認めない子   作:アイらゔU

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第43話 監視の目

 

 

 

この世界には、時々説明のつかない不思議なことが起きる。

人の想像や理解の外側で、まるで当たり前の顔をしているかのように、それは静かにそこに居座る。

 

それとは。

 

 

 

──誰かにとっては救いのような幸せかもしれない。

──誰かにとっては、目を背けたくなるような残酷な現実かもしれない。

 

 

 

──理由もなく巡り合い。

──理由もなく失われ。

 

 

 

時にはまるで理不尽を形にしたようなことも起きえる。

 

 

それでも確かに「起きてしまったこと」として、跡形もなく残るもの(・・・・・・・・・)なのだ。

過ぎ去り、枝分かれした可能性の世界の中で―――。

 

 

 

 

 

 

 

その場所には大きな大きな木があった。

 

 

 

 

 

 

幹は太く、表面に刻まれた無数の皺が、長い年月を無言で語っている様だ。

その根は地中深く絡みつき、土を強く掴むように広がり、まるでこの場所を何百年も守り続けてきた証のように見える。

 

 

宮崎の地、高千穂の空の下、この木はただの木ではなく、始まりと終わりの境界線のように、そこに立っている。

 

 

その根元に、幼い少女が寄りかかるように立っていた。

黒いワンピースは小さな体に不釣り合いなほど重く、裾が微かに地面を撫でている。

長い白髪は、風のない空気の中でさえ淡く揺れ、月光のような冷たい光を反射していた。

肌は病的なほど白く、血の気がほとんど感じられない。

赤い瞳は、瞬きをほとんどせず、ただ静かに世界を映し込んでいる。

その瞳に、喜びも悲しみもほとんど宿っていない。ただ、底知れぬ深さだけが、そこにあった。

木の枝には、無数のカラスが止まっていた。

黒い羽毛が重なり合い、枝全体を覆い尽くし、空の一角を闇のように塗りつぶしている。

鳴き声は、一つもない。

ただ、黒い瞳を一斉に同じ方向へ向け、世界を見下ろすために、そこに集まったかのように静止していた。

少女の肩に一羽が止まり、首をわずかに傾げた。

その黒い瞳は、少女の赤い瞳と重なるように、同じものを捉えていた。

まるで、カラスたちが彼女の視線の延長であり、彼女がカラスたちの意志の延長であるかのように。

 

 

「―――不思議だよね」

 

 

少女は誰にともなく呟いた。

声は幼く柔らかいはずなのに、どこか古びた響きを帯びて、空気に溶けていく。

 

 

「人は、起きたことを“奇跡”って呼んだり、“不幸”って呼んだりする。でも、どっちも同じで、ただ起きただけの結果に過ぎないのに」

 

 

視線が、ゆっくりと遠くへ向かう。

それは、ここではない場所へ。

それは、ここではない時間へ。

 

 

死んだはずの人が、器を変えて新たな生を謳歌したり。

終わったはずの命が、消えたはずの命がまた始まったり。

それは、本来ならば摂理に反するあり得ない事。でも、起きている事柄でもある。偶然の産物か、或いは必然の悪戯なのか──。

 

 

「本当に、この世には色んなことが、起きるんだよ」

 

 

少女は、ほんの一瞬だけ言葉を切った。

続くはずの何かを、あえて飲み込んだように。

喉の奥で、何かが小さく動く気配がした。

それは、優しさなのか、嘲りなのか、それともただの無関心なのか。

少女自身にも、わからないのかもしれない。

彼女の小さな胸は、ほとんど上下せず、息遣いが異様に静かだった。

 

 

 

 

そのとき──

 

 

 

 

枝の間から、数羽のカラスが音もなく羽ばたいた。

風を切る音だけが、静寂を裂く。黒い影が空を横切り、遠くへ消えていく。

 

少女はそれを見上げた。

 

ぱちり、と瞬きをする。もう一度、ぱちりと二度繰り返す。

その普段はほとんど瞬かない瞳が、珍しく二度動いた後、少しだけ視線を細めた。

それは理解した、というより。確認した、という様な表情で。

 

 

「……そっか」

 

 

小さく、息を吐く。声は幼いのに、どこか大人のような、そんな響きを帯びていた。

 

 

 

 

 

 

 

来るんだね(・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

少女はそれ以上、何も語らなかった。

ただ、木に寄りかかったまま、微動だにしない。

白髪が、わずかに風に揺れた。

けれど、カラスたちは一斉に、同じ方向を向いていた。

黒い瞳が、すべてを捉えるために。

静かに、待ち構えるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺プロ事務所にて。

 

午後の光が、ガラス越しにゆるく差し込んでいた。

丁度、レッスンルームの向こうから、かすかに音楽が聞こえる。

複数の声と、リズムを刻む足音。

 

レイの大型案件である、宮崎県とのコラボと同時進行で、この度新生B小町も大きなイベントへ参加が決まったのだ。

最初のイベントとしては申し分ないどころか、最高の出だし。

 

 

「JIF……ね」

 

 

レイの宮崎県とのコラボに事務所は湧いたが、続く【新生:B小町】のファーストステージの発表にもなかなか衝撃的だった。

申し分ないどころか、最高の出だし。国内でも最大規模のアイドルフェスなのだから。

無論、デビューと同時にJIFだから周囲からは色々言われることだろう。

 

 

コネとかコネとかコネとか…………。と言うかそれしかない。

 

 

【苺プロ】で、もう何年も前に解散しているグループ【B小町】と同名の新規グループ。

 

 

アイの影響度を鑑みれば、100人中100人が新生:B小町はコネコネコネ、と連想すると断言できる。

もしも、ここで盛大にコケたなら……目も当てられない大惨事は免れないが。

 

そして決定してからは、頑張っている。今も尚、声が聞こえてくる。

ただ、3人が纏まれているか? と問われればまだ疑問で課題でもある。

 

 

喜び・驚き・戸惑い。

 

 

それがルビー、МEMちょ、かな。それぞれの心境だったから。

レイ凄い、の矢印が自分達に突然向かってきたので、ルビー以外の2人はほぼ同じ感想だった。

 

そして、恐らくは仕掛け人でもあるアイは更にテンションが上がり思い切り皆の背を押したカタチ。鼻歌交じりにいつも笑顔。

 

 

 

新生:B小町の成功を信じて疑わない。

 

 

 

『皆なら出来るよ!』 

 

 

 

と言い続ける。

 

 

不思議な説得力があるのは、あのアイだからだろう。数多の嘘を本当にしてきたアイだから。でも、リアリストでもあるかなは、最大限警戒をしているようだが、それもそれで気持ちはわかる。盲目になることほど、危険なことは無いからだ。

 

 

そんな、目まぐるしく日々の始まりで、苺プロとしては最高とも言える滑り出しなのだが、アクアの中では一抹の不安は拭えない。だからこそ、対策を講じた訳だが、それでも尚気分は晴れない。

 

 

「(……あっちは(・・・・)もう、そろそろか)」   

 

 

ちらり、と時計を見上げる。

今の時間と、そして本日のスケジュールを頭の中で反芻する。

恐らくは、もう直ぐ空の上────と、考えたその時だった。

 

ポケットに入れていたスマホが振動したのは。

 

アクアは、ポケットから取り出したスマホを見下ろす。

画面に表示された名前はレイ。

アクアは一瞬だけ目を細めてから、通話ボタンを押した。

 

 

「もしもし」

『わ、直ぐ出た。出ないかと思ってた』

「なんでだよ。いつも出てるだろ?」

『わかってるわかってる。でも、ほら。今は凄く忙しいからさ?』

 

 

聞き慣れた声。

その調子に、わずかに肩の力が抜けた。昨日のあの違和感。それは本当に【嘘】だったかのようだ。

アクアは軽く頭を振ると、用件を聞く前に続ける。

 

 

「聞こえてくる感じ、まだ空港か?」

『うん。もうすぐ搭乗だよ。電光掲示板も、さっき切り替わったところだね』

 

 

漏れてくる音を聞き取りながら、アクアの頭の中に、無機質な空港の風景が浮かぶ。

行き交う人波、アナウンス、行き先を告げる機械的な文字。そして子供たちは飛行機に乗ることに興奮し、大人たちは千差万別。旅行者、サラリーマン、それぞれの気持ちも数多に入り乱れて、その騒がしい密集された空間が形成されているのだ。そしてレイはこれから、仕事として向かう側の層。これから宮崎へ向かう。

 

 

【ただの仕事】

 

 

そう、信じている。けれど、どうしても不安が拭えない。

あの時感じた雰囲気が、自分を安心させてくれないんだ。

 

 

「それで? 初めての遠出の遠征だから、早速ホームシックになった、とは言わないだろ?」

『あははは……流石にそれは、ね? 僕だって場数は踏んできてるつもりだし。流石に宮崎(あっち)の方まで行くのは初めてだけど。―――んっと、そんな事よりルビーたちが大丈夫かな? って』

 

 

流石はレイ。

自分の大きな案件よりも、何よりもルビー妹優先姿勢。

紛うことなくシスコンである。……が。別にアクアにとってもそれは最早当然で、当たり前のことなので、他の外野の様な反応は見せない。

 

 

「こっちはこっちで大丈夫だ。大変なのは事実だが……何せOB、大先輩が傍に付いていてくれてるしな。今も付きっきりで」

『アイ母さんだね? はぁ、それにしても良かった。だってこっちに付いてくるー! ってめちゃ駄々こねてたから。だから、今もちゃんとそっちに居てくれてるみたいで安心するよ。と言うか、自分の方がもっと忙しい筈なのに』

「流石にそっちまで追いかけることは…………無いと思いたい。家族(・・)の事ともなると、凄まじい行動力・体力(バイタリティ)を発現するからな。……いくら今も現役でそれなりに鍛えてるとはいえ、俺の目から見てもアレはやばい。傍で見とく必要がある」

 

 

アクアの中で、【今日あま】の収録時の事が思い返される。

家族である2人を、レイやアクアを見る為に抜け出してきた。単身、アイが乗り込んできたあの光景は早々忘れられるものじゃない。レイは、何とか声を抑えていたようだが、自分だったらと思うと肝が冷える。

あの事件を覚えている当事者としては余計に肝が冷えた思いだ。

 

 

その後は暫く新生:B小町の事を中心に話が進む。

アクアとしては、待ち時間が暇になったからなのか、或いは本当にちょっとしたホームシックにでもなったのか、程度。話し相手が欲しかった程度に聞いていた。

 

アイの元で練習に励む面々は、元々素材が超一級品と言うこともあり、上手くいける~とは思うのだが、調子に乗ると、たぶん落とし穴に落ちると思うから、その辺りも要注意、だと。

その辺りは、かなが皆を支えてくれるとも信じている。

 

無論、B小町の現状の話、JIFの話だけでなくアクアも気になっているので、レイの方の話。宮崎県との大型の仕事、コラボの話にも移った。

 

 

宮崎県とのコラボだ。確かにJIFは規模も大きいし、アイドルとして進み出す最初のステージとしては間違いなく重要になってくる大舞台。

でも、レイのそれが負けているとは思えない。地方と言われるかもしれないが、県とのコラボ企画だ。観光・広報・歴史などなど一身に背負う重責は、ルビーたちの様に本当の意味で分け合える仲間が傍に居ないからきつい筈だ。

 

無論、レイもそれはよくわかってる、と言っていた。

だから。

 

 

【これ、僕にとってもファーストステージだね】

 

 

と言って笑っていた。

ピアノ歴、YouTuber歴で言えばもう熟練者(ベテラン)の領域に言っていてもおかしくないが、ここまでの大型案件は、恐らく幼少期の――――あの頃の全盛期。世界で音を奏でていた頃以来だろう。……まあ、宮崎県と世界とでは規模が違うが。感覚的に。

 

 

少し、物思いに耽るアクアだったが、次の瞬間には現実に引き戻される。

 

 

 

 

 

 

『それはそうとさ、アクア。今、僕の隣にあかねさんが居るんだけど―――』

 

 

 

 

 

回線の向こう側が、僅かに静まった気がした。

今の今まで、騒がしい場所、空港、と言うのが分かるくらいには、音が漏れ聞こえてきた筈なんだけど、まるで、周囲の音だけが切り取られたみたいに。そこに残ったのは、レイの声だけだった。

レイの声だけが頭の中に響いてくるみたいだ。

 

 

 

『―――けしかけたの、アクアだよね?』

 

 

 

明らかに確信を持ったレイの言葉が頭の中に入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

……冷静に考えれば簡単に連想は出来る。あかねは【今ガチ♡】の出演者で、レイもアクア自身もあの番組で一緒だった。

加えて、苺プロのスケジュールを知っている上で、本日宮崎県へ経つことも知っている人物。

ともなると、消去法で自分しかいない訳だ。

 

何故気付いた? なんて馬鹿な事は今更聞かない。

 

 

『どうして気付いた、とか思ったりする?』

 

 

と、考えていたらレイの方から聞かれた。

状況的に間違いないだろう。聞くまでもない事だろう。と。

 

 

『それはね。あかねさんから聞いた(・・・・・・・・・・)からだよ』

 

 

レイの呆れる様な、それでいて少し嬉しそうな、……そして少なからずの悲しみの様な、様々な感情が電話を通してアクアの耳に入ってくる。

 

 

 

そう―――あかねがレイと合流したのは必然だ。偶然なんかじゃない。そんなわかり切った嘘はつかない。―――本当にすることが出来ないから。

 

でも、あかねには嘘を本当にする力がある、って思ってたし今でも思っている。

つまり、あかね自身が自白したともなると、あかね自身が口を滑らしたか或いは………超えてきたか(・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数週間前―――苺プロ事務所にて。

 

 

あの大きな大きなイベントが正式に伝わってから一晩たち、色めきあい、様々な声が飛び交う中、アクアはそんな場所から一歩引いた所で、スマホを取り出していた。

画面に表示されているのはグループLINE そこに加入しているのは

 

 

【不知火フリル】

【黒川あかね】

 

 

の2名。

3人だけの共有スペース……グループLINEだ。

アクアは手早く打ち込んでいった。

 

 

 

 

 

以下 それぞれのやり取りである。

 

 

 

――レイが15日後に宮崎県に行く。大型案件で県とのコラボ。……正直、気になる点があったから、可能なら誰か傍に居て欲しいって思ってるけど。

 

 

 

先ず先に返事を返してくれたのはフリルだった。

 

 

 

――うわぁ……、それ行きたい。それにすごく気になる。今回は無理そうだけど、そんなに危ない案件? なら無理してでも行く。マネージャーに泣かれるけど行く。

 

――流石にそこまでは。少し気になる程度だし、コラボ相手はこれまでとは違う。県ってデカい相手。流石にそこに変な所は無いって思うから、無理にいく必要はないよ。

 

 

 

多忙な彼女だ。当然ながら突発に対応できる程、暇がある訳がない。アクア的には、自分の家のアイを見ているから、感覚的にマヒしてしまいそうだが、正直日本一忙しい高校生、くらいには感じている。

 

 

 

そして、少し遅れてもう一つの通知が届く。

あかねだった。

 

 

 

――私はその日から数日間丁度空いてます。宮崎県に向かうのも、問題ないです。事情は大体察しましたし、同行させてください。

 

 

 

あかねは可能、との返事。これだけで【事情は大体察した】と言うあたり、何を察したのだろうか? と興味があるが……。

 

そしてそれを見ていたであろうフリルが直ぐに割り込む様に送信した。

 

 

 

――いいなぁ。あかねさん。正直羨ましい。ひかり君として、じゃなくてレイ君だって事は、生演奏聴けるじゃん。……あ、そうだアクア君。今度レイ君の時間が空いた時にでもデートセッティングしてくれない?

 

――えええ! それ、アリなんですか?? アクア君に頼めばその……デートしてくれるんですか??

 

――今回は私行けないでしょ? だったら私にも何かしてくれないと不公平だな、って思って。

 

――それは……確かに。

 

 

何が確かに、なのだろうか? やはり真面目な性格なあかねは、フリルの言う事に納得しているようだった。一足先にリード出来る可能性は極めて高くなったが、そこにフリルが後からデートをするともなると、リードなんて消し飛んでしまう可能性だって否定できないのに。

 

 

 

――別に構わないけど。今回のであかねと先にゴールインしたらどうするんだ?

 

――別にそれでも大丈夫。受けて立つだけ。

 

 

強い強い激烈な戦いが起こるような気配が……デジタル世界を介してアクアの網膜には焼き付けられた。

仮に今回の宮崎で、あかねがレイに何かできたとして、ゴールインしたとしても……フリルは全然あきらめる様子がなさそうだ。

 

 

 

「……怖いな。女の闘い」

 

 

 

戦々恐々とする思いではあるが、計算通りで計画通りなのは事実だとアクアの口角が吊り上がった。

 

後は、ミヤコにも当然連絡を入れておけば大丈夫だろう。

普通なら外部の人間が、別の事務所の人物が、いきなり突発的に同行するなんてあり得ないこと。でも、知らない間柄じゃなく、且つレイの事を鑑みて、説得すれば不可能ではない。

 

アクアの想いの深部には誰ひとりとして届かないかもしれないが、表層部分には間違いなく届く。

ミヤコだけじゃない。業務につき離れていて、ミヤコに任せている壱護も……レイの()なのだから。

監視の目、と言う言い方をすれば多いに越したことはないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び時間軸は戻る

 

こう言う経緯があったのだ。

 

レイの言葉が深く深く刺さった為か、通話は繋がったままなのに、アクアはすぐに言葉を返せなかった。

まるで時が止まったかのように。

 

全てがやけに遠く感じられる。

 

 

――気づかれてる。

 

 

それがアクアこ胸の奥で、心臓が一度、大きく脈打った。

 

 

『……アクア?』

 

 

そんなアクアの時を動かしたのは電話口の声は、穏やかだった。

責める色も、探る色もない。ただ、いつも通りのレイの声。

 

 

「ごめん。ちょっと考えごとしてて」

 

 

ようやく絞り出した返事。それは肯定してるも同然だ。

でも、レイはただただ小さく笑った気配を返してくる。

 

 

『アクアの気持ちも、わかるよ。僕が悪かったんだから』

 

 

その一言で、心臓が跳ねた。

 

 

――やめろ。

――それ以上、踏み込まないでくれ。

 

 

思わず頭の中で叫ぶアクア。

脳裏をよぎったのは、ずっと伏せてきた記憶。もう一人の“レイ”の記憶。救えなかったかつての自分のかわりに、星の名を持つ凶悪な病に抗う術を教えてあげいた、齎してくれた彼の記憶。

自分の中で、より輝く星。もう一つの星になった彼の記憶が濁流の様に流れてくる。

 

 

こんなこと、望んでないのだってわかっているんだ。

あの時、あの場所で、最後の願いをアイに託した。それを………あろうことか、盗み聞きしてしまったんだから。

 

 

『でもさ、僕だけが悪いってのは暴論じゃないかなぁ?』

 

 

続いた言葉は、まったく違う方向から来た。

 

 

『今ガチのあの事件で心配かけちゃったのは事実だし。正直、みんなに叱られたの今でも耳に残ってるし。アイ母さんにも、ミヤコ母さんにも、有馬先輩にも、それにルビーにだって散々言われたし』

 

 

そして、この言葉で、アクアは自分の心配が誤りであり、杞憂である事に気づいた。

 

 

『──皆僕のこと、凄く心配してくれてるのも解るから。……でもさ? あんなの当たり屋とか通り魔みたいなものじゃん……とも、思っちゃうんだよ……。まあ、あの記者も出版社も壊滅に近いダメージだから、スカッとはしてるけど。理不尽気味に叱られちゃった事に対する鬱憤が』

 

 

結構語りが長い気がするのは気の所為じゃないだろう。

つまり、レイの方も謝罪したい気持ちはあるものの、かなり理不尽だと憤慨する気持ちもある、と言うことだろうか。

それもそうだ。基本的にレイは悪くない。全然悪くない。そう言う星の元に生まれてきたのか? と言われるくらいには、不幸体質なだけなのかもしれない。でもなければ、2度も刃傷沙汰な事件に巻き込まれるなんて無いからだ。

星野家に来たから、思わなくもないが、それもまた理不尽と言うものだろう。

 

 

「ふふ……っ」

 

 

何にせよ、心配は杞憂だったとわかっただけで十分だとアクアは笑った。

 

 

『あ! なーに笑ってるのさ!』

 

 

大変だったのにー! と騒ぐレイの声が心地良く耳に届く。

こっちの苦労わかってない! と怒っているようだが、それはお互い様だろ、とアクアはまた笑う。

 

 

 

大丈夫だろう。と、なぜだか安心できた瞬間だった。

この時は、そう思っていたんだ──────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通話を終え、レイはスマホを仕舞った。

ほんの一瞬、考え込むように視線を落としてから、隣に立つ彼女へと向き直る。

 

 

「……なんだかさ。ごめんね、あかねさん」

 

 

唐突なその一言に、あかねが一瞬きょとんと目を瞬かせた。

 

 

「ほら、巻き込んじゃった感じになってるから。迷惑かけちゃったよね」

 

 

そう言って、レイは苦笑する。

責任を押し付けるでもなく、軽く流すでもない、どこか居心地の悪そうな謝り方だった。

でも次の瞬間――あかねは、はっとしたように両手を胸の前で振った。

 

 

「ち、違う違う! 全然、そんなの思ってないよっ!」

 

 

少し早口、慌てて否定。迷惑なんて思うはずがない

そして、あかねの視線がわずかに泳ぐ。

 

 

「私が……その、好きでやってるだけだから。その、レイくんのこと、心配したって言うのも本当だし。だから、謝られるようなことじゃ……」

 

 

言い切る寸前で、あかねは自分の言葉に気づいたらしい。

ぴたり、と動きが止まり。

 

 

「…………す、すき……」

 

 

小さく呟いて、次の瞬間、耳まで赤くなる。

明らかに墓穴を掘っている。

両手を忙しなく動かしながら、ひとりで訂正を重ねていく様子は、さっきまでの“偶然を装う余裕”とは程遠かった。

 

 

二人の間に、少しだけ柔らいだ空気が戻りかけた、その時だった。

 

 

「――レイが悪くないのは事実だけど、それだけ、みんなに心配かけたってことはちゃんと自覚しなさい。ついでに、自重もね」

 

 

振り返ると、そこには腕を組んだミヤコが立っていた。

怒っている、というほどではない。けれど、冗談で済ませる気もない――そんな、いつもの表情だ。

レイは一瞬だけ目を瞬かせてから、苦笑いを浮かべる。

 

 

「……了解です」

 

 

肩をすくめ、観念したように両手を軽く上げるその姿は、どこか年相応だった。

 

 

 

 

 

そんな中で、あかねは立て直そうと必死だった。こんなつもりじゃなく、もっと上手く出来てた筈だったのに、と頬が熱い。でも、色々と自覚したり、思い返したりすると余計にどうしていいかわからなくなってテンパってしまう。  

 

 

――好き。

 

 

たったそれだけの言葉なのに、心臓の音がうるさい。ついさっきまでなら、それくらいでこんなにも動揺したりはしないはずだった。

そう、彼女(・・)を模した姿だったなら。

 

 

ほんの少し前まで、彼女は別の顔をしていた。

笑い方も、声の高さも、間の取り方も。

全部、計算して、役を演じていた。自分という素をその役という鎧で覆い隠して、レイが喜ぶように細部までできる限り知り尽くし、研鑽を重ねてきた姿で。

 

 

――え? ほんとに偶然だよ?

 

 

そう言って、のらりくらりとかわしていた自分。

何を聞かれても、決して認めない役。

認めないことで、真実を守るための顔だったり、より近くに、より傍にいるつもりだった。それが不安を払拭するために最も有効な術である、と思ってたから。

 

でも、いとも容易く鎧は剥がれ、消えてしまっていた。簡単に頬が赤く熱く、そして思考が止められない程に。

 

 

「っ〜〜(……あ、あれはやっぱし、レイ君策士なのかなっ!?)」

 

 

少しだけ、あかねはほんの少し前の事を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

搭乗案内の電光掲示板を見上げたまま、あかねと会ったレイはしばし言葉を失っていた。

偶然――そう言われてしまえば、それ以上を強く否定できる材料はない。だが、胸の奥に残る違和感までは、どうしても消えなかった。

人混みの多い空港で、数多ある行き先で、それでも時間も便も重なる確率。

それを「たまたま」と片づけるには、少しだけ出来すぎている。

 

 

だが、その違和感を真正面から受け止めさせてくれないのが、今のあかねだった。

 

 

事あるごとに、吸い寄せられるような笑顔で、誰をも虜にするような仕草で、それでいて、のらりくらりと問いかけの端を、彼女は軽やかに受け流して。

深刻さの芽が顔を出す前に、明るさで包み込み、冗談めかした空気に変えてしまう。そこには、踏み込ませない壁があるというより、最初から踏み込む意味を失わせるような軽さがあった。

 

真実を隠している、というよりも、そもそも追及という行為そのものが、場違いに思えてしまうほどの。結果として、レイの疑念は形になる前に宙へと溶けた。確信に至ることも、否定することもできないまま、ただ「そういうものなのかもしれない」と、曖昧な理解に落ち着いていったのかも知れない。

 

 

やがて、周囲のざわめきが一段落し、二人の間に穏やかな間が生まれた。

話題は自然と、移動のことや仕事のこと、近況へと流れていく。

 

 

いつの間にか、そこには空港で偶然再会した二人が、次の予定までの時間を共有している――

ただそれだけの、ありふれた光景が出来上がっていた。

 

まだ時間的には余裕があるのも確認済み。

人の流れが途切れることのない空港の一角で、二人は並んで腰を下ろしていた。アナウンスが遠くで反響し、キャリーケースの転がる音が断続的に響く。

 

 

「……改めて見るとすごいよね?」

 

 

レイが何気なく口にしたその一言に、あかねは少しだけ首を傾けた。

考える、というよりは――どう返すかを選んでいるような、そんな仕草だった。

 

 

「なにが?」

 

 

それは短く、どこまでも軽い返答。

声の調子は明るく、肩の力も抜けている。本当に既視感がある。これ以上ないほどに。

 

 

「ほら今ガチだよ。あれが終わってから、街でもネットでも、終わってるのに、まだまだ話題尽きないって感じじゃない? 次のシーズンの人たち、きっと大変だよ……」

 

 

そう言いながら、レイは周囲を一瞥する。

今は、斎藤ひかりではなく、星野及び斎藤レイ。容姿には気を使ってバレないようにしているが、盛り上がり方は尋常じゃなかったから、それなりに工夫してバレない様に気をかけている。

その辺りは、あかねも同じだろう。帽子にサングラス等。あの時とは変えてきているから。

 

とにかく今この場には誰も気づいていないのはほんと好都合だ。

周囲にバレたら、多分飛行機に乗れなくなりそうだから。

 

 

「うーん……そう、なのかなぁ? それほどーって感じ??」

 

 

あかねは曖昧に笑い、サングラスの位置を指先で調整した。

その仕草一つ一つが自然過ぎて、寧ろどこか計算されているようにも見えてくるから不思議だ。吸い込まれそうになる、と言い換えてもいい。

 

 

「あ! でもさーお仕事は増えたかな? 今はまだ大丈夫だけどね。きっと、本当に忙しくなるのは、これから、って感じだ!」

 

 

いい得て妙だろう。

今回のはレイはYouTuberひかるんとしての仕事だ。今ガチで出ていた時の、斎藤ひかりとしての仕事ではない。でも、大型案件だから、斎藤ひかりとしての仕事は来ていても不思議じゃないのだから。

 

 

「じゃあ、きっと嵐の前の静けさって感じだね?」

「そうそう。だから今のうちに、ちょっと息抜きだねー」

 

 

声が少し弾んでいる。そこには、本当に楽しみにしてる、と言わんばかりの雰囲気だった。

 

 

「宮崎も、その一環ってこと?」

 

 

レイがそう尋ねると、あかねはほんの一瞬だけ瞬きをした。

だが、その間は一拍にも満たず、すぐに柔らかな笑顔に戻る。

 

 

「うん。国内だし、行ったことなかったし。思い切って海外! も良いかな? って思ったけど流石にそれは許してくれないしさー」

「海外は確かにねぇ。高校生だし。…んー、それだけ?」

 

 

レイが問いを重ねると、あかねは少し。ちょっぴり困ったように笑った。

 

 

「それだけ、って言ったらそれだけだし……それだけじゃない、って言ったらそれだけじゃない、かな?」

「えー……つまり、どっち??」

 

 

思わず突っ込むと、あかねは楽しそうに声を上げた。

 

 

「あはは。ほらほら、芸能のお仕事って、気持ちの切り替えも大事でしょ?」

「うん? それは確かに」

「だからね、ちょっとした願掛けのつもりだったり?」

 

 

そう言って、あかねは胸の前で軽く手を合わせる。

冗談めかした仕草だが、動きには妙な“慣れ”があった。

 

 

「向こうのいい空気、吸っておこうかなって」

「芸術の神様、とか?」

「そうそう。そういうの、あるって言うしね。宮崎県って」

 

 

目を輝かせて言う所作。つまり、高千穂に向かうということなのだろう。どこまでも一緒だ。

 

 

「あはは、完全に観光客の発想とも言えるね? 有名だし。悪く言っちゃえば安直かも?」

「えー、それでもいいじゃん。信じる者は救われる、だよ?」

 

 

笑顔。どこまでも笑顔にまた吸い込まれそうになる。そして問いを深掘りしようとすれば、するりとすり抜けていく。

 

 

「……でもやっぱり、今ガチの反響、重かった? それで、気晴らしに、って感じかな」

 

 

少しだけ声を落として聞くと、あかねは視線を宙に泳がせた。

答えを探しているようでいて、もう決まっているようでもある。

 

 

「まー、正直に言えば? 大変だったよー。でもね、それ以上に――楽しかったかなー」

「楽しかった?」

「うん。全力でやったから! ひかり君もそうでしょ?」

 

 

言葉に迷いはない。

むしろ、迷いがなさすぎるほどだ。

 

 

「確かに燃えちゃった時は色々言われちゃったよ?? こっちは学生で、そんなのあるわけ無いのに〜! って思った! でも、その中でもちゃんと見てくれた人も、いっぱいいたし、沢山応援もしてくれた。だからこそ、今はもっと前向きなれたーって感じだね! で、次に進むための、ちょっとした充電期間って感じだよ、この瞬間は!」 

 

 

両手を広げて陽気に、本当に楽しそうに笑うあかね。瞳の輝きを見るに、きっと嘘じゃないのは解る。そう──本当の意味で言っているんだと。

 

 

「……そっか」

「なーに? 心配してくれてたりする?」

「うん。やっぱりね?」

「大丈夫だよ。ほら、元気でしょ? 元気元気!」

 

 

そう言って、あかねは小さく胸を張る。

レイは小さく頷き、穏やかに笑った。

騒がしい空港の中で、その笑みだけが不思議と静かに見える。

 

 

「うん。やっぱり、あかねさんはすごいよ」

「え?」

 

 

思わず、あかねの声が一拍遅れた。

そして、レイの目を見る。それは不思議な瞳だった。物凄く優しい、安心できる。それは今ガチ♡の時から……いや、違う。

初めて出会った(・・・・・・・)あの時から何も変わってない。真っ直ぐに、自分を見てくれている。

 

 

 

「あれだけ注目されて、あれだけ酷いこともあって。全部終わったあと、良いことも悪いことも受け止めてさ。普通なら、どこかで折れてもおかしくなかったと思う。それくらい、類を見ないくらい酷い事件だったから」

 

 

あかねは一瞬だけ、目を丸くした。

だがすぐに、明るい調子に戻る。──戻した。

 

 

「あははは! なにそれ〜。褒めすぎだよひかり君。だって、今ガチの皆だって頑張ってたし! それに、当事者になっちゃってた、ひかり君やフリルちゃんもいたんだよ?? 私1人だけ、落ち込んでられない〜ってだけだよ! だから全力全力! ………あはっ、でもお世辞でも嬉しいかな!」

 

 

本心のように聞こえる。凄く軽い口調なんだけど。

けれど――、あの時の自責の念や涙を見ている側からすると……本当に心が落ち着いてくる。

 

 

「お世辞じゃないよ」

 

 

レイは即座に言った。

間を置かず、迷いもなく。

 

 

「あかねさんだから、僕は素直に思ったことを言えんだー、って」

 

 

その一言で、空気がわずかに変わる。

 

 

「今もそうだし、あの時もそうだった。全部ちゃんと自分で考えて、全部引き受けて、出来ることを全力で。って、それに呼応して、皆も頑張れた。皆で一つになれた、って」  

 

 

レイは視線を逸らさず、続ける。

 

 

「全力でやったって言葉。本心から言えるその言葉。それこそ逃げてない証拠だと思う。本当に凄い。黒川あかね、って言う人を、僕は心から尊敬します」

 

 

――その瞬間。

あかねの笑顔が、ほんの少しだけ固まった。

 

 

「……」

 

 

言葉が、続かない。

口を開きかけて、閉じる。

 

 

「あ……えっと……」

 

 

肩が、僅かにすくむ。

サングラスを指先で支えるしぐさを何度も何度も繰り返す。落ち着かせようとするけど、全然落ち着かない。落ち着けない。

 

 

「……そんな風に、真っ直ぐに、言われると……」

 

 

声が、少し低くなる。

トーンが、変わる。

 

 

「……なんか、嬉しいのに、凄く嬉しいのに、困まっちゃったりもして………」

 

 

頬が、じわりと赤く染まっていく。

額から、汗がじわりと滲んでくる。バッチリと決めた化粧が落ちてしまわないか? と余計な事を、考えて紛らわせる材料にしたけど、上手くいかない。ぱり、ぱり、と折角この人のために、着飾ってたものが、剥がれる。

 

 

「ど、どう反応したらいいのか、分かんなくて……」

 

 

一歩、後ろに下がりそうになって、踏みとどまる。

さっきまでの“余裕”が、綺麗に消えていた。

 

 

「あははは。僕は素直に思ったことを言っただけだからね? あかねさんも、素直に言うだけでいい、って思うよ。それがどんな言葉であっても、正解だって思うから」

 

 

それが、あかねにとってのトドメのひと言になった。

素直になる、という言葉は、自分自身の全てを曝け出して良いんだ、って思わされたから。

 

沢山ひとがいる場所だけど……もう一度、伝えても良いんじゃないかな?

と、思った。君が、ひかりが、レイが好きなんだと。

 

 

でも、それが叶う事は無かった。

穏やかに、朗らかに、陽気に笑うレイが、何かを思い出したかのように、ぴたっと、笑い声を止めると。

 

 

 

 

「あ、大事なこと聞き忘れてた!」

 

 

 

 

そう言って、またあかねを真っ直ぐに見る。

今のその目は、本当に……毒だ。いや、毒なんてひどい言葉使いたくない。まさに、(レイ)なんだ。直視出来ない程に輝いてる様に見えてしまうから。

完全な素の自分には、それは直視出来ない程に、輝いて見えるから。

でも、今のレイの表情は少し違う。ジト〜とした雰囲気がある。

 

 

 

 

「あかねさん。……ひょっとして〜と言うか、ほぼ間違いなく。アクアに言われてるでしょ? さっきは充電〜とか、観光〜って言ってたけど! 別に取り繕う必要ないからね! 迷惑かけちゃってるんだし!」

 

 

 

ここで、その言葉を言うのは違うと思う。ずるいと思う。

 

 

それにもっと欲しいのは、私自身をみてくれてる言葉だったのに、嘘を更に剥がす様な言葉じゃないのに。

 

 

今までは、あかね自身が纏っていた役が、全てを笑い、受け流し、飄々と出来たのに。

 

今は、そんなことできないのに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時間軸はレイがアクアと電話した後に戻る。

今、レイはまだミヤコにお説教を貰っていた。そんな横顔を見てみても、やっぱり策士なんて思えない。

 

 

「えへへ………」

 

 

だから、きっと本当のことを、本心を言ってくれたんだ、と頬がゆるむ。

 

でも、それと同時に。

 

 

『デートセッティングしてくれない?』

 

 

フリルの事を思い返してしまった。アクアは、それに同意してたので、間違いなく時間を見つけては、デートをするんだろう事が解る。

で、今の自分とフリル。かける言葉に違いはあるだろうか? と思ってしまう。

 

自分以外にも、あんな風に顔を、瞳を向けて、甘い甘い言葉を掛けちゃうんだ、って思っちゃう。

 

 

 

 

 

────ぷくーーー

 

 

 

 

気づいたら、あかねの頬は膨らんでしまっていた。

 

 

【今ガチの時の、初心で初心な斎藤ひかり君はどこ行っちゃったのかな!?】

 

 

と。

散々レイ自身はルビーにも言われていた、女たらし〜という言葉、凄く否定していたのだが、あかねも同じような目でレイを見て、暫く頬を膨らませ続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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