驚天動地の大厄災。
黒々太陽の色彩が本格的に到来しようという兆候は、赤い空と黒い巨塔の落下という異端な光景で指し示された。
にも関わらず、シャーレが声明を出した事で混乱を抑える事に成功。 如何に先生が生徒に信頼されているかが分かる動きであった。
一方、悪評の払拭叶わぬまま物理的に瓦解した連邦生徒会はいよいよ権限がない。
リン行政官らは遺憾ながらも、マインクラフターの穴掘りの力を借りてサンクトゥムタワーの地下から脱出兼放棄。 拠点をシャーレの建物へ移動。 先生との接点が多く状況打開に有力な者を招集し準備を進める。
1番乗りは便利屋のカヨコ。
続く様にミレニアムのユウカ。
ゲヘナのアコ。 トリニティのハナコ。
アビドスのアヤネと頭脳が集結していった。
ミレニアムは分析レポートを提出。
対策を講じる為の資料充実に努めた。
ゲヘナは強力な戦車隊が出動。
強力な火砲が怪異を蹴散らしていく。
トリニティは古い資料を検索。
色彩についての記述を発見した。
アビドスはシロコの行方が心配されるも、この騒動との関連性から、逸る気持ちを堪えて状況打開に尽力。
また、マインクラフターの本拠地だ。
カイザー以上の祭りにわっしょい中。
先生は他のクラフターと共に各地の怪異と戦い、ある程度片付いた後に合流。
その頃までにはリンは資料と作戦立案の書類を整えて皆に配布する手腕を披露する。
「皆様お手元の資料をご覧ください。 こちらが作戦計画書となります」
「これほどの資料をいつの間に……」
「ご自身も大変だったでしょうに。 本当にお疲れ様でした、リン行政官」
「これからです。 サンクトゥムタワーは例の塔によって崩壊、連邦生徒会は瓦解。 頼れるのはシャーレだけです」
「そうなりますか」
「連邦生徒会はサンクトゥムタワーに頼り過ぎなんじゃないの……ノア、資料を送るから確認して頂戴」
「わ、私たちの対策委員会が入手した情報と相違ないか確認します!」
リンは卓越した手腕と火事場の馬鹿力というべき能力で、短時間のうちに作戦立案が出来るだけの資料を用意、配布。
来訪した賢者達は、それが如何に大変で凄い事かを内心評価しつつ、それに応えるべく気を引き締める事で空気が纏まりを見せていく。
一方、マインクラフターはその限りではないが。
一応、彼等も資料を貰ったし、文字も何となくで読めてはいるものの、村人の声までは理解を示さない。
隅っこでモシャモシャとベイクドポテトを食い荒らし、ゲップをかます行為を繰り返す。
そんな光景に目もくれず、リンは説明する。
「結論から申し上げますと、あの塔を2週間以内に破壊しなくてはなりません。 現在、キヴォトスに出現した6つの塔。 それらを今から虚妄のサンクトゥムと命名します」
「つまり偽物ってこと? 確かに空の色も超高濃度エネルギー体のことも、それで納得がいくけど」
「これを……2週間以内に破壊する、と?」
「はいそうです」
「シスターフッドの資料によりますと、あれから出る光は人々を狂気に陥れる光だそうです。 ティーパーティのセイア様の予言にも登場し、それは世界を終焉へ導くと……」
「狂気? 色彩? 何の話よ?」
「信じられないでしょうが事実です」
「ノア?」
この場にいないバックアップする者たちも通信機越しに参加、より騒がしくなる。
「今、エンジニア部が解析してくれています。 あの塔からは人の精神に異常をきたす光が発せられているのです。 1種の精神攻撃との見方ですが、クラフターの松明といった彼等の光源には侵食出来ないようです。 お陰で多少は時間を稼げそうですが……説明できない事が多過ぎます。 ヴェリタスにもお願いしましたが、もっとデータが必要です……見立てでは、約300時間後に臨界点に到達します」
「つまり2週間後。 早期決戦は不可避です」
クラフターの松明とした光源は、湧き潰しに役に立たないと思えば、ここにきて意外な活躍をする気配を見せる。
が、キヴォトス全域、全ての人を守るほどの力があるかは微妙で、結局は塔を破壊しないといけないのだ。
「……終末の予言。 トリニティでもあるか」
カヨコは意味深な独り言を呟くも、喧騒に飲まれ、言葉は掻き消える。
アコも目線を一瞬向けて僅かに反応。 ゲヘナでも何か予言の類があるかのような伏線だが、今は現状の打開に努めねばならない。
「? それと、色彩に触れてしまった人を元に戻す方法も探さなきゃね」
「その事なんだけど、セイアちゃんから連絡があったよ。 百鬼夜行のクズノハちゃんって人を探すべきかもって」
「……先生、百鬼夜行については連邦生徒会のデータのみでは不十分でした。 専用の回線を用意しました……回します」
「ありがとうリンちゃん」
難しい空気に、漸く割り込めたユメ。
そのまま辺境の地、百鬼夜行へと繋がっていく。
「どうもどうも先生、百鬼夜行連合学院の陰陽部ニヤでございます〜、にゃはは〜、クズノハについてですよね?」
「何か分かるかい?」
「その名はウチの生徒名簿には載っとりませんのです。 都市伝説な存在といいますか。 なんでも百花繚乱紛争調停委員会の調停者……初代委員長にして預言者だとか。 ただ、代々言い伝えられる伝承のようなもので〜……何か分かりましたら連絡します。 またお話しましょ?」
「ありがとうニヤ」
「にゃはは〜、ではでは〜」
預言の類の話が続いたが、この異常事態においては、非科学的な伝承だろうと貴重な意見、資料となる故に、ユウカも何とか噛み砕いて受け入れる他ない。
とはいえ有力な情報は得られなかった。 リンは話を纏めて実行への流れを作る。
「纏めますと、2週間以内に虚妄のサンクトゥムを破壊しなければ世界の終わりということです」
「まぁなんとも、シンプルな話ですね」
「それがそうでなさそうですよ?」
「ヒマリ先輩!」
「ビックシスターの指示でお手伝い致します。 まぁそんなのが無くても? この超天才美少女ハッカーは動いてましたが」
「……天才?」「……美少女?」
補足するように、自己肯定感ツヨツヨのミレニアムの全知も絡まりにきた。
このように見えないところでも、生徒は己に出来る事を頑張ってくれているんだなと、ユメら先生は思い、ますます解決への意欲を上げていく。
が、それを妨害する存在がいるとも伝えられた。
「虚妄のサンクトゥムにアクセスを試みましたが、防衛している存在に阻まれました。 通常戦力では太刀打ち出来ないようなものに」
「こちらエイミ。 トキ、データの収集はもう大丈夫。 無理せず撤収して」
『ぐっ、了解……!』
ただ、通常ではない戦力なら先生側にもいる。
問題児にして数多の非常識を携え、建物やあらゆる物を創造してきた別次元の存在が。
「他自治区も、大方纏まりましたね。 私たちの目標は虚妄のサンクトゥムの破壊、同時に各自地区の防衛と避難を遂行することです。 全ての作戦はシャーレを中心に展開します。 大丈夫でしょうか? 特にユメ先生が心配です」
「ひどい!? 大丈夫だよリンちゃん!」
「まぁ〜先生がついてるから平気っしょ」
「で、では皆さん。 時計をキヴォトス標準時にご設定いただけますでしょうか?」
正面モニターに、大きく制限時間とキヴォトス時刻が表示される。
それが残された時間。 このカウントがゼロになる前に全てを攻略しなければならない。
「虚妄のサンクトゥム攻略作戦を開始します」
リンが号令。
皆が一斉に動き出す。
「クラフターさん」
ユメが語り掛けてくる。
生徒には朗らかに、此方には不安気に。
「助けて」
クラフターは言葉分からずとも頷いた。
我々もまた学徒である。 まだまだキヴォトスで学び足りない。
そして先生に引率されるのが生徒の役目ならば、我々マインクラフターは君らの剣となり盾となろう。 死なれても目覚めが悪いし、何より荒らしは凄まじく許せないのだから。
悪夢は早く終わらせないと。
目覚めた先は暖かいベッドか、それともここで『お終い』かは分からないが。
マインクラフト……創造への意欲がある限り、人はマインクラフターであり続けると信じる。 その為に活躍する舞台と役者、作品は評価され、これからも作られ続けて欲しい。
そう信じるからこそ、クラフターは動いた。
妥協して荒らしに堕ちた低俗荒らしに、世界を好き勝手にさせる訳にはいかない。
そう。 いつだってそうしてきた。
荒らし死すべし慈悲は無い、と。
何より夢も見ない、飯も食べない。
破滅の信奉者に創造手が負ける筈が無かった!
後書き
更新常に未定
赤、塔、狂…怪物化、"某死の宇宙ゲー"かな?