短め。
ゲマトリアのゴルコンダ登場。
からの撤退。そこは原作なぞり。
違ってくるのは虚無主義の後始末。クラフターの行動や所業に引き摺られるように多くの組織が絡みましたからね。
防衛室長の野望やカイザーグループ、ゲマトリア、シャーレ、トリニティとゲヘナ、SRTの今後は、次回に纏められたら良いなと思います。
……キャラが多いと大変で。ただ絞っていくと、他の人はどうしたの?となって難しい……。
「ああ、落ち着いてください。 驚かせたなら申し訳ありません。 私はゲマトリアのゴルコンダ」
仮に額縁エンダーと名付けたマインクラフターは、その泰然ながら奇怪な体の観察を開始した。
剣ガードを連打して威嚇しつつ、一定の距離を保持。 あれこれを夢想する。
村人もそうらしい。 先生とユメ共々、警戒心を剥き出しにしているときた。 包囲こそすれ攻撃する者はいない。
恐らく飛び道具で戦うキヴォトス人にとって天敵故に。 本能的な忌避感からの逡巡であろうと納得して頷いた。
「ええ、私は戦いに来たのではありません。 マダムを連れ戻しに来たのです。 それに戦闘で勝てる自信もありません。 ゲマトリアが皆マダムのように怪物に変われるわけではないですからね」
「なってくれた方が、何かにつけて分かりやすかったのだけれど……黒服との関係もある。 私としても好き好んで争いたくはないよ」
緊張感の中、先生と鳴き合う額縁エンダー。
コイツもハァン語とは。 この世界は畜生村人であれハァンと鳴くが、思えば背広エンダーマンも倒れているムーシュルーム村人もそうであった。 身体的特徴が異なれど言語が統一されているのは分かりやすくて良い。 理解出来なければ意味が無いのは存じるが。
「───ええ、マダム。 これで明らかになりました。 先生方はあなたの敵対者ではありません。 これはあなたの物語ではないのです」
だとして敵であるなら容赦しない。
剣ガードの威嚇は続ける。 なんなら実験したい。
……水バケツを被せたらワープするかな?
「あなたが起こした事件、葛藤、過程の数々……それらは『知らずとも良いもの』に格下げされました。 あなたは主人公どころか……先生の敵対者でもなく、ただの『舞台装置』だったのです」
生憎と持ち合わせがない。
なら金林檎を与えるべきか。 頭がなければ口がどこにあるかも分からず、どこに押し付けるべきか悩ましい。 額縁に与えれば良いだろうか。
すると近寄らねばならない。 エンダーマンの親戚となればそれなりの強敵だ。 相手の攻撃手段や特性、体力も知らずに仕掛けるのはリスクがある。
村人は知ってか知らずか攻撃を仕掛けない。 逃げもしない。 マルチクラフターとしては判断に悩む。
……ドロップ品も知らないし。 額縁かな?
「先生、そしてマインクラフター。 あなた方の介入は、全ての概念を変えてしまいます。 元々この物語の結末はこうではなかった筈なのです…………無口で欲深い旅人が救世主として現れ、恵まれない子たちを扇動し、友情で苦難を乗り越えさせ、創造力で打ち勝つ物語……? 私が望んでいたテクストはもっと文学的なもので、こんな稚拙なまでに都合の良いものではない筈なのですが」
「……経緯が気に入らないみたいだね?」
「ふむ……申し訳ありません。 ご気分を害してしまったようですね」
それかカボチャ頭でも被せるか。
ウィザースケルトンの頭蓋骨も良い。 あいや進化されたら困る。 そもそも、それら不用品は持ち込んでいない。
ここは黒曜石で囲って閉じ込めるべきだ。 その方が安全だし分かりやすい。 今後実験をするにも。
「それでは私はマダムを連れて帰ります。 マダム、起きてください」
しかし困った。 黒曜石は遮蔽物に使用してしまっている。 仕方ないから丸石で代用してみよう。 囲えると良いが。
そう近寄ろうとするクラフターだったが、相手が身じろぎした為に狼狽えてしまった。
いかんいかん。 目を合わせないようにしなきゃ。 敵対されてワープされたら困る。 しかし目が何処か分からない。 やはり額縁か。
「もしかして私の邪魔をするつもりでしょうか? どうかそのような決断はなさらないでください、先生方」
ならエンダーマンより視線を下にしないとならない。 その点において、コイツはエンダーマンの上位互換種ではなかろうか。
であれば体力や攻撃手段も多彩である可能性がある。 いよいよ侮れない。
「たとえば……私は彼等のように様々な道具を生産できます。 この『ヘイローを破壊する爆弾』も私の作品です。 ああ……もちろん、彼等とは出自が違いますし、それをここで爆発させたりするつもりはありません。 あなた方には効果が見込めませんし、仮に効果が出たところで忽ち快癒させる術をご存知のようですので」
「だとしても、脅しに感じるよ」
「そう身構えないでください。 お互い引き際が肝心かと。 大人なら、そういった取引もあるかと存じます。 黒服ともそうして、先生はここにいるのではありませんか」
額縁エンダーが倒れた訳でもなし、何かをドロップした。 箱状の機械部品だ。
クラフターの興味は其方へ注がれた。 知らないブロックなのだから俄然気になる。
「それ以前に、この爆弾が実際にヘイローを破壊できるかどうかも確認できませんでした。 私の計画は断じてそうではなかったのですが……まぁ、ですから、それは廃棄する予定です」
額縁がアイテムを置いて移動を始めた。
それもムーシュルーム村人を連れて行こうとしている。 獲物を取られた気分だ。 或いは不当で強引な取引に見える。
こうなればドロップ品だけで満足しない。
つまり賄賂で逃す気はなかった。
囲えないなら殺すまで。 やはり最後は暴力だ。
迂闊だが成果は多い方が良いに決まっている。 という訳で剣を握り直し前に出るも。
「マダム、今回の実験は失敗です。 帰りましょう」
なんとエンダーらしく跡形も無く消えてしまう。
それもムーシュルーム村人諸共だ。
あの額縁エンダーは従来のブロック運搬能力だけでなく、畜生も運べる力を持ち合わせているとは。 牧場の天敵にも成り得るのではないかと戦慄してしまう。
さても周囲を見渡すも……案の定いない。
クラフターは天井を見上げ嘆いた。
まただ。 またしても。 逃す獲物はいつも大きいものである。
あ。 そういえば我々側の泥棒もどこだ!?
すっかり忘れていたではないか! くそぅ!
クラフターは感情のままに首を荒ぶらせた。
……次は討ってやる!
「……マダムが、消えた?」
「今のは何だったんだ……」
「今度こそ、アリウスは解放されたのか?」
残された村人も我々と同様に困惑し、互いに目を合わせ、暫くブツブツと鳴いた後。
「終わった! 内戦は終わったぁ!」
「やったぞ! 圧政から解放されたんだ!!」
「ありがとう先生! ありがとう救世主様!」
堪らず外に出た。
喧しいハァンが建物に木霊したからだ。
やっと連中も村人らしくなったと思えたが。
最初は秩序も無かった集団として独裁者の力に打ちのめされた。
アリウス生は歪められ、混乱し弱っていた。
そこに迷い込んだ旅人が、少女達に食事を与え、武器を与え、生きる術を教えていくと、少女達は独裁者と決別する行動を始める。
1日にありつけるかも分からない、配給される冷めた薄いスープと腐敗臭のする残飯は、いつしか両手で抱えきれないほどの蒸かし芋と柔らかいパンに変貌した。
そうした毎日と引き換えに葛藤と奮闘の日々だった。
そして新生アリウスは順応した。過去となりつつある記憶にあるのは、お互いを監視する生徒、大人の洗脳、牢獄、威圧感のある隊長。
それらより、何よりも恐れたのは、我々と救世主様がやり過ぎたという事。
破壊と創造が乱用された。そうして勝ち残った。
それで皆は生き延びた。
しかし……。
それだけの価値は本当にあったのか?
勿論だ。
アリウスは荒らしの地(血)から解放された。
それが全てだ。
後書き
更新常に未定
アリウス解放。後は政的な問題へ。
置き土産となるヘイロー破壊爆弾やアツコの装備していた防御力が上がるらしい仮面、巡航ミサイルはクラフターが回収したく思います。
一方、ゲマトリアも泥棒も逃すという。情けない最後、恥ずかしくないの?(他人事