小出しが続く中……。
戦闘描写が難しい……頑張ってマイクラ要素を入れてみています。
「───サオリ、ヒヨリ、ミサキ」
「……ああ」「……はい!」「……うん」
「怖がらないで。 私達がついているから。 一緒に頑張ろう」
「……ああ」
「うん。 一緒にあの怪物を倒そう」
「はい!! 一緒に姫ちゃんを、アツコちゃんを救うのです……!!」
「行こう!!!」
村人が花頭のモンスターに撃ち始めたから、クラフターは丸石の壁を展開してみせた。 銃撃戦で身を隠す場所がない時、取り敢えずコレと決めている。
「エヘヘ、救世主様も一緒ですもんね」
「壁を作ってくれた! 遮蔽物として利用しろ!」
「言われなくても……!」
村人は早速使用。 身を隠しながら花頭に攻撃を加えていく。 創造物を使ってくれるのは嬉しいのだが、今回としては峰打ち程度に終わらせて欲しいところ。 近接して金林檎を与えたいんだこちとら。
しかし隙を作らねば寄れそうにない。 そう相手の攻撃方法を見極めるべく様子見していると、なんと奴は花頭から雷撃、あいや赤い光線を放ってくるときた。
忽ち射線上の丸石が消し飛んでしまう。 隠れていた何人かの同志がノックバックで後方に吹き飛んでしまう勢いがある。
水中神殿のガーディアンやエンダードラゴンのブレスより厄介かも。 弾速早いし。 幸いなのは射線を読み易い事か。 発射前の予備動作が大袈裟だし遅い。 左右にジャンプ走りしている内は当たらない。
「石の壁が……出鱈目な威力です!」
「だが隠れている相手に狙いを定められていない! 今まで学んできたゲリラ戦術を存分に発揮する時だ!!」
「同時に"コイツ"への借りを返す時だね」
村人が散開。 それぞれ残った壁から壁へ移動しながら撃ち始めた。 花頭は狙いを定められずに光線を乱射。
クラフターは成程そうかと便乗しつつ、壊された以上の壁を増やし続ける。 それも今度は黒曜石だ。 撤去が大変だが今はさておく。
「これは……話に聞いた不壊の黒繭?」
「今度のは攻撃を受けても壊れません! ちょっとヒビが入っても、勝手に直りますし!」
「油断するな! 次、来るぞ!!」
天が赤くなったと思った先、花頭の頭上で真紅の大玉が形成されていくのが見える。
レッドストーンブロック何個分かも分からない禍々しさとエネルギーを感じたが、規模こそ違えど光線じゃなくて玉ならアレ出来んじゃね、と愚考してみる。 何事も経験である。
「なにあれ……!」
「大玉……! あんなの撃たれたら……!」
「いくら壁が丈夫でも、頭上からあの規模のものは……衝撃に備えろ!!」
大玉が迫り来る。
けれど老兵足るクラフターは慌てない。
そのまま果敢に前に踏み出して、タイミングを合わせてえいやと振るった。 拳を。
「グアアアアッッ!!?」
忽ち大玉が跳ね返り花頭に直撃!
花頭が爆ぜる! 屋内花火万歳ひゃっほい!
「「「打ち返したああああああ!!?」」」
村人驚愕のハァン。 花頭は奇声の悲鳴。
クラフター、満面の笑みで煽り屈伸。
「えっなんで!? 素手で跳ね返したの!?」
「わぁ……あぁ……」
「私は救世主様の事、全然知らなかったのか」
よしよし目論見通りだ!
ガストと違い相手は動かないから面白いように当たってくれた。 やってみるものである。
って違うそうじゃない。 倒しちゃいけないんだった。
ナニやってんだ我々は。 殺っちまったか?
「ぐっ、ああ……なりません……!! 私の権能が……!! なりません……まだ儀式が完遂していなかったのでしょうか……? まだ力が……ああ……」
「ベアトリーチェ、例えその力が完璧だったとしても、クラフターという壁を越える事は出来ないという事じゃないかな?」
先生とハァンハァンと鳴き始めた。
よしよし、持ち直したか。 よくやった。 流石先生。 無遠慮に親の仇が如く撃ちまくる生徒と違う。 我々の意図を掬い上げてくれている。
「黙りなさい……! たかが……たかが貴様ら如きに……!! マインクラフターを認めるなんてあってはならないのです!!」
「哀れだね。 子供に嘘偽りを教えはするけど、新たな学びを受け入れない。 そんな自論に拘った結果が今じゃないのかな?」
「黙れ、黙りなさい……! バルバラ……いえ、バシリカに存在する全ての兵力をここに……!! こちらに戻って来なさい!」
鳴いている内にクラフターは浄化準備。
右手にエンダーパールを持ち、左手に上位金林檎を持つ。 覚悟は良いか。 己は出来た。
「増援が来るんですか? うわぁ……」
「くっ、これ以上は……」
「支援が来る前に片付けるぞ!」
「バシリカの兵よ、私を保護なさい!!」
黒曜石の壁越し、チラチラ隙を窺う。
殺すより生かす事の難しさ。 それを先生はやってくれた。 後はチャンスを待つ。
「…………何故、来ないのですか……? バルバラは? 何故まだ誰も……」
向こうは鳴くばかりで何もしてこない。
そろそろ出るか。 エンダーパールを投擲しようとした刹那、ハァン合唱が鳴り響いたから、クラフターは首を傾げた。
「───Kyrie Eleison───Kyrie Eleison」
「ッ!?」
「この歌は……」
「これは……"キリエ"……?」
レコードとは違う音響である。
ハァン語なんて理解出来ないが、それが曲だというのは理解する。
それに何の意味があるのかは知らない。 クラフターとしてはジュークボックスに収集したレコードを放り込み、場の気分を変えたい時に流す程度のものに過ぎない。 それでステータスが変化するでもないのだ。
「誰かが歌っている……ミカ……いや1人や2人じゃない。 それも段々と大きくなって来てる」
「なりません!!! なりません! 私の領地で慈悲を語る歌を響かせるなど!」
いけない。 声が近づいて来る。
村人が増えたら浄化作業に支障が出そうだ。
声の数だけ銃があるなら尚更に。 花頭に集中砲火でも始めたら今度こそ死にかねない。
「来るのは"聖女"ではなく聖歌隊……!? そんなもの、楽器と蓄音機共々、とうの昔に破壊したというのに! 奇跡が起きたとでも!?」
「そうかも知れない」
「ッ、なりません!! 生徒は憎悪を軽蔑を……呪いを謳わなければなりません! お互いを騙し傷つけ合う地獄の中で、私たちに搾取される存在であるべきなのです!!」
「いい加減に"黙れ"」
「……なに!?」
「私たちの大切な生徒に話しかけるな」
「……ッ!!!」
「あなたは偽りの教えで子供たちを奈落へ落とした。 あなたを絶対に許せない」
「よ、よくも私にそのような……」
先生が隙を作ってくれた!
奴は大口らしきものを腕共々広げている。 やるなら今しかない!
クラフター、エンダーパールを花頭に投擲。 ワープした瞬間、金林檎を持つ腕を振り回し奴の体に押し付けまくる!
「言葉をぉおおおムゴゴゴ……ッ!!!?」
「救世主様が瞬間移動した!?」
「その勢いでマダムの体に金色の林檎を押し付けまくってますよ!? 食べさせようとしてるんですか!? それ後で私にもくれたりしませんかね?」
「……私たちは、救世主様の事を知っているようで知らなかったんだな」
「ははは……」
花頭が花弁を散らす。
体から光の粒子が大量に舞い上がる。 見方を変えれば花吹雪。 花見。
そして萎れる様に小さくなり、最初に見たようなムーシュルーム村人へと浄化されたのだった。
「怪物が……」
「……マダムに戻りましたね」
「救世主様はベアトリーチェすら救う気なのか? だが私は、私たちは……いやアツコさえ救えればそれで良い筈だ」
……次は鋏。 いや回復スプラッシュか。
あいやその前にボウルである。 今から作れば間に合うか。 幸い材料はその辺にある。 木製の机や椅子を解体しよう。 そうしよう。
「何故、どうして……! 私は、私の……!」
狼狽えてる内に、クラフターは斧を振り回す。
その辺に散乱する木材を回収。 作業台からクラフトしていった。 もうハァン合唱は直ぐ背後まで迫っているぞ。 急げ急げ。
あ、慌て過ぎてレシピ間違えた。 ハーフブロックや感圧版になってしまった。 木こり直しだくそぅ。
「先生、クラフターさん、お待たせ!」
聞き覚えあるハァンに思わず手が止まる。
振り向けば、白染色の盾装備のユメがいた。
傍に護衛の重装備ホシノがいて、その後に続くように多種多様な村人が群れて合唱して来る。
不慣れなのか声はバラバラだが、不思議と一体感がある。 マルチを感じれて心地良い。 クラフターは莞爾として頷いた。
「ユメ! ホシノ! それにみんなも!」
「外の子たちはティーパーティのミカちゃんと、駆けつけてくれたシスターフッドの子たちに任せて来たんだ。 後はここだけだよ」
「やっほー先生。 それとアリウススクワッドだっけ? 助けに来たけどぉ……もう終わりそうかな?」
「ううん、来てくれてありがとう。 みんなで乗り越えよう」
「シャーレのユメ先生とアビドスのホシノ生徒会長……救世主様発祥の地出身の生徒だ」
「頼もしいですねぇ……けれどマダムは虚しいでしょうねぇ……エヘヘ」
「終わりだ、ベアトリーチェ」
おっといけない。
ムーシュルーム村人に実験しなきゃ。
そう思い直して向き直る頃、奴は衰弱するがまま倒れてしまう。
「私の計画が……私の領地が……私の意識が……おのれ、おのれマインクラフタァアア……あ……あぁ……」
いけない! 死ぬな! まだやる事がある!
ボウルを押し付ける。 駄目。
バケツを押し付ける。 駄目。
「これで終わった……のでしょうか?」
「創造主様が無力化の確認をしてくれた。 きっとそう。 これで、アリウスは無に帰る……全部終わったんだ……」
「アツコ!! 早くアツコを降ろすんだ!」
「そうだ、姫、アツコちゃん!」
「まだあそこに!」
くそっ! 実験は失敗だッッ!!!
クラフターは柱に拳を叩きつけた!
被験体が倒れた事で必然的に戦闘と実験は終了した。 我々はどこで間違えたのだろう。 玉を打ち返した時か。 金林檎だろうか。 それとも両方だろうか。
「アツコちゃん……」
「外傷が酷い。 血を流し過ぎている」
「姫……アツコ……頼む、目を開けてくれ……お願いだ……アツコ、目を開けてくれ……」
「だ、誰か! 外にいる救護騎士団を連れて来て! 早くッ!!」
「ユメ先輩……」
そういえば、と。
回復のスプラッシュポーションが余ってる。
手のひらで転がるそれを最後に使うべきか。
それで被験体が息を吹き返すなら実験継続は出来る。 効果がなくとも、それはそれで1つの結果である。 ダメージの有無を見れなさそうなのは悔やまれるが。
一方、村人達を見た。 今にも命の灯火が消えようとする、永眠寸前のピンク髪の村人に集り、必死に体を揺すり、慟哭し、嗚咽し、滂沱し、銃を置き両手を前に組んで祈っている。
「アツコ……」
先生もユメも悲しみに暮れている。
何故他者の為に鳴(泣)けるのか。 クラフターは考えた。 有益な取引が出来る貴重個体だからか。
ああ、いや、違う。 この世に未練があり、情熱を絶やさずともリスポーン出来ないハードコアを生きている者達だからか。
何にせよクラフターは群れ目掛けて回復のスプラッシュポーションを投擲した。 瓶が割れて傷を癒す赤い液体が全体に染み渡る。
未知相手ならいざ知らず、村人に効果があるのは知り得ているから。
「わぷっ!? な、なんだ……?」
「傷が癒えていく……!」
「アツコちゃんの傷も……!」
やがてピンク髪が目を覚ました。
合わせて周囲は歓喜に包まれ、喧しいハァンが建物に乱反響して敵わない。
◇アツコは死んだ夢から覚めた。 体は無事なようだった。
「サオリ、ちゃん……?」
「アツコ……!!」
「アツコ……」
「アツコちゃん! 気が付きましたか!?」
「うん……」
「サオリ、ミサキ、ヒヨリ……みんな、おはよう」
「アツコ……!!」
「あ、サオリ……?」
「良かった! 本当に良かった……!」
「う、うん……?」
「アツコ、生きていてくれて、ありがとう……本当に、ありがとう……」
「うん……」
「くっ……うぅ……」
「もう泣かないで。 私は大丈夫だから」
「先生が、皆が、救世主様が助けてくれたんだね?」
「ああ……そうだ……」
「ありがとう先生……みんな……マインクラフター。 もう、これで大丈夫なんだな」
「うん。 大丈夫だよ。 きっと全部終わったよ」
倒れているムーシュルーム村人をどうするか。
先生と共に近寄ってスニークで見下ろせば、まだ息があるのに気が付いた。 どうするか。 縄で引き摺って地下施設に送るべきか。 いや、ここを実験場に作り変えるのが早いだろうか。
「終わりだよ、ベアトリーチェ」
「うっうぅ……よくも! わ、私はまだ……まだ! たかだか儀式を妨害した程度で図に乗らないでください! まだ力も完全に失った訳ではありません! 1度の勝利ごときで、終わりになど───」
「いいえ、このお話はこれで終わりです」
「誰だい……!?」
また気になる声で振り返る。
そこには首がなく、かわりに抱える額縁の中に頭を入れた、奇妙な村人が立っていた。
「ゴルコンダ……!!」
楽しみが尽きない土地だな全く。
益々欲しい。 そう欲張りつつ、クラフターは剣を構えた。
コイツ、エンダーマンの親戚かな?
なんか影が服を着て歩いてる見た目だし。
後書き
更新常に未定
人間関係、仕事の失敗等、過去の記憶がフラッシュバックして、発狂しそうなのを頭を抱えて抑えるような日々であります。
心身共に健康でいる難しさ。前に進めぬ己の弱さに辟易。当作のクラフターには、なれなかった憧れや理想が反映されているのかも知れません。