マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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小出し感


あまねく創造の有頂天
ファンクラブと解散


 

 

「マエストロ、気がつきましたか?」

 

 

避難完了済みの、ひとけの無い街角。

会議場を脱出した黒服はマエストロの体となるマネキン人形を応急処置し、声を出した。

両者ともシロコ*テラーの襲撃を受け、服や体にヒビを走らせており、それが一層、彼等ゲマトリアが普通の人ではないのを意味していた。

だが組織としては瓦解したも同然であった。

こうして会話が出来るだけ上等であろう。

 

 

「一体何が起きている? いや説明はいい。 肉体が変わったからか、気が動転しているようだ」

「クックックッ……あまり時間が無かったもので、代替品を嵌めたのですが、ご気分はどうでしょう?」

「所詮、肉体は消耗品に過ぎぬもの。 どのような形であれ構わない……だがカボチャを頭にしたか。 これはマインクラフターが鉄人や雪人に命を吹き込む、仕上げの手法」

「私にも彼等のような独創性を持つ頭があればと思ったのですが。 ままならないものです」

 

 

足らぬ足らぬは頭が足りぬ。

なんと黒服は、そんなマエストロの喪失した双頭の片方に、クラフターが栽培する顔つきカボチャを当てがっていた。

その辺にあるものや、無為徒食のクラフターを捕まえて取引をして手に入れたのが偶々ソレだったという話だが、黒服もそれとなくマインクラフトの影響を受けていたのだった。

 

 

「……それより此度の襲来。 色彩か」

「ええ。 我々の想定より随分と早く……色彩の嚮導者、プレナパテスが攻撃を開始しました」

「我々の所在や弱点、攻撃のタイミングに至るまで、全てを見透かされているとはな。 我々は、いや、マインクラフターでさえ端から嚮導者の掌の上にいたということだ……ゲマトリアの名も地に落ちたものだな」

「クックックッ……我々のことは、おそらく眼中にも無いかと。 我々を襲ったのも、恐らく彼等の目的を達成する為の道具を得る行為でしょう」

「キヴォトスを滅亡させる為の、か」

「より正確にはマインクラフターを滅し、色彩に叛逆し。 キヴォトスを支配、死に神と嚮導者による新たな体制の構築。 その為に恐怖に反転した死の神を操り、ゲマトリアが所有していた秘儀を奪いました。 様々な怪異、特に我々が終ぞ手に入れられなかった『アトラ・ハシースの箱舟』も」

 

 

黒服も何処で情報を仕入れてくるのか、妄想で語るには少し具体的な内容を淡々と語る。

実際、別時間軸でクラフターの影響を受けた死神は、嚮導者を間男のようにして、色彩から決別を図った。

すると色彩、死神に未練たらたらのままに2人を追跡。 色んな時間軸を転々とし、その先々で迷惑をかけてきたのである。

そして今、この時間軸にも移動してきたという。 ここまでにだいぶ弱っているから、そろそろトドメを刺される時も近い。

 

 

「なんにせよ、死の神アヌビスの恐怖が跋扈する以上、キヴォトスは我々が活動するには適さなくなりました。 追手となる色彩も本質のままにあらゆるものを飲み込み、存在を塗り替えてしまいます。 ここで我々が己の価値を追及したところで、獲得した全てがプレナパテスの道具に成り下がってしまうのです」

「では、キヴォトスは終焉を迎えるのか?」

「いえ。 まだ先生がいます。 あの者は自身の生徒たちシャーレと、マインクラフターと共に戦っています」

「そうか。 まぁあの者達の事だからな」

「限界を超えた創造性。 不可解な色彩。 そして不可解な存在である先生とマインクラフター。 果たしていつまで耐えられるものか……クックックッ。 あらゆる事象が崩壊してなお、この世界は興味深い。 面白いと思いませんか?」

「黒服よ、そなたもクラフターになる気か?」

「創造性に理解と興味を示すその限り、我々は常に『あちら側』に片足を入れているのですよ」

 

 

ある意味では、黒服たちもクラフターだ。

アドバイス、芸術、事象、研究……。

力やスキン、出自が違えども『創造』に対して関わり、物理的でなくても、人の道の一部でも示し作ったのなら、その作り手の片鱗は全否定出来ないはずだ。

 

 

「……ここで1度、ゲマトリアは解散とします。 様子を見て再集結の招集をいたします。 それまであなたは自由の身ですよ、マエストロ」

「……ゴルコンダはどこに? いったい彼はどうなったのだ?」

「本体のデカルコマニーは死ぬ事ができませんので問題ないかと。 ですがゴルコンダはフランシスに入れ替わったようです」

「よりによってフランシスか。 彼はある意味ベアトリーチェよりも危険な存在と言える。 ゴルコンダが恋しくなるだろうな」

 

 

とはいえ、先生に警告を出しに行き、ある種の激励をしたフランシス。

ゲマトリアには先生ラブ勢しかいないのか。

 

 

「……黒服、そなたはこれから何をするのだ?」

「クックックッ───」

 

 

そんな1人、黒服のすることは。

 

 

「先生との対談ですよ」

 

 

世界滅亡の瀬戸際の逢瀬。

いや商談、いやいや応援。

 

 

「ゲマトリアを解散して、何を言うか」

「あなたも如何ですか、マエストロ」

「遠慮する。 意見割れは面白くないだろう」

 

 

強火ファンにならないと良いが。

あいや手遅れかも知れないが……。

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