マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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前書き
クラフトと歴史改変要素をと焦る中。
ベアトリーチェを追い詰めます。
またも小出し感。進まない焦り、モチベも。

ふと、MOTHER2の思い出が。作者は携帯機の1+2で遊びました。懐かしいですね。
前半はその影響と、バニタスの意味合いや、それに対した登場人物の立ち位置などはこうじゃないかというお話。脱線してるのは否めませんが、クラフター視点だけでは伝え難い部分を書けたら良いなという想いもあり。


村人立てとムーシュルーム村人

アツコ……使命を果たす時がきましたよ。

あなたはその為に存在しているのですからね。

 

まずあなたの腕を折ります。

もう銃を持つことも、サオリたち馴染みの手も、先生の温かな手を握ることもありません。

あの忌まわしきマインクラフターのツルハシやスコップを握る事も永遠にありません。

 

フフフ。 次は脚ですよ。

もう何処へ行くことも、サオリたちと歩む事も、未来を進む事もありません。

あの忌まわしきマインクラフターのように空中でジタバタさせる事はもってのほかです。

 

おやおや、手も無く足も無く、ただそこに転がるしか出来なくなりましたか。

無様ですねぇ。 ですがこれも崇高を手に入れる為。 仕方のない事なのです。

 

さあ次は眼をくり抜きますよ。 痛いでしょうが我慢してくださいね。 フフフ。

これで空中に浮かぶ土や石を見て困惑する機会は失われますよ。

 

ああアツコ。

なにも出来ず、なにも見えず。 可哀想に。

 

さあ仕上げといきましょう。

耳を削ぎ落とします。 これで聞き馴染みの銃声も、あなたを呼ぶ優しい声も聞こえません。

あの忌まわしきマインクラフターの野太い声も当然聞こえる筈がありません。

 

アツコ、アツコ。

今、あなたの心に直に話しかけています。

もう、あなたは何も聞こえないのですからね。

 

さあ最後にあなたの心を抜き取りますよ。

いいですね?

そうすれば、抱く悲しみも虚しさを感じる事も出来なくなります。

 

本当に い い で す ね ?

 

………………。

 

 

 

Vanitas Vanitatum, et omnia Vanitas.

 

 

虚しい。 全ては虚しいものだ。

 

 

努力は無に帰し徒労であると知れ。

生の儚さ。 現世の虚しさ。

 

 

 

アツコは磔にされ異形に血を抜かれる中。

死んだ夢を見ていた。

 

内戦で重症を負い、気を失ったアリウス生の意識も似た夢の中で漂い、魘されていた。

寒くひもじく、痛くて辛い生活。 トリニティに追放された憎しみを長年抱き続けるよう教育され、分断され、人殺しの方法を学び、同郷を傷つけ合えと指示された日々。 思い出される悲惨な記憶。

 

 

 

辛く虚しい。 自分がいなくとも世界は回り続けるだろう。 世俗的な成功も失敗も空虚であり虚栄に満ちている。

神に従い善を成した者は栄え、神に逆らって悪を成した者は滅ぶ。 そんな伝統的な教えとは逆に、現実では善を成した者は滅び、悪を成した者は栄えているではないか?

ならば、善人だろうと悪人だろうと行き着くところは同じ、つまり「空」である。

だがそれは死や無で終わらない。 何故なら己や貴方が死んでも世界は終わらないから。

人は死んだ後も終わらない世界に思いを馳せる事が出来る。 人の一生は一瞬で、善だの悪だの言っても始まらない。 けれども一瞬の生を生きる人間の心には、神様が与えた永遠があるのかも知れない。

こう考えられる事は、神様は心に永遠を与えられたとする考えもある。

アツコの肉体が滅びようと、精神は、心は皆の中に生き続け、世界に溶ける以上、全てが無に帰す訳ではない。 故に死や無ではなく空なのだ……此処とは違う、並行世界や同位体もそう……そう気丈に振る舞う事も1つの考えかも知れない。

 

マインクラフターはどうだ。

死生観は村人と違う。 世界を移動しようと死んでもベッドで復活する。 1度や2度、強敵や障壁に叩き潰された程度でへこたれない。

所持品や経験値を失いはするから、死への忌避感はあれど、その心に情熱を絶やさない限り、諦めを覚えない限り、ひたすらに創造力を振い続ける。

時に世界を片腕で相手取り、障壁を薙ぎ倒し、コツさえ掴めば幾らでも希望の糸をするりと手繰り寄せる方法を熟知している。

そしてその道筋にいた村人は巻き込まれ、蹂躙され、困惑させ、迷惑を被り、その時々で喜怒哀楽を作り出す。

更にはその無邪気なまでの自由奔放振りは、村人たちの命を危険に晒すだけでなく……アツコを、世界を救うキッカケともなり得るのだ。

 

本人達に自覚はない。

だから感謝も喝采も求めない。

代わりにどんな結果であれ無責任。

なんなら村人を利用し、あわよくば土地を手に入れようと策謀中。

 

それは他の組織もそう。

利益ありきの行動。 金銭や土地、権利だけでなく、ただ寄り添いたいという自己満足の心理もまた、その枠組から抜ける事は無い。

大人も子供もクラフターも誰も彼も。

欲深く、或いは欲望の奴隷なのだ。

 

政治的な都合、水面下のパイの奪い合い。

現場の苦痛は知りもしない。

 

全ては虚しい。

喜怒哀楽は正しい事の証明にならない。

だけど今日を諦めて良い理由にはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがバシリカの至聖所……!」

 

 

荒らし勢力の拠点、その地下室に先生と村人共々突入したクラフターは、防具立ての如く村人が飾られているのを目の当たりにした。

 

 

「姫……アツコ……!」

「気を失ってるだけみたい」

「は、はやくアツコちゃんを……!」

 

 

防具なら分かる。

クラフターも革、鉄、金、ダイヤの装備を基本とし、時に組み合わせて飾る事で、実に魅力的な装飾品となるのが防具立てだ。 ウィザースケルトンの頭やカボチャを置いても楽しい。 額縁に入れる地図や時計のように実用性のある家具として成り立つのは、ご機嫌な魅力である。

 

 

「お待ちしておりました、先生とマインクラフター。 私の敵対者よ」

「ベアトリーチェ……!」

 

 

しかし、この建物では村人を飾っている。

しかも防具立ては花を模したような奇妙なデザインである。 それ単体でも十分な装飾になり得るときた。 色は暗いが、場の雰囲気と合わさり重厚感溢れて評価点だ。 村人を磔にしているのは暗い雰囲気を増させる為なのかも知れない。

 

 

「ですが遅かったですね。 儀式は既に進行しています」

「ッ!」

「ロイヤルブラッドの神秘を搾取し、キヴォトス外から到来する力を借りて……私は自分の存在をより高位のものへと昇華しています」

 

 

或いは邪魔だから縛りつけたか。 それか有用なアイテムを取引してくれるお気に入りか。 恐らく後者だとクラフターは思考する。 縛るだけなら縄で良いし。 最悪は殺している。

 

 

「さあ先生。 不可解な者共、私の敵対者よ。 あなた方は、もしかしたら私を誤解しているのかも知れませんね」

「なんだって?」

 

 

しかし奇妙な格好だな、とクラフターは思った。

体にぴったりと張り付いた服を着ているし、変なお面を装備しているときた。

ここに来るまでに見た、シスターフッドだとかいう集団や、ヴェックスモドキにも共通する格好だから、ここはそうしたバイオームなのではないかと考察してもみる。

エンダーマンと視線が合わないよう、カボチャを被ってやり過ごすソレにも思えた。 その意味でも、ただの装飾ではなく有用性があるナニかなのだろう。 当人は動けない様子だし。 やや高い位置に設置されてるのはエンダーマン含むモンスター対策かも知れない。 であれば蜘蛛返しがないのは減点か。 スケルトンの弓矢対策もない。 しかし付ければ見栄えが悪い。 ここに実用性と装飾の両立の難しさがある。

 

 

「私たちはこの世界を通じて各自が望む事を追求しています。 あなた方だって同じ。 何に成る事もできるし、全てを護ることができます。 より高位の存在になる事───それを通じて全てを救う事が大人の義務なのです。 ええ、この儀式はキヴォトス外の力を利用し、私がより高位の存在になる為に用意されたのです。 そうして高みに登り、この世界を救う───それこそ大人が到達すべき境地!」

 

 

どちらかに傾倒すれば、より集中的なデザインになり、効率化も図れる。

しかしそれを良しとしない者も少なく無い。

己が軍事部という趣味をしつつも、そこにエンチャントや合理性、効率を求めて此処に至れたように、内と外を両立させるのもクラフターの腕といえるだろう。 丁度建築がそうであるように。

 

 

「その過程での小さな犠牲は仕方のないことです。 そう……この犠牲は必要な事。 これこそが崇高へと至る道」

 

 

此処もまた、そうした拘りが見える。

村人立ての背後は、色付きガラスで頭が花みたいな人型モンスターのアートが施されている。

実在しているのか空想なのか不明だが、暗い雰囲気の中で大変目立つことから、敢えて際立たせて注目を浴びさせる手法を取っているのだ。

 

 

「あなた方なら、この価値を理解しているでしょう? 全ての生徒を審判する事も、救う事も出来る絶対的な力を有するあなた方なら……!!」

 

 

クラフターも学ばねばならない。

そして村人に遅れを取る訳にはいかない。

趣味や趣向は個人差あれど、我々もまた、建築家、作り手であると自負しているのだから。

 

 

「それは違うよ。 そっちこそ誤解してる」

「なに……?」

「私は審判者ではない。 誰かを審判する権利は、私にはない。 私はクラフターのように救世主ではない。 この世界の苦痛を消し去る事は出来ない。 私たちは絶対者ではない。 この世界の罪悪を無くす事は出来ない。 忘れられ、苦しむ生徒に寄り添いたいだけ。 だから、私はそんな存在ではないよ」

「では……あなたは一体何だというのですか! あなたの能力は、存在価値は何だというのですか!」

「生徒たちの為の先生だよ」

「ならば、それを証明して見せなさい!」

「……黒服と似た事を言うね。 同じ組織、ゲマトリアだからかな」

 

 

その時不思議な事が起きた。

蚊帳の外で鳴きあっていたムーシュルーム村人が、突如として変貌し始めた。

屋内なのに落雷の影響を受けたが如し唐突具合に、クラフターも唖然としてしまう。 さもありなん。

 

 

「なっ……!?」

「あうぅ……!」

「ベアトリーチェの体が……!」

 

 

奥のガラスアートに描かれたモンスターのように、頭が花みたいな怪物と成り果てた。

クラフターは天井を仰ぐ。 ああ、品評してないでボウルを試すべきだったと。

使えばキノコシチューが無限に手に入るなら、貴重個体として確保したかった。

或いはハサミで牛柄村人に戻るか見てみたかった。 そしたら牛乳を搾れるかバケツを使いたかった。

夢想するほど後悔もまた大きい。 逃した魚、家畜はいつも大きいものだ。

 

 

「これこそが本来の姿───偉大なる大人の姿なのです……!!」

「それが正体なんだね、ベアトリーチェ」

 

 

なんだか敵対してるし、こうなっては殺すしかない。 そう武装をしインベントリを見て、ふと思い立った。

 

 

「あれが……マダム……」

「ただの怪物にしか見えませんが……」

「そう。 私たちは、あんなのにずっと……」

 

 

変化……戻る……正常化……。

金の林檎を試す時じゃね? と。

クラフター、金色に輝く上位金林檎を一瞬手に持っては銃火器に戻す。

まぁ駄目なら駄目で回復のスプラッシュポーションを試したい。 アンデッド系ならダメージが入るだろう、と思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろくでもない者がいる。お前である。

くだらないことに執着して他人に迷惑をかける者がいる。これもお前である。

何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす者がいる。

まさしくお前である。

 

戦線から遠のくと楽観主義が現実に取って変わる。

そして最高意志決定の場では、現実なるものは、しばしば存在しない。

戦争に負けている時は特にそうだ。

……目前の怪物は現実か幻想か。何にせよ物を作らない夢も見ない。そんな荒らしなんぞ、マインクラフターの敵ではなかった!




後書き
更新常に未定。
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