マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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前書き
本編から逸れた内容です。
ご注意下さい。
本編のどんちゃん騒ぎのような面白さは書いていない、オマケのようなものです。 無視して構いません。
当作のマインクラフターが持つ倫理観やキヴォトスへの見解等が書いてあります。世界観や関わりを深くする手助けになれば幸いです。


1.『AL-1S』代用種作製と倫理観
2.『種族区分』村人への差別意識
3.『人格格差』村人社会と個性
4.『世界』自意識
5.『エデン条約にあたり』 調印式前


手紙/記録/倫理観等

『ミレニアム/AL-1S』

・保全及び創造革新の為の代用種作製に関する懸念。 或いは倫理保護の重要性。

 

通訳や労働力、素材等とする為の代用種を確保するリスクや、環境への影響に関しては意識して欲しい。

それは畜産業やスポブロ利用の葬殺や制限の失敗が、時空間異常に関与する可能性が疑われる為である。

少なくともこの世界においては、前例があるとしても安易な人造人間の製造、或いは無理な生殖の強要や間引による人口操作はするべきではない。 過度な干渉は並行同位体の犯罪行為や世界に対する過負荷に繋がる。 多くが知る通り、時空間を歪めるのは意図的か否か関係なく重罪である。

 

(以下 略文)

代用種や新技術をつくりだす「人造・改革」は、興味深い創造のテーマだ。

ただし、クラフトする事に関する議論は「できるのか」から「すべきなのか」へと移りつつある。 ミレニアムにおける多くの新技術と同様に強い要望がある傍ら、有害な影響が生じる可能性についても熟考・配慮して、村人と時空間の維持を継続する必要がある。

(中略)

もし代用種の作製が死の恐怖や創造物の多様性、過去の喪失を解決する手段だとみなされれば、生命活動や創造そのものへの認識が変わってしまい、保全の維持及び今後の労力がないがしろにされかねない。

現存する都市、数多ある生命及び創造物は、上手く作れぬスポーンせぬからと何かで代替するのではなく、それを支える努力のもとにあるということが改めて認識されることが求められる。

 

 

 

 

『学園都市における種族区分』

バイオーム/自治区毎に様々な村人が見られるが、村人と動物、機械の境界は曖昧だ。

姿形も異なり、動物と配合した見た目もいれば、ほぼ動物の姿もいる一方、ほぼ既知の生物もいる。 自我の強弱がある機械の分類はより困難を極める。

いきなり襲って来る明らかな村人もいれば、何かしらの条件で襲う中立もいる。

それらを正確に把握するのは困難だ。 しかし無差別に此方から攻撃をするべきではない。

 

(以下、一部同志の意見・主張)

人畜集団を種別に明確に分類する事は出来ないという理由で種という概念は存在しないという主張がある。

しかし移動や交雑が盛んと思われる学園都市では地域変異集団を明確に分離出来ないのは当然である。 むしろ人畜は存在しないという主張が、実在する差別の免罪符に使われない様に注意するべきだろう。

肝心なのは個人でも集団でも、それぞれ身体的・文化的特徴の違いがあっても、偏った特定の価値観に基づいて差別してはならない、という事である。

 

 

 

 

 

【アリウス/トリニティ・人格格差】

かつてアリウス生は地下暮らしであったが、戦闘技能には自信があるようなので、将来的には闇市や傭兵の道を示せた。

そこで我々が感じたのが教養と財産の格差である。 地下に生まれてそこまで金銭取引もなく、幼少より洗脳されてきたアリウス生とは違い、外の学生、特に直近のトリニティ生は裕福な環境に身を置き充実した教育を受け、上等な物品や食事を摂り、バケーションを利用して旅行に行けるような者共だ。

 

裕福な環境に生まれて苦労なく生活してきた者には下流社会の者にはない余裕がある。 教養もあるし、意識も高い。 意地の悪い性格も散見されるが、あまり多くないように感じられる。 ただ、彼女らには地下の者の感覚や現場の苦労が伝わらない。 それこそ彼女らからして地下暮らしとは想像もつかない別世界なのであろう。

 

捻くれた思考をすれば、彼女らの人格は恵まれた環境で養われたからこそ備えられたものであり、所詮は贋作であるという見方をしてしまい、名作を複製した贋作だらけの上流階級に少々嫌悪感を感じている。 その格差故に上流階級と下流階級の人間は交わることがなく、これから先も世代を超えて知的・財産的格差は継承されていくのだと予想する。

 

知性についても格差を感じることがある。 我々は「努力の積み重ねで誰でもできる」という努力主義の立場を続けたが、俗世で学んでいく過程でその誤りに気付いた。 一度経験した作業を覚える力、複雑な文章や条件を理解する力。 こうした知性は個人で大きく異なり、己の当然が周囲の人間にも通用するわけではないのだと学んだ。

 

トリニティに補習授業部が存在する理由への答えとは別に、こうした知性や先述した教養と財産の格差に大きく依存する、村人達が時に主張する「学力」や「学歴」は本当に人を測る物差しとして機能するのか。 これらで大きく人生が左右されている村人社会は果たして健全と言えるのか。 我々とは無縁であれ、なりげない彼女らの営みにも上下があると考えるたびに暗い気分に陥る。

 

教育者である先生はどう考えているのか。 こうしたものは果たして妥当な思考か。 或いは答えの無い、論争の1つに過ぎないかも知れない。

 

 

 

『世界』

 

我々は複数の環境を冒険した。

我々は多様の群生を目撃した。

我々は数多の地形を開拓した。

我々は無数の建物を建築した。

我々は深淵の悪夢を払い続けた。

我々は様々な創造を続けた。

 

大地に

青空に

地下に

水中に

溶岩に

泥梨に

終焉に

 

歓喜を

憤怒を

悲壮を

娯楽を

世界を

人生を

 

敬意を示して

諸君を愛して

 

キヴォトスの皆は どうだろう。

 

我々は新参で外様に過ぎぬ。

学園都市の多くを知らない。

その未知なる群生も創造力も。

掩蔽物1つ無い晴天の先にある星海さえ。

 

だが漠然と確信している。

学徒が知性を見せた時。

苦悩と不安を隠す君達を見て確信した。

 

互いの世界。

互いの歴史。

互いの道。

互いの創造。

 

それは相互の2点で完結せずに、天に散りばめた星達の様に無数にある。

 

ほぼ無限大と言える広大な世界が無数に存在しているのだ。

 

故に再考する。

今いる世界を。 息衝く地を。

キヴォトスと我々の様に違う世界が無数にあって、それにも関わらずこの世界で巡り合わせている奇跡の多くを。

 

そこには愛している者共

我々の友人

今までに聞いたことがある人々。

そうした全ての存在が詰まっている。

人生を過ごしている。

我々の全ての喜びと苦悩。

何千もの信奉。

観念形態及び集団秩序。

全ての狩猟者と略奪者。

全ての英雄と臆病者。

創造者と破壊者。

全ての王と小百姓。

全ての若者。

全ての親。

希望に満ちた子供。

発明者と探検家。

全ての道徳の教師。

全ての荒らし。

全ての最高指導者。

全ての英雄。

歴史上全ての聖者と罪人。

 

この世界にも、そうした概念や存在があり数多に詰め込まれている。

 

それでも尚、村人達や生物、物質は全て無数にある世界の塵に過ぎず、星々の、それも目を凝らして漸く観察出来るか否かの僅か小さな点に過ぎないのである。

勿論、未知の点も沢山あるだろう。 観測すら出来ない世界が無限にあるだろう。

 

世界ひとつひとつを全て繋げた時に出来る巨大な空間の中では、今いる世界は非常に小さな舞台に過ぎない。

 

この塵1つにすら満たない角の世界に住まう村人が、ほとんど区別できないもう片側の角の村人により行われている無限の残酷な行為を考えて見て欲しい。

 

ユメは日照りに蒸された。

 

黒狼は時空犯罪を犯した。

 

我々は荒らしをボコった。

 

総じて運命に翻弄された。

 

そしてこの学園都市を舞台として出逢い、この地の村人達と邂逅していく。

 

それだけで。 これだけで。

 

どれだけ誤解が起きているか?

 

殺戮をどれほど切望しているか?

 

互いの憎悪がどれだけ熱いか?

 

それでもユメは他者を信じ続けた。

 

その純粋が如何に役立つ事か。

 

だがそれすらも、この世界と我々の話だ。

 

恐らく苦しんでいる者達もまた無数にいるだ。

 

全てを掬い上げる事は不可能だ。

感知すら出来ない。

 

王や荒らしが栄光と勝利を得て、この小さな塵の片隅の支配者になるために生まれた死屍累々の山と川を考えて欲しい。

我々の姿勢、我々が想像した独善、我々がこの世界で特権的な地位を持つという思い込みが、松明を刺しても刺しても払えない闇から疑問を投げかけられている。

 

この世界も、或いは先生の故郷も、夜空に拡がる無限の暗闇に大きく覆われた孤独な細粒だ。

この広大で暗い場所では、我々の為にどこかから助けが来る兆しは全く無い。

望むと望まざるに関わらず、今ある世界を大切にするべきだ。

我々は無限大にある1つの塵の様な世界に生かされているのだから。

 

だから、というべきか。

悩んで息が詰まる時は誰にでもあるが。

そんな時は夜空を見上げ、無数の星粒の世界を夢想した。

その時、我々や貴方達は屈辱的な経験をすると共に今ある悩みは極小だと経験し、苦悩は幾ばくか払拭され救われる。

我々、或いは村人達のうぬぼれ・愚かさを確認するのに、この遠方から見上げる星々の無数の小さき世界を想像するより良いものは恐らく存在しない。

この思考は我々が他人に対して親切に接し、奇跡的に知り得たこの世界を大事にして楽しむ責任がある事を強調している。

それは村人の恐らくほぼ全てにも当てはまると信奉している。

 

だからユメも先生も皆も。

我々の創造で幸せに生きてくれたら幸いだ。

 

改めて初めまして。 そしてようこそ。

奇跡的に出逢えたこの世界に感謝を。

この世界で巡り逢えた諸君に感謝を。

 

 

 

『エデン条約にあたり無名の神々の皆様へ。』

トリニティ総合学園とゲヘナ学園、何より学園都市キヴォトスに住む全ての皆さん、こんにちは。


ご存知でしょう、マインクラフターです。


 

間もなく1つの対立、時代が終わり、あなた方はエデンという学園の外に目を向け、楽園の領域に踏み出そうとしています。


この神秘と記念すべき瞬間に居合わせる幸福に、先ずは感謝を捧げたく筆を取ります。 村人の言葉に慣れていない為、拙い文面となる事をお赦し下さい。

 


我々が2年前に都市の外れ、アビドス砂漠に起立してからというもの、刻の奔流と沿革の中に揉まれながら、分類問わず多様な村人、学舎、本、建物等を通して学んだ事は数多ありますが、決まって各派閥の首長が語りかけるのは母校の生徒と決まっておりました。


ここから学んだのは、学園都市における学校とは生徒と自治区の統治機構であり、究極的には安全保障の為にのみ存在するということでした。

 


ただし今、連邦生徒会の宿願であった集団の意志統一を現実のものとしたあなた方は、旧来における学舎の過ちを指摘することができます。

マルチに生きる事で初めて理解できる協力の姿勢と素晴らしさがあるように、学校間の対立は不毛である事を知っています。

 


思考の相違という課題に対して、旧来の学園と我々はなんら有効な解決策を示せませんでした。


誰もが欲のままに何百と放置し続けた暴力、派閥争い、独裁者……。


いまや後戻りの許されないこれらの問題を解決するには、あなた方と我々個人に至るまでの意識改革が不可欠だったのです。


1学舎、1部に帰属する生徒ではなく、キヴォトスという都市形態に帰属する生徒。この観点に立たない限り、我々は今日という日を迎えられなかったでしょう。

 


前身となる総合学園の設立/統合から永き果て、連邦生徒会と共に歩んできた学園都市キヴォトスの歴史は、決して平坦なものではなかったかと存じます。


学校、種族、派閥……これら枠組を取り払い、キヴォトス人と我々がひとつになるためには、まだまだ多くの試練を乗り越えなければならないことも事実です。


しかし今、あなた方は協力するというマルチの考えを手に入れました。

間もなく執行されるエデン条約とともに交流も本格化し、多くの村人が互いの土地で活かし合うのを当たり前とする時代が来ます。

これは責任の重さに押しつぶされ、荒らしに反転しようとする両陣営とキヴォトスを救うべく、生徒が一丸となったことの輝かしい成果です。

 

アリウスや雷帝が表舞台にいた時期が、誤ちと罪の意識を学ぶ揺籃期とするなら、エデン条約は共存と慈悲を学ぶ時間になると期待します。

我々は従来通りの間引きによって時空間異常の発生を回避するのではなく、世界に見合った土地を開拓する道を選びました。

 


過去の闇から這い出した我々は、未来ある光の方向へ成長をしなければなりません。


我々はエデン条約を実現する過程で、共通の目的のためならひとつに結束できるとキヴォトスの人々に証明しました。

 


かつての子供が大人となり、本格的に世界を支え、後世に技術や歴史を伝え、相互依存による世界に生きる村人の並列化が、創造と文化の混合を推し進めていくことかと思います。


エデン条約の制定によって、この傾向は今後ますます加速することと予想します。 それはもはや、なんら特殊なことではありません。

 

この世界で、人が生きるということ。


そのために、水面下で首長たちが一丸となってきたことも、また然りです。
この奇跡(軌跡)を特殊な事例にしてはならない。


あなた方は、ひとつになれるという事実を当然とし、互いを拒絶することなく、憎しみ争うことなく、1つの都市に生きる学生として広大な世界と向き合ってゆく。


我々のあまねく創造、軌跡には、そんな祈りも込められています。

 

我々の世界では神という概念は希薄でしたが、改めて教わりますと無神論者ではありません。


高みを目指すため、自らが生きた証を打ち立てるため、己の中により高次な存在を設定するのは、自己を自己たらしめる精神活動の表れと信じています。

 


時代、それはさまざまに語られてきました。


人はどのように生きるべきか。
いかにして世界と向き合うべきか。


我々や過去の偉人の例を持ち出すまでもなく、それらに対する教育はあらゆる学校で行われているかに思います。
個人の言葉ではなく、人と神の契約の説話として。


いま、伝承ではなく人の想いと決意で過去と別離を告げるあなた方は、契約更新の時を迎えようとしています。


今度は超越者としての神ではなく、あなた方の内に存在する無名の神───より高みに近づこうとする心との対話によって。

 

その契約にサインする行為は、キヴォトスの総意から生み出したものであるべきでしょう。

 

今でこそ話せるのでしょうが、調印式に漕ぎ着けるまでには、さまざまな議論がありました。

互いの関係、禍根や治安の観点からすると、必ずしも望ましい選択とは言えません。


しかし、我々は楽園に踏み出そうとしているのです。
この楽園こそが我々の新たな世界となるのです。


その途上に居合わせる身として、村人との狭間に身を置かねば分からぬこともあると思い、連邦生徒会の協力のもと、手紙を押し通しました。

新たな楽園が生まれる日、調印とともに憲章を記した石碑を公表するのであれば、その報告先は契約書に目を通す、正にあなた方を置いて他にないとも考えました。

恐らく当日、両陣営を構成する代表が集い、吟味に吟味を重ねた憲章にサインをするかと思います。 間もなく発表されるそれは、のちに新たな象徴となり、平和の象徴となります。

 

総意のもと、そこに神の名はありません。


過去の原罪についても言及されていません。


これから先、もし審判の日が訪れるとしたら、それは我々自身の心が招きよせた破局となるのです。

 

クラフターは飽くまでも作手です。


結末はあなた方の心が決めることなのです。

 

いま、我々の目の前には広大無辺な世界があります。


あらゆる可能性を秘め、絶え間なく揺れ動く未来があります。


どのような経緯でその戸口に立ったにせよ、新しい楽園に過去の宿業を持ち込むべきではありません。


我々はあまねく奇跡の始発点にいるのです。

 

他人の書いた筋書きに惑わされることなく、内なる神の目でこれから始まる未来を見据えてください。

 

みなさま、間もなくです。


この手紙をお読みの皆さん、もしその余裕があるなら、楽園が生まれる刹那にも我々と一緒に祈祷してください。

去りゆく過去。迎え入れる未来。 誰もがその一部であった世界に思いを馳せ、そして心を清めてください。

 

村人の先行きが安らかであることを。


キヴォトスが実りあるエデンになることを。


我々の中に眠る、可能性という名の神を信じて。

 

 




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