ユメが合流。
「初めましてだね。 私は梔子ユメ。 シャーレの先生補佐です。 宜しくね!」
「純白の服……連邦生徒会の制服です!」
「学校で再会。 ドラマティックですね〜?」
「OBならぬOG。 出世した大先輩」
「それ、場合によっては失礼なんじゃ……」
恒例化する村人集会。
いつもと違うのはユメが来訪した事だ。
戻ってくるとは同志より聞いていたが、遂に来た。 同時にその理由にも察するものがある。
「みんなぁ、ユメ先輩、いや先生は此処の卒業生だからねぇ。 遠慮せずバンバン責めちゃって良いよぉ」
「ふえぇ、酷いよホシノちゃん!?」
同志共々、アビドスの発展具合の見学かと。
分かる。 クラフターも開拓地は気になる話だ。
かつての土地の変革。 元の世でも有り得た。
俎上に載るのは自然の理。 村人のユメ、その仲間達が当境地に辿り着いた事に、クラフターは祝福する。
素晴らしい。 これぞ愛だ。
腰を愉快に振り、悦びを各々表現して回る。
「キモッ!? また急に腰を振って!」
「駄目ですよぉ。 そんな酷い事言っちゃ」
「あはは……突然の動きで驚きますよね」
ホシノ達の反応は冷ややかだった。 何故だ。
水をぶっかけられたマグマの様に、冷え固まる各々。 やはり所詮は村人。 感性が違う。 理解を求めるだけ馬鹿だった。
下手すると岩盤並みの壁に隔てられている。
その隔りあってこそ別種としても。 キヴォトス人まで土地や建築様式の争いに参戦されたら混沌が加速する一方だ。 それもまた楽しそうだけれども。
「まぁコイツらはいつも通りとして。 ユメ先生、これから宜しく。 そして、お帰りなさい……先輩」
「うん。 ただいま、ホシノちゃん」
クラフターは閉目する。
それでもと。 あの時、筆談という手段を作り出したユメは素晴らしかった。
同時に可能性も感じた筈だ。 歩み寄りは無駄ではないと。
丁度目前のホシノの様に。 いつになくしおらしい態度でユメと接している。 最初の頃は喧嘩腰だった、あのホシノがである。
背丈ではなく背で語る。 精神面を成長させろと物語る。
「足跡付けられてません? 大丈夫? 言ってくれたら、此処まで護衛しましたよ」
「先輩は何の心配してるのよ」
「この時は真面目モードなんですねぇ」
「割って入れない。 旧知の仲」
「私は素敵だと思います」
「あうぅ、何だか恥ずかしいかな……」
他の村人も協調性を意識してるかのよう。
クラフターは関心のまま頷きを繰り返した。
これぞマルチだ。 マルチの光景ならではだ。
そこに生きる者、荒らしの様に自己中心的では生かれぬ世界。
その意味では、気分でユメの口に牛乳バケツを捩じ込んだのは、やはり間違っていなかった。
互いに文化、身体的特徴が違うからといって、心根に通じるところはあるのだろう。
「感動的な再会みたいだね」
「あっ、先生!」
「私も何だか嬉しいよ。 これから宜しく」
「はい! 不束者ですが宜しくお願いします!」
「本当にねぇ。 先生の仕事は減らすもので、増やしちゃ駄目だからねぇ?」
「ひぃん、ホシノちゃん許してぇ」
思い遣りによる牛乳やポーションの投げつけ。
それもまた、肯定こそすれ、批難の謂れは無い。 村人はもっと寛容になるべきだ。
などと愚痴ったからか。 ホシノは穏やかな口調のまま、ユメを責め始めた様子だった。 折角感動していたのに。 元に戻るとは。 ある意味、らしいとも思えるが。
それとも2面性があるのか。 エンダーマンみたいに中性的で、何かを切掛に敵対するのかも知れない。 その切り替わりは時々経験してきたのだし。
「仲が良いのは良い事だ。 でもずっとは居られないんだ。 ごめんよ」
「えぇ、そうなんですか?」
「私達はシャーレの先生だからね。 特定の学校に留まらず、各校からの要請に応えて様々な場所に赴かなきゃいけない」
「そっかぁ……ごめんね、ホシノちゃん」
「私じゃなく、先生に謝って下さい。 今の内に」
「なんでぇ!?」
「だって迷惑しか掛けなさそうですもん」
「わ、私だっていつまでも同じじゃないもん」
だがそれも、とクラフター。
多少衝突がある方が、互いの成長になる。
荒らしは駄目だが、適度な刺激は良い。 図書館の建設を考えている同志達もそうだ。 より良い物を作る切掛になる。 そうして研磨されたのが今に未来にと繋がりを見せる。
まぁ……議論が白熱し過ぎて進まない点まで真似しろとは言えないが。
「などと供述してるけど先生〜。 もし迷惑だったらウチに返品しちゃって良いからねぇ」
「酷い!?」
「あはは、そんな事にはならないよ」
「ん、先輩の姿……コレが?」
「例の人達の影がチラつくのは何故でしょう」
「その時は牛乳に相談ですねぇ〜⭐︎」
「何の話……いえ、想像出来て辛いわ」
筆談するか。 勝手な想像だけではいけない。
取り敢えず地下施設の相談だ。
広大なジオフロントが作られ続けているが、村人の設備はなっていない。 地下鉄の駅等もそうだ。
「あっ。 何か本を、ううん、メモを渡してきたよ。 私を歓迎する言葉かな?」
協調性の上で、この辺も大切ではなかろうか。
ニコニコしながら本と羽ペンを渡す。
受け取ったのは先生と呼ばれる人物だ。
「きっとそうですよ〜⭐︎」
「そうだと良いのですが」
「嫌な予感だわ」
「でも見てみないとね……ん?」
「どしたの先生?」
今考えているのは、荒らしをしばいて、地下強制労働送りにする事だ。 真面目にやれば更生したと見なし、地上に帰せるし、副次的な効果で創造に目覚めるかも知れない。 そうなれば一石二鳥。
中々良いアイディアだと思うが、どうだ。
「地下の整備に、不良の生徒を労働力として送り込みたいって書いてある」
「はいい!? 何よソレ!? てか地下!?」
「うぅ〜、どこでそんな恐ろしい考えを?」
「レッドウィンター? カイザーかも」
「元々、そういう世界から来たんじゃ……」
「うへぇ。 まぁコイツらなら驚きもないや」
反応がおかしい。
先程の我々同様、今度は村人側が冷めている。
「ごめん君達。 コレにサインは出来ないなぁ。 先生としてというより、人としてというか」
「そ、そうよそうよ! てか地下あるの!?」
「建てるだけでなく、地下を掘り進める速度も人外と聞きます。 今、アビドスの地下は人知れず大穴が空いてる可能性が……」
「でも落盤の話とかも聞きませんねぇ」
「倫理観はガバでも、その辺は不思議な力とかで何とかなってんじゃないかなぁ。 空中に浮かぶ土とか見た事あるし」
何やら責められているハァンと共に返された。
返答は却下。 がっかりした。
だが先生、アドバイスを入れてくれている。
成程。 そうか。 先生とは教えを説く者と聞いた事があるが、こういう事か!
「衣食住、福利厚生、衛生面をしっかりしてくれたら、上に相談出来ると思うよ」
「そこ!? そこなんですか先生!?」
「わぁ! 流石です先生! ちゃんと間違いの指摘だけじゃなく、アドバイスもするなんて! 私ももっと、サポートできる様に意識しなきゃ……!」
「これが大人の対応? 急に不安しかないよぉ」
急に冷めては熱を帯びるハァン。
それはクラフターも似た想い。
この世界は未知に満ち溢れ、未だ学びが多い。
まだまだ学ばされる。
我々の夢は、創造は終わらない。
常に更新未定
刺激の足りなさ。 難しさ。