テイルズ・サガ・クロニクル2をアップロード。 その後、ダブルオーの襲撃。
「アップロード急いで!」
「あと2分です、モモイ!」
「分かってるって! 今できたから!」
「簡単なテストも終わった……間に合って!」
作品を仕上げるにも運根鈍。
気迫る騒々しさは肌理細かさは無くとも美麗である。 村人の気迫は怒涛の勢いであるが、その渦中にいて、クラフターはつい昔を思う。
未曾有の事態とは何か。
それはスケルトンに射抜かれてのマグマダイブであり。 或いは奈落への落下であり。
エンダードラゴンやガーディアンとの死闘であり。 様々に対峙してきたが、やはり思い出すはかの3つ首だ。 間違いなくアレは上位だった。
「残り19秒……!」
「お願いしまーすッ!!」
「エンターあああああ!!」
エンダーマンの何体分かも分からぬ強さ。
宙に浮き剣が届かない。 その上で弾を乱射。 弓矢で反撃するも効果なし。
リスポーンを繰り返す死闘。 流れ弾で破壊されていく作品と地形。 死ぬ家畜。 撒かれる肉。 遺品。 悲劇の数々。 命だったものが辺り一面を埋め尽くす。
「……転送完了」
〈ミレニアムプライスへの参加受付が完了しました〉
「間に合ったあああ!」
「危なかった……心臓止まるかと思った」
ギリギリの戦い。 世界の終焉かと思った。
当時は厄介な化物を召喚したと偉く後悔した。
「あとは……発表を待つだけだね」
死闘の末、訪れた静寂。
肉片込みの瓦礫の山でクラフターは咽び泣く。
嗚咽。 慟哭。 滂沱。
涙に塗れ生肉を拾って食べた。 不味かった。
「上手くいくかは分からない。 その時にならないと部室に居られるかどうか……決まるまで時間があるからさ、先にweb版のテイルズ・オブ・サガ2をアップロードしてみるのはどう?」
「えっ、なんだか低評価が怖いな……」
「ううん、アップロードしよう。 大会だけの為に作った訳じゃない。 作品っていうのは……見てくれる人、遊んでくれる人がいてこそ完成されるものだから」
そうした悲しみの果て、ビーコンは完成した。
失うばかりが人生ではない。 破壊の後に生まれ得た創造は、より洗練された作品へと昇華する切掛になったのだから。
「……ん? 何の音?」
「カリン先輩の46mm砲! 伏せて!?」
こと今に至っては似た状況に変貌した。
突然の爆音。 砲撃。 揺れる建物。 飛ぶ内装。
安全圏からの奇襲。 破壊。 ザ・荒らし。
苦い回想を深めたクラフターは、グリンと外を睨んだ。 割れた窓の先。 遠くからキャノンの音と銃声。 瞬く閃光。 音が遅れて着弾。 肩を掠めて背後に抜ける。
「C&C! 前の仕返し!?」
「応戦します!」
「ここじゃ先生を巻き込んじゃう!」
群れる猛者共が。
我々より建物の損害が懸念される。 やはり害悪行為は度し難い。
「遠距離攻撃を確認、部室正面に対して11時の方向! 距離、約1km!」
「あ、アイツらが飛び出していく!」
「こういう対応は変に早いね!?」
「わ、私たちも出よう……! ここだと部室が滅茶苦茶になっちゃう!」
繰り返される修繕の日々は、建材の用意と戦闘用品を充実させたとはいえ、無駄な時間と資材の浪費は駄目。 絶対。
「おらおらどうした! ゲーム部より建築魔共が先に飛び出しやがって。 ビビってるのか?」
綽々の丼勘定の中、声響き我に帰る。
呑気だったのはクラフターだったと。
まさかの下手人にビビること暫し。
「ネル先輩!? C&C最強の!」
ネルだ! ミレニアムのボスだ!?
不敵な笑みに震える。 もうそういう相手。
「この間の復讐なの!?」
「そんなんじゃねぇよ。 ただ、ウチのモンが随分と世話になったらしいじゃねえか。 どれくらい強いか見たくなったんだよ!」
「妖精さんがチビメイドに襲われてます! 初見プレイで攻略できる相手とは思えません!」
処刑プレイヤーなのだ。
盲亀浮木と油断すればこの始末。
俊足のポーションの効果が無限持続かの如き機動力。 その勢いで両手に装備された短機関銃に蜂の巣にされる。 対応が追いつかない。
あとチビだから被弾面積が少ない。 狡い。
「誰がチビメイドだ、ぶっ殺すぞ!?」
「ひぃっ!?」
「こ、怖っ!」
初対面時は同志が複数纏めて始末された。
今もだ。 出会い頭、驚愕の表情に容赦無い弾丸を喰らい、隣人は遺品を撒き散らす。
慌てて丸石の壁を立て盾にするも、抵抗する隙をくれない。 その内に壁の上を飛び越えられての浴びせ撃ち。 また1人死んだ。
「はっ! 剣に弓矢と原始的な攻撃手段。 そこに手品の組み合わせってのは聞いてるけどよ、その程度で私を倒せやしねえよ!」
「あの人たちでも、ネル先輩相手は……!」
「このままじゃ全滅だよ!?」
「アリス、妖精さんを援護します! 光よ!」
刹那、閃光。
アリスが発砲。 直線上の壁や床を消し飛ばす。 建物の修繕時間が延びていく様子に、クラフターは嘆くばかり。
「ビルの壁を吹き飛ばすなんて、スゲェ火力だ。 だがそれだけだ!」
「あうっ!?」
「アリスちゃん!」
ネルは直撃を免れたらしく。
攻撃してきたアリスを襲い始めた。
標的変更。 マルチの共闘では良く見かける。 これなら切り抜けられるか。 勝気を探る。 なくてもやらねば殺られる。
「ソイツは連射が出来ねぇ、再度撃つには時間がかかる、それに近付けば照準も出来ない。 無理に撃てば自爆するからな!」
「照準は必要ありません!」
「なっ、足元を撃つ!? 正気か!? それじゃテメェも……!」
刹那、再度爆発。
爆心地はアリスだ。 まさかのクリーパー式。 対爆エンチャントの防具もなしに。 丈夫なキヴォトス人ならではだと褒めてやりたい無謀さだ。 本家なら体が消し飛んでいる。
「げほっ……その度胸は認めてやるよ……!」
「肉体損傷48%……後退を望みます!」
「先生が背負って! 急いで逃げるよ!」
「私たちは前に出て露払いします!」
爆煙に紛れ、遁走する開発部。
クラフターは逡巡し、後について行く。
残念だが引き際だ。 最初の時点でC&Cのフルメンが来てもおかしくないし、ネルだけでも死ねるのに、それ以上の数の暴力は耐えられない。 耐久値と時間の無駄だ。
「……逃げたか。 まぁ良い。 目的は果たせたしな。 リオがゲーム部に興味を持つ理由も分かった。 けど次は逃さねぇ。 先生にゲーム部に建築魔。 私をチビ扱いした償い、絶対させるからな」
次こそは。
ネザライト装備に厳選エンチャント、上位金林檎やポーションを用意せねば。
ミレニアムの脅威を排除出来れば、この土地を手中に収められる筈だ。
ただ、本気で挑んでも勝てる保証の無さがまた怖い。 ネル、恐ろしい村人……!
更新常に未定
小出し感。オリジナルのなさ……。
マイクラ感の薄さも。 己の文才の無さに苦悩。