認めない子 作:アイらゔU
幸か、不幸か―――
外の都市の静かな音が、事務所内の重苦しい雰囲気を際立たせていた。
夏樹の事務所からアイが去ったばかり。
短いながらも重要なやり取りを交わしていた夏樹の冷静な表情の裏には、彼の内心での葛藤があった。『秘密を守るという職業上の義務を果たさなければならないが、果たしてアイの行動について黙っているべきか?』と。
アイが事務所の外へと消え、まるで入れ替わる様にレイが入ってきた。彼の足音は目的を持って踏みしめられ、しかしその冷徹さが感じられた。夏樹は思わず身震いするが、それでも探偵としての職務を全うする事に決めた。
「ティアの猫缶、これで良いよね? 全く……グルメなんだから。良い値段したんだよ? これ。このぜーたくものめ」
「なー」
笑顔でティアに買ってきた猫缶を差し出しているレイ。
ティアも何度も何度も食べて学習している為、自身の大好物くらいは直ぐに解る。缶詰故に匂い等も密閉されていて解らない筈なのだが、それでもいち早くにレイの所へ向かい、肩へと飛び乗る所を見るに……嗅覚が凄まじいのか、或いはレイが帰ってきてくれて嬉しいだけなのか、若しくはその両方か。
その様子を見るに、アイと入れ替わって入ってきたが、実際に合流した訳ではなさそうだと瞬時に理解した。
アイがとある事を追い求めてこの事務所の門をたたいている事はレイは知らない。
唯一の親類と言う意味では最小の交流を持っている事は知っている様だが、レイ自身話題に出す事は無い。家族には知られたくない、と言うレイの心理的にもこの場所の話題は意図的に出さない様にしているのは見ていればよく解ると言うモノだ。
だからこそ、レイはアイがここに来ていることは知らない。
「(沈黙は金、か)」
夏樹は小さく呟いた。
しかし、それが正しい選択とは限らないことも知っている。時に、沈黙は守るべきものを危険に晒す。だが、今この瞬間に言葉を選び間違えれば、レイが暴走してしまう危険性もある。
彼の中で二つの感情が激しくせめぎ合っていた。最後には元々ある守秘義務もあってか、少なくとも『レイ本人の口で』だ。
依頼人の話を他人に勝手に話す訳にはいかないのは当然の事……だが、その依頼人が家族であるなら、その他人も家族であるのなら、その限りではない。
ティアの相手をしていたレイだったが、鋭い目線が事務所の中を一掃した。
空気の違和感を敏感に感じ取っているが、彼の関心はすでに別のところに向けられていた。アイに関する事ではない。それはある意味良かった事でもあるが、内容自体は穏やかなモノではない。自身のスキャンダルについてなのだから。
「それで、進捗の方はどうですか? お兄さん」
「上々。とだけ言っておこうか。……なんの心配もいらん。ただ、これだけは伝えておくよ。―――今回ばかりは一線を軽く越えてきた相手だ。一切の容赦の欠片も無い」
いつも通りの柔らかな声色。レイのそれは普段通りである、と付き合いがまだ浅い者であるならそう感じる事だろう。だが、レイを良く知る者なら……その変化は伝わる。伝わってくる。その素顔の奥に光る黒いモノを、感じ取る事が出来るだろう。
「嘘と悪意をばら撒いて、誰かの人生を平然と踏みにじる――そんな奴らには、それ相応の代償を払わせるべき、と言うのが元来のオレの考え方。しかも向けられた悪意が、
そんなレイに対しての返答は1つに限る。
同じ様に……心情的にはレイ以上とは言わないし、言えないかもしれないが、それでもそれ相応の怒りを覚えている事を全面に伝える事。
レイの声は冷静だが、その下に隠された怒りを十分過ぎるくらいには察する。
あの捏造記事。自分自身の事だけじゃない。不知火フリル、黒川あかね、彼女らを含めて貶めるために仕掛けられたあの下世話な報道。あまりにも露骨に悪意が込められていたのだから。……アレはレイじゃなくても100人中100人は怒るだろう。
「……ですね。良ければ今後の対策と対処法を教えておいて貰えれば、皆に安心させてあげる事が出来るので」
夏樹の目論見通り、レイの目には夏樹の背中がより頼もしく映っていたからこそ、怒りに呑まれる前に力を抜くことが出来た。
それは、ただ年上だからでも、元刑事という肩書があるからでもない。
どんなに混乱し、怒りに飲まれそうなときでも、この人と対した時、自分は自分を見失わないでいられると思うから。
それどころか、自分の乱れた心まで見透かして、当たり前のように整理してくれる――まるで魔法みたいだ、とさえ思った。
そんなレイの安心したような表情を夏樹は感じ取ると同時に、ニヤリとデスクの端に置かれているスマホを手に取った。
「それはそうとだレイ。……そろそろ自分のスマホは確認しておいた方が良いぞ?」
「……え?」
「ほれ。お前さん、ここに忘れて買い物に行ってただろ?」
夏樹はそういうと、レイは納得した。
でも、そこまで? とも思っている。買い物の時間は精々小一時間程度。長く放置している訳でも無いからだ。
だけど――――夏樹の表情が気になる。何故だか冷や汗が出てきている。
そして、まるでレイの心情を読み取ったかの様なタイミングで夏樹はひょいとスマホを投げてよこした。
手早くスマホをレイは受け取ると、軽くひと撫でして電源を入れる。
スリープ画面が光った瞬間、彼の表情が固まった。
「え……LINEの未読123件?」
「おお、丁度1,2,3の連番とは。中々の運だな」
「着信履歴……133件???」
「そっちの方までは上手い事並んでなかったようだな。残念」
何が残念なのだろうか~と言う事よりも、レイはスマホの画面から目を離せれられなかった。通知が山のように積み上がり、スクロールしてもしても終わらなく。先ほど言った通りLINEの未読メッセージ数は、軽く三桁を超えている。着信履歴には見慣れた名前がぎっしりと並んでいる。
それも交互にかけているのが解る。
「え、ええ、これ……なに?」
「ここに放置してる間、じゃんじゃん鳴ってた。まぁ、マナーだったから音は鳴ってないが、ずっとスマホ震えっぱなしだったぞ。いい加減、スマホ含めて安心させてやれ、って事だ」
「スマホ含めて安心させろってなに??」
ぶるぶるスマホが震えていたから、と?
いや、それもどうでも良い。問題なのはその中身だ。
「……ってか、レイ。ちゃんと苺プロの皆さんには安心させてやってるのか?」
「え、いや。この時間帯は殆ど休憩時間みたいなもの……だし? 安心も何も無くていつも通りで…………」
「いや普段ならそれも良いが、今の状況を考えろよ?? しかもお前さん、無茶した前科があるだろ」
夏樹は肩をすくめながらも、その表情には微かな面白がる色があった。
「別に、一時間くらい……」とレイは言いかけたが、夏樹の言葉が間違いない、と証明する様に次の瞬間、画面に表示された名前を見て言葉を飲み込んだ。
何せ、並んだ名前、全て苺プロの皆。家族の皆だったから。
「いやいや、アクアやルビーまで……?」
ミヤコや壱護は……まぁ解る。
確かに以前はかなりの釘を刺された事があるからだ。
でも、ルビーやアクアは面白がっていた様な気がしなくもない筈だ。何せ2人とも大のマザコンで、最推し。アイが標的になった時血走ってた筈だったから。
メッセージには、「どこ行ったの!?」「連絡つかないけど大丈夫?」といった心配の声がぎっしりと詰まっている。確かに行先は告げなかった。……それが不味かったのだろうか。
そして、既読になった瞬間にまたも着信。
「うわっ!」
「うわ、とは失礼だろ? 愛されてる証拠だ。さっさと安心させてやれ。てか、色々無自覚な所も叱られて来い」
夏樹は再び肩をすくめ、「いい加減誰かに返事しないと、次は苺プロ総出で捜索隊が組まれるかもだぞ?」と冗談交じりに告げた。
その言葉に、レイは苦笑しながらスマホを握り直し、返事を書き始めた。電話も良かったが、流石にこの場では夏樹に迷惑が掛かる。本人はどうも思わないかもしれないが、自分はそうはいかない。何でも話す間柄とは言っても、それでも限度と言うモノはあるからだ。
慌ててスマホをいじる彼の顔に浮かぶ微かな安堵を見て、夏樹は心の中でそっと呟く。
「(こんな風に、守られてる、…………お前は愛されてる、ってことを時々思い出せばいい。……後ろを振り返る事を忘れるなよ)」
夏樹は慌てるレイをみて、笑みを浮かべながらそう思う。
無論……
そんな夏樹の心情に合わせるかの様に、ティアは猫缶を平らげた後、静かに喉を鳴らしていたのだった。
フリルの事務所は慌ただしかった。
彼女に近い人物たち、マネージャーたちは解決に向けて奔走するが、雲行きが怪しくなってきていたのだ。
上層部の対応に関しては正直思わしくない、と言うのが下の考え。本来なら断固抗議の上、番組としても共に……が最善の筈なのにも拘わらず、である。
これまで通りに番組には出演する意向を示していた。
記者会見も簡素ながら出していたが、本当に簡素なモノ。何一つ自分の口からは話していない。……返って炎上するし、個人として話すよりは当事者ら皆を集めた方が説得力も違うから、と言われたが……どうにもきな臭い。
「……これって色々と絡んでるよね?」
「間違いないかと……。色々と我を通したのがこちらサイドなので」
「………」
フリルは少しだけ歯をかみしめた。
レイが出ている。それだけで十分参加するだけの理由になる。何より、相手にとっても悪い話じゃない、寧ろ自身の名を使い、より視聴率を稼ぐ事が出来ると良い所しかないと思っていた。互いにwin-win。それがフリルの考えだったのだが。事はそう簡単な話じゃなかったのかもしれない。……浅はかだったと言わざるを得ない。
そして、それはあかねの事務所でも同様だった。
「え……このままで、って」
「爪痕を残すって意味じゃこの上無い舞台だ。無論、抗議はこのままするが、今ガチに関しちゃこのまま予定通りに出演させる。ここらで足並み乱すのはありえねぇ」
どういう話し合いがあったのかは詳細は伝わってこないが、意図は同じ様だ。
何処も抗議の声は最小に、それでいて『今ガチ♡』はこれまで通りに続けると言う事。疑惑が出た時点で本来ならば番組としても一度止まるのが普通……な筈だが、簡単な会見はして、簡単に説明して、それだけで終わり。本当に、それだけだった。
それだけでは到底納得できないのは今も尚燃え続けてるSNSを見ればよく解る。
これで最善な訳がない。
社長とマネージャーの話は、あかねも聞いていた。
だから、どうしても解らない。どうしてこの位しかしないのかが……解らない。
「……今回の事は、ありえません。事実無根で、私は何処にでも出て説明します」
「そんなのは、解ってる。でも、嘘である事を証明するのは悪魔の証明。言葉だけじゃ何も変えられないし、間違いなく炎上は広がる。……この状態で、そんな場所に、矢面に今あかねを立たせる訳にはいかないよ。特に今回の番組……あかねはこれまでにない程躍進を見せたんだ。前だけを見ていれば良い。ここからはオレがしっかり防波堤になってみせるから」
明らかに名誉棄損な記事だ。それも犯罪を匂わせているレベルのもの。
未成年の淫行は普通に犯罪だ。
○強制性交(刑法第177条)
○未成年者淫行(刑法第176条)
○強制わいせつ罪(刑法第176条)
○児童ポルノ禁止法(児童買春・児童ポルノ第2条)
○児童買春(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)
○公然わいせつ罪(刑法第174条)
などなど、色々当てはまりそうなものが少し考えただけでもこれだけ浮かぶ。
好きな人に対して思いを寄せて、身体も寄せて……と言うのは女として望むところではあるが、こういったモノは当たり前だが一切望んでいない。
なのに、何故なのか……事態解決に動いてくれてる様には見えない。守ってくれると言ってくれるが……そうじゃない。それだけじゃない。
「………わ、わたしが、ふがいない、から……」
あかねの強すぎる責任感が、揺らいだメンタルが、より重圧となって自身に牙を剥いてしまった。
「それは違う。そうじゃない。……フリルさんにも言われたんだろう? あかね」
身体を震わせるあかねに対して強く言い聞かせる様にマネージャーは語りかけた。
「あかねは、勿論皆も何一つ間違った事はしてない。プロとして仕事を全うしているだけ。……悪いのは、悪意を持って事実を捻じ曲げてるアイツらで、自分達じゃない。そこだけは絶対はき違えちゃダメだ」
「ッ………」
訴えるにしても、時間と労力がどうしてもかかる。
まだ若く、時間も有限な子たちに余計な足踏みをさせたくない、と言う思惑もあるのかもしれない。
出来る事は……やるべき仕事を全うする事だけ。
涙を流していたあかねだったが、どうにか堪えて、目元を拭う。そしてスマホを見た。今ガチのメンバー全員とは繋がって連絡も取れているが……1人だけ、まだ繋がれてない。
「……レイ、くん」
自分は悪くないのはもうわかった。
それでも、どうしても謝りたい。と思うくらいは許してもらいたい。
あかねはそう思い、一筋の涙を流すのだった。
暗いオフィスの中、窓から差し込む光が薄暗く、ほのかな光で書類やモニターが照らされています。記者が電話を手に取り、電話の先でニヤリと笑う。
「だろうな。そうなるだろ。ああ、分かってる。禊はアレで済んだ。あの程度の記者会見で言いたいことを言わせておけば、それ以上のことは起こらないだろうさ」
息を吐きながら、モニターに映るニュース速報を一瞥し、スマホの通話を止めた。
そして今もまだまだ大火となって燃え広がるSNSも一瞥する。
その中には、当然週刊誌そのもののアンチの姿もある。客観的に考えれば、あの記事に物的証拠はない。
やはり不知火の名はどんな燃料よりも燃え広がる。あの瞬間の自分自身を褒めてやりたい。心から褒めてやりたいと自画自賛をしていた。
そして、ある一文にも目が留まる。
「ハッ。訴えるだ? どうぞどうぞってもんだ。結局、数字が増えればそれでいいんだよ。名誉棄損? そんなものは見せかけの問題だ。いくらでも持ち上げてやるよ」
ククッと笑い、机にあった冷えた缶コーヒーを手に取る。
グッーーーと勢いよく飲み干す。普段はブラック派だが、今は甘い方が良い。……まさに他人の不幸は蜜の味。
「数字が増えるなら何でもいいんだ。訴えられても、名誉棄損だなんだと叫ばれても、こっちはその分、売り上げも視聴率もウナギ登り。見返りは山ほどあるってな。……それに、
机の隅に置かれたモニターを見つめた。画面には番組出演者たちの画像が映し出されている。フリル、あかね、レイ──注目を集める中心人物たちだ。その顔を見て、彼は薄く笑みを浮かべた。
「テレビ局も同じ。演者なんて二の次。結局、視聴者の目を引いて、数字を稼げればそれでいい。……さぁて、ここからどうなってくかね? このガキ共も良い勉強になったろ? 芸能界での洗礼、ってヤツだ。弱ぇヤツは文字通り消えてく。オレ自身が振るいにかけてやったんだ。これはその見返りってな」
最後に口元を歪め、意地の悪い笑みを浮かべる。薄暗い部屋にその笑い声がこだまし、静かだった空間に不気味な余韻を残した。
子供をメシの種にした。それも悪意を持って意図的に。
悪辣な扇動であり、そして未成年の搾取。そしてその汚い男たちは法の網では捕らえられない。いつもいつも、その荒くデカく、意味をなさない大きな網目の間を悠々と抜けて、この芸能界で搾取し続けている。
子供相手にそんな事をして心が痛まないのか? と思う者もいるだろう。
そしてそれは皆無だと言って良い。―――だからこそ、こういう事が出来るのだから。
彼は、この先も薔薇色の人生を信じて疑ってないだろう。
彼は己の勝利を確信していた。騒ぎが大きくなるほど注目は集まり、部数は伸び、収益は跳ね上がる。たとえ訴訟を起こされたとしても、そんなものは痛くも痒くもない。賠償金で帳消しにしても、得るものの方が遥かに大きいからだ。
「これがオレの実力ってな」
彼はほくそ笑みながら、次は祝杯と言わんばかりに、取っていた缶ビールを開ける。
この先も思うままに事が進み、楽な仕事と豊かな生活が待っている――。そんな未来を疑う余地など、彼の中には存在しなかった。
だが、彼が知らぬまま目を背けた真実は、既に動き出していた。望む未来など、最初から存在しない。彼の目の前に広がる幸せな幻想は、今にも崩れ去る運命を宿していたのだから。
その後の、レイの行動は早かった。
苺プロには急いで帰る旨をミヤコに説明し、同じく壱護にも伝える。以前のような真似は一切していない事も宣言しつつだ。
ある程度電話で納得させた後は実際に会ってから話す~とし、通話を止めた。
その後は、家族の次に履歴の多かった、フリルとあかねの2人に対してだ。
ある程度のフォローを入れなければならない、と2人に対してもメッセージを送る。
電話でも良かったが、それだと帰る時間以上にかかってしまうから、これもやっぱりあってしっかりと話をした方が良い、とレイは判断したのである。
また現場で今後についても話をしよう……とグループLINEで締めて、そうこうしている内に苺プロまで帰ってきて――――
あっさりとアイとルビーに捕まった。
「……ど、どこにもいかないよ。約束するから」
苺プロの扉を開けた瞬間に異様な光景を目撃し、硬直した。アクア、ルビー、そしてアイの三人が何故だか手を繋いでいたからだ。そして自分が返ってくるや否や、まるで捕食をするかの様に3人で繋いだ輪の中に入れられた。
つまり、その真ん中に自分を囲い込んでいるのだ。………どういうこと?
「い~~え! しんじられませーーん! レイのぼーそーを止めるのは、親である私の義務でもありまーーす!」
「ママにさんせーです! なんなら妹にも兄を監督する責務がありまーーーす!!」
物凄く楽しそうにしているのは気のせい? じゃないだろう。
でも、何だか怒っている様にも見えなくはない。小一時間とはいえ連絡が取れず、更には前科とも言われている身だから必要以上に心配をかけてしまったのだろう、と甘んじて受けなければならないのか、とレイは思った。
「……止める為って言うか、なんかコレ、生贄に捧げる陣じゃね?」
「言い得て妙ね。その手のヤツ、前に視たホラー映画の続編であったわよ。かごめかごめ~から、呪詛が始まって、真ん中の女の子、捧げられちゃったってヤツだし」
アクアと、そして直ぐ傍で観ていたかながそう呟く。
それはそれとして―――
「……そう思うなら悪ノリしないでよアクア。それに有馬先輩も。こっちの暴走止めた方が良いんじゃないですか?」
「何言ってんのよ。どっちの暴走止めるのが先決か? って聞かれたら100人中100人がレイの方優先ってなるわよ。あんなえげつない真似実行しようとしてたんだから。……加えてただの戯言じゃなくて実際出来る資金と行動力もある。誰がどー考えても、あんたが要注意人物でしょーが。心配かけた分反省なさい」
「……はぃ」
かなにも軽く説教を受けた。
以前やろうとした事一覧は、有馬かなであっても相応なインパクトがあった様で、有馬かなの中での北斗レイと言う認識がねじ曲がって変わってしまっていたのは明か、と言う事なのだろうか。
「と言う訳で~~~、とりゃーーー! 家族あたっくだーーい!」
「きゃーー♪」
「うおっ!?」
アイの掛け声と共に、一気に面積を狭めた。と言うよりアイがレイに対して抱き着いたのだ。でも、ルビーやアクアの手も放してないから、必然的に他の2人も引っ張られる形になって、円の中心に居たレイは、「わーーー!」と悲鳴を上げながら……圧し潰されていくのだった。
因みに、アクアがここまで付き合ったのは、アイとルビー、そして何故だか かなからも手伝う様に、と命令されたから、だったりする。
そしてそれ以上に、レイの事を心配していた内の1人だから、とも付け加えておこう。