塩梅が難しいですね……見切り発車の弊害といいますか、後先考えてなかった苦しみがジワジワと効いてきてますねコォレハァン。
いつまでも鉄棒だの言ってるのも違和感なので、教えて貰う形に。
「なんか連中、増えてませんか?」
「最初の人達より、ちょっと雰囲気違う?」
軍事部inキヴォトス。
元の世界でTNTキャノンや要塞、戦艦模型を作ってきた愛好会は、ゲートを介して遂に充実感ある青空の下に辿り着く。
造詣ある彼等は早速というか、我々から受け取った鉄棒に興奮するところから始めた。
自動小銃がどうこう、拳銃がどうこう。
その後は収容所の庭に鎮座させた戦車に堂々搭乗。 興奮のまま語り始める。
鉄棒は銃。 鉄箱は戦車という名だと。
他にも空飛ぶ奴はヘリだの、戦車と自走砲の違いだの、砲兵の戦術優位性だの、装甲車とは違うだのと指摘が入る。
興奮は歓喜に。 次第に憤怒へ変貌。
理解力皆無だと我々を打擲。 此方が譲渡した鹵獲小銃の銃床で殴打。 オマケに履帯で轢いてくる。 痛い情熱に威圧されるばかりだ。
ここまで喜ぶとは思わなんだ。 苦難を分かち合う同志がいる事に感謝したい。
「急に喧嘩を始めたよ!?」
「一方的ですけど。 気にしたら負けですよ」
けど敷居が高い分野だ。 迂闊だった。
どこでそんな知識を仕入れたのか。 TNTキャノンやワイヤートラップの創造(想像)しか出来ないクラフターは首を傾げた。
その様を苛つかれ、また殴られる。 痛い。
「制服っぽいのを着てるかと思えば、統一感なくバラバラですね。 そういう趣味の集まりといった方が納得出来ます」
「戦車とか銃を見てウオウオ唸ってるから、きっとそういうのが好きな人達なんだよ」
「その内飽きるでしょうね。 キヴォトスでは日常ですから」
まぁ良い。 考えても仕方ない。
分からない事が分かっただけでも進展だ。 答えの出ない質疑応答をする気もない。
趣味と畑は人それぞれだ。 荒らしでなければ基本否定しない。 寛容と押し付け、棲み分けと分別が出来るのもマルチクラフターといえよう。
「でも人が増えたのは良い事だよ! これでアビドスは益々賑やかになるね!」
「銃声と爆音で?」
「う〜ん、工事の音で?」
取り敢えず鹵獲した銃と戦車は彼等に任す。
我々は銃よりツルハシが昔馴染み故に。
「今も砂漠を穿り返しては、大きな建物をガラスドームで覆ったり、廃線になった砂漠横断鉄道を弄ってます。 あれが動けば、他所の土地から人が流れるかも知れませんけど、夢物語ですよね」
砂漠には、まだ埋まり切っていない物もある。
目立つのが長方形の鉄箱だ。 中は歩き回れるくらいの空洞。 チェストはないが、椅子が向かい合うように並んでいた。
「横断鉄道……アビドス土着の企業、セイント・ネフティスが復興させようとしていた地上路線だよね」
「はい。 ですが見ての通り、失敗に終わった様ですね。 これを最後にネフティスはアビドスから撤退。 同時に街の衰退を早めました。 残ってるのは砂漠に埋もれた列車や駅舎。 あとは今年廃校予定の私立ネフティス中学校……砂が吹き荒れる砂漠に鉄道というのは、もう無理に思えますよ」
「でも期待しちゃうよね?」
そんな鉄箱の下は、大型のレール。
規格外故に我々のトロッコは走れそうにない。
ただ、この創造物を理解した瞬間、体が打ち震えた。 コレは、この世界のトロッコなのだと。
「……彼等に気があるのか分かりません。 ここからじゃ、子供みたいに列車を秘密基地に見立てて、ごっこ遊びしてるようにしか見えませんし」
「それでも観光資源になるなら良いなぁ〜」
「またそうやって気楽に考えて……」
デカい。 戦車とは違うワクワクがする。
が、しかし。 動かす手段を知らない。
何らかの動力が切れたか、砂に埋もれて動かなくなったか。 両方か。
先頭車両に何らかのパネルがあったから、適当に触ってみるもビクともしない。
「けど否定しないってコトは、私もあの人達も信じてあげられるようになったってコトだよね?」
「思い込みです。 それより、もっと現実的に考えましょうよ」
このままでは置物だ。 けど解体には惜しい。
乗り物であれ、これも創造物だ。 作品として認める。 いずれ利用する機会もあるかも知れない。
「う〜ん、宝探し?」
「いや、その時は私も乗っかりましたけど……それでしたら、連中から貰った宝石を売った方が早いですよ」
「それはあの人達と繋がれた証にしたいな」
「またそうやって。 もう怒る気もないです」
さてもレールは何処へ向かうのか。 目で追うも砂に埋もれて曖昧だ。
都市部に繋がっているのだろうか。 見えない情景ほど夢は膨らむものだ。
「土地もカイザーの手に落ちたまま。 砂対策が出来て、市民は戻りたくても戻れない。 アビドス所有の土地は学校と、僅かな土地だけ……」
「それじゃあ、学校に住んで貰おうよ」
「何言ってるんです!?」
そうだ、とクラフター。
深追いは止め、己の足下を見る。
地下鉄だ。 元の世界からRSを持って来れるようになったのだ。 延線して良いのではと。
パワードレールを量産して延線、遠くの集落へ足を伸ばす。
そこには新たな建物と村人が待っている。 取引も出来るかも知れない。 良さげな村人はトロッコに載せて収容所送りにすれば良い。
創造物、建造物は使われてこそ価値が上がる。
あの2人しかいないガラ空きの施設、今更に増えて困る事はあるまい。 その意味では軍事部の拠点にもなる。
「砂に埋もれてないし、確実に私たちの場所だって分かるし。 空き教室もいっぱいあるから、ちょっと改装すればいけるよ〜!」
「住民は嫌がるでしょうが。 トイレ共用、プライバシーなしです。 避難生活じゃないんですよ」
善は急げ。
クラフターはツルハシを持って走り出す。
収容所の地下から、都市目掛けて掘り進む。
またある者は、エリトラを胴体に纏い、左手花火で飛行。 右手には地図。
マッピングだ。 新たな集落と地形を把握しなければ。 そうして鉄道網を広げてやるのだ。
「あれ、目に砂が入ったのかな。 あの人達の一部が空を飛んでいったような?」
「何を変な事ばかり言ってるんですか。 卒業出来なくても知りませんからね」
「ふえぇ〜、ホシノちゃん酷いよぉ〜!」
クラフターは嬉々として地下を掘る。
鉄道を敷設し、チェスト付トロッコを走らせる。
中には掘って出た丸石、偶に石炭や鉄鉱石。
これらを後方にいる同志に送り出し、倉庫の山にする。 建材に使えるだろうから、無駄には出来ない故に。
そんな様を村人が知るのは随分後になってからで、大層驚かれたのは別の話。
「あっ、その! 覗きという訳では……! ただ噂の人達が気になって……」
今は別の視線に注目される。
緑頭ほどではないが、牛の乳袋を下げる村人が、此方を観察している事に。
クラフターは不快にならない。 寧ろ温かな目を向けた。 その視線に郷愁に似た何かを感じたからだ。
「決して襲撃しようとか、そういうんじゃなくてですね……へ?」
クラフター、笑顔で頷き理解を示す。
君、仲間になりたそうに見ているな?
新人にクラフターは寛大だった。
となれば鉄斧を渡す。
チュートリアル……殴って木こるのは辛かろう、という思いやりからでだった。
更新常に未定
レッドウィンターの工務部は何想うのか……
最後のは、入学前のノノミですね。
シロコとも出会わねば……
ゲーム本編軸に行く前に、こうして回収していけたらなと思います。