マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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前書き
小出し感続く中。
真相を聞く為にリオの元へ。
原作だとリオの方からゲーム開発部の部室に来訪、アリスが危険な存在であると説明されますが、当作では此方から殴り込み。


速い者と早い者

軍事部は、アリウスに本拠地を移した事で、悠々と兵器開発作業に着手出来た。

そこで銃や爆弾、戦車とした、キヴォトスで鹵獲してきた武器装備の研究を続け、様々な自己流や模造品が作られていく。

所詮は猿真似。 けれど成果は確実に出た。

 

この自作小銃もまた、然りである。

軍事部の標準装備を目指し、威力や連射性は従来型より格段に上。 弓矢とは比べるまでもない。

弾倉後部型であるプルパップで銃身のコンパクト化や威力の底上げ。 先端の制退器兼消炎器の性能を高め。 発射音と発砲炎を抑え、体感も低反動で発砲時のブレは軽微。

ワンタッチで左右どちらかを選択可能な排莢口を銃口近くに置く事で、弾倉後部型でありながら完全な左右対称。 近接戦闘での頻繁な持ち替えにも支障が無い。 射手を選ばず使用可能と触れ込む。 レールも銃身の上下左右に走り、個人で好きな装備を装着出来る。

整備性も考えた。 作業台や金床、その他の特殊ツール無しで通常分解可能。 そもそも多少の耐久度低下で回転不良を起こさない。

専用弾倉とせず、村人標準の弾薬と弾倉を引き続き使用するのも大きな利点。 長期任務や遠征において、輜重の到着待たずとも調達に困らないか、ある程度の融通が現場で効くように配慮された。

 

2年前は鹵獲品を振り回すのがやっとで、そこからキメラ銃を試作し、銃が暴発したり弾詰まりを起こし、村人に嘲笑される失敗を繰り返した。 けれど何とか諦めずに続けて良かった。

現アリウス生からも好評を頂く。

弾倉が前部にある従来型に慣れた者からは不満もあるが漸くだ。 銃を得意気に振り回すキヴォトス人に認められるとは感慨無量の境地。 歓喜の絶頂が止まらない。

 

妙なサービス精神から、アリウスの標準装備である2眼レンズの更新を狙いもした。

視界良好な全面レンズのフルフェイス式をクラフトして贈答品とする。 お陰で有名度は上昇したらしい。 それでか取引の種類が増えた。 料理が好きな村人が創作料理に挑戦していたり仕込みナイフをクラフトしたり、村人の心境にも変化がある。 表情も物資共々豊かになってきた。

 

誰かの為に何かを作る。 それが褒められると嬉しい。 この感情を互いに分かち合う。 マルチならではの原点がここにあった。

 

 

「マダムの統制時代は食べ物も装備もロクでもなかったけど、銃だけは命を預けるに足りた。 この恵賜もそうなるだろうね」

「エヘヘ、いつまでも銃を卒業出来ませんね私たち。 内戦が終わっても、心は未だに戦場なんです。 きっとこのまま、救世主に飼われて鱈腹食べさせられる人生を送るんですね……」

「これから変われば良い。 時間はあるよ」

 

 

良い物は他の連中にも良い物として映る。

それ自体は良い。 評価されるのは嬉しい。

ただ、我々を嘲る連中まで使うと救いが無い。

村人なら分かる。 状況次第で味方になるし。

だがカイザーPMC、お前は駄目だ。 アビドスを散々荒らした集団だからだ。 今回も裏でコソコソして、地主とは別勢力として内戦に加担、1枚噛んでいた。 村人との筆談で知った。

具体的には武器の密輸絡みだ。 内戦を都合良く実験場に見立て、地主派に武器を提供。 その威力が我々に有効かを測っていた。

そんな連中が我々の銃を使おうなどとは厚かましいにも程がある。 そもそも我々の創造物を荒らしが使役するな。 生み出した子に牙を剥かれるのは辛い。 狼とは違うが。

なので信用ある者に少数納品するくらいに留めている。 出回るのは時間の問題だろうが。 我々が学びながらクラフトするように、荒らし側でも模造品が蔓延するか、土台にして昇華するだろう。

開発競争は底が見えない。 マルチの創造だから互いを高め合えるといえば聞こえは良いが。 相手は選びたい。 それが叶わないのが世の常としても。

 

 

「旅立った隊長は元気にしてますかねぇ?」

「リーダーなら大丈夫でしょ。 そのうち会える」

「さっちゃんは強いからね」

 

 

取り敢えず今日のところはクワを振る。

投降した元地主派にも飯種を作らねば。

大飯食らいのアリウスユメモドキの為にも。

 

 

「うわあぁん、胃袋を掴まれて中々探しに行けません! どうせならもっと美味しいモノを作ってください!」

 

 

厚かましいのがここにもいる。

本当どこで作れるの、その図太さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ戻って要塞都市エリドゥ。

クラフターはビル群に囲まれ見下ろされる中、感銘のままに目を閉じた。

尊敬の念だ。 この地下都市を建設した誰かに。 そしてボスへは尊奉の眼差しを向けた。

合理性と芸術の融合。 建築においては外観と内装の両立。 完璧で究極の機能美。

一朝一夕で成せぬ困難と造形。 設計者は熟知している。 構造を見学すれば益々瞭然となるに違いない。

そうしたい気持ちもあれば更なる屈辱に滲む気もして、捉え方が非常に悩ましい。

兎にも角にも認めねばなるまい。 創造主を。

 

 

「既に敗北を悟った表情ですね。 その通り、リオ様が建造した要塞都市の演算による恩恵と、高機動かつ高火力のパワードスーツを前に抵抗は無意味です」

 

 

この邂逅は価値ある僥倖でもある。

我々は殴り飛ばされるがまま感涙した。

建物だけじゃない。 ボスなんて格好良いまであるじゃん。 飛べるし速いし大砲まで装備とか欲張りセットじゃん。

くれないだろうか。 何とか交渉出来ないか。

先行していたらしい下手人も、上には上がいると学習し滂沱しながら逝った事であろう。 是非人生を悔い改めて欲しい。

けれど、とクラフター。 看過出来ない問題もあるのも事実。 ビル壁に顔面を叩きつけられ、主砲で纏めて吹き飛ばされながらも、つらつら思う。

 

 

「一方的に嬲られる趣味がおありですか?」

「洒落臭ぇ! 私も混ぜろよ後輩ッ!」

「ネル先輩、C&C最強の座、試させて貰います」

 

 

目つきの悪いチビ村人も参戦。 我々を庇うように割り込んで銃撃戦。

チビはボスの懐に飛び込み、ボスは距離を置こうと立ち回る。 互いに速い。 そして互いに当たらない。

究極の機能美。 俊足ポーションのみでは到達出来ない速度がそこにある。 氷ブロックを利用した高速歩道が思い出される。

 

 

「チッ! やるじゃねえか! リオ専属なだけはある。 いや、その装備のお陰か?」

「装備を扱える完璧メイドのトキちゃんの力によるものです。 先輩には扱えないでしょう」

「はっ! そんなモンに頼らなくても、テメェにゃ勝てるってとこ、証明してやんよ!」

 

 

今のうちにポーションを飲み、金林檎を貪り食う。 次はどうしたものか。 奴はそもそもとして飛び道具が効かない。 エンダーマンやウィザーのような特異性があるのだろう。

ならば戦い方も同じか。 そう判断したクラフターは、水バケツをぶちまけてみた。

 

 

「うおっ!? 急に大量の水が! って、どうやったらバケツからこれだけ出るんだ!? てかずっと水が止まらないとか、ありえねぇだろ!?」

「いけない! トキ、エリドゥの演算にエラーが発生したわ。 気を付けて!」

 

 

足をとられるがまま、相手は流される。

ダメージは無さそうだが、あれだけの高機動が嘘のように鈍くなる。

クラフターは狙いを定めた。

今だ。 そら今も。 軍事部の新型小銃を発砲。 3点連射が当たりに当たる。

 

 

「ッ!? 被弾。 損害軽微」

 

 

有効だ。 なんだこの差は。

先程のエンダーマン並の回避力、ウィザー並の無力化能力はどうした。 まさか水で流されたのか。 牛乳バケツの如く中和されたか。

まぁ良い。 こうなれば、なんてことはない。

 

 

「なんてこと。 質量保存や物理に反するような現象に、要塞都市の演算能力に深刻なエラーが発生している。 あの赤い石のように。 建築魔の力はミレニアムの敵。 下手すればAL-1S、古代の遺物なんかより、余程危険よ!」

「まさか独壇場である筈のエリドゥが、こうも簡単に無力化されるなんて」

「なにごちゃごちゃ言ってやがる! 遊びは終わりだ、生意気な後輩に教育してやるよ!」

 

 

更に手を出す前に、目つきの悪いチビが懐に飛び込んだ。 機能不全の相手は回避も出来ない。

そのまま生身の腹部に2つの銃口が捩じ込まれて連射。 ボスは倒れて動かなくなる。

 

 

「ヘッ! 大した事なかったな!」

「油断しました。 リオ様……申し訳ありま、せん……自爆コードを入力してください……」

「……駄目よトキ。 そんなものは無いの」

「あら。 浄化槽や下水の汚水みたいな貴女の事ですから、てっきりそれ以上の外道をするかと思いましたが。 とんだ心境の変化ですね。 それともゲーム開発部に直接銃口を突きつけられて、生き残れそうな言葉を選びましたか?」

 

 

惜しむらくは、とボスに近寄る。

シルクタッチのツルハシや斧でイケるか?

 

 

「って剥ぎ取るなよ!? 趣味悪ィぞ!?」

「トキちゃんの罪なパーフェクトボディは、建築魔にも有効ですか……あっ。 興味があるのは外装のアビ・エシェフですかそうですか」

 

 

エビ・ピラフかなんかを手に入れた。

チビが吼えている。 戦利品の横取りに見えるからか。 だがしかしとしたり顔。

 

 

「お前もナニドヤってんだ!? 遊んでねぇで早くチビ共と合流するぞ!」

 

 

悪いな、早い者勝ちなんだ。




後書き
更新常に未定。
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