

 

「ユメとソラは?」

『ソラさんを盾で守りながら、クラフターの坑道へ逃げられたようです!』

「良かった。 上手くいったようだね」

『後は先生です! 脱出を!』

「それは難しいなぁ」

『私が、スーパーアロナちゃんが先生を守ります! だから大丈夫です!』

「カイザーの狙いは私だから。 分かりやすい囮がいないと生徒に迷惑がかかる。 クラフターさんも頑張ってるしね。 でもまぁ、ユメとソラが落ち延びたと思えば、この状況も役得と思える。 少しは酔ってるのかも知れないな」

『先生、諦めては駄目です!』

「私がいなくてもクラフターがいる。 キヴォトスは滅びない。 何度でも再建するさ」

 

 

奴ら、今度は床や屋上を爆破しながらフロア移動という荒技を!?

クラフターも立場が逆ならやりかねない戦法だが、相手が村人寄りだと油断した。 先生に不死のトーテムを持たせておくべきだったか。

 

 

「目標発見!」

「護衛を排除し拘束後、直ちに撤収!」

 

 

僅かに生き延びたクラフター、先生を中心に円陣を組み、盾と丸石で最後の抵抗を試みた。

 

 

「構えッ! 撃てえええっ!!」

「くっ」

『先生は私が守ります!』

 

 

後悔先に立たず。 が、刹那。 微妙に音の異なる銃声が響けば、荒らし共が倒れ始めた。

 

 

「ぐわああっ!?」

「なっ、お前らは、ぐふっ!?」

 

 

援軍だ! クラフター、首と腕を滅茶苦茶に振り回して士気を高める!

 

 

「先生、お待たせしました!」

「カンナ? ヴァルキューレの皆も!」

「防衛室の命令でSRTも間も無く来ます。 脱出ルートも用意しました」

「カヤが?」

「先生には離脱後、この状況の収拾に尽力して貰わねばなりません。 そしてカイザーの悪事を暴くのです」

 

 

同志ではなく我々の創造性を毎度妨害してくるヴァルキューレだったが、今は感謝しておこう。

装備は貧弱だが数がある。 ならばこれだと作業台でクラフトして配布してやんよ。

 

 

「木の盾をくれたぞ……?」

「いや、これは銃弾を防げる謎の盾だ!」

「ユメ先生も使ってる奴だな!」

「小銃もくれた! SRTにあった奴だ!」

「うわっ!? 赤い液体を浴びせられた!」

「けど、なんか力が湧いてくる!?」

「金色のリンゴもくれたけど、食えと?」

「食って大丈夫なの、これ……」

 

 

よしよし。 ひと通りの強化を施した。

雑魚でも数と装備があればそれなりだ。 その力はネザーのゾンビピッグマンやピグリンで実証されている。 身をもって。

 

 

「なんだか建築魔も協力的ですね」

「おかげでここまで生き延びたよ」

「感謝しなければですね。 お互い生きて帰れたら」

「その時は何か奢るよ」

「美味しい麦茶が飲める屋台を知ってるんです」

『先生! 死亡フラグはやめてください!?』

 

 

さぁ楽しい楽しい反撃の時間だ。

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