マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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穴掘と食糧

トリニティ方面の第4サンクトゥムは、浦和ハナコを作戦担当とし、シスターフッドを戦力にしてカタコンベ前で待機中。

立地的にマイクラ軍事部が既に戦闘中で、その陰で密かにアリウス生が援護している。

 

 

「作戦担当、浦和ハナコです♡ 皆様、準備は出来ましたか?」

「はい。 シスターフッド、カタコンベ前に待機中です」

「ところで……サクラコ様はどちらに?」

「救護騎士団、作戦地点にて待機しております」

「よ、宜しくお願いします!」

「アリウスも大変そう。 1度ならず2度までも戦乱に巻き込まれるなんて」

「ですが今は頼もしい作り手が、彼女達についております。 もう心配は要らないでしょう」

 

 

ミネ団長は淡々と述べた。

なんならアリウスは逞しいまである。 戦後復興だけでなく、クラフターのアイテムを戦術に取り入れてもいるのだから。

なんか深緑の球体を投擲したと思えば、その着弾地点に瞬間移動したり、突然ガスマスクを外して金のリンゴをムシャムシャしたと思えば、多少の攻撃に耐えるようになったりしている。

他にも装備に個人差はあるが、釣竿を振るっては敵を引き寄せたり、ガラス瓶を敵に投げつけたと思えば、その敵の動きが著しく鈍くなったりと、何処かで見た光景が戦場に広がっている。

 

 

「……そ、そのようですね」

 

 

それを見た淑女の皆様、アリウスの逞しさに感心しつつも少し引いてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第5サンクトゥムはどうですか?」

 

 

ノアがミレニアム方面、ヴェリタスに尋ねれば、副部長のチヒロ達の困惑が帰ってきた。

 

 

「こっちは少し問題発生中」

「標的のホドが要塞都市の地下に潜った。 今、そこにいた建築魔が天井とか建物を壊された怒りを侵入者にぶつけてる」

「要塞都市エリドゥの地下は、リオ会長が作った暗号で保護されています。 ハッキングや振動、音の検知は不可能です」

「今、リオ会長に聞いて暗号を解読して演算を進めてる。 でも時間がかかり過ぎるのが問題」

「このままだと作戦時間に間に合わないかも」

 

 

なんと標的のホドは、いつかの要塞都市エリドゥに侵入、地上戦力の攻撃を回避していた。

ところが建築魔が、ある種、合理的で荘厳な要塞都市にいない筈がない。

その時に現地にいたマインクラフターは、突然の侵入者にビビリ、次には天井や建物を壊した下手人にブチギレ。

要塞都市の名のままに改造した武装ビル群を起動させると、外壁に備わるディスペンサーやTNTキャノンが火を噴いた。

現在交戦中。 銃火器の扱いに長けたキヴォトス人はいないが、クラフターも十分強かった。

 

 

「エンジニア部も、塔の素材解析で余力がありませんし。 このままクラフターに任せるのも運任せが過ぎて危険ですね……」

「流石ビックシスター。 多少大人しくなっても問題の種を生むだなんて感服致します。 私には恐れ多くてなりませんよ」

「ヒマリ!」

 

 

ここにきてヴェリタス本来の部長にして、特異現象調査部長、病弱天才美少女ハッカーなヒマリも声を挟んでくる。

ここにきても嫌味を言うくらい、仲の悪さは相変わらずであった。

 

 

「以前、リオが構築したセキュリティを突破して、ミレニアムの債権を偽造した者がいましたね。 今は捕まって反省部屋にいますが、その者の協力も仰ぎましょう」

「……聞きましたかユウカちゃん?」

「はぁ……聞いてるわよ。 キヴォトスを救うのにコユキの力が必要だなんて、認めたくないけれど仕方ないわ!」

 

 

慌ただしく動き回るミレニアム。

犯罪者ながらセキュリティ破りの達人ともいうべきコユキの力を借りる事に不満を抱きつつ、彼女は釈放される流れとなる……。

 

一方、塔の破壊方法を模索するエンジニア部は正解が分からず行き詰まっていた。

 

 

「マインクラフターが、上空の戦闘艦から塔に砲撃しているけれどビクともしていない。 やはりピラー周囲に穴を掘って地面から分離、そして焼き尽くす……本当にこの方法しかないのかい?」

「現状はコレが精一杯の最善策かな……」

「だがこの規模は、もはや都市開発レベルの……今から土木ドローンを作って間に合うのか……いや、いる。 身近に都市開発規模の穴掘りが出来る達人がいるじゃないか!!」

 

 

皆の注目を浴び、頼る先。

ご存知でしょう、マインクラフターです。

 

 

「君達頼む! 塔の柱周りに穴を掘ってくれ、世界を救う為なんだ!」

 

 

ウタハ部長に筆談で直々に頼まれた最寄りのクラフターは首を傾げ、スニークで右往左往。

 

ええ〜どうしようかな?

取引なら出す物出して貰わねぇとなぁ!?

 

 

「くっ……分かった。 ピザやタバスコガンのレシピ、そしてレールガンのレシピもつけよう。 どうだ?」

 

 

宜しい。 ならば穴掘りだ。

交渉成立は早かった。 マインクラフター、シャベルとツルハシと首を振り回して塔の周囲へ吶喊の突貫工事と相なった。

役に立つかどうかより、興味の有無のウェイトが大半を占めるクラフター相手だからこそ、金銭に寄らぬこの手が通じたともいえる。

常人には余りにも労力に見合わぬショボイ報酬でも、作り手には相応に価値ある品々という事だ。

 

 

「……擬似科学部の交渉術を真似たつもりはないが。 この機会だ、使えるものは何でも使わないと世界がヤバい」

 

 

その後、穴掘りと聞いて駆けつけてきたゲヘナの温泉開発部も合わさり、都市開発規模の穴掘りは一気に進むのである。

 

 

「前に入浴剤もくれた恩もあるし! 穴掘りなら任せてよ!」

「マインクラフターに遅れを取るなぁ!」

「わぁ〜! 建築魔の青白く輝くツルハシとシャベルは凄いね! 凄い速さで掘り進んでいるよ! それも片腕でなんて!」

「穴掘りに細かい事は気にするな! ハーッハッハッハッ!!」

「変な人たちが増えましたね……」

 

 

まぁ……建物を破壊するテロリストでもある温泉開発部だ。 クラフターも最初は眉間に皺を寄せた。

砂漠でのカイザーとの件もあり、最初は揉める気配を見せていた。 が、志が合う部分あれば、その分野では同志だ。

などという、穴以上にガバガバ理論で納得。 仲良く穴掘りを続けるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残るはD.U.中心部の第6サンクトゥム。

連邦生徒会役員の、黒翼のアユムとウパールーパーなモモカがオペレーターをし、状況の把握に努めている。

 

 

「お〜い、そっちはどう〜?」

 

 

応対するは、公安局長のカンナ。

そして部下たちヴァルキューレの面々。

 

 

「市民の避難は完了した。 サンクトゥムタワーから30km離れた場所に複数の避難所を設けている。 マインクラフターの協力もあって拡張や物資の調達も行われている。 有志の協力者が避難所に駐在して手伝ってくれてもいるから、これ以上の支援は必要ない」

 

 

その有志……ゲヘナの給食部のジュリとフウカは避難所で炊き出しを行い、食糧を調理、温かな料理を市民に提供。 人々の不安感を和らげていた。

加えて料理好きで勝手に従事しているクラフターもいて、大量の食糧が凄腕の作り手共により、有り余る勢いで搬入されていった。

ニンジンや兎肉で贅にして沢、スタックが出来ない食の堕落な兎シチューも作られ、存分に振る舞われる。

 

 

「こちらをどうぞ、フウカ先輩とクラフターさんが作ったシチューです。 温まりますよ」

「ありがとうございます……」

「ジュリ、これも配ってもらえる?」

「はい先輩!」

「ふぅ……次は……」

「何かお手伝いしましょうか?」

「大丈夫、炊き出しは慣れているから」

「はい! ここは給食部が必要ですね!」

「皆の力になれているなら良いけど……」

 

 

フウカは振り返る。

その視線の先には、ラージチェストの山。

その中身は満杯のジャガイモとニンジンだ。

SRTの土地から産地直送。 トロッコで専用線路まで敷設されてどんどん増える。

フウカ、呆れと冷めた表情に忽ち変貌。

 

 

「食材過多……圧倒的な……」

「こ、この騒動がいつ終わるか分かりません。 無いよりあった方が良いですよ! それにクラフターさんの食材は何故か腐りませんから保存も容易いです!」

 

 

そんな贅沢な悩みも持ち込ませたクラフターだが、ここに更なる刺客が舞い込んだ。

もう1つのテロリスト、美食研究会だ。

 

 

「フウカさん、食材のバリエーションを増やしに来ましたわ」

「はい! バケツ一杯の魚!」

「え、なんで美食研が? 給食部の車を使っているのも何故なの?」

「でもお魚がいっぱい! これなら別の料理も提供出来ますね!」

「いや〜水族館を襲……モガガ!?」

「そうでしょう? 食べ物は沢山あった方が、皆も幸せになれますから」

 

 

などというが、普通に罪を犯していた。

キヴォトスの混乱に乗じて、水族館から魚をパクっていたらしい。

しかもその水族館というのが、よりにもよってマインクラフターの場所だった。

魚類研究と観賞用、特にホシノ生徒会長の為だとアビドスのモブ1年生に依頼されて建造中であった施設。

そこで荒らし行為などしようものなら、追手がかかるのも当然の帰結で。

 

 

ドカァンッ!

 

 

「な、なに!?」

「そんな! まさか色彩の軍勢がここに!?」

 

 

天井に穴が空いたと思えば。

雪崩れ込んできたはマインクラフター。

目をギラつかせ、ダイヤフル装備中。

 

 

「あら。 美食の道を阻む者が来ましたわ。 フウカさん、共に逃げましょう」

「え? ええ!? なんで私まで!?」

 

 

こんな非常時でさえ荒らし許さん慈悲は無い精神を忘れない。 間も無く下手人を発見。

 

見ぃつけたぁ!

 

怒りと喜びのまま、ニチャァ……と顔を歪ませる。 それはゲヘナの悪魔たちより悪魔している顔である。

さぁ。 魚を返せ。 腹に収めたなら、魚の代わりに貴様ら荒らしを捌いてやる。 それが我々流の裁きの仕方。 お覚悟を。

 

 

「捕まったらあらゆる汚料理を食べさせられる実験台にされてしまいます」

「逃げるんだよぉ!」

「私を巻き込まないでえええ!!?」

「そんな先輩! せんぱあぁい!?」

 

 

赤い空の下、全く色彩と関係ない暴力的な日常が続いている。 場所によって。

そんな歪んだ平和を守る為にも、先生と作り手は本日も奮闘するのだった。

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