クラフターは想う。 人生とは建築だ。
元の世もネザーもエンドも変わらない。
そしてこの世においても例外ではない。
砂漠の下に埋もれる遺跡群。 後方に位置する高層ビル群。 遠くで天貫くビーコンの光と麓に広がる大都市ですら。
常識変われど万事万物は建物に繋がっている。 大地に生やし、空間に構えている。 当然の様に鎮座する構造物は、数多の技術と汗と涙の結晶である。 村人達や歴史を貯え、青空の下に活力と彩りを飾り続ける。
建築とは、創造とは、世界と繋がる手段だ。
携わる事は常なる晴れ舞台を生きるという事だ。
故にクラフターは建築を続けてきた。 創造に夢を抱き、挑戦し、愛してきた。
この世界と繋がりを持つ為に。 生きた証を打ち立て、存在を証明する為に。
クラフターが荒らしと破壊を嫌悪するのも、その理念に反するからだ。 建造物という証を、世界を守る為に排他的になるのだ。
時代は変わり創造も移り往くけども、世界を創る誇りは揺らぎやしない。
そして存在を否定してくる存在を、決して許しはしない。
「一時はどうなるかと思ったけど、壁や道路も直してくれるなんて。 あの人たちは、戦いの後なのに、疲れないのかな?」
今は新築ではなく修繕。 世直しだ。
荒らしの爪痕を癒す事に尽力中。
帯電クリーパー何体分かも不明な無慈悲な被害。 造形の整っていたビル壁は大穴を晒し、道は剥かれた穴が幾つもある。
それらを間に合わせの丸石で充填。 平坦にして整地。 一先ずの安息を得る。
だが戦火が、傷跡が消え去る事はない。
色違いの壁と道。 妙な不快感が証拠だ。
クラフターは天を仰ぐ。 元の建物は、世界とは、なるべくあるべき姿でいて欲しいと。
「好きでやってるならやらせときましょうよ。 色も建材も違ってますけど、修理費用を払える余裕が無い以上、文句言えませんし」
嘆かわしい。
こうして既存に手を加える事で、元の持ち味が失われるのではないか。 自分色が混ざるのは許されるのか。 元の建築主の想いを歪めているのではないか。
そう危惧しつつ松明は刺す。 照度ヨシ。
闇の不始末、駄目。 絶対。
「それよりも、なんで街中を松明だらけにしてるんですか!? 砂漠でもそうでしたが!」
「大丈夫だよホシノちゃん。 不思議なんだけど、引火もしないし、触っても熱くないんだから」
「いや景観!? 連中の儀式ですか? 縄張りの主張か何かなんですか!?」
「分からないけどぉ……火といえば凄いよね、拳で火を消して回ってた時は、私も驚いたよぉ」
「無限の水が出るバケツじゃなくて、なんで素手で消せるんですかね……建築も重機使う様子見せませんし」
あのイベントが、また起きる様子は無い。
けれど先手は打たねばならない。 あるべき世界が失われる前に。 誰かの生きた証が破壊される前に。
集落をゾンビから守る為に全てをハーフブロックにし、外壁で覆う凝った真似は難しいが、幸いにも荒らし連中の拠点を発見したと同志から連絡があった。
既に座標取得済である。 後は殺るだけだ。
「でもどうしますか。 カイザーと敵対するのは現実的ではありません。 PMCもですが、借金相手でもあります。 今凌げても、次は無いかも知れません」
「そ、それは……でも、ここまで尽くしてくれる人達を見捨てるなんて、絶対に駄目だよ」
「……既に手遅れですが、そこは連中に丸投げして、我関せず、という事で良いのではないですか?」
目には目を。 破壊には破壊を。
TNTキャノン職人が、郊外にて大量の砲身とレッドストーン回路を組み立て開始。
並行して、連中の拠点地下目掛けて掘り進む同志もいる。
到達後、地表ギリギリに大量のTNTの山を詰め込んだ。 この世界においてクラフトが容易になったのを利用しての景気の良さだ。
自爆覚悟なら、そのまま火打石で着火しても良いが、御礼参りに拘る老兵足る創造主は満足しない。
線路を敷設し、安全圏からかまどトロッコでTNTトロッコを押していき、最後は山の麓で爆発するようにスイッチレール。
連鎖爆発で地表を吹き飛ばす。 その花火を遠くから眺める。 時間差を置いて爆発して綺麗さっぱり消えるが良い。 そこに侘び寂びがある。 完成された報復心を満たす趣きがある。
「あれ、アイツら何処に?」
「砂漠に向けて、何か並べてるよ」
「なんだか禍々しいですね。 赤く光る砂が線状に撒かれて、窪みには水流? 何かの装置にも見えますが……」
「この方向って、理事が逃げた方だよね?」
「……まさかコレって!?」
じゃあ、死のうか。
スイッチを倒す。 キャノンの回路に光が走り、順当にTNTが白く点滅していく。
地下ではトロッコが爆走。 TNTの山へと突っ込んでいく。
荒らし死すべし慈悲は無い。
「何か白く点滅したものが飛んでくる!?」
「退避! 退避ーッ!?」
拠点の側。
弾着観測と荒らしが蹂躙される様を見るべく、ポーションで透明化したクラフターは砂丘より眺める。
遠くの空からTNT弾頭が山なりに次々と飛んで来ては弾着。 綺麗に荒らし陣地を耕した。
荒らし村人が消し飛ぶ。 建造物が吹き飛ぶ。 鉄箱も壊れる。
熟練したキャノン職人の仕業だ。
随分と良い仕事をする。 この短期間で良く弾道計算をしたものだ。 数多いるクラフターの中でも上澄みに違いない。
けれど鉄箱含む資源まで爆風の海に沈めるのは勿体無い気がした。 それだけが残念だ。
「アビドス市街地方面から砲撃!」
「砲数が多い! こんな一瞬で!?」
「被害甚大! 負傷者多数!」
「態勢立て直せ! 突撃兵に備えろ!」
最初こそ狼狽えたが、やはり手馴れか。
多少の混乱を残しつつも、定まった動きをしている。
賢いと思いつつ、ベイクドポテトを齧る。
「馬鹿な!? 野戦砲の1つとて確認してないんだぞ! そんなモン用意する金も弾も、ここまで短時間で展開する能力も人も無い筈だ! いや他校の仕業か? いや、廃校寸前のアビドスに手を貸す理由がない! ましてや我がカイザーグループに手を出すなど!」
「ここも危険です! 陣地を放棄します!」
「くぅ……! ヘリを回せ!」
だが地面の下までは気付かないらしい。
やがて爆音と共に、陣地が下から上へ大きく膨れ上がる。 地中のTNTが着火したのだ。
刹那、荒らし陣地は跡形もなく消し飛んだ。
「基地が!?」
「おのれぇ! アイツら絶対に許さんぞおおお! いつか、いつの日か! 必ずや復讐しに戻ってくるからなぁ!!」
後に出来るは巨大なクレーターと鉄屑だ。
使えるもの残ってると良いなぁと思った。
「あの人達、やりやがりましたよ!?」
「どうしよう……借金増えちゃうのかなぁ」
「いや、もう知らんフリしましょうよ」
クラフターは爆心地へ駆けた。
宝探しだひゃっほい。
更新常に未定
更新頻度もですが話の威力低めでしたね……作者の衰えも感じる今日この頃。