さても闇市騒動後……
「まさか強盗団が恩人の仲間だなんて……」
「くふふっ、やっと気付いたぁ?」
「……結局融資は受けられないし。 クライアントから追加報酬を出すと言われたけど妙に機嫌が悪かったし。 踏んだり蹴ったりよ」
アビドスに逃げ帰ったマインクラフターは、インベントリ整理後、ラァメン店に立ち寄った。
どこかで見た事がある先客がいたが気にせず取引。 食事をする際は、どうしようもなく開放的で救われてなければならない。
「だけど降って湧いた現金は手に入ったね」
「これで食事を抜かずに済みますか?」
「あの人達のよ。 落ち着いたら返すつもり」
「あくまでも銀行じゃないんだねぇ」
「わ、私はアル様に従うだけですから」
最近は席に置いてある塩、胡椒、酢、醤油なる調味料が自由に使える事に衝撃を受けつつ、ラァメンと組み合わせる事で味変する事にも衝撃を受けた。
それら1つで様々な顔を見せてくるラァメン。 奥が深い。 ラァメンを覗く時、ラァメンもまた此方を見ている。 故に研究に終わりが見えない。 量と組み合わせは数多ある。
「おっ来たぁ! いただきまーす!」
「ひ、1人につき1杯……こんな贅沢して良いんですか!?」
「アビドスのトコのお友達だろ? 替え玉欲しかったら言いな」
「と、友達じゃないわよ!」
隣が先に来る。
己は隣人から漂う湯気に目を閉じ夢想する。
麺。 肉。 煮卵。 汁まで美味しい。 飲み終えた後の器からも湯気が出る。 食べ終え覗く先、油で磨かれた器は鏡のように己を反射する。 全てを終えた余韻の顔を見て、互いとクラフトした犬に敬意を払う。
「こんな美味しいのに、人が少ないね」
「場所が悪いんじゃない? 随分と人が増えたといっても、例の人達が街を広げてるし」
今日も。 この先も。
全てに感謝して生きていくだろう。
重要なのはクラフトしてくれた事、施しを受けている事を自覚し、相手へのリスペクトを忘れない事だ。
「ずっと引っかかってた原因が分かったわ。 この店が悪いのよ!」
「あ、アルちゃん?」
「アウトロー目指してるのに! この店は美味しくてお腹いっぱい食べられて! あったかくて、和気藹々で、話しかけてくれて親切で! ほんわかしたこの雰囲気!」
傲慢はいけない。
例え気に食わずとも荒ぶってはならない。
村人との取引がそうであるように、必要以上に暴力に頼ってはならない。 友好度が下がる分損をする。
「ここにいると皆仲良しになっちゃうのよ!」
「それに何の問題がある?」
「ダメでしょ! 滅茶苦茶でグダグダよ! 私が1人前の悪党になるには、こんな店いらないのよ!」
隣が煩いが無視。 村人とはそういう生物だ。
大切なのは取り乱さぬ事。 店では特にそう。
下手に騒げば犬の友好度が下がる。 2度とラァメンをクラフトしてくれなくなったら詰む。 同様の味を味わえる店を、クラフターは知らない。
「私に必要なのは冷酷さと無慈悲と非情なの! こんなほっこり感じゃない!」
「いや、考え過ぎじゃ……」
「……それって、こんな店はぶっ壊してしまおうって事ですよね、アル様」
「へっ?」
さても遂に来た。
至福の瞬間だ。 見て楽しむのはケーキ以来だ。
ただ、時間が経つと良くない。 麺が伸びて可食部が増えた気になれるが、質が心なしか下がる気がする。
「良かった。 遂にアル様のお力になれます」
「起爆装置? なんで出したの?」
「ハルカ、ちょ、ちょっと待っ……」
なので早く戴く。
器に手をつけた。 刹那、閃光───。
「アビドス市街地で爆発を検知! 正確な場所は……柴関ラーメン!?」
「はぁ!? なんで! 私を狙ったの!?」
「拠点でも交通の要所でもないなんて」
「意味不明な事をする犯人なんて、大体決まってるようなものだよねぇ……なんでこうも連続で問題起こすかなぁ?」
「でも放置は出来ません。 出動で〜す!」
クラフター。 瓦礫の中、嗚咽しそう。
クリーパー被害を彷彿させる現場には、ラァメンの欠片も残されていない。
あるのは先程の先客。 下手人の背。 遁走だ。
許さんぞ陸八魔アルッ!
クラフターは実のところキレていた。
食事に開放感は必要だと心中論じたが、この状況。 荒らし共々救いは無い。
食えなかった分、荒らしにたらふく食らわす。
何を? 暴力を。
クラフターとしては好まない。
だが、ここではお前達がルールだ。 違うか?
更新常に未定
よく暗い過去がフラッシュバックしてツライさん。
そして先生が空気なんよ。 でもゲームでもそういう節あるから難しいんよ(言い訳