マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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間違いもあるかも……
誤字脱字の指摘が一気に来ることもあり、お恥ずかしい中。
今回は多次元や可能性の話がでてきますが、例え等に誤りがある可能性があります。その際はやんわり指摘をお願いします(殴


代償と攻略法

先程振りですね、先生。

手法(主砲)は多い方が良いですからね。 1つ目が駄目でも2つ目3つ目と保険に賭けられるのは心理的にも余裕が持てます。

 

アレなら嚮導者に到達できるかも知れません。

 

フフフ、そうですね……あなたは私にどのような「代償」を支払ってくれますか先生?

 

嗚呼、なるほど。

今こうして私に尋ねる行為そのものが、どんな代償であれ差し出す覚悟があるという事なのですね。

必要とあらばゲマトリアとの協力も厭わない、というその姿勢……。

 

クックックッ……では私は何を要求いたしましょう……そうですね、ゲマトリアへの加入なんていかがでしょう?

 

クックックッ……冗談です。

既にゲマトリアは解散しましたので。 今回は特別に教えて差し上げますよ。

 

……その前に、1つ警告を。

 

先生の肉体は、これを使用した瞬間……取り返しのつかない被害に遭うでしょう。

2度と以前の状態に戻る事はできません。

死に至る事さえ、有り得るのです。

 

それでもよろしいのですか?

 

…………。

結末が火を見るよりも明らかだとしても?

 

……分かりました、お教えしましょう。

その方法は……アビドスに在ります。

 

天上の遥か彼方に鎮座する、かの要塞の名。

「アトラ・ハシースの箱舟」といいます。

 

ええ、以前、同じ名の箱舟がミレニアムに顕現した事があるかと。 既にご存知だとは思いますが……その正体はこの大地に埋葬されし、古のキヴォトスの民「名もなき神」の遺産。

そうですね……所謂、古代文明によって生み出された物、と捉えていただけたらと。

 

あなた方が発見したAL-1Sや、デカグラマトンにハッキングされる以前の預言者などが、そういった存在の1つでした。

 

我々にとってそれらは、もはや淘汰された存在ですので脅威にはなり得ませんが、まさかアレをキヴォトス外から到来した色彩が、確保するとは……。

 

色彩はキヴォトスに顕現した神秘であれば、なんであれ自分のものとするようですね。

 

アトラ・ハシースの箱舟も、同じ理由から確保したのでしょう。

サンクトゥムを通じて出現したデカグラマトンやミメシス、人工天使のように。

 

箱舟が名も無き神の遺産であるならば、現時点でアレを相手にできる技術はキヴォトスに存在しません。

 

……箱舟に匹敵する、古代文明の遺産とマインクラフターの創造性を除けば、ですが。

 

……ええ、お察しの通り。

箱舟に対抗できる古代兵器が眠っております。

 

私がカイザーコーポレーションを介して、アビドス砂漠で探していたもの。

地中にある超古代兵器。 現存する技術では解析できない太古の恐怖。

 

アレは当時、私の興味の対象外でした。

当時の目的はキヴォトスで最も強力な神秘と契約を交わし、所有すること。

私にとって地中の宝は、ただの不確定な情報でしかなく、カイザーを通して発掘することができれば御の字程度の、見つけられなくても構わないような、その程度の存在でした。

 

ですが、カイザーのプレジデントからすれば、私の提案は魅力的だったのでしょう。

キヴォトスに現存する、いかなる武力にも勝る超古代兵器……そんな代物を手に入れる事ができるのであれば、マインクラフターをも制し、キヴォトスを支配できるのではと考えたのですから。

 

ですが見つけたのはマインクラフターでした。

 

さぞ焦ったようですね。

クラフターから古代兵器を奪取するべく挙兵し、同時に連邦生徒会を襲撃し、シャーレの先生を拉致しようとし、上手くやれば古代兵器なしでも、取り敢えずは支配者になれたかも知れません。

 

そう。

虚妄のサンクトゥムが現れなければ。

 

プレジデントはサンクトゥムタワーが破壊された瞬間、手に負えない状況が発生したと判断し、即座に身を引きました。

事業家として懸命な判断ですね。 或いは我に帰ったのかも知れません。 仮にも大企業、これ以上意味のないリスクは冒さないと。

 

それにサンクトゥムタワーが無ければ、古代兵器は扱えません。

先生……「シッテムの箱」の所有者以外には。

 

ククッ……そう急かさないでくださいよ。

最初は、アビドスに箱舟が埋まっているのかもしれない、と考えました。

しかしアレは箱舟などではなく……限りなく近い、別の存在。

 

そう、アレは「船」なのです。

 

アトラ・ハシースの箱舟と同様に、キヴォトスの起源が込められた名……兵器の最終形態。

 

 

 

 

 

ウトナピシュティムの本船。

 

 

 

そう……宇宙戦艦です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生から連絡があったけど、アヤネちゃんも見たんだよね」

 

 

場面はアビドス。

ビナーも消え失せたので、クラフターは被害箇所の確認作業に追われている。

それはアビドスの面々もで、ユメは皆を纏めているところだった。

 

 

「はい……色彩に触れて変化した姿みたいです。 言っている事も支離滅裂で、何を信じて良いのか、まだ飲み込めていません」

「シロコちゃんがねぇ。 場所さえ分かれば、おじさんが連れ戻すんだけどなぁ」

「色彩の事はよく分からないけど。 でも台風とか地震みたいな災害に近い存在だってトリニティのセイアちゃんは言ってた。 たぶん、シロコちゃんは巻き込まれたんじゃないかな。 きっと、元に戻す方法はあるよ」

「元に戻す方法……あるのでしょうか」

「百鬼夜行の子が探してくれてる。 でも今は何も分かってないかな」

「そんな……」

「でも色彩を知ったセイアちゃんは無事だから。 きっと何か方法がある。 ミレニアムの子たちも頑張って調べてくれている。 きっと大丈夫。 今は……もうこんな事が起きないようにしなきゃだよ」

「ユメ先輩……いつの間に立派になって」

 

 

シロコがいないから、探すという話らしい。

同志の話だと、忽然と消えてしまっただの、大人になっていただの、顔面彫刻との愛の巣に引き籠ってるだの訳が分からない情報が錯綜している。

まぁなるようになる。 いつもの事だ。 ひよっこり倉庫に顔を出して、また金のインゴットや宝石を漁りにくる。 特に心配はしていない。

ただ……手懐けておきたかった。 そうすればお座りでない限り、一定以上離れたらワープしてくるというのに。

 

やはり帰ってきたらそうだ。 そうしよう。

骨も腐肉も柴大将のように受け付けないならば、ステーキでもラァメンでも与えれば懐くだろう。

或いは初対面の際、与えたのはキノコスープだ。

 

色々準備しなければ。

晩餐会だ。 最近はクラフト可能な料理も増えた。

ここぞと腕を振るう時だろう、と思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高度7万5千メートルとは……中々どうして、難しい話ですね」

 

 

ヴェリタス部長のヒマリと副部長のチヒロは、互いに解決法の相談をしていた。

この場にいないエンジニア部や、要塞都市エリドゥの建造者でもあるリオ会長も見えない所でアレコレとやってはいる。 だが解決の兆しなし。

 

 

「逆にどうやってそこに存在してるんだか……それにどうやってその高度に攻撃するの?」

「ビックシスターは愉快な友人達を使役して、巡航ミサイルを発射しましたが、効果を確認できませんでした」

「そんなに装甲が厚いの?」

「正確には着弾せず通り過ぎたのです。 座標内で爆破するようにもしましたが、やはり微動だにせず。 構造を解析したくても謎の膜で内部が分かりません」

「一旦できる事を全て試すしかないか」

 

 

物理的な干渉が出来ないエネルギー源。

幻影を相手にしているかのような手応えのなさ。

こうなると八方塞がり同然か。

 

 

「本当にビックシスターらしいといいますか。 彼女が今まで役に立った事は殆どありませんでしたが、遺産でもなんて」

「その、会長をいなくなった人扱いするのは良くないと思うんだけど」

 

 

やや不謹慎混じりにも文句を言うヒマリ。

2人の全知が仲良くできる日は来るのだろうか。

 

 

「彼女はそれだけの事をしたのですよ。 事実、このような事態なのに陰でこそこそと」

「確かに会長も悪い事をしたけど、姿を現さないのは後ろめたいからじゃないの?」

 

 

互いの関係に問題を抱え続ける。

ただ、今はそれどころではない。

 

 

「……ともあれ、次の手を考えねば」

 

 

その時、トリニティのハナコから連絡。

科学が通じず文献から通じるものがあるのか。

 

 

「ミレニアムのリオ会長から分析データを送って貰いました。 あの構造物について分かったかも知れません」

「詳しくお願いします」

「シスターフッドの司祭と古書館の司書、そしてティーパーティー……それぞれの情報を持ち寄って解析を進めたところ、1つの仮説に行き当たりました。 ですがあくまでも仮説であり、検証したものではありません」

「構いません。 今はどんな情報も貴重です」

「結論から申し上げますと、出現した虚妄のサンクトゥムタワーと、キヴォトス上空の構造体は……1種の『状態の共存』が起きているようです」

「なるほど」

「……えっ。 これ量子学の話なの!?」

「いえ、現象の説明をしやすくするために、1番近い理論で例えただけです。 それを念頭にお聞きください」

 

 

なんだかオカルトともテクノロジーともいえる分野になってきた。

状態の共存……矛盾や可能性、観測の有無による変化の指摘ならシュレディンガーの猫、夢があるねな話なら多次元宇宙論などが当て嵌まるだろうか。

とはいえ、マインクラフトの謎法則が既に持ち込まれているミレニアムだ。 何とか咀嚼し飲み込む喉はあった。 か細いが。

 

 

「あれは多世界解釈、いえ『多次元解釈』と表現するのが正しいでしょうか。 その理論に基づいた確率的な存在である可能性が高いです」

「多世界解釈は可能性の数だけ、宇宙が分岐する……という仮説に近いでしょうか。 つまりコインを投げて裏表が出る確率は50%。 そして、この世界には結果が1つだけ現れる。 けれど観測できないだけで、逆の結果が出た世界が存在する可能性もある。 そういった可能性の世界が全て実在すると解釈する理論……」

「SFとかでよく見る並行世界ってヤツ? コインを投げる度に世界が分岐する……?」

「一応、理論自体は科学に基づいたものです」

「そして、あの空間は……それら全ての可能性が分岐しないまま混ざり合っているのです。 無限に広がる多次元の実在と非実在が、混ざり合ってしまった混沌とした空間。 だからこそ存在が確定した世界からの物理的な介入ができないのでしょう」

「観測ができて干渉ができない……何か方法はないのでしょうか」

「おそらく周囲の膜だけが、その状態なのだと予測しています。 内部の構造そのものの状態が不安定なのであれば、各サンクトゥムへのエネルギー伝達もできないはずですので」

「つまり、あれはバリアなのですね。 状態の共存という無敵の多次元をバリアのように展開し、あらゆる物理法則から守っているのだと。 それでしたら辻褄が合います」

「はい。 そして、あのバリアを破壊できれば本体への攻撃も可能になるでしょう」

 

 

仮説とはいえ、解釈に納得はできた。

だが肝心の解決法はどうしたものか。

 

 

「理屈は分かったけど、どうやって?」

「その理屈が正しければ方策はあります。 こちらもあのバリアと同じになれば良いのです」

「なるほど、あの多次元空間で繰り広げられている状態の共存を、1種の振動値と捉えるのなら、対象の振動パターンを持つ物体であれば、その影響を受けない、と」

「はい。 互いが同じ空間に存在することになれば、干渉できるはずです。 ノイズキャンセリングに近い状態といえるでしょう」

「あの多次元を分析できれば、ですが」

 

 

結局、同じ問題に戻ってしまった。

多次元解釈を計算するなんて芸当が、果たして今の人に、どこまで可能なのか。

あらゆる全ての事象を計算できれば未来を予測できるというラプラスの悪魔が否定され、より未来はあらゆる可能性に満ちているとされたのは量子力学の発展によるものだ。

遠くの蝶が羽ばたき、遠くの地で予測にない嵐が起きるというバタフライエフェクトとは違うかもだが……よくいえば夢と希望があり、悪くいえばその逆も溢れているということ。 今は特にそうだ。 あらゆる可能性の計算なんてどうすれば良いのか。 この状況からの打開策はあるのか。

 

 

「……現状では不可能です」

 

 

故に、知識人であるほどに絶望がある。

ヒマリは力無く項垂れた。

 

 

「多次元解釈の計算は、量子コンピュータでも使わない限りできません」

「ただ見てる事しかできない、か」

「再び現れるであろう虚妄の塔を破壊したところで、元凶を何とかしないと意味がありません。 何度でも塔が現れるでしょう」

「熱力学第一法則はどこへやらです。 多次元なら何でもアリって……チートですね♡」

 

 

いや、それでも。

それでも祈る相手がいる。

 

何とかしてくれる先生と。

普段から滅茶苦茶で意味不明で、なんだかよく分からない力であらゆる苦難を跳ね除け、違法建築上等の屑集団がいる!

 

 

「助けてください」

 

 

皆は近くの、手慰みに松明をクラフトして暇している馬鹿者共へ視線を向けた。

 

 

「マインクラフター!」

 

 

よく分からないけど、分かった。

村人の言葉は知らんけど、大画面に映る黒々太陽を、荒らしを倒せと指差したから。

 

クラフターは各々頷いた。

取り敢えずポテトを食い終わってからだ。

 

腹が減っては戰は出来ぬ。




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