マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


爆発と大砲

 

 

「嘘でしょ、そこまで!?」

「ちょ、ちょっと! 先生もいるんだよ!」

「なにあの量!? フロアを吹き飛ばす気?」

「アリス、妖精さんから教わった技で先生を守ります! 光の剣ガードです!」

「ただ武器を横にしただけじゃん!?」

「でも砲身が大きいから、盾にはなる!」

 

 

クラフターは怒りのままにTNTを抱えていた。

村人の慌てたハァンも気に留めず、これでもかというほど設置していく。 火薬が安易に手に入るキヴォトス故に低コストである。 勢いのままに散らす。 願わくば荒らしの命も散れと願う。 からの自爆。 無謀な自覚。 爆発に次ぐ爆発。 刹那の誘爆が散発する。

 

 

「きゃあああ!?」

「床が抜ける、落ちるーーッ!」

「アリスちゃん!」

「それでも先生は守ります……!」

 

 

個々のTNTは気紛れに誘爆するけど、そこに侘び寂びがあるのかも。 花火とは似て非なる火遊びだな……そう思いつつ村人共々下層に落ちた。

 

 

「けほっ……全身がいったーい! あなた達のこと、過小評価してたかも!」

「うぅ、やり過ぎだよ……先生は!?」

「無事だよ! でもアリスちゃんの武器が壊れちゃったみたい!」

「まだ戦えます! MPがゼロなだけです!」

「ううん、ここはアイツらに任せて逃げよう! ネル先輩が来たら全滅だよ!」

「ゲームの主人公は決して諦めたりしませんでした! 一緒に戦います!」

「アリス……分かった。 出来るだけね!」

「手帳、手帳……! あの人たちに伝えるよ!」

 

 

飛び散る建材を回収しつつ立ち上がって、クラフターはアスナに駆け出した。 惨憺な有様となった内装も気にしない。 TNTからネザライトの剣に持ち替え果敢に飛びかかる。 ジャンプ斬りでジャストアタックだ。 立ち込める爆煙ごと斬り込んだ。

 

 

「その執念は好きだよ……なにが君達を駆り立てるのかな?」

 

 

煙が晴れた先、いない。

焦る間もなく、背中全体に連続した攻撃を喰らう。 ノックバックのままに宙に浮き、足をジタバタして飛んでいく。

 

 

「あはは! やられる時も面白い動きだね! 噂には聞いてるけど、こうして間近で見ると益々面白い!」

 

 

拾った建材を適当に立て防壁とする。

銃撃を防ぎながらクラフターは考える。 逃げるのは簡単だと。 この建物の修復も改造も後日にすれば良い。 退路は幾らでも作れる。

ツルハシで足元をひたすら壊せば地上に辿り着くし、外壁から飛び出せばエリトラで逃飛行。 あいやカリンに妨害されるか。

ならばリスクはあるが、ギリギリを見極めて水バケツや梯子を外壁に掛ければリスポーンせず素早い着地が可能だ。

しかしそれは背を見せるということ。 村人の意地に屈するということ。 建物の損害も無駄になる。 何より共にいた村人を見捨てる事になる。 それは自尊心が許さない。

 

 

「静かになったね。 まさか諦めちゃった?」

「まだだ! まだ終わってなーい!」

 

 

静かだった村人が立ち直ったか。

ハァンハァン鳴き声をあげて、銃撃を再開。

アスナになけなしの勇気と弾丸を浴びせてく。

 

 

「妖精さん! 私たちがついてます!」

「怒りの弾丸を喰らえーーッ!」

「アスナ先輩、私たちは譲れないんです!」

「動きが良いね。 双子パワーってやつ? それとも先生のお陰かな?」

 

 

村人同士が撃ち合い始めた。

その間にも、クラフターの足下にアリスの大砲が滑り込む。 表面には乱雑に破られて貼られたらしい紙がある。 援護する旨が書いてあるが、気にするべきは別にあった。 戦闘の最中に落としたか、と。

 

 

「妖精さんなら使い熟せます!」

 

 

やったぞ。 拾えばクラフターの物だ。

トレードするように剣をアリスの方に投げ捨てアイテムスロットに空きをつくり掴めば、成程。

 

耐久値が皆無! 詐欺だ!

 

掴まされた気分に陥る!

クラフター、失望のままに荒ぶる!

村人の所業か、これが。 言葉だけではない。 感性の違い。 理解し合えない障壁がそこに聳えた。

一方で当人は剣を拾い喜んでいる。 やるせない。 それ返して。 これ返すから。

 

 

「アリスは妖精の剣を手に入れた!」

「薄ら輝いて強そう! だけど銃撃戦で使い熟せるの!?」

「大丈夫です! 剣ガードで……ううっ!?」

「あはは! アリスちゃんって面白いね! 銃弾を剣で弾こうなんて、ゲームのやり過ぎだよ?」

「ゲームを馬鹿にするなんて許さないんだからーーッ!」

「妖精さんは使い熟せていたのですが……」

「アリスちゃん。 悪い事を覚えちゃダメだよ」

 

 

待てよ。

クラフターは作業台に大砲を載せて弄る。

今まで見てきた銃火器とは随分と違うが、村人が扱えるなら他の銃火器同様に改造や修理も出来るのではないか。 そもそもコレはエンジニア部に安置されていた作り物である。 なら出来ない事はないと思われた。

試しに余りの鉄インゴットを突っ込む。 耐久値が少し回復。 やってみるものである。

 

 

「妖精さんが光の剣を構えました!」

「え、壊れたから撃てないんじゃ?」

「あの人たちの奇行振りと結果を思えば……お姉ちゃん、伏せて!!?」

 

 

撃った。

強烈なノックバックと共に、前方直線上の範囲が大破。 壁は何枚も抜けて、床、天井が抉れて剥がれる。

ついでのようにアスナを巻き込むと、大きなノックバック。 そのまま寝て動かなくなった。 口は達者だが。

 

 

「あはは……いったーい! 頭の先からつま先まで1ミリも動かしたくなーい!」

「凄いです妖精さん!」

「あの一瞬で直した!? しかも撃った!」

「アリスちゃんの武器を扱えるなんて……今のうちに差押品保管所から"鏡"を回収、直ぐに逃げよう!」

 

 

使ってみて思う。

これぞ浪漫であると。 乱戦には向かないが威力がある。 やはり携行型TNTキャノンといっても良い。 あいや貫通力があるからそれ以上だ。 自爆より健全的で、目的に合致すればより効率的ですらある。

 

でもやっぱり、とアリスに返す。

その剣返して。 エンチャント的にお気に入りだから、それ。




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