マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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餌付と利害

 

 

「連邦生徒会にしては英断だねぇ」

「珍しく役に立ったな。 この機会にSRTは本格的に必要だって皆はハッキリ理解した筈だ」

「ですが1企業が連邦生徒会を襲撃するなんて。 SRTに十分な予算が維持されていれば、最悪の事態は避けられたはず……」

「で、でもサンクトゥムタワーはまだ掌握されてないんだよね……建築魔が食い止めたから」

「そこで行政権を掌握出来ないとなれば、次に特権を持つシャーレが標的という事です」

 

 

サンクトゥム救援として移動中、SRTまで合流した事で大所帯となってきた。

甘塩っぱい稲荷寿司をクラフトして振る舞う。 腹が空いては戰は出来ぬ。 具体的には走れなくなる。 自然回復も馬鹿に出来ない。

逆に馬鹿にされないように己の小銃、その弾倉がちゃんと差し込まれているか、初弾が薬室に込められているかプレスチェックもしておく。

いざ交戦して引金引いてナニも出なくて初弾入ってないやんセーフティのままやんと踊る所をぶすりとチープキルなんて真平御免だ。

 

 

「そうだ月雪小隊長」

「ユキノ先輩!」

「正確にはシャーレの地下『クラフトチェンバー』だ。 連邦生徒会長が残した物質生成器らしいが、本来、それは管理者……先生にしか接続出来ない」

「なんかとんでもない物というのは分かりました。 装置を賢く悪用すればサンクトゥムの掌握に役立ちそうですね」

「ああ。 私たちの考えが及ばない、悪党なりの考えがあるのだろう」

「理解しました。 つまりPMCから必ず先生を守る必要があるのですね」

「せ、先輩達とヴァルキューレ、建築魔もいて心強いです……」

「他の自治区からも応援が来る。 気張るな」

 

 

特に遠慮なく稲荷パクパクの狐と兎。

クラフターは頷く。 そうだ。 そうしなさい。

最初の頃は警戒心のままに口にしなかったが、今は自然と食べている。 友好度の上昇……感じるんでしたね?

 

 

「我々ヴァルキューレも微力ながら手伝います。 というよりも、罪滅ぼしをさせてください。 こうなったのは私の様な小悪党、組織内の腐敗にも原因があります」

「生活安全局の本官達も手伝います!」

「まぁ簡単にはいかないんじゃない〜? 相手はキヴォトス屈指の大企業、カイザーだよ? バカじゃないんだから私たちが抵抗してくることだって想定してるだろうし」

「分かっている。 向こうの特殊部隊、カイザーSOFも動いているだろう。 だがSRTの敵では無い。 月雪小隊長にはそれが出来るはずだ。 今までの訓練過程を存分に発揮しろ」

「は、はい! やらせてください!」

 

 

この世界でも飯を食ってる奴が強い。

ただしデカルト、アイツは駄目だ。 畑泥棒は普通に犯罪だろと。 先生の拠点1階の取引所から廃棄される食糧を拾い食いしている頃がまだ許せた。 1度でも美味しい思いの生活を経験させると、中々元には戻れないのだろう。

 

 

「うぅ……実戦は建築魔相手に経験したけど、今度はカイザーが相手なんて。 わ、私にできるのかな……」

「出来る出来ないじゃない、やるんだ!」

「大丈夫よミユ。 あなたの狙撃能力はトップクラスなのを知っているもの」

「サキちゃん……ニコ先輩……」

「ちょっと〜! 私だって狙撃に自信はあるよ?」

「ふふ、オトギも勿論よ」

「はぁ、私の盾1枚で後輩の"おもり"はキツいわ。 先輩の背に甘えずに、ちゃんと働くのよ」

「私語は程々にしろ。 先生、指揮をお願いします。 大凡で構いません、あとは現場の私たちが判断しますので……先生は生徒の意見を尊重する方だと伺っております」

「勿論。 よろしく、FOX小隊長さん」

「了解」

 

 

狼や山猫ら野生動物を餌付けし懐柔すれば、犬と猫になるように、村人もまたその節が見え隠れしている。

だとしても此方の都合が良くなるなら存分に与えるが。 目前の狐と兎は強いのだし。

 

 

「ところでこのお稲荷さん、クラフターが作ったんだよね? 流れで食べてたけど、前より上達してない?」

「ニコの教えが良かったのよ」

「ふふ、ありがとうクルミ」

「……私語はやめろ。 それと人が作った物を安易に受け取るな」

「これなんて紫色の果肉が入ってるね。 アレンジなんじゃな───」

「オトギが瞬間移動したあああ!?」

「えっナニ!? ナニが起きたの!?」

「あらあら。 クラフターさん、何を入れたの?」

「だから安易に受け取るなと言うんだ!?」

 

 

コーラスフルーツを混ぜ込んだ稲荷を食べた三つ編み狐が、近場にワープ。 騒ぎ立てる取り巻き達。

どうだ。 我々の仕掛けたドッキリ要素は。 戦い前の緊張が解れたろう。

 

 

「お稲荷さんの印象を悪くするのは駄目よ」

 

 

何故かピンク狐に黒い笑顔で迫られた。

本能の警笛のままに、お辞儀を繰り返す。

クラフターは1つ学んだ。 柴大将のように食の村人クラフターもまた強いと。

 

なるべく逆らわないでおこう。

クラフターは密かに心に決めたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生麾下SRTの狐と兎共が獲物の狩りに乗り出した。 あの者なら今どこを攻撃するべきか誰よりも熟知している。 だからSOFというカイザーPMCの決戦部隊という最高の切り札が、備えが必要だ。 狐と兎は狩る側ではなく狩られる側である。 そう教育するのだ……我々側に着いたマインクラフターをお出ししろ!」

「"ジョーカー"が過ぎます! どうなっても知りませんよ!?」

「構わん。 賽は投げられた」

 

 

取引で食のレシピや重火器を教えてくれるからと、カイザー側にホイホイ着いたクラフターもいた。

利さえあれば善悪関係ないのもクラフターだ。

そして間も無く、筆談指示のままに行動が始まろうとしているのだった。

 

 

「私は油断して失敗するバカではない」

「既に失敗気味なんですがそれは」

「ええい煩い! いいから急いで呼んでこい!」

 

 

別に遊んでも良いのだろう?

先生側には悪いが、人生は楽しんでこそ。

迷惑を掛けず一生を終わらせようなどと夢物語だ。

 

ましてやビクビクして何も作らずに終わるくらいなら、多少の破壊や殺人は甘んじようというのだよ。

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