マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

30 / 131
短め。
メインだけでなく、ユメの軌跡も追わねば。


白色と牛乳

アビドス収容所からサンクトゥムタワーに移監したユメは、純白の制服を着用している。

ここの施設は服も壁も白を基色とし、統一していた。 何ものにも染まらない、これからだという潔白。 清潔感と若干の居心地の悪さを感じるも、あいや職業だとクラフターは理解し頷いた。 元の世の村人の職業や、対抗戦に用いる皮装備の着色にも似る。

忙しなく動く村人との取引は困難だが。

向こうが気が向いた時にしか応じてくれないし、寄越すのは連邦法がどうこう書かれた紙ばかりで詰まらない。 なので最近は白服との取引は避けている。

後者については理解を示す。

戦闘が頻発するキヴォトスにおける工夫だろう。 敵味方が入り乱れる乱打戦は珍しくない。 その際、友軍誤射を防ぐ試みは重要だ。 その為の色別。 非常に有効な手段である。

 

 

「ひぃん……こんな大変な目に遭うなんて思わなかったよぉ」

 

 

加虐心煽る声に振り向いた。

ユメが大量の紙に囲まれている。 追い紙を積むは耳長眼鏡だ。

 

 

「ユメさん、大変なのは貴女だけではありません。 キヴォトス全体が危機的状況に陥っている事を、今1度ご理解下さい。 それに、このままアビドスに戻って教鞭を持とうものなら、後輩達に笑われてしまいますよ」

「うぅ……ホシノちゃん助けてぇ」

「助けて欲しいのは私もです。 特に生徒会長が失踪してからというもの、治安が著しく低下しています。 対処する人員が不足する今、貴女や、貴女に追従する得体の知れない人達の協力も欲しいところです。 なのに……」

 

 

アビドスにも同種が来訪したらしい。

最近帰還しないから詳細不明であるが、同志曰く著しい発展を遂げているという。

別段驚きは無い。 だが喜びはある。 初期スポーン地点で広大な空き地があるとなれば、必然だったといえる。

 

 

「この人達は言葉も常識も通じない異文化で、何とか文面での疎通が出来ると思えば、言う事を聞かない野蛮人! せめて簡単にでも連邦法を学んで貰おうとしましたが、まるで聞く耳を……いえ、見る目が全くありません!」

「作る手はあるよ?」

「無駄口もあるようですね?」

「ひぃん……リンちゃんが虐めるぅ」

「貴女までリンちゃん呼びは止めて下さい」

 

 

先程から耳長が煩い。

呼応してユメが馬みたいに鳴く。 どちらかというと牛みたいな胸をしているというのに。

 

 

「……確かに、分野問わず物作りに掛ける熱意は感じています。 暴徒により破損した建造物や道路は瞬時に直してくれますし、愚連隊の鎮圧にも手を貸してくれました。 災厄の狐こと、ワカモ収監の際も助かりました。 ですがね……」

「何か問題があるの?」

「問題だらけなんですよ!?」

 

 

この耳長のハァンは耳が痛い。

ずっと怒り口調だ。 状態異常を疑う。

 

 

「街中松明だらけにしますし! 空き地を見つけようものなら、日照権も何もかも無視した物を作りますし! 空を覆う程の、どういう原理で浮いてるかも分からない戦艦とか造りますし! それに!」

「ま、まだあるの?」

「何故、白樺を道沿いに植えまくるんですかね!? 瞬時に大きくなるのも理解不能です!」

「そ、そういう植物なんだよ!」

「非常識が過ぎます!」

 

 

牛乳を用意する。

丁度、建物に合う同色の白だ。 飲ませれば興奮も収まろう。

無理なら黒曜石に閉じ込める。 反省の色を見せない荒らしにはそうしている。

 

 

「他にも……ゴプッ!?」

「リンちゃん!?」

 

 

口に牛乳を捩じ込む。

滝の様に流し込めば忽ち黙る。 牛乳に相談して良かった。 この手に限る。

 

 

「げほっ、げほ……いきなり牛乳をバケツで飲ませてくるのも非常識……ゴボボボッ」

「白目剥いてる! やめたげてよぉ!」

 

 

ユメが邪魔してくる。

退け。 コイツ治せない。

 

 

「うわぁーん! リンちゃんが痙攣してるよぉ! 助けてカヤ防衛室長ォ〜!」

「何事です……って、またこの人達の仕業ですか! 貴女の部下なんですから、手綱をしっかり握って下さい!」

「ぶ、部下じゃないよ。 友達だよ!」

「それならそれなりに叱って下さい!」

 

 

村人が集まってきた。

興奮している。 ゾンビピッグマンを思い出す。

クラフターは外へ駆け出した。 世界違えど雰囲気は似る。 斬り刻まれる訳にはいかない。

騒ぎが収まる頃に戻って来ようと思う。

シュルカーボックス一杯の牛乳バケツを添えて。




更新常に未定
進まない……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。