アビドスの開拓。 許さんぞ陸八魔アル!
便利屋はやられ役ではなく強い感じに。
クラフターも、チンピラとは違う相手に苦戦。
「さぁ! 給料分、働いて貰うわよ!」
ラァメン奢った矢先、恩を仇で返すアル。
徒党を組んで拠点を攻めて来た。 何故とは考えない。 故にと動く。 殺られる前に殺れ。 そうしなければ蜂の巣にされるのはマインクラフターだ。
「そうは言うけどさぁ、こっちは時給値切られてんだよね。 その分しか働かないからね」
「わ、分かってるわよ!」
庭にいる軍事部が戦車を唸らせ、随伴歩兵は鹵獲小銃を振り回す。
遅れてホシノらと新入生が建物から湧いた。
慣れてきたらしい。 展開が早い。
「今回はチンピラより少し強いからねぇ。 でも校庭の人達が先にやっつけちゃうかなぁ。 最悪はおじさんも前に出るからさ、気楽にやってねぇ」
来た。 見慣れた荒らし雪崩れ込み。
よく相手取るヘルメットの形状や動きに若干の違いが見られるが、やる事は変わらない。
後方からアル達も続いているが、纏めて始末するのみ。 荒らす者に容赦はしない。
「社長。 例の人達だけじゃなくて、生徒や戦車も出てきたけど、どうする気?」
「どうするも何も。 ここまで来たからには戦うしかないじゃない!」
銃弾が交差し、激しい閃光と甲高い音がひっきりなしに響く。 慣れたものだ。 村人のハァンより余程分かりやすい。
庭には斜線や侵攻を遮る為の蜘蛛の巣や、土ブロック、丸石のトーチカがばら撒かれているから、真っ直ぐには突っ込めない。
だが相手はいつもの荒らしより頭が良い。
連携して迂回する。 時に手榴弾を投擲。 遮蔽物の裏に隠れていた同志や新入生の何人かが纏めて吹き飛ばされた。
ある者は銃だけ出して弾幕を張り牽制。
此方が慌てて身を隠した隙を狙い、前進する行動をも見せる。
「悪いけど、これも仕事なのよ……!」
少しだけ頭を出していた同志なんか、脳天に重い1撃を受けてノックバック。
やる。 荒らしの癖に生意気だ。
「やるねアルちゃん! 恩人達の頭を撃つなんて、どんな気分?」
「ムツキ、それは言わないで頂戴……というか、仕事中は社長と呼びなさい!」
「アル様。 爆破の準備、整いました」
「良いわ。 良い感じに吹き飛ばしなさい!」
刹那、爆発に次ぐ爆発音。
爆心地はまさかの戦車だ。 貴重な戦車の履帯が弾け飛び、砲塔の回転基部の隙間からも火が噴き出た。
いつの間にか装甲表面や足回り、底に爆弾が仕掛けられていたらしい。 動けなくなり無力化されてしまう。
「今がチャンスじゃない? いけいけ〜!」
仕方なくキューポラ等から搭乗員が這い出るも、無防備な瞬間を撃ちまくられる。 何発もの弾丸を受けて、1人はリスポーンしてしまった。 戦車の中だからと鉄ヘルメットしか着込まなかったのが災いした。
「やっと1人倒したわ……煙になって消えたけど、まさか死んで……えっ……生き返ったですってえええ!?」
それでも歴戦の老兵足るクラフター達は慌てない。 毎度お馴染みとなった丸石の壁を前面に作る。
小口径の弾丸を防ぎ、一時的な安置を得た。
辺りを見る。 落ちていた木の棒と、壊れた戦車から鉄屑を拾い集め、作業台で纏め上げる。
何とか鉄のインゴットにクラフト。 そのまま鉄の剣を作る。 直ぐに手に持ち、突撃してきた荒らしを斬り伏せた。
「……やっぱり。 あの人達はヘイローがないけど、随分と頑丈な防具を着込んでいて中々倒せない。 逆にない人は直ぐに倒れて、煙になって消えると思えば、何処からともなく復活してくる。 そして一瞬で何かを作ってくる。 何より容赦が無い」
味方のヘリが見かねて離陸。
機銃を撃ちまくり、何人かの荒らしを倒していくも、アルが綺麗に回転翼基部を狙撃。
ヘリは黒煙を散らし、庭に墜落。 爆発炎上。
「あわわ……これじゃ、いつまで経っても制圧できそうに無いじゃない!」
被害が酷い。
庭が荒れるから嫌だが、言ってられない。
TNTキャノンで砲撃して貰おう。
そう思って屋上を見上げた。 戦車共々爆発炎上していた。
参ったなぁ。 念入りな荒らしだこと。
青空に立ち昇る黒煙が妙に虚しい。
クラフター、天を仰ぐ。 青空は悔し涙に歪んでいた。 そのままベイクドポテトを齧る。 塩味だった。 次は塩をふりかけようか。 思わぬところで発見はあるものだ。
「そうかなぁ? さっきの人、戻って来たけど最初より装備が貧弱だよ? 戦車もヘリも、今はこれ以上無いみたい。 直ぐ作れるといっても、材料も無しに作れる雰囲気は無いしねぇ」
「そ、そうよね! このままいけば……!」
「まだ後ろにアビドス生徒会がいるけどね」
「それくらい何よ! この人数なら……」
ここまで荒らしに苦汁を嘗めさせられたのは久し振りだ。 許さん。 絶対に許さんぞ!
「あ、時間なんで帰りま〜す」
「えっ!? ちょ、ちょっと!?」
「知らないよ。 料金分は働いたじゃん」
「こう……誇りとか無いの!?」
「それで腹が膨れたら苦労しないんでね」
「そんなぁ!」
丁度、荒らし疲れたのか帰っていく荒らし。
上等だぞこの野郎。 ここまでコケにした報い、晴らしてくれるぞ陸八魔アル!
「おやおや、惜しかったねぇゲヘナの人」
「貴女はアビドス生徒会長のホシノ!」
頃合いを見たのか、ホシノが居並ぶ。
合わせてノノミやシロコ、セリカとアヤネら新入生の群れも来る。
総じて銃口をアル達に向けている。 多勢に無勢。 特にホシノは猛者。 もう相手に勝ち目は無い。
「お仕置きの時間ですかね〜?」
「直ぐ出てって」
「形勢逆転ね!」
「何でこんな事を!」
「うぐぐ……覚えてらっしゃい!」
「うわ〜、本当に言う人がいるなんてねぇ」
尻尾巻いて逃げてくアル。 背に矢尻を向ける。
ホシノに片手で止められた。 何故に。
「分かるけどねぇ。 今は泳がせよっか」
目で訴えられる。 甘さまでユメの真似か。
「……そんな目で責めないで欲しいなぁ?」
そこまでするなら、後は任せる。
クラフター、振り返り惨劇の庭を見た。
直す箇所が多々ある。 己といい、場所といい。
相変わらず荒らしは度し難い。 いや村人、世界と言うべきか。
順応するか創り変えるか。 思うようにするにはどうするべきか。 常に難題であり続けるものだ。
今はただ、修復に必要な建材を数えて溜息をつくばかりなのだった。
更新常に未定