ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第112話〝ワノ国の大改革3〟

ワノ国 九里――

 あそこはかつて光月おでんが治めていた地であった。かつては自由で笑いの絶えない活気ある地だったが、おでんが〝百獣のカイドウ〟に敗れて以来は荒れ果ててしまっていた。その地は今――

 

 一応ワノ国の特徴が見受けられているが、それより海外の特徴が勝っているようにみられている建築物が立ち並んでいて――そして、活気に溢れている。

 実はその立ち並んでいる建築物はカジノ、劇場、水族館、プール、サーキット、ゴルフ場、巨大観覧車等の様々なアトラクション施設になっているのだ。故に活気付けられていくのも道理だろう。

 それを目にするだけで退屈せずに娯楽できる上に最も金回りが良い地なのだと印象付けていた――

 その九里だった地の中心として建てられた居城からオレ達が見下ろしていた。

 

「おぉう……盛り上がっているなぁ」

 

 目下の様々なアトラクション施設から湧き出てくる熱気にオレもつい圧倒されていた。そんなオレにクイーンさんは素早く駆け向かい――話し始める。それはそりゃ、すごく――熱心にだ。

 

「ムハハハハ!!そりゃ盛り上がるだろ!!この国をオレ達の国にすんなら――」

 

「――やっぱ、カジノがなければ話にならねぇんだろぉ!!」

 

「ウォロロロロ!!そりゃ言えるな!!楽しまなきゃ――損だぜ!!」

 

 百獣海賊団の国を建てるなら――やっぱり、その国にはカジノが必要だろう――クイーンさんがその見解を熱心に説いていて、それに親父も加勢してきた。

 なんだかんだで親父もカジノ等の娯楽が好きで――だからこそ、今の九里の有り様に気分が高まってくるのを抑えられずにはいられないだろう。

 そして、その熱意にオレは圧倒されながらも……実は理解できていて、たからこそ苦笑を浮かべていた。

 

「リュドドド……まぁ!確かに少なくとも――アトラクション施設がなければ話にならねぇな!!」

 

「確かに!これなら退屈にならないかも!」

 

 そしてオレがその見解に共感的な言葉を口にするとヤマトもその景色から目をそらさずにワクワクしていた。なんだかんだでオレ達もまたその街の活気に惹かれていた。そして

 

「それに娯楽はそうだが……ここはオレ達の金を監督する場として機能させるんだってな?」

 

「あぁ、ここは百獣海賊団――ワノ国全般の経済を中心的に監督する地になってもらうつもりだ」

 

 一旦冷静になったオレはここのもう1つの役割に関してそう確認してみるとキングさんがそれを肯定し、説明する。

 

「そもそも、最初からここは経済の心臓部として機能してもらう計画だったんだ。今のアトラクション施設だらけになっているのはついでなんかというか――」

 

「まぁ、金回りが最も良い分野といえば――カジノを基にする娯楽だからな……自然的にそうなったんだ」

 

「――まぁ、確かにカジノなら金回りを良くするからな」

 

 オレとキングさんがそう議論する通り、そもそも最初から九里は国全般の経済の心臓部として機能する計画になっている。その時はアトラクション施設だらけの街として作るのは別に考えていなかったが、金回りを良くする分野こそが娯楽であった為に最終的にこういう街になったのだ。

 ……なお、この街を治められるのはもちろん――

 

「だが、かえって――お前には都合が良いんだよな?――テゾーロ」

 

 オレがそう言ってみると、その先にいる男――テゾーロが微笑んでいた。

 

「えぇ、エンターテイメントを何よりも目指している私にとっては実にうってつけの舞台ですよ……!」

 

 そうニコリとするテゾーロ――金融能力を持っている上にエンターテイメントを目指している彼にとって今のこの街は実に本領を存分に発揮できる舞台だろう。

 だからこそ、気合を入れてみせるテゾーロの姿勢にオレは笑みを浮かべ――

 

「それなら任せたぜ!」

 

「仰せの通りに」

 

 オレがそう激励するとテゾーロも慎ましく頭を下げる。その様子を静かに凝視していたキングさんが口を開く。

 

「とりあえず、ここの構造は理解できたか?じゃ「失礼」あ――あぁ?」

 

 だが、キングさんの話を遮る声が突如響かれた。その源にオレが視線を向けると――そこには小紫が立っていた。オレ達の視線を一気に浴びた彼女はそれでも怯まずに口を開く。

 

「話を遮って申し訳ありません。ですが――」

 

「――なぜ、あそこはあのままにしているんですか?」

 

 その疑問を口にする小紫は不思議そうにある山頂を凝視していた。そこには――何やら建物の跡らしきものがあった。

 ――そう、それこそが光月おでんが住んでいた「九里城」――またの名「おでん城」――の跡であった。

 彼女にはそこにおもうところがないかと言えばウソになるが……それでも「光月家」を捨てた身だ。故にそこを潰されようが――別に構わないと考えている。

 ……なのに、そこをそのままにしている事実に小紫も首を傾げざるを得なかった。その疑問に対してオレは答える事にする。

 

「あぁ……あそこをあのままにしているのは別に下心があるからじゃねぇんだ――ただ……」

 

「――未来に帰ってくる光月モモの助達の件が関係しているんだ」

 

「!それは……一体」

 

 その答えに仰天する小紫は素早くその理由を聞いてみる。

 

「……お前が話した光月トキの能力――〝トキトキの実〟の能力を考えれば……モモの助達が未来にどう飛ばされようが――着く「場所」は飛ばされた直前のと変わらないんだろ?」

 

「なら、仮にあそこに何かでも建てれば――それにモモの助達が逆に隠れやすくなり、逃がしてしまう可能性があるんだ」

 

「逆にあのままだったら……見つけやすいだろう――だからこそ建てないようにしているんだ」

 

 考えられるその可能性に小紫も納得し――そして、顔をしかめる。

 

「確かに……その可能性を考え付けなかった私もまだまだですね」

 

 自身の不甲斐なさに顔をしかめる小紫をオレは――抱き寄せた。

 

「!?」

 

「しょうがねぇだろ……お前にとってここは色々ありすぎたんだ……そりゃ、過敏になるわ」

 

「だから――今ぐらいは無理すんなよ」

 

 オレが小紫の不調に関してそう指摘し、そして慰める――そりゃ、そうだろう。ここは小紫にとっても色々な想いがありすぎた地なんだ。小紫も一見平然としていても内心では無理しているのも当然だろう。

 そんなオレからの言い草、そして言葉に小紫も複雑な表情を浮かべずにはいられなかった。

 

「……そうですね――」

 

 小紫は自身の表情を周囲に見せない為か、その言葉に甘えてオレに寄り添った。

 そして、その場の空気が重苦しくなる――そんな雰囲気を切り替える為にオレは親父に声を掛ける。

 

「ここの名は何にするんだ?」

 

「……おう!」

 

 その問いかけに真面目な表情を浮かべている親父は深く頷き、答える――

 

「九里」改め――「スキン」!!

 

          ●

 

 それから城から街へ降りたオレ達はその街を見回って、その効能等を見極めようとするが……

 

「やっぱ、規模がデケェな……!!案の定、全て見回りきれねぇ……!!」

 

 そう――カジノ、劇場、水族館、プール、サーキット、ゴルフ場、巨大観覧車等の様々なアトラクション施設が立ち並んでいるだけはあって、1日で全て見回るには時間がかからざるを得なくなるのだ。

 それ程の「スキン」の規模にオレも苦笑を浮かべずにはいられなかった。

 

「全くだな……あの豚野郎もカジノからなかなか出てこねぇし……」

 

 その言葉に共感するキングさんはカジノに籠りっきりなクイーンさんにイラつかずにはいられなかった。だが、そんなキングさんを宥めるオレはクイーンさんの様子にある可能性を見出した。

 

「まぁまぁ、キングさん――だが、クイーンさんが籠りっきり――それは」

 

「――少なくともカジノ施設はクイーンさんを満足させられている程の効能を持っているといえるんじゃねぇか?」

 

「…」

 

 オレが指摘したその可能性にキングさんも目を細め――

 

「……フン、カジノ施設は無問題として――」

 

 とりあえず、その結論を下したキングさんは続いて視線を移してみると――

 

「……カイドウさんもお嬢も満喫しているようだし」

 

 その先には――それはまた上質そうな酒瓶を抱えている親父とポップコーンを入れている大ケースを抱えているヤマトの姿があった。

 

「ウォロロロロ!!少なくとも退屈はしなかったからな!!――いい酒もあるし!!」

 

「うんうん!すごく楽しめたよ!」

 

 大分満喫している親父達に頷いたキングさんは続いてオレに視線を向けてみる。それに対してオレ、そして一緒に見回った小紫も口を開く。

 

「おう!オレの目から見ても娯楽も色々ある上に効能も問題がねぇと思うぜ!!」

 

「えぇ、今のところ不備が起こりにくくなっているかと思います」

 

「そうか」

 

 オレ達の評価を確認したキングさんは続いて手に持つ資料に視線を向けて――

 

「……皆の評価とこのデータを見比べれば――今時点では誤差はそれ程にねぇようだ」

 

「オレ達が見ていねぇ施設は後で他の奴らに行かせてみるか」

 

 そう現状と今後の予定を説明するキングさんにオレ達も異議を申し立てなかった。そして

 

「いずれにせよ、ここも問題として――カイドウさん」

 

「おう!!」

 

 キングさんがそう言いながら親父に視線を向ける。それにつられてオレ達も彼を凝視する。その視線の意図に勘付いた親父はニンマリとし――

 

「――花の都以外は全て改革できた!!!これで計画は佳境に入った!!!」

 

 両手を上げた親父がそう宣言する――

 

 

――そうして「新鬼ヶ島計画」は終盤に差し掛かろうとする……

 

――そして「ワノ国」の終焉もまた着々と近付く事になる……

 

          ●

 

「カイドウさん」

 

 その宣言から場が盛り上がっている中で親父に声を掛けられる――他でもならない小紫から。

 彼女から声を掛けられた親父は目を見開き――すぐ真面目な表情を浮かべる。

 

「……おう、何だ?」

 

 親父は小紫ときっちり向かい合い――聞く。親父を前にしている小紫は凛としながら――口を開く。

 

「……あの男――」

 

「――黒炭オロチはどうするつもりで?」

 

 彼女は率直にそれを聞いた――そう、「新鬼ヶ島計画」を聞かれた彼女は思った。

 

――あの男がその計画を認知しているのだろうか……?

 

――もしもそうでなければ…カイドウさん達は……

 

 気にかかっていたその事を今ここで率直に聞いてみた小紫に親父は――真面目な表情を浮かべながら深く頷く。

 

「……あぁ……お前が勘付いているかもしれねぇが、アイツは――」

 

「――いずれ消すつもりだ」

 

 親父が堂々とそう宣言した。その宣言に対して小紫は――平然としていた。だが、このオレは気付く。彼女の口の端が微かだが――上がっているのを……

 その事に気付いているのか気付かずか親父は言葉を続ける。

 

「アイツとは利があるから手を組んだが……所詮、小物だ。いつまでも手を組み続ける価値はどこにもねぇ」

 

「それに――アイツはオレ達のやり方が気に入らなくなっている……オレ達がワノ国をものにする為といえ発展させているのが気に食わなかったんだ」

 

「まぁ、オレ達もアイツの事がそろそろ目障りになってきたし――」

 

「生かしても別に何もならねぇなら、さっさと消すに限る……!」

 

「あとは――タイミングだな。アイツの立場と才覚は意外にメンドくせぇからな……!」

 

「なるほど」

 

 親父の説明に小紫が頷く。そんな彼女に親父は言う。

 

「……消すのは確定だが――」

 

「――手を下す者はまだ決まっていねぇぞ?」

 

 そう言う親父の顔には――悪どく笑っていた。それに対して小紫は――妖しく笑っていた。

 

「……ふふっ――カイドウさん」

 

 そして彼女は親父の前で平伏し――

 

「その役割はぜひ、この私に――任せて頂けますか?」

 

 堂々と要求してみせた。それに親父は――

 

「ウォロロロ!!構わねぇぞ!!」

 

 

――その陰謀が企てられる事になる……

 

          ●

 

 ワノ国の中心に位置する花の都。さらにその中心として建てられた城――

 その中のある部屋にはある男が留まっていた。それが――

 

――黒炭オロチ

 

 彼はワノ国の君主――将軍である。そして〝百獣のカイドウ〟と結託している。

 オロチはカイドウと彼が率いる百獣海賊団の力にものを言わせて国を支配しているのだ。

 カイドウ達を後ろ盾にしているオロチにはもはや敵なしかと思われたが――

 

「…!!」

 

 ――贅沢三昧をしているかと思われてたオロチは――震えていた。

 

「ガタガタ……」

 

 ――彼は恐れているのだ。自身の命が脅かされようとしている事を……

 だが、彼の命を脅かそうとする者はカイドウ達によって潰される事になっているのだ。にも関わらずに彼は一体何を恐れているのかというと――

 

「……間違いねぇ……!」

 

「……アイツら――カイドウは……」

 

「……このオレを消すつもりに違いねぇ……!」

 

 オロチはそう推察し、戦慄していた――なんと、確かにカイドウ達がそれを企んでいるが……それを彼は臭っていたのだ。自身の命を第一にしているオロチだからこその恐るべき察知力だ。

 ――そもそも、オロチとカイドウ達の同盟に綻びが出てきたのはカイドウ達がワノ国を改革してからだった。その改革は実に適っていて、その恩恵を受けられる者も出てきていた。

 ワノ国を目茶苦茶にしたいと考えているオロチはその姿勢が気に入らなかったのだ。それでも同盟がなんとか保てられているのもワノ国の人間達が苦しめられているという事実が存在しているからだ。

 だが、カイドウ達のワノ国改革が進められていくうちにオロチはある考えを抱かずにはいられなくなった。

 

「(も、もしかして――オレを消すつもりなんじゃ……)」

 

 それは推測の域を超えていない考えたが、オロチには妙に確信できていた。

 カイドウ達がやっている事を見れば、彼らがワノ国を完全に手にしたいのは確定だ。だが、それには邪魔なものがある――そう〝黒炭オロチ〟の存在だ。

 カイドウが率いる百獣海賊団がワノ国を完全に支配したいと考えていれば、対等な立場のオロチの事が邪魔になるのも予想に難しくない。故に――いずれオロチを消そうとしているのだと考えずにはいられないのだ。

 

「〜〜!!アイツら〜〜!!一体誰のおかげで武器を手にできていると思ってんだ!!」

 

 無論、自身をそうしようとしている事に対してオロチも文句を言いたくなるのも無理ではない。

 

「……〜〜!!クソッ!!だが文句を言えねぇ……!!」

 

 だが、オロチは今までカイドウ達の力を頼りにしてきた。すなわち、逆にカイドウ達に言いたい事をそれ程に言えなくなるハメになってしまう。カイドウ達から命を狙われているのが分かった今ではかえってだ。

 かといって、カイドウとの同盟をこのまま続けるのも愚策だ。故に――オロチは結論を下す。

 

「カイドウの代わりに誰かと手を組むべきだな……!」

 

 そう――カイドウとの同盟を破棄して新たな同盟を組む――オロチはそう決意する。

 彼は何よりも自身の命を第一にする。その命を脅かそうとする者といつまでも手を組み続ける訳にはいかないのも道理である。

 ――問題は……カイドウの代わりを務められる者がいるかどうかだ。

 カイドウと百獣海賊団の力は強大だ――だからこそ、ワノ国の誰かもが逆らえずにオロチに従っていた。それ程の力を持つカイドウ達の代わりになれる者が果たしているのだろうか……

 

 ――だが

 

「――確かにババア達が万が一の為に遺したメモがあったな……!」

 

 汗を流しているオロチはそれでも悪どく笑う――

 

「ぐふふ……!!今に見ておれ……!!カイドォ〜〜!!」

 

 

――百獣海賊団と黒炭オロチの間に火種が今ここに生まれた……

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