シンフォギア×TIGAー星を結ぶ少年ー(AI絵あり)   作:トライダー

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第五十話  悪魔の審判 

  

 

 

 

 燃える街並み。

 怪しく揺れる青白い炎が、想い出の家達を焼き尽くす。

 軋む木々の音、瓦礫の崩れ落ちる音、そして胸の奥を焼き尽くす焦げた空気の匂い。

 そのすべてが、記憶に刻まれるように焼き付いていく。

 

『パパ! パパっ!!』

 

 炎に溶けていく景色の中、必死で手を伸ばし声を張り上げる。しかし炎に包まれ焼き焦がされる父親には一切届かず、無垢な願いを無慈悲に食らい尽くしていく。

 

『我らが天使様が、穢れし悪魔を、聖なる炎によって焼き払うだろう!』

 

 絶望に打ちひしがれる自分の側で、狂信的な声を上げる者達が集まる。

 黒いローブを纏い、顔の見えぬ影たち。

 

『これは罰なのだ! 悪しき錬金術師の末路を見よ!』

 

『我らに背く愚か者に、神は裁きを下されたのだ!』

 

 彼らは、まるで儀式でも行っているかのように、街を焼く炎を恍惚と見つめながら、天に向かって両手を掲げていた。

 

 そんな彼らの視線の先に“ソレ”はいた。

 

 燃え盛る街の中心に、“黒い巨人”が聳え立つ。

 建物を遥かに超えるその巨躯に、全身を覆う漆黒の鎧のような肌、顔の造形は異様に無表情で、それが異様な不気味さを感じさせる。

 その悪魔のような顔が、コチラを見て不気味に笑った。

 

『――ひっ!?』

 

 黒い巨人が、ゆっくりと動き、黒くモヤの掛かった巨大な手を此方へと突き出して来た。

 “掴まれる”――そう理解したが足に力が入らず、逃げることが出来ない。

 そしてやがて、闇の如く黒きその手が、力無き小さな体を包み込んだ。

 

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

「――っ!!!? はぁ……はぁ……はぁ…………!」

 

 そこで目を覚ましたユウが、勢いよくベッドから起き上がる。直前まで見ていた“悪夢”にうなされたせいか、全身が汗に塗れていて、濡れたパジャマが肌に張り付いていた。

 

「……はぁ、はぁ……また、この夢か……」

 

 中世のような古い街並みを、巨大な黒い影が滅ぼす。

 そんな夢を見るのは、これが初めてでは無い。

 

「……これって、やっぱりキャロちゃんの夢?」

 

 きっかけはあの日、キャロルと互いの“想い”をぶつけ合い、記憶を共有した日。

 あの日以降、この夢を何度も見るようになった。

 自分は幼き頃のキャロルの視点と変わり、彼女の過去を追体験するかのような現象。

 夜の静寂の中、ユウは胸元から垂らしたティグの紋章にそっと手を伸ばした。

 

「あの黒い大きな影……あれが、ティガなの……?」

 

 キャロルは、ティガが自分の父を殺したと言っていた。

 しかし夢の中で見た影には、黒い霧のようなモヤが掛かっており、その正体は完全に分からなかった。

 

「…………そっか、キミにも分からないか」

 

 ティグの紋章を握りしめ、カレと対話する。

 しかし以前にも問うてみた事があったが、カレはその時の事を知らないのだ。

 そもそも超古代から、大吾と出会う現代まで封印されていたのだから、中世の出来事などカレが知っている筈が無いのだ。

 

(一体、キャロちゃんが見たのは、何だったんだろう?)

 

 考える事は多いが、明日は早く起きないといけないので布団を被り、再び眠りに着こうとする。

 ぬくもりの残るシーツの中に身を埋めながら、ユウは深く息を吐いた。

 

(……胸の奥がザワザワする。何なんだろ、この気持ち)

 

 この夢を見るたびに胸の奥に、まるで楔のように残る嫌な感情。ユウはまだその感情が大きくなってきている事に、気が付いていなかった。

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

「お母さん、お花ここに置いておくね?」

 

「ええ、ありがとうユウ」

 

 次の日、ユウは母親・茜の入院している病室を訪れていた。白いカーテン越しに差し込む光が、花瓶の中の水を淡く照らしている。

 ユウはその水を入れ替えると、新しく持ってきた花を一輪ずつ丁寧に差し替え、整えるように指先で茎を揃えた。

 花の香りが部屋いっぱいに広がり、冷たい病室の空気に小さな彩りを添え、作業を終えたユウは椅子に腰を下ろす。

 

「あら? ユウ、貴方……少し疲れているんじゃないの?」

 

「えー? そうかなぁ、寧ろ毎日が楽しくて元気いっぱいだよ!」

 

「でも……」

 

「もう、ぼくは大丈夫だから! お母さんはそんな事気にしないで、自分の体の事を考えて」

 

 この一年で少し痩せたように見える母親を、ユウはゆっくりとベッドに寝かせると、置いてあったリンゴを手に取った。

 

「〜♪、〜〜♪」

 

 軽快な鼻歌を口ずさみながら、小さな手で器用にリンゴを剥いていく。ナイフの刃が赤い皮をくるくると削り落とし、細長い帯が膝の上に連なっていった。

 一見すればいつも通りの無邪気な笑顔。

 けれど母親である茜には、その笑顔の奥に隠された僅かな影が見えた気がした。

 

「星乃さん〜調子はどうですか?」

 

 ユウが向いたリンゴをふたりで分け合っていた時、ノックとともにドアが開いく。

 柔らかな声で挨拶しながら、看護婦が部屋へと入り、身の回りの作業を始める。

 

「あれ?……看護婦さん、それ何?」

 

 そんな時、ユウはふと看護婦の手首に、“天使の羽”のような、ブレスレットを見つける。

 母がよくお世話になっているだけあって、その人の事はよく覚えていたのだが、そんなアクセサリーを付けているのは初めて見た。

 

「ああ、これ? 友達から貰ったのよ。なんでも、天使様と繋がることが出来るアクセサリーなんだって」

 

「天使様……?」

 

 聞き揚々と語る看護婦の動きに、ブレスレットが激しく揺れ、その度に照明の光が反射する。

 天使の羽の形の飾りが怪しく光を発する度、ユウは胸の奥のザワつきが強くなるのを感じていた。

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

「あれ? お姉ちゃん達、来てたの?」

 

 ユウが病院からマンションに帰宅すると、そこには家主であるクリスだけでなく、響、未来、切歌、調、さらに創世達の姿もあった。

 ユウの姿を見つけた響が、ぱっと笑顔を咲かせて手を振った。

 

「ユウくんおかえり〜。今から皆んなで夏休みの宿題する事になったんだ」

 

「そうなんだ! 待ってて、捗るように飲み物入れるから!」

 

 そう言うや否や、ユウは軽快な足取りで台所へ。

 手慣れた様子で冷蔵庫からジュースや麦茶を取り出し、皆の好みを聞いた後、グラスに注いでいく。

 さらに引き出しから小皿を取り出すと、スナック菓子などをきれいに盛り付けて、テーブルへ一つ一つ運んでいった。

 

「あーん、ユーユー優しい〜。こんなお嫁さんが、欲しいな〜」

 

 創世がわざとらしく手を頬に当ててうっとりと呟く。

 

「お義姉さん、弟さんをお嫁にください!」

 

「あ゙? 殺すぞ?」

 

「殺意高ッ?!!」

 

 半分冗談だったのだが、予想以上の殺気を返され、弓美は半泣きで震える。周囲は苦笑しつつも、どこかいつものやり取りだと感じていた。

 

「あれ? 寺島さん、それどうしたの?」

 

「これですか? 先日お祖母様から頂いたんです。最近流行っているんですよ……」

 

 宿題の途中、ふと違和感に気がついた未来に指摘されて、詩織は手首に着けられたブレスレットを皆に見せる。

 その形状は、先程病室で見たのと同じ、“天使の羽”の形をしていた。

 

「え? それって……」

 

「ああ! それなら私も持ってるよ!」

 

「あたしも! まあ、今時の女子高生ならトレンドは当然よね!」

 

 驚くユウを置いて、創世と弓美も同じように左手首に着けられたブレスレットを見せる。

 その形状はやはり、“天使の羽”の形をしていた。

 

「何それ? 今そんなの流行ってるの?」

 

「えー! ビッキー知らないの、“天使様”の噂!」

 

「天使様?」

 

 初めて聞く話題にユウだけでなく、響、未来、クリス、切歌、調などのS.O.N.G関係者全員が首を傾げていた。

 基本的に任務などで忙しくしており、流行に乗り遅れる事は少なくなかったが、ここまで置いてけぼりのなのは初めてである。

 

「あんた達本当に知らないのね……最近東京都の中心で、天使様が見られるって話題なのよ」

 

 弓美達が言うには、いつからか“天使”という存在が、都市部の中心で確認されるようになったらしい。

 天使を崇める者達からは、それは滅びの未来から人類を救済する存在と呼ばれているらしい。

 

「よく分からないデスけど……それってつまり、ウルトラマンティガみたいなものデスねっ!」

 

「うん、カレはいつもわたし達を助けてくれる」

 

 天使の話を聞いた切歌と調は、自分達がピンチに陥った時、光と共に姿を現し幾度となく命を救ってくれた存在を思い描いていた。

 切歌と調は互いに顔を見合わせ笑い合う。

 

 だがその時。

 

「――ふざけないでくださいッ!!!」

 

 バンッ! と乾いた衝撃音が響き渡った。

 思わず全員の視線がそちらへ向くと、テーブルに両手を叩きつけて、立ち上がっている詩織の姿が見えた。

 

「て、寺島……さん?」

 

 隣に座っていた未来が、困惑の目で見上げている。

 しかし詩織は止まらず、先程まで楽しそうに喋っていた切歌と調を睨みつけた。

 

「あの巨人が来てから、日本はどうなってしまったと思っているんですの!? フロンティアが浮上し、怪獣が現れ、新しいノイズが現れ世界中が混乱に包まれています! あの巨人こそが、世界を滅びに向かわせる“悪魔”なんですッ!!」

 

「お、落ち着いてください……寺島先輩」

 

「そうデスよ。フロンティアやアルカ・ノイズの件は、あたし達や錬金術師が……」

 

 いつも穏やかな詩織の変わりように動揺しながらも、調達は何とか落ち着けさせようとする。

 しかしそんな中、唯一動揺せずに静かに座っていた創世が口を開いた。

 

「確かに……ね」

 

「安藤さん……?」

 

「あの巨人が現れてから世界はめちゃくちゃだよ……いつも何処かで怪獣が現れて、私たちの生活を壊していく。きっとこの世界は、滅びに向かっているんだ……」

 

「ど、どうしたのよあんた達っ!?」

 

 友人の急変に弓美が慌てて声を張り上げる。

 二人の顔色を見回すが、その瞳から光が消えており、虚ろとなった眼差しで怯えるように虚空を見つめていた。

 

 ――かと思うと、詩織と創世は当然、勢いよく立ち上がった。

 

「ふ、二人とも……?」

 

「天使様が……天使様が、姿を現しますわ…………」

 

「天使様……私達を、お救い下さい…………」

 

 響が呼びかけるのも無視し、二人は虚ろな目のまま、まるで糸で操られた人形のようにぎこちない動きで、部屋を飛び出して行った。

 

「くそっ! 一体何が起きてやがんだよ!? 兎に角、今はあの二人を追いかけるぞっ!!」

 

 最年長であるクリスが叫び、響達も一斉に頷く。

 動揺を抱えながらも、友達を放ってはおけない。彼女達はすぐに立ち上がり、詩織と創世を追ってマンションの外へと駆け出していった。

 

「……ティガが、“悪魔”……」

 

 最後に残ったユウは、詩織が言った言葉から、最近よく見る夢の光景を連想していた。

 滅びゆく街並み、降りかかる炎、空を覆う漆黒の影。

 その夢の光景が、まざまざと現実に重なっていくのをユウは感じていた。

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

 ――少し前、S.O.N.G本部の司令室。

 

 弦十郎やエルフナインたちは、正面のモニターに映し出される一般放送のニュースをじっくりと眺めていた。

 

『すみませ〜ん! “天使”何ですけど、ご存じですか?』

 

『はい、この辺で見れるって聞いて来たんでぇ〜』

 

 モニターの向こうで、インタビュアーにマイクを向けられ、OLや学生やサラリーマンなどの一般人達が、それぞれ天使の噂を口にする。

 いつからか分からない内に広まっていた“天使”の噂。

 東京の中心に現れると言われている“ソレ”を、一目見ようと大勢の人が集まっていた。

 

「何かおかしな反応はあるか、エルフナインくん?」

 

「いいえ、磁場の乱れなどもありませんし、至って穏やかな状態です」

 

 腕を組んでモニターを睨む弦十郎の問いかけに、コンソールに目を走らせながらエルフナインが答える。

 

「しかし、何故私達が今回の件の調査を? これはただの都市伝説でしょう?」

 

 翼が怪訝そうに、隣の弦十郎へと問いかける。

 本来、S.O.N.Gの任務は超常現象や災害への対応。ネットで騒がれている程度の都市伝説を追うことは、通常なら彼らの職務の範疇ではない。

 だが、今回の調査は弦十郎の一存によって決定された。

 

「オレの勘だ。……この中で天使の話が、いつから始まったか知っているものは居るか?」

 

 低く呟いた後、弦十郎は司令室全体を見回す。

 しかし彼の質問に、首を縦に振るものは一人たりとも居なかった。

 

「そう、この話は()()()()()()()()広まっていたんだ」

 

 どんな都市伝説であれ世間を賑わす程ともなれば、どこかで必ず小さな火種があり、多少なりとも断片的に耳にするものだ。

 しかし、彼らはその一報すら耳にした事がない。

 だが、天使の話題は“気づけば”テレビで報道され、世間を賑わすほどの規模に膨れ上がっていた。

 それはまるで、龍宮城から帰って来た浦島太郎のような、不可思議な違和感。知らぬ間に時が経ち、世界が変質している、背筋を撫でるような不気味さであった。

 

「司令はつまり……この都市伝説に、何者かの意図が仕込まれていると考えているわけですね?」

 

「そうだ、以前の“魔神”の件もあるしな。怪獣とはまた違う、何者かによる陰謀……今回もそれと同じ匂いを感じる」

 

「しかし……やはり、キャロルの仕業とは考えにくいです。彼女の目的は“世界の分解”であって、こうして人心を操作するやり方は彼女らしくありません。ですから……陰謀だとしても、キャロルは無関与だと思います」

 

 エルフナインの指摘に、弦十郎は無言で頷く。確信には至らずとも、同じ勘を共有する仲間の声は心強かった。

 

「分かりました。では僕も現場に出て調査を――うっ!」

 

「どうした、緒川?」

 

 司令室を出ようとした緒川が不意に顔を歪め、額を押さえながら、ふらりとよろめいた。

 

「す、すみません……どうもここ数日、頭痛が激しくて」

 

「緒川さんもですか?」

 

「実はオレ達も……」

 

 緒川の言葉にに応じるように、友里と藤尭も同じようにこめかみを押さえて顔をしかめた。

 その様子を見て、弦十郎やナスターシャもここ最近気分が優れない事を思い出す。

 

「エルフナインも、最近顔色が優れないけど大丈夫なの?」

 

「い、いえ! ボクの場合は、寝不足ですから…………」

 

 マリアの心配げな眼差しに、エルフナインは慌てて両手を振る。

 実際今彼女を苦しめているのは、皆が言う頭痛ではなく“悪夢”。ユウが最近よく見るキャロルの夢、当然彼女のコピーであるエルフナインも同様の夢を見る事が増え、毎晩うなされていた。

 

(何故最近、あの夢を見る事が増えたのでしょうか?……もしかして、キャロルの記憶が何かを伝えようとしている……?)

 

 エルフナインが思考の迷路に沈みかけた時、司令室のモニターに異変が走った。

 

『今東京都では、天使がブームとなっております。街の人は皆、天使が降りてくるのを心待ちにしているようで――左手首に天使の羽のブレスレットを着けていて……』

 

 カメラが群衆を映した瞬間、映像がジジジ……と不快なノイズで乱れた。

 

「一体何が起こっている!?」

 

「電波ジャックです!」

 

「質量は計測出来ませんが、凄まじい磁場が発生してます!」

 

 弦十郎の怒声に、藤尭も友里が答えながら端末を操作する。しかしノイズの走ったモニターに変化は無い。

 やがてモニターのノイズが自然と収まり、その中央に映し出されたのは、見覚えのあるひとりの男だった。

 

「……板橋……三雄?」

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

 ――同時刻、都市部中心地。

 様子のおかしくなった詩織と創世を追い掛けたクリス達は、都市部の中心にある広場へと到着していた。

 そこには、休日の祭りでもないのに人々が広場いっぱいに密集し、全員が一様に無言で空を見上げている。

 そしてやはり全員が、その左手首に“天使の羽”のブレスレットを着けていた。

 

「あの二人……一体どこに行ったのよ!」

 

「あっ! あれ見て!」

 

 未来が不意に空を指差した方に、響達の視線が一斉に吸い上げられる。つい先ほどまで何もなかった青空に、突如白い巨大な影が形を成した。

 

「……あれが、天使……?」

 

 一見白いローブを纏った巨大な女性にも見えるその姿。   

 響は昔見たテレビで、「クリオネ」が天使に似ていると言う話を思い出したが、目の前の影はまさにその通りである。

 しかし響達が、その影を見上げ感じるのは、美しさではなく、未知の物体を前にした時に覚える“異質さ”だった。

 

「おお……天使様……」

「美しい…………」

「我らが天使様が、輝いてらっしゃいます……」

 

 しかし不快感を感じる響達とは対照的に、広場に集まった人々は恍惚の笑みを浮かべ、両手を合わせ、口々に賛美の言葉を捧げている。

 そしてそんな群衆の中に、詩織と創世の姿もあった。

 

「天使様……私達をお救い下さい……」

 

「私達人類を、導いて下さい……」

 

「ちょっと、二人とも!」

 

 弓美が駆け寄り耳元で声を掛ける。

 しかし二人は、まるで彼女の声が届いていないかのように、陶酔したまま天使から視線を外さなかった。

 その時、広場を囲むビルに取り付けられた巨大モニターに一瞬ノイズが走る。天使を見上げていた群衆の視線が、モニターへと移った。

 そして映像が乱れた次の瞬間、モニターの中央に見覚えのある男の姿が映し出された。

 

『最後の審判の時が来た! 本当の悪魔を倒さなければ、人類は滅びてしまうッ!!』

 

「あ、あの野郎はッ!?」

 

「板橋……三雄?」

 

 クリス達は、その男の姿をよく覚えていた。

 数ヶ月前、人々を恐怖の渦に叩き込んだ、“キリエル人の預言者”。かつてティガと戦い敗北した筈のカレが、再び人類の前に姿を現したのだ。

 

『門を開けるのです……そして、“天使の審判”を受け入れるのです! 人類を滅ぼす悪魔を消し去るのだッ!!』

 

 天使に悪魔――要領を得ない演説であるが、群衆は一切目を逸らさず、板橋の声に陶酔するように耳を傾けていた。

 

『“悪魔”の名は――ティガッ!!!』

 

 その名が轟いた瞬間、東京全域に拡声される。

 

「な、何言ってんだよ!」

 

「どのツラ下げて言ってやがるデスかっ!!」

 

 かつて恐怖を撒き散らしたのはキリエル人の方だ。

 それを救ったティガを悪魔と断ずる板橋三雄に、クリスと切歌は怒りを込めて睨みつける。

 

 しかし――。

 

「…………ウルトラマンこそ、悪魔ッ!!!」

 

「悪魔!!」「悪魔!!」「悪魔!!」

「悪魔!!」「悪魔!!」「悪魔!!」

「悪魔!!」「悪魔!!」「悪魔!!」

 

 板橋三雄の叫びに呼応するように、群衆の口から次々と声が漏れ出し、瞬く間に広場はティガを罵る声で埋め尽くされる。

 

「な、何が起きてるの……?」

 

「皆、どうして……?」

 

 瞳に光を失い、虚ろなまま同じ言葉だけを繰り返す姿。

 人間でありながら人間でないような群衆の異様な光景に、響や調達は不気味さを押し殺せずにいた。

 

「……ティガが、悪魔……」

 

 耳に刺さる罵声の渦。

 その中でユウは、脳裏に刻み込まれた“悪夢”の光景を重ねていた。

 

 その瞬間――上空に浮かんでいた“天使”の影が揺らぎ、形を溶かすように消え去った。

 太陽が一瞬にして沈み、昼の街が夜へと呑み込まれていく。紫色に濁った雲が渦を巻き、やがて一点に凝縮したかと思うと、空に禍々しい巨大な門が出現した。

 

「何なの、あれ……?」

 

『その門を開けさせてはいけませんっ!!!』

 

 唖然とする響達の耳に、突如エルフナインからの通信が入る。普段は冷静な彼女が、珍しく声を荒げていた。

 

「ど、どうしたのエルフナインちゃん?!」

 

『あれは《地獄の門》です……もし開けば、キリエル達の進行を許す事になります!』

 

「な、何でお前がそんな事を知ってんだよ!」

 

『分かりません……でもボクの中の記憶が、そう告げているんです。お願いします、絶対に止めてください!!』

 

『聞いたなお前達、今は目の前の状況に対処するんだ!』

 

 聞きたい事は多いが、今は議論している暇はない。

 弦十郎からの指示を受け、響、クリス、切歌、調の装者達は聖遺物のペンダントを手に、門の方角へと駆け出していった。

 

「板場さん、私達はとにかく寺島さん達を!」

 

「うん!…………って、あれ? ユウくんは?」

 

 未来と弓美が不意に振り返った時、そこに居る筈の少年の姿はもうなかった。

 

「……はぁ……はぁ…………」

 

 皆から離れたユウは、人気のないトンネルの中で胸を抑え座り込んでいた。

 

(なに、この感覚……胸のザワザワが止まらない……)

 

 街の人々がティガを悪魔と罵り、悪夢の映像がフラッシュバックするたびに、ユウの中の不快な感覚は強まっていた。

 この感覚が一体何なのか、ユウには分からない。

 しかしそれでも、ユウは立ち上がりスパークレンスを構えた。地獄の門を塞ぎ、キリエル達の企みを防ぐために。

 

(ティガが悪魔だとか、そんな事はどうでもいい。今は戦わないと――!)

 

 スパークレンスが開き、光がトンネル内を包み込む。

 その光は、いつもよりずっと弱々しかった。

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

 突如、東京の空に出現した《地獄の門》。

 紫色の霧が辺りに満ち、渦を巻くように門へと吸い込まれていく。そして、重々しい音を響かせながら、地獄のへの扉がゆっくりと開こうとしていた。

 

『――デュアッ!』

 

 その前に、降り立ったウルトラマンティガ。

 門はカレの巨体をもってしても倍以上の高さを誇るが、ティガは臆することなく両腕を突き出し、隙間を見せた扉を力強く押し返す。

 

「ティガが来てくれた!」

 

「あたし達も援護するデス!」

 

 ティガの助けをする為、シンフォギアを纏い、紫煙渦巻く街を切り裂いて門を目指す。

 だがそんな彼女達の前に、漆黒のローブを纏った複数の人影が進路を塞ぐように立ち塞がった。

 

「な、なんだテメェらッ!?」

 

『キリエルに歯向かう者は、報いを受けるのだ』

 

 不気味な声とともに、人影は突如青い炎に包まれる。

 炎は人を焼くのではなく、その姿を形作るように燃え広がる。そのシルエットは、数ヶ月前にも出現した“キリエロイド”に酷似した姿だった。

 

「この人達もキリエル人?!」

 

『お前達如きに用はない。邪魔をするなら、ここで消えてもらおう』

 

「上等だッ!! コイツらをぶっ潰して、とっとと門をぶっ壊すぞッ!」

 

 クリスの啖呵を合図に、装者たちは飛び出した。

 キリエル人の軍勢を相手に激しい戦闘が始まり、その間もティガは一人で地獄の門を押しとどめ続ける。

 だがそんなカレを、紅蓮の炎が襲った。

 

『ヂャッ……!?』

 

 その火力に体勢を崩したティガは、支えとしていた紫雲を踏み外し、轟音と共に東京の街へと落下する。

 その姿を嘲笑うかのように、何十人というローブ姿の集団が次々と姿を現した。

 

『この日を待ちかねたぞ、ウルトラマンティガ』

『その忌まわしき巨大な姿を、今こそ消し去ろう!』

『愚かな人間達の前で、無惨な死に様を晒すがいい!』

 

 集団は祈るように手を組み、やがて一斉に天へと掲げる。その瞬間、紅蓮の炎が迸り、夜空を焦がす巨大な火柱が立ち昇った。

 炎は次第に人型に膨れ上がり、ティガの目の前にあの“宿敵”が姿を現したのだ。

 

 《炎魔戦士 キリエロイドII》

 

 再び現れた悪魔の戦士。

 その異形は、以前の姿よりもさらに禍々しく、悍ましい存在感を放っていた。

 その姿を、響達の援護に向かっていた翼とマリアも確認する。

 

「マリア、あれをっ!?」

 

「……以前よりも、悍ましい姿に」

 

 マリアの言う通り、キリエロイドの姿は以前とは打って変わっていた。

 白い鎧のような部位を増やし、以前の泣き顔のような表情は歪み、代わりに不気味な笑みを浮かべていた。

 

『キリィッ!――』

 

『デュアッ!――』

 

 禍々しい霧に覆われた夜の都市。

 悪魔と巨人の宿命の対峙が、再び幕を開ける。

 

 ティガとキリエロイドは互いの拳をぶつけ合い、そのまま腕を掴み合って激しく組み合う。

 巨体同士の力比べは拮抗。互いに弾かれるように距離を取り、鋭い視線で隙を窺う。

 次の瞬間、再び拳、蹴り、投げ。互いの体術を駆使し、力をぶつけ合った。

 

『キリィッ!!』

 

『……ッ!?』

 

 ティガの素早いラッシュ。

 しかしキリエロイドは冷静に捌き切り、腕を掴むと勢いよく投げ返す。巨人の体が無人のビルへと叩きつけられ、瓦礫が大地を覆った。

 

「ティガっ……!?」

 

 瓦礫から立ち上がる間もなく、キリエロイドは体操選手のような軽やかな動きで迫ると、背後からティガの首を締め上げる。

 

「ウルトラマンティガを援護するわよッ!」

 

『邪魔はさせぬ』

 

 ティガの援護に向かおうとしたマリア達の前に、青白い炎の人影が姿を現した。響達同様、複数のキリエル人による妨害により、ティガの援護に向かう事ができない。

 

『グッ…………デュアッ!』

 

 ティガは首を絞められた状態でキリエロイドの脇腹に肘を叩き込む。拘束が僅かに緩んだのが分かり、一本背負いで投げ返し窮地を脱した。

 肩で息を切らすティガ。

 キリエロイドは以前よりも遥かに力をを増しており、この数ヶ月でより力を増した筈の自分を上回っている。

 

『ンーーハァッ!』

 

 格闘戦で上回るキリエロイドへと対抗する為、ティガは《パワータイプ》へと変化する。

 だが、その姿を見たキリエロイドが不気味に笑った。

 

『ギッ! キリィィィッッ!!!』

 

 ティガを真似るように顔の前で腕を組んだかと思うと、キリエロイドの体が一瞬、緑色の光を禍々しく点滅させる。

 次の瞬間、キリエロイドの身体が変化を起こす。

 白い鎧のような部位はさらに肥大化し、筋肉のように盛り上がる。腕や脚の縁には鋭利な刃が伸び、より攻撃的な姿へと変貌を遂げた。

 

「な、なんだアレは?!」

 

「ティガに対抗したと言うの?」

 

 まるでティガを意識したような《タイプチェンジ》。

 炎の人影と対峙しながらも、翼達はそのキリエロイドの変化に、驚きを隠せないでいた。

 

『デュアッ!!』

 

 自分に対抗するようなその姿。しかしティガは臆さず己の拳を叩き込む。剛力怪獣であるゴルザ達ですら退けさせるその拳が、キリエロイドの胸部へと直撃する。

 

『キィリッ!』

 

『……ッ?!!』

 

 しかし、キリエロイドの体はピクリとも動かない。

 

『チャッ! チャッ! ハァッ!』

 

 続けざまに拳の連打、蹴り。何度も打ち込むが、キリエロイドは微動だにせず、逆に反撃の一撃を叩き込まれ、パワータイプのティガが身体を大きく揺らした。

 

「あの赤いティガが、力負けしてる?!」

 

 ティガの右拳の一撃を、キリエロイドは左手で軽々と受け止める。引き剥がそうと力を込めるが、握力は弱まる事が無く捻りあげられる。

 

『キリィッ!!』

 

 キリエロイドの右腕から伸びた巨大なカッターが、唸りを上げて振り下ろされた。

 

『デュア……ッ!!?』

 

 刃がティガの胸部を切り裂き、光の粒子が鮮血のように飛び散る。ダメージに悶えている合間も、キリエロイドの追撃は終わらない。

 

『キリッ! キリッ! キリィッ!!!』

 

 パワータイプをも凌駕する打撃が連続で叩き込まれ、巨体がふらつく。最後の蹴りで吹き飛ばされ、崩れかけたビルにもたれかかるように倒れ込むティガ。

 まるで獲物を嬲る捕食者のように、ゆっくりと近づくキリエロイド。掲げられたカッターが月明かりを反射し、鈍い光を放つ。

 

(…………っ!?)

 

 その姿が――ユウの脳裏に、繰り返し見てきたあの悪夢の黒い影と重なった。

 胸の奥のざわめきがさらに強くなり、心臓の鼓動を乱打させる。

 

『キリィッ!!!』

 

 怯えるように身体を震わせるティガへと、カッターが振り下ろされた。

 ティガは転がるように回避する。背後のビルが真っ二つに切り裂かれ、火花を散らして崩壊した。もし今の一撃を受けていたらと思うと、ゾッと背筋が凍る。

 

『チャッ!』

 

 ティガは必死に立ち上がり、再び拳を突き出す。

 しかしやはりキリエロイドの肉体に弾かれ、傷一つつけることはできない。

 逆に鋭い蹴りを浴びせられ、巨体が揺らぐ。

 なんとか体勢を立て直し、反撃の右ストレートを振り抜く。しかしそれは簡単に空を切り、カウンターとして繰り出されたカッターが、ティガの脇腹を切り裂いた。

 

『デュァッ……!!? グッ…………!』

 

 迸る光の粒子が、まるで血液のように飛び散る。

 

 ピコーン  ピコーン  ピコーン――

 

 胸のカラータイマーが警告音を鳴らし、ティガは裂かれた脇腹を押さえながら片膝をついた。

 

『クッ……! ンーーハァッ!!』

 

 力では敵わない事を悟ったティガは、素早い動作で《スカイタイプ》へと変化する。軽やかな体躯で夜空へ舞い上がり、スピードでの翻弄を試みる。

 

『キリィィィッッ!!』

 

 だがその瞬間、キリエロイドは再び緑色の光を禍々しく点滅させる。するとキリエロイドの背から、巨大な青い羽が突き出した。

 

『キリィッ!』

 

 スカイタイプに対抗するように、羽を生やしたキリエロイドは跳躍し、飛行するティガを追い掛ける。

 

「クリス先輩、ティガの援護を!」

 

「無茶言うな! あんなに速くちゃ届かねぇよ!」

 

 調の叫びに、クリスは舌打ちする。

 夜空を切り裂く二つの巨大な影は、目にも止まらぬ速さで交錯し、追撃も援護も不可能な状態だった。

 

「あいつ、ティガよりも速いデスよっ!?」

 

 マッハを遥かに超える速度を持つスカイタイプ。

 しかしそんなティガでさえ、今のキリエロイドを振り切る事は出来ず、徐々にその距離を詰められていた。

 

『クッ……! チャアァッ!!』

 

 《ティガ・スカイキック》

 

 逃げ切れないと悟ったティガは、空中で反転し、必殺の蹴りを繰り出す。音速を超えた一撃が、カウンターの要領でキリエロイドを捉えようとする。

 

『ッ!?……』

 

 しかし直撃の瞬間、キリエロイドの姿がかき消えた。

 視界から影が消え、ティガは慌てて周囲を見渡す。そんなカレの背後に、悪魔の影が忍び寄る。

 

『キリィッ!』

 

『……ッ?! デァッ!!?』

 

 一瞬にしてティガの背後をとったキリエロイドの一撃を受け、巨体が揺らぎ、夜空を裂いて墜落する。

 頭から突き刺さるように東京の街へと叩きつけられ、轟音と共に地面が砕け散った。

 

 ピコーンピコーンピコーンピコーンピコーン――

 

『グゥ……デ……ュア…………!』

 

 カラータイマーの点滅が早まる。

 耐久力の低いスカイタイプで重い一撃を受け、ティガの肉体は既に限界を迎えようとしていた。

 それでも踏ん張り、震える足に力を入れ立ち上がろうとする。

 

『キィリッキリキリイリィッ!』

 

 そんなティガの姿を嘲笑うように、腕を振り上げるキリエロイド。それに呼応するかのように地響きが轟き、割れた複数の地面からそれぞれ紅蓮の炎が噴き上がった。

 

(あ……ああっ…………)

 

 炎を逆光に佇むキリエロイド。

 その姿が、あの悪夢の“黒い影”と重なる。

 キリエロイドが腕を振るうと噴き出した炎が、まるで生き物の如くティガの周りを囲む。ダメージが蓄積し、足のすくむティガに逃げる力はない。

 

『キリィッ!』

 

 四方八方から炎が一斉に襲い掛かる。

 キリエロイドによる《炎魔地獄》。

 以前よりも遥かに増したその火力を集中的に受け、ティガの体が悲鳴を上げる。

 

『グッ!……ヂャアアアァァッッ!!!?』

 

 そして遂に肉体の限界を超えた瞬間、巨人の身体はバラバラに砕け、無数の光の粒子となって散った。

 

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

 

「そんな……ウルトラマンが……ティガが、負けた?」

 

 ウルトラマンティガの完全敗北。

 そんな絶望的な光景に、響達は動揺を隠せない。対照的に、ローブの姿へと戻ったキリエル人達は高らかに笑う。

 

『はははははッ!!! 憎き悪魔は滅びた、この星は我らがキリエルの物となるのだァッ!』

 

「お前らァッ!――ぐっ! うぅ…………」

 

「クリスちゃん――うああぁっ!!?」

 

 引き金を引こうとした瞬間、クリスの頭の奥に激しい痛みが訪れる。助けようとした響、そして離れた場所で戦闘を行っていた翼達も同様に頭痛に苛まれる。

 

『ティガの敗北により、お前達はヤツへの信仰を失った……お陰で我らの力がよく通じる。お前達も我らの同胞となるのだッ!』

 

 キリエル人による洗脳。

 S.O.N.Gの皆がその影響を完全に受けていないのは、ティガを信じる強い心があったから。

 だがそれも、カレが破れた事で弱まり、洗脳の力を受けやすくなってしまった。

 

「くっ! このままでは……皆んな撤退よ! 一度本部に戻って体勢を立て直しましょう!!」

 

 痛みを堪えながら伝わってくるマリアの指示に、装者達は悔しい気持ちを噛み締めながら撤退を進めていく。

 人類という種を敵とすら認識していないキリエル人達は、只々その行動を笑って見ていた。

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

 

「うあっ!……がっ!? ごほっ、ごほっ!!!」

 

 変身を解かれたユウは、豪快に地面を転がり、コンクリートの柱へと背をぶつけ止まる。その衝撃に、肺に溜まった空気を吐き出し、勢しく咳き込んだ。

 

「ごほっ、ごほっ! ま、まだ……だ…………」

 

 皮膚どころか骨の奥まで焼かれるような痛み。

 身体だけでなく、心の奥まで焦がされる感覚に苛まれながらも、ユウは震える手でスパークレンスを握りしめ、必死に天へ掲げる。

 

「あ、あれ?……何で……?」

 

 スパークレンスが開かれる。

 ……が、そこから光が放たれることはない。

 何度掲げても沈黙したまま、やがてスパークレンスは徐々に光を失い、ティグの紋章へと戻ってしまった。

 

「ど、どうして……?」

 

『キィリッ! キリキリイリィッ!!!』

 

 怨敵を打ち破り、燃え盛る街の中心で、高笑いを響かせるキリエロイド。

 その光景が、遂にあの悪夢と完全に一致した。

 

「……っ!!? はぁ……はぁ……はぁ…………」

 

 胸のザワ付きが最高潮に高まり、心臓は暴れるように脈打つ。呼吸すら苦しく、息が乱れる。

 

(ザワザワが止まらない。な、何なの……この感覚……?)

 

 敗北はした、だが決してティガの力そのものが消えたわけではない。ただ、ユウ自身の“光の力”が弱まっていた。

 

(怖い……!)

 

 ユウの足は、自分の意思とは関係なく戦場から逃げ出していた。幼き少年ユウは、まだそのザワつきの正体を理解していない。

 それは彼が、まだ生まれて一度も感じたことのない、心の奥底からの“恐怖”と言う感情だった。

 

 

 

 

 

 

  

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