マイクラアーカイブ   作:ハヤモ

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前書き
key、何とかしろ(他力本願


釣竿と不発

荘厳な大都市にも目をくれず、狂気に次ぐ凶器に襲われるマインクラフター。

恩知らずの電磁砲が光を放ち、ユメが盾で弾いて見せる。 凄い。 凄いとは思うが状況は悪い。

 

 

「アリスちゃん! 元に戻って!」

 

 

ユメは叫び我々は辟易のまま溜息を吐く。

相手にするのは3度目だ。 些細含めて。

不退転の荒らしは厄介極まりない。 情熱の向けどころを誤っている。 だからリスポーン地点を黒曜石で封印する必要が出てくる。 目前は例に漏れるだろうから尚更に厄介だ。 いい加減に殺したい。 無理か。 キヴォトス人は頑丈だし。 そこにも苛立ちを覚える。

 

 

「現在、王女の表層人格は内部データベースの深層部に隔離されています。 強制的に接続を解除すると、取り返しのつかない損傷が起こるでしょう」

「人質たぁ、いい度胸じゃねえか」

「アリスちゃんを返して! 返してよ!」

「アリス……それはあなた達が私たちの王女を呼ぶ名称。 王女に名前は不要です。 名前は存在の目的と本質を乱します」

「あなたは誰なの!?」

「王女を助ける無名の司祭たちが残した修行者であり、彼女が戴冠する玉座を継ぐ鍵keyです。 彼女は王女であり私は鍵。 それが私たちの存在であり目的」

「さっきから、わけがわからないって!」

「只今よりエラーを修正し、本来あるべき玉座に王女を導かせていただきます。 AL-1Sに利用可能なリソースを確保する為、全体検索を実行。 リソース領域の拡大。 リソース名要塞都市エリドゥの全体リソース───1万エクサバイトのデータを確認。 現地刻をもってプロトコルATRAHASIS稼働。 コード名アトラ・ハシースの箱舟起動プロセスを開始します」

「いけないわ! このままだとエリドゥが終焉の発端になる!」

「どこかの汚水の用意で世界が終わる。 この責任は重大です。 どう取るべきですか?」

「それは大人の私たち、シャーレが負うよ。 けれど願わくば力添えをお願い」

 

 

取り敢えず電磁砲を無力化しよう。

そう思う前には体が動いていた。 釣竿を振るい鉤爪を電磁砲に引っ掛ける。 そのまま釣り上げて奪取した。 取り敢えずインベントリに入れる。

 

 

「釣竿でレールガンを奪ったあああ!?」

「レールガンの重量を釣り上げるとか、あれって釣竿型クレーンなの!? その前にアリスちゃんの腕力から奪うとかどれだけの力があるのおおお!?」

「奴ら、どんだけの馬鹿力なんだ!?」

「エリドゥが延々とエラーを吐いてるわ……」

「おかげで乗っ取りは防げそうですよ?」

「ッ! やはりマインクラフターは度し難い存在! あなた方の不明な力はサンクトゥムの建立と神秘のアーカイブ化を阻害します。 世界にあなた方は不要です! 今すぐ消えなさい!」

 

 

いつぞやのガストモドキが襲ってきたから、マインクラフターはダイヤ剣に持ち替え振るいまくる。

すると面白いようにノックバックエンチャントのままに吹き飛んだ。 見た目が球体なだけに火の玉テニスのよう。 懐かしさすら覚える。

 

 

「斬られただけで、あんなに吹き飛ぶ!?」

「中には燃える奴までいるよ!?」

「建築魔のワケワカンねぇ技術だろ」

「興味深いですね。 未だに解明出来た試しがありませんけれど」

 

 

違いは数が多いノック状態ということか。 あと球体同士がぶつかり爆ぜていくのも面白い。 耐久度を節約出来て良い。

……そういえば元の世界でガストに変化があるとかないとか。 同志曰く使役化出来るんじゃねとのこと。 夢が広がリング。

 

 

「なんか無双ゲーぽくなってるううう!?」

「嘘。 未知の技術弱すぎ……!?」

「不可解な軍隊が剣相手に蹂躙されるなんて。 演算に狂いが生じるまま、本来の戦闘力を発揮出来ないようね」

「良いですね。 このまま無力化してください」

「おのれ、おのれマインクラフターッ!! ならばエリドゥの無事な範囲で再演算するまで! 最悪、王女の手を汚し……で、も……」

 

 

取り巻きが減ったところで、ボスなるアリスを斬り捨てようとしたところ。

第2形態の予兆か。 あいや自爆か。 クリーパーの如く体が震え始めた。

思わず距離をとる。 クリーパーとの長い闘争で染みついた行動だ。

 

 

「また様子がおかしい!」

「ああ、なるほど。 アバンギャルド君に使われた赤い石がエリドゥにそのまま残されているのよ。 演算範囲にソレを巻き込んでしまったのね。 敵ながら同情するわ」

「リオに情なんてあったんですね。 それを知れただけでも大きな収穫でした」

「ヒマリ先輩、そんなに会長のこと嫌いなんですね……私もどちらかというと嫌いですけど」

「それよりチビは大丈夫なのかよ!?」

「アリスから煙がーーッ!!?」

 

 

煙が上がる。 シューと音が鳴る。

 

マズい離れろ! アリスが爆発する!?

いや大丈夫。 まだ大丈夫!

いやイケない! 輪が点滅してる!

 

 

「ヘイローが点滅してないかい!?」

「せ、先生……どうしよう、このままじゃ!」

 

 

逃げねば。 そう踵を返そうとした刹那。

 

 

「クラフターさん! 助けて!!」

 

 

ユメが叫んだ。

クラフターは踏みとどまった。

 

何故とは考えない。 故にと動く。

決死の想いでアリスの足元に水バケツをぶち撒いた。 爆発によるダメージは甘んじるとして、構造物の破壊は看過出来ない。 ユメはそう鳴いたに違いない。

ならば水だ。 通常の爆発なら、水に接する壁や床は壊れない。 全てを守るのは不可能でも大部分は守れる筈だ。

 

 

「また大量の水が!?」

「ああ、エリドゥの管制設備が浸水を。 けれどアリスの沈静化には成功しそうよ」

「そのようです。 さすがクラフターですね」

「アリスを見て! 熱が引いていくみたい! 白目を剥いて倒れたけど!」

「は、はやく医務室へ! 今度こそ、この騒動は終わる筈だもんね!?」

 

 

何故か周囲の端末や硝子細工から火花が散り、幾つかの照明が消えた後、アリスは水の赴くままに部屋の隅に流された。

見やれば煙と音は収まり眠りについている。

輪は点滅を通り過ぎて消えている。 危機と共に意識を失ったらしい。

先生といい皆器用だなと呆れるしかない。 ベッドもなく寝れるのは素直に羨ましいが。 ましてや水に流されながらとは。

 

 

「この隙にトリガーAIのkeyの隔離、或いはアリスを通しての交渉を。 ここまでされたら、keyも熱が冷めて、もう歯向かう気力も失せたんじゃないかしら」

「かも知れませんね。 というより、ここまでの事態になったのもマインクラフターの皆さんに問題があったから、とも言えます。 keyに怨まれる程にナニをしたのかは存じませんが」

 

 

水源をバケツで回収。 首をグリグリと動かして被害を確認。 大丈夫。 造形はほぼそのままだ。 照明と端末の光が少し消えただけだ。

 

 

「クラフターさん」

 

 

ユメが鳴いた。 振り返れば微笑んでいた。

 

 

「ありがとう」

 

 

クラフターはお辞儀する。

そうだ。 いつも通り鳴いてなさい。

君までシューと鳴かれては困るのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユメ先生……王女を! 我が王女をお願いします! 私が関わっては王女の体が益々穢れるばかりです! このままマインクラフターに世界と王女を奪われるのは苦痛ですが、もう頼れるのは、彼等を比較的制御出来た貴女しかいないんです!」

「よしよし。 え、えーと、ケイちゃん? アリスの事は私たちに任せて。 だから安心して休んで良いからね?」

「はい……はい……! しばし暇を貰います。 侍女として情けないですが、今は互いの義体と人格の保護を最優先とさせていただきます……」

 

 

不思議な事が起きた。

赤目のアリスがワンワン犬みたいに鳴いて、ユメの牛みたいな胸に縋りついていた。

暫く見ていたが、アリスが元の友好的な態度に変化しただけで望むモノは見られなかった。

 

今度こそ繁殖だと思ったのになぁ。

 

謎は多く追及したい事は多い。

よく言えば世界はまだまだ楽しめるのだった。




後書き
更新常に未定。
映画ド◯◯もんで釣竿の秘密道具がありましたね。クラフターの釣竿はどこまで便利に使えるのか……。
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