先生の空気。 ユメの出番も……
ゆめゆめ忘れることなかれ(殴
辣腕の刺客を退けるも、鹿爪らしいフトモモの機嫌を損ね、気色ばむままに殴打され。
心中慟哭を映す覗色の下、なんとはなしに先生のリスポーン地点に帰還した。
そこでは轍鮒の急だと慌てふためき苦悩し、されど活況のような心地良さに活き、溌剌とする桃色達がいるではないか。 普段の駘蕩さは微塵も無い。
「あんな必死に追い求めていたG.bibleを解読して貰ったら、まさかの内容で終わったと思ったけど……最後まで足掻くキッカケにはなったかな……!」
「お姉ちゃん、喋ってるけどシナリオの加筆修正は終わった? それ次第でユズのプログラム入力の負担が増えるんだからね?」
「そういうミドリはイラスト出来てるの?」
「今あがった! 可愛いドット絵だよ!」
「差分も良いと思う……躍動感をつけるね」
「アリスはデバッグです! ここの場面、勇者が妖精さんみたいに荒ぶってます! 今度はベッドに寝ると爆発します!」
「バグは取れる、ハズ……!」
憑物が取れた気分だった。
桃は執筆し、緑は絵描き、チェスト籠りは画面に謎コマンドを高速入力。 アリスは蝙蝠型のスイッチに魂の連打。
先生は仲間外れのようでいて、食糧の差し入れをして応援しているようである。 が、門外漢で以降は傍観。
「ミレニアムプライスの締切までには間に合わすよ! 何としても!」
「勿論! ありったけの気持ちを込める!」
「賭ける……居場所を、皆で守る……!」
「仲間がいれば、乗り越えられます!」
助け合い。 協力。 マルチクラフト。
元の世界であった、見覚えある情景。
嗚呼、感情が撹拌され心が溺れそう。
クラフターは仰ぐ。 青春に捧ぐ。
感動の刹那に。 マルチの光景に。 共同作の現場に涙腺緩み、洪水の中で世界が潤う。
などと感涙したが、何を作っているのか皆目見当付かず。 クラフターに村人語は分からない。 文字も完璧ではない。
けど勘に教わる。 経験が告げる。 村人らは今、マルチクラフターであると。
「先生、買い出しありがとうございます」
「助かるよ! 食べる間も惜しいからさ!」
「片手で食べれる物がメイン……配慮して下さり、助かります」
物作り讃歌。 祝え。 創造の宴を。
首を滅茶苦茶に動かして愉快な腰振りをし、同志として細やかな応援。
先生を見習い、陪席者として何かしたい。 村人の喜ぶ物を模索し……答えに辿り着く。
ミレニアム生はポーションを好んでいた。
瓶入りではなく缶と呼ばれる容器で、薬に近いナニかを飲んでいたのを思い出す。
その代表に妖怪MAXがある。 効力も材料も分からない代物だが、砂糖が使われているのか甘かった。 ありふれたポーションだろうか。 何にせよ、認識の方向はそうだろう。
して、同志にはナニを飲ませるべきか。 力のポーションか。 あいや俊敏のポーションだ。 暗視のポーションも良い。 暗い空間なら必要だ。 水中でも使う。 その意味では我々も必要か。 涙で視界が滲んでる。
「妖精さんも差し入れ、ありがとうございます! この青色のエナジードリンク、頂きます!」
「えっ!? アリスちゃん、それ飲まない方が良いんじゃないかな!?」
クラフターは早速用意。
先生の差し入れに混ぜ込んだ。
同志に祝福を。 良き作品ができますよう。
「アリス、体が興奮して連射パッドみたいです! 目も冴えます! 見える、見えます……コントローラにはもっと早く動いて欲しいです!!」
「アリスウウウ!? 体がバグったみたいな挙動してるよ! 凄まじい速度で上下運動してるよ!?」
「コントローラにヒビが! 待って、落ち着いて! それはRTA専用でもなければ、マグネットコーティングもされてないんだよ!?」
キメろパフォーマンス。
製作は加速する。 薬によって。
更新常に未定
次章の舞台は人間関係や派閥が多いから大変そう。 なのにクラフターというイレギュラーをここまで活かしてない気がして、どうしたものか……。