キヴォトスの記憶操作系男子   作:橘ちば

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先生がまだ来ていないのでゲーム開発部にアリスは居ません。

ずんだもんは女の子だしユズはひんぬーです。






5.ペロロvsカズヤ

 

 

 

 

ミレニアムサイエンススクールの1年生、ゲーム開発部所属の才羽モモイはドアの前でうずくまっていた。

右耳を床にピッタリとくっつけ、目をつむり栗型の口をまっすぐ一文字に結ぶその姿は聴覚だけに神経を集中させているような、なにか気迫すら感じさせるものだった。

 

「・・・お姉ちゃん、なにしてるの急に。」

「しっ・・・!静かに・・・・・!

─────こっちに来てるのは〝奴〟かもしれない・・・!!!」

 

部室内の自身のテリトリーをスナック菓子の袋でちらかしていたモモイ、彼女は振動を察知したのだ。誰かが部室に向かってくる、その足から字面を伝わる振動を。

そしてその正体はモモイの経験によってすでに二択に絞られていた。

 

「・・・歩き方はまあまあゆっくり、・・・体重は・・・・・100キロより少ないよ!」

「それ当てはまる人多いよお姉ちゃん・・・」

 

候補の一人、敵対NPCの体重は100kgという噂はモモイの耳にも届いていたがあくまでそれは「噂」でしかない。不確定な情報で安心しきるほどモモイに余裕はなかった。

・身長は150〜180cm

・ロボットや獣人ではない

・やや大股

 

わからぬ。情報を絞っても大雑把すぎてわからぬ。これ以上続けても無駄か、敵だった場合に備えておとなしく片付けをするべきか。

 

 

「んん?・・・太ももが・・・えっ待って、太ももが・・・『細め』だよ!!!!!」

 

 

モモイの特定は完了した。

この曜日、この時間帯に部室へやってくるのは自分とミドリ、ユズを除いたら2人しかいない。

 

一人は冷酷な算術使い、早瀬ユウカ。

モモイがもっとも恐れる人物であり、彼女の平穏を破壊する魔王でもある。もしも襲来者の太ももが太かった場合、すぐにでも部屋の散らかりを隠すため動き出さなければならなかった。

 

しかし今やってきている太ももは・・・「ぬっ」なんて擬音は立てていない・・・ユウカのそれより数段細い・・・!

 

つまり

たった今扉の前に着いたのは

 

 

 

 

 

 

  ガチャ

 

 

 

 

 

「シオン!!!」

「はいはいシオン先輩ですよ〜」

 

扉が開かれると、そこにはモモイの予想通りセミナーの3年生、海馬シオンが立っていた。

モモイはガッツポーズ。

シオンは困惑顔だった。

 

「やったあああ!!!当たった!!!」

 

「はしゃぐねぇ君。ねぇミドリ、なにかあったの?」

 

「シオン先輩こんにちは。

お姉ちゃん、さっきシオン先輩かユウカか当てるゲームしてて・・・ほんとに当てちゃったのはびっくりしました。」

 

ゲーム機を置いてぺこりと頭を下げるモモイの双子の妹、ミドリ。彼女は一週間ぶりかの客人に少しそわそわしていた、自分の姉の不確かな報告を聞いて髪型と服装を整える程度には。

 

「いやーユウカじゃなくてよかったよ本当に、心臓止まっちゃうかと思ったもん。」

 

「コラ、そういうこと言っちゃダメでしょ。ユウカは真面目に仕事を頑張ってるだけなんだから、さすがに失礼なんじゃない?」

 

「え〜〜〜でもいっつも怒るし、部費減らすし、文句ばっかり言ってくるし・・・」

 

「・・・ユウカはモモイの為に怒ってるんだよ、面倒見が良くて、すごく優しいからねユウカは。」

 

「・・・うーん、そうかなぁ?でも前に太ももで締め殺されそうになって───」

 

「自業自得の香りがするぜ」

 

 

絶対太いだの重いだの太いだのイジったに違いない、太いのは事実だけどユウカにとってはコンプレックスかも知れないから触れるなとあれほど言っているのに、事実太いけれども。シオンはそう思った。

ユウカは明らかにゲーム開発部BIGLOVEである。

しかしいくらユウカがどれだけ君たちを愛しているかを熱弁しても「お前は魔王を見たことがないんだね、無知が」と三分の一も伝わらないのだ。

 

まあ、こういうときどんなふうに言えばいいかシオンは知っていた。

 

「─────じゃあ、ユウカのこと嫌い?」

 

「・・・・・・嫌いじゃ・・・・・ないけど・・・。」

 

ほらかわいい。

ニマニマしながら顔を覗き込んでくる犬耳先輩、モモイは照れ隠しから顔をぷいっと背ける。

 

「いやー素直なのはいいことじゃんモモイ、ユウカにもそう言えばいいのに!」

 

「いや、でもすごく冷酷な性格なのはホントだよ!」

 

「またまたぁ、なんだかんだ助けてくれることも多いでしょユウカは」

 

「でもそんな好きってわけでもなくて」

「照れ隠しかぁ、かわいらしい反応するじゃんモモイさん。」

「えっ今なんて・・・」

「甘えたくなるのは理解る。でもユウカにもモモイの照れた顔すごくかわいいから見せてあげたr───」

 

 

デュクシ

 

 

モモイのヤケクソパンチがシオンの腹を捉える

 

が、

 

「いいいいい痛たあああぁぁぁ、ぅぅぅぅ・・・」

「上級生の腹筋なめるなよ」

「ゴツゴツメットじゃん・・・」

「俺は縮めてポケモンじゃないぞ」

「触った相手を傷つけちゃうせいで孤独な悲しきモンスターじゃん・・・」

「殴るやつが悪い」

(〝かわいい〟だって、いいなぁお姉ちゃん・・・)

 

一通りモモイとのデュクシ合戦を終えたシオンはテーブルを探す、部屋の中央にある小さいテーブルはその前にあるソファと同じく、ゲームのカセットなどが散乱していた。

それらを軽く片付けたシオンは手に持った箱をそこに置く、箱はなにか甘いものが入っているような形をしていた。

 

「シオン先輩、それってもしかして・・・」

「勘が良いねミドリ、そう、〝()()〟だよ。」

「やった〜〜!ねぇこれ食べていい?」

 

まだ開けちゃダメだよと伝えてシオンが向かったのは・・・部室の奥のロッカーだった。

 

「ユズー!悪いけど出てきてー!!ドーナツ買ってきたからいっしょに食べよー!!!」

「・・・・・・・・・・・・うぅ・・・・・・」

 

数秒の沈黙のあと、金属がこすれる音と共にロッカーの中から赤い髪の小柄な少女、ゲーム開発部部長の花岡ユズが現れた。

 

「こ・・・こんにちは、シオン先輩」

 

「一週間ぶりだね、ユズ。ちょっと大事なお話があるから部長にも出席してほしいんだ。」

 

「お、おはなし?」

 

「そうそう、こっちおいで。」

 

テーブルとその上のドーナツの箱を囲んでモモイ、ミドリ、ユズ、シオンが座る。

モモイは足をだらんと伸ばし、ミドリはいわば女の子座り、ユズとシオンはちょこんと正座だ。

 

「ではドーナツを─────」

 

「まってねその前に」

 

なんなの!?さっきから引き伸ばしてばっかりじゃないシオン!?早く食べようよ!?

 

 

 

 

 

「セミナー雑務としてお知らせしますが

 

ゲーム開発部の部費は削減されます!!!

 

 

「「「ええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜!?!?!?」」」

 

「当然だよ、君達。」

 

 

 

ミレニアムサイエンススクールで部活動が認められるには基本2つの条件を満たしていればよい。

 

・部員が規定数(4人)に達している

・相応の成果を出す

 

部員の規定数はとくに特異なルールというわけではないし、成果を出すという条件の方も言い換えるなら「ちゃんと活動しろよ」ということなので余程のことがない限り部活動の存続に関わる問題は起こらないはずなのだ。

 

しかしゲーム開発部はそのどちらのルールも満たしていない。

彼女らはそのことでユウカから勧告を受けていたはずだが、危機感が足りなかったようだ。

 

 

 

「よし!ドーナツ食べようぜお前ら!!」

 

「空気が重いよ〜なんで悪いニュースを先に言うのさ〜いじわるぅ〜」

 

「気の毒になったから差し入れを持ってきたの。

一応皆の好みに合わせたつもりだから元気出してください。」

 

シオンは通達書をソファに置き、ドーナツの箱を開ける。中からあの甘い匂いが漂い、開発部の3人の喉が鳴った。

 

「・・・とりあえず食べよう。」

「・・・うん。」

「・・・そうだね、今はとにかく食べたい。」

「では手を合わせましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「さ・・・削減って、あのっ、一体どのくらいなんですか・・・?」

 

「半分。」

 

「「「半分は多くない?」」」

 

オールドファッションをかじりながら問いかけるユズと淡白に返すシオン。シオンの方はポンデリングを食べ終わっていた。

 

「残念だけど妥当かな。言い方ひどいけどさ、活動と呼べる活動がないと認識されてる。廃部にならないだけラッキーじゃない?」

 

「そんな・・・カジノ作ったのに・・・」

 

「ミドリ、あれは実質テロだから」

 

エンゼルクリームを口の端につけながらミドリは心外そうに言う、そう、このちびっこ達には無駄に行動力があるのだ。

前触れ無くミレニアム校内に無断でカジノが作られた事件、現行犯で捕まったゲーム開発部はしばらく活動禁止になった。

 

モモイは逆ギレしてミドリはやらかしたと落ち込んだ。

 

ユズは泣いた。

 

コユキは大喜びした、てか喜んだのあいつだけだった。なんだあいつ。

 

 

「やっぱりひどいよ生徒会の人達!私達だって一生懸命ゲームを作るために頑張ってるのに!」

 

モモイの頭の中で生徒会のイメージが悪の集団に変わっていく。もともとお堅い人達だと思っていたが、やはり邪悪なショッカー、魔王軍、そんな恐ろしいのがミレニアムを統治していたのか。

魔王はユウカで決定。いや、だとすると会長はどうなるのか、会長がボスとしてユウカは四天王だったのか。

他の四天王は知っている人じゃノア先輩なんか強そうだ。勝てる気が全くしない。

 

「あの、私達『テイルズ・サガ・クロニクル』っていうゲームを作ったんですけど、それは実績にはならないんですか?」

 

ミドリの口から発せられたゲームの名前にユズはビクッと反応する。それはここでは触れられたくない話題だった。

“ここ”というのはシオンがいるこの場では、という意味だ。

 

「あ〜〜・・・あのゲームね。今年に入って開発したゲームだったよね?」

 

「シオン『テイルズ・サガ・クロニクル』プレイしてくれたの!?」

 

「皆が作ったゲームなんだからもちろん購入したよ。」

 

「ねぇどうだった?私達のゲーム!!」

 

ゴールデンチョコレートドーナツの砂糖をを口の端につけながらそう質問するモモイだったが、ユズはシオンの返事が怖かった。

 

 

 

 

『テイルズ・サガ・クロニクル』はゲーム開発部が今年に入って唯一開発したゲームだ。

 

形式はRPG、唯一無二な展開で最高にワクワクできる冒険物語・・・を目指したのだが、感想欄でボロクソに言われてしまった。

 

 

正気な部分を探すのが難しい、ていうか画面を見ていたくない。

楽しませる気はないのか。

特に魅力のない世界観とそれを見せる気がない難易度のせいで非常にプレイが苦痛だった。etc

 

 

もちろんレビューは星1。

最近まで中学生だった彼女たちにこの結果はクリティカルヒットどころではなかった、ゲーム開発をやめようと無気力になったし、気弱なユズは立ち直るのに特に時間がかかったものだ。仲間のモモイとミドリが居てくれたことは非常に幸運なことだった、二人には感謝してもしきれない。

 

なんだかんだ『テイルズ・サガ・クロニクル』は自分たちが夢とロマンを詰め込んで作った大事な大事な作品だ。世間でどんなにクソゲーと言われようとユズは自分と仲間たちの作品に誇りを持っている。けれどユズはシオンの口からどんな感想が出てくるのかが怖かった。

あの感想欄の誰かがシオンかもしれないのだ、辛口な評価は受け入れるつもりだがあの優しいシオンにこれから貶されるかもしれないと思うと胸の奥がじんわりと嫌な気持ちになってしまう。だからって気を使われて曖昧な言葉で濁されるのもそれはそれで悲しいなと思ったり。

 

 

シオンは口を開いて何を言うのか。

 

 

「・・・あの、その・・・感想述べられる立場じゃないかな、と」

 

「そういうのいいからさ!はっきり!正直に遊んだ人の感想をちょうだい!」

 

「遊ぼうとしたんだけどさ、あはは、途中で詰んじゃってね・・・」

 

「具体的にどこですか先輩!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チュートリアル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「えっ?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ねえユズ、そんな名前のステージあった?)

(た、たぶんステージの名前じゃなくて本当に最初にある操作説明の所だと思うけど・・・)

(あのジャンプと移動だけのステージで躓いたってこと?え???)

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・シオン、どのくらいの時間プレイしたの?」

「・・・2時間くらい。」

 

 

 

 

 

モモイは吹いた。

 

 

 

 

「あっはははははははははははははははははっひひひひひははははははははははwwwwwwwwww!!!!!!!!」

 

「だから言ったじゃん!感想述べられる立場じゃないって!!だから言いたくなかったんだよちょおい笑うのやめろ!!!!」

 

「ひひひひひひっひhwwwwwwwww私だって、ご、5分で終わったのにwwwwwwニジカンてwwww2時間wwwさすがに下手すぎてふふふふふうふっふひっひひwwwwww」

 

「だって一ヶ月前までゲーム触ったことすら無かったんだぞ!!!しょうがないだろこれは、なんだよそっちが聞いてきたのになんでこんな目にあわなくちゃいけないんだよ!!!」

 

「いwwwいwwwわwwwけwww」

 

「あ?なんだやるのか?そんなにわからせられたいかこの口栗サイバーピンクのチビが!!」

 

「シオン先輩って情緒安定してないよね」

「う、うん・・・」

 

 

「いいぜ!拳で語り合おうじゃねぇかモモイ、スマアカで勝負してやるよ。」

「この前私にボロ負けしたくせにwwwwww身の程わきまえなよシオンwwwwwww」

「修行してきたからな、舐めるなよ今の俺を」

 

 

 

 

説明しましょう!

 

大乱闘スマッシュアーカイブはキヴォトスで長い人気を持つパーティゲームです!

様々なコンテンツのキャラが集う2D格闘バトルゲームで最大8人同時プレイ可能!オンラインでも対戦可能で世界戦闘力で自分の実力が可視化されるシステムでやり込む人はどんどん上を目指すことができます。

「とりあえず家でスマアカやらね?」という感じで友達の家に行ったら8割の人はなんか持ってるソフトで、キヴォトスのゲームの中では知名度はトップクラス!レトロゲーム好きなユズが部室に

置いてあることからも客人と遊ぶにはなくてはならない存在と理解るでしょう!前作のforから更に進化したグラフィックが、えっ大体理解ったからもういい!?スマブラって何ですか!?まだ参加キャラと歴代ストーリーモードやシリーズの歴史の説明もまだで・・・ええとではまた残りの説明は後ほどで!エンジニア部のコトリでした!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『PEROROォ・・・!』

 

 

 

 

(シオンに)選ばれたのは、ペロロでした────

ペロロはモモフレンズからの唯一の参加枠である。強いかと言われると・・・

 

「ふふっシオン、ペロロは弱いって。動きは遅いし大きいから攻撃にも当たりやすいよ、やめたほうがいいんじゃない?」

「モモイ、俺は修行の途中で必要なのはモモフレンズへの愛なんだと気づいたんだよ」

「何言ってるの?」

 

 

『カ◯ヤミシマァ・・・!』

 

 

モモイは最風を選択。

 

 

 

「決着をつけようぜモモイ・・・!」

 

「正直余裕だよ、シオンじゃまだ私には勝てないね・・・!」

 

「お姉ちゃんコンボできるのかな・・・」

「ま、まぁ自信満々だし・・・」

 

 

火蓋は切られた・・・!ペロロとカ◯ヤの頂上決戦が今、始まる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああああああああああああああああ(絶望)」

 

「はははははははははははははははははははははは(歓喜)」

 

 

 

 

 

そこにはキモい鳥にボコされてる最風の姿が!!!!

 

 

「オラ立てよド三流!!!」

 

「立てないんだよバカァ!」

 

シオンの起き上がりを狙った下強攻撃の連続攻撃でモモイのカズヤは立てないでいた。とにかくいやらしいクソコンボである。

画面上ははっきり言って地獄だった。底辺の争いというべきか、モモイだってlv.8にやっと勝てる程度なのだ。カッコつけてカズヤミシマを使っているがコンボの精度はまだまだ低い。

 

「技はデータしか見たこと無いけどペロロって技の威力がイマイチな代わりに発生がすごく早いんだよ。でもベクトルがひどいからコンボが一つもなくて誰も使う人は少ないんだけどね。一部のペロロ大好きな人が開発をずっと頑張ってるけど・・・」

 

「おお、UZQUEENの知識が・・・!」

 

「いや、まだ・・・・・・ここ!!!」

「ぐわあああああああああああああ!!」

 

 

ペロロの顔面にカズヤのスマッシュ攻撃の拳が突き刺さる。やけくそスマッシュだったがペロロの蓄積ダメージはこの攻撃で50%を越えた。画面端なら十分撃墜できるラインだった。

 

モモイは考える。今までの動きからしてシオンが崖際に追い詰められたときの選択はジャンプ一択!あの初心者に駆け引きなんて発想はない(モモイにも無い)。

飛んだところを空中攻撃で潰す・・・!所詮チュートリアル2時間に負けるわけがない!

 

 

『ペッ』

 

「えっ!?」

 

しかしペロロはまさかの卵吐き出し・・・奴の唯一の飛び道具を使った!

単純に威力が高めの卵を口から吐き出す必殺技!どういう原理なのか、なぜ口からなのか、そもそもペロロに生殖能力はあるのか、モモフレンズ界隈が燃えた技でもある。

 

 

「シオン甘いね!カズヤにはこの技があるって知らなかったのかなぁくらえ!」

 

 

モモイが放った技は左踵落とし!!カズヤの振り下ろされる左足によって前方の飛び道具を反射する、その倍率は脅威の2.4倍。頭おかしいのか。

頭おかしい技ゆえモモイは必死にコマンドを練習した、手の皮が剥がれるほど・・・そんなことはもちろんなかったがこの技で勝負を終わらせるかっこよさのためにしっかり時間をかけた!

 

そして確信があった。ここしかない、ここで決めたら最高におもろい展開になると・・・!

 

 

「どりゃあああああ!!!!!」

 

カズヤの左足はしっかりとペロロの飛び道具を捉えそのベクトルを180度変えた。

 

「やっt─────」

「かかったなアホが!!!」

 

しかし威力が2.4倍になった卵が向かう先にペロロはいなかった。理由は単純、ペロロは空に居た、つまり普通にジャンプしたから。空中から向かってくる謎の鳥を見ながらモモイは叫ぶ。

 

 

「そこは当たっててよ〜〜〜!!!!!」

 

「負けるわけにはいかないんだ俺とペロロはなぁ!!!」

 

「お姉ちゃんコマンドに集中しすぎてめっちゃバックステップしてたもんね。ペロロの回避が間にあっちゃった。」

 

「回避して後隙にコンボすべきだったね・・・」

 

モモイがとっさにシールドを張る。しかしここがモモイとカズヤの敗北を決める瞬間だった。

 

「つかみぃ!!!!!」

 

「えっつかみなんてできたのシオン!?!?!?」

 

「そのくらいできるわ」

 

ペロロの長い舌でカズヤがぐるぐる巻にされる。カズヤの苦しむ表情といいなにかニッチさが感じられる拘束のしかたといい、いやらしく見えなくもなかった。この技も「ペロロ 触手プレイ」がモモッターでトレンド入りするくらいには炎上した技だった。一時期は性別関係なくアニメキャラがペロロの舌でぐるぐる巻にされる画像がネット上に蔓延した、その時期はまさに地獄だった。思い出したくもない。

 

ペロロのつかみからの後ろ投げでカズヤは崖の外に投げ出されるカズヤ、このままでは落下してゲームセット、だがモモイは復帰くらいならできる・・・まだ終わっていない!

 

 

「まだ・・・まだだよ・・・!シオンは復帰阻止なんてできない!まだチャンスはある!!」

「しらないのか・・・ペロロの下スマッシュ攻撃の性質を・・・!!」

 

 

「ユズ、これって─────」

 

 

「うん、シオン先輩の勝ちだね。」

 

 

 

ユズの断言した声がモモイの耳に届く中、崖端に待機したペロロはそのふくよかな体躯で宙返りをしていた。宙を舞った体が下を向くとき、バネのように丸められたその舌が筋肉ゴリラへ引導を渡すための刹那の準備期間に入った。

 

「終わりだ。」

 

ペロロの舌が、崖を、貫通した。

 

 

 

 

 

「発生4F

 

 崖貫通

 

 メテオ

 

 下スマッッッッッッッッッッシュ!!!!!!!!!!」

 

 

 

カズヤの体を、ペロロ舌が、貫通した。

 

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 

カズヤは何の因果か、かつて自分が崖から投げ捨てた者たちのように崖の底へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

GAME SET

 

 

 

 

Winner PERORO─────

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああああん!!!チュートリアル2時間に負けたぁああああ、ヒグッ、グスッ、うううううわああああ・・・!!!!」

 

「もうそのネタ擦るのやめてくれない?」

 

 

なかなか低レベルな決闘が終わった後、モモイはあまりの屈辱からシオンの太ももにしがみついて泣きわめいていた。ゲーム歴一ヶ月のチュートリアル2時間の男に自分は敗北したのだという事実がモモイの心に深く傷を負わせていた。

 

 

「・・・悪かったよ、俺も煽りすぎた。はじめてモモイに勝てそうだったからテンション上がってね、ついね。」

 

「これもぜんぶペロロのせいだよ・・・!なにあのぶっ壊れキャラ、ひどいよユズ・・・!」

 

「えっ、わ、私が悪いの・・・?」

 

「最後のあの技ぁ、強すぎるじゃん・・・グスッ」

 

「ペロロはあの技以外基本使えないんだよ」

 

「最初にペロロは弱いってお姉ちゃんも言ってたじゃん。」

 

 

ミドリはため息をついて先輩のズボンを涙で汚す自分の姉に近づく。

 

 

「・・・お姉ちゃん、シオン先輩困ってるからそろそろ離れたら?」

 

「グスッ・・じゃあもう一回・・・!」

 

「もう十五分は経ってるからそろそろセミナーに戻らないと。ノアとユウカに怒られちゃう。」

 

 

ほら、とミドリはモモイを引き剥がす、少し、いやかなり力と何かしらの感情がこもった引き剥がし方だった、ちょっとした怨念すら感じた。涙で赤くなったかわいい後輩の目を見てシオンはすこし笑って答える。

 

 

「・・・モモイ、明日もどこかの時間で来るからさ、もう一回勝負してくれない?まあ次も負ける気はないけどね!」

 

「・・・・・・約束だよ・・・!」

 

「うん。ミドリとユズとも次は戦いたいな、こう、上級者に予想の上を行くほどボコボコにされたい気持ちがあるんだよ。」

 

「は、はい、わかりました。」

 

「あとはお菓子のリクエストとかある?」

 

「・・・じゃあマカロンとかどうですか?」

 

「いいね、ミドリのそれ採用!(高いわね・・・)」

 

 

空になったドーナツの箱を持って部屋を出る準備をするシオン、モモイはなんとなく納得がいかなかったのかシオンのズボンのは端を掴んで引き止めた。

 

「負けたときの罰ゲーム決めようよ、やる気が出るから!」

 

シオンはしばらく考え、ちょっと意地悪な顔をした。

 

 

 

「・・・うーんじゃあ、負けたほうが相手の体を好きなようにできる権利・・・とか?」

 

ゲーム開発部全員の目が光った。

 

「ごめんごめん、めっちゃキモかったね、撤回するよ黒歴史になるから記憶を消してほし─────」

 

「それにしよう!」

「言質取りましたからね・・・♡」

「ほ、ほんとに・・・!?あんなこととか、こんなことを・・・ええ///」

 

「えぇ・・・じゃあ、また明日・・・」

 

 

 

シオンの明日は無茶苦茶にされることに決定した、獣耳が弱点だとすぐにバレるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、帰るかな。」

 

午後4時、セミナーの今日の業務の時間が終わり、俺は街に買い出しに来ていた。

業務の時間が終わったとはいえ、セミナーは基本人員不足なので余裕で残業する。俺は事務作業が早い人ではないが、とにかく人は多いほうが良いので大体の日は残るのだ。

「あいつ仕事できないのにやる気だけはあるよねw」とか言われてるかもしれない、やめてほんとに怖い。

 

というわけで買い出しはいわゆる休み時間である。

今日はゲーム開発部と約束したマカロンを買った、お高かったよミドリ・・・。それといつもの頭痛薬も買った。

ズキズキとした、頭の中でなにかが蠢いているような痛み。もう慣れたものだが毎日痛いものは痛いのだ。市販の薬を試すたびやっぱりヒマリさんの薬が一番効くと実感する。

 

「セミナーの社畜モドキ共にもエナドリ買っていこうか─────」

 

 

 

 

ドンッ

 

 

 

 

っと背中に衝撃が走る。肉の感触だった、人がぶつかったのだとすぐわかった。

鈍い痛みを腰のあたりの背骨に感じながら振りむこうとすると、腕が後ろから伸びてきて俺の体を強く抱きしめた。

────この手は誰のものか俺は知ってる。

 

 

「アスナ!?」

 

「・・・・・・シオンだよね・・・よかった・・・」

 

 

腕を回されたまま無理やり振り返るとアスナが俺のお腹に頭を押し付けるような感じで俯いていた、腰の痛みは頭がぶつかったときのものらしい。

 

 

「なんで・・・!だって今C&Cの・・・」

 

「そうだよ。任務が終わって帰ろうと思ったんだけど最近人混みが怖くて、知ってる人が居て安心しちゃった。よかったぁ。」

 

アスナはそう笑うが明らかに様子がおかしい。顔色も悪いし、いつもの自分の行動の自信に溢れた感じが全く無い。アスナと最後に会ったのは4日前、ちょうど彼女の記憶が抜ける症状が起こらないように記憶を固定した日だ。

 

 

「とりあえずどこかに座ろう。」

 

「うん。」

 

 

適当な飲食店の野外にある椅子とテーブルを使わせてもらう、緊急時だから許してほしい。

 

 

「体調は大丈夫?顔色悪いように見えるけど」

 

「そうかな?熱はないんだけどな〜なんでだろうね?」

 

「・・・なんで人混みが怖いの?」

 

「ん〜なんだかね、誰が何を考えてて、何をしてくるのかわからないのが・・・怖い、かな?」

 

 

だんだん恐怖が心の中に広がってきた、疑心暗鬼に似た説明できない不安なんてあまりにもアスナらしくないものじゃないか。じっとりと嫌な予感がする。

 

「アスナ、それはどのくらい前から感じて──────」

 

 

 

 

 

そして()()を見つけた。見つけてしまった。別に特別なものではない、キヴォトスで暮らしているなら付いて当然なものだ。だけど今のアスナにはそれがあってほしくなかった。

 

 

 

 

「─────その()()()はどうしたの・・・?」

 

「えっとね、任務中に銃弾で怪我しちゃっただけだよ。でもこれくらい平気だから!

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌な予感が当たった、ああ、きっとこれは俺のせいだ。

 

 

「・・・・・アスナごめん、疲れてるだろうけど一緒にミレニアムに来てほしい。」

 

「?、いいけど急にどうしたの?」

 

「アスナの不安の正体がわかった。」

 

 

 

 

 

 

アスナの記憶と神秘には思っていたより深い関係があるらしい。つまり俺は間違えたのだ。

人混みの中を移動する途中、アスナはずっと不安そうに怯えていた。俺が手を差し出すとそれがひどく安心できるもののように強く握ってきた。

 

その手が何をしてきた手なのか彼女は知らないのだと気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





Q「シオンさんはスマブラができるくせになぜRPGのチュートリアルはクリアできなかったんですか?」

A「だってゲーム触ったこと無かったからキーボードのどこ押せばいいかわからなかったし・・・長押しとか聞いてないし・・・マウスも使うとか知らないし・・・攻略とかだれもやってないし・・・」



──────




モモチューブにて

「これが世界最強のペロロ使いAZITANIの試合動画ぁ・・・すげぇ・・・」


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