マイクラ要素に悩む……。
「偉大なる鋼鉄の職人よ、あの龍の息吹が欲しいのだ」
アリスがエンダードラゴンを彷彿とさせたと思えば、キャノンをふんぬと持ち上げて見せた。
砲口が真上に向く。 不思議と様になる。 携行可能なキャノンというだけで凄まじさが伝播する。 軍事部が狂喜乱舞しそうな光景だ。 アレさえあれば戦車砲も陳腐化しそう。 興奮のままに首と手を振り回す。
「クレーンもなしに持ち上げた!?」
「嘘……信じられない……」
「えっとボタンは、これでしょうか?」
「ま、待って……!」
刹那、轟音。 吹き飛ぶ天井と感動。
その先の空中戦艦まで消し飛んだ。
村人の火薬庫を巻き込んだらしい。 内部で大爆発を起こすと、そのまま艦全体に伝播。 資材が花火の如く飛び散り、火球が大地へ降り注ぐ。 クリーパー被害でもそうはなるまいと思う。
「あああ!? 部室の天井が!? 戦艦まで吹き飛んだあああ!!?」
「浪漫が浪漫に消されてしまった……!」
今度は別の意味で首と手を振り回す。
苦労が消し飛んだ。 クリーパーによるチェスト被害の何倍かも知らぬ惨事だ。
こうなるのを知っていたなら、黒曜石で固めておきたかった。 それでも防げる保証はないが。 現実は非情だ。 後悔先に立たず。
「くっ、悔しい……ですが、これが結果ですね!」
「前向きに考えれば、データが取れた」
「建築妖精が滅茶苦茶荒ぶってるけど!?」
アリス。 この個体は荒らしだというのか。
創造物への信奉者かと思ったのに。 ここまで破壊してくれるとは。 信じる者に裏切られた気持ちだ。
今殺るか。 いやまだか。 事故なら早計か。
「仕方ないよ。 ここまで苦労して築き上げてきたものが壊されたんだから」
「とうとう剣を振り回し始めたよ!?」
「アリスちゃん、ごめんなさいは!?」
「ご、ごめんなさい……?」
「切り替えて貰おう。 筆談で落ち着かせて」
村人が手帳に文字を書き込み見せてくる。
また一緒に頑張ろうとか、同じ物を作ってあげるとか、責任は我々にもあるとか、宥める単語が羅列され、やっと落ち着いた。
「なんとか剣を収めてくれたよ」
「良かった……これ以上の問題を起こされたら物理的に廃部だよ……」
なってしまったものは仕方ない。
取り敢えず天井を直そう。 土ブロックで上昇し、丸石で仮設とする。 クラフターは雨風を気にしないが、壊れた箇所が側にある事実は気が散る。 放置は気持ちが悪い。
「廃部……そうだ、私たちは正にその危機的状況なんだよ。 だけど、今はアリスがいる!」
「うん。 これでユウカが納得してくれたら良いのだけれど」
「ユウカ……?」
「生徒会、セミナーの会計だよ。 私たちゲーム開発部を成果がないだの部員が足りないだので廃部にしようとする悪者だよ!」
「いや、私たちにも原因はあるけど」
アリス達が部屋を去って行く。
構わず直さねば。 屋根以上に戦艦の被害が酷い。 次は黒曜石製にしてやる。
色の偏りが気になるから、黒曜石は艦内の外壁とし、一部はコストカットで水流式の耐爆仕様としよう。 特に火薬庫周辺。
ダイヤツルハシ1本の犠牲は覚悟し、黒曜石を集めねば。 いっそ屋根も黒曜石にしてしまおうかとすら模索する。
「いやー……まさかアリスがあんなに力持ちだなんて。 驚きましたよ」
「……握力は1トン以上、発射時の反動に耐える体躯、傷付いても直ぐに治る体……その機体の目的はきっと、戦闘用だな」
「……であれば、建築妖精は戦闘妖精? アリスが来る前、レールガンを持ち歩いていた時があったから……」
「……世の中、まだまだ科学では証明出来ない事は色々ある、という事だな。 今見ている天井や戦艦の修理のように」
色々やりたい事が溢れてくる。
前より立派にするチャンスだ。 ツルハシを振るう。 シャベルを振るう。
クラフターはトラブルを糧として、新たな創造へと邁進するのだった。
更新常に未定
良いお年を。