ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第116話〝計画破綻〟

 突如〝バシレウス〟からの侵攻により危機的状況に陥ってしまった〝サンモン〟。

 

「――そこまでだ!!ここ〝サンモン〟で狼藉を働きやがるクソ野郎共!!」

 

「貴様らが何者だろうが――ここ〝サンモン〟にオレ達がいる限り、決して好き勝手にはさせん!!」

 

 だが、そこに所在されている海軍基地から出動した海兵達が正義を成さんとする為に〝サンモン〟で暴虐の限りを尽くしている〝バシレウス〟に対して怯まずに対処を開始する。

 

 

そうして――〝サンモン〟で海軍と〝バシレウス〟の戦争が勃発した……

 

――だが、その戦争には――実は海賊もまた参加しようとするのを両陣共気付かなかった……

 

          ●

 

〝サンモン〟付近の海――

 

「海軍Gー3基地から少なくはない数の海兵達が出動し、そのまま我が軍とぶつかっています……今時点では――」

 

 その海に浮かんでいる〝バシレウス〟の艦隊。その中心として浮かんでいる船の船上では堂々と立っている男性に向かって彼の隣に控えている女性が〝サンモン〟での経過状況を報告していた。

 

「――作戦は順調です」

 

 その内容に男性は――表情を変えないものの内心満足する。

 

「あぁ」

 

 そして、その感情をものにする為にそう呟いたスパイキーヘアの大柄な男性――彼こそが今回の〝サンモン〟遠征を指揮する者にして〝バシレウス〟評議会の1人である。

 名はハイレインという。

 

「……脱走者達を捕らえれば、良い手土産になるだろうな」

 

 そう含みのある笑みを浮かべる彼は――〝バシレウス〟議長の座に就ける程の功績を手にする為に今回の〝サンモン〟遠征を案出し、実行に移したのだ。

 実は彼が〝サンモン〟遠征を案出した理由は――〝バシレウス〟からの脱走集団がそこに亡命したからである。

 もちろん、その脱走集団が推察する通りに大きな功績を何としてでも手にしなければならない状況下でわざわざ脱走集団を追跡する余裕がハイレインにはない。

 ――もしも脱走集団が〝サンモン〟以外の所に亡命したら、ハイレインも追跡を行わずに放置したのだろう。だが、そうしたのは……

 

「……これは戦争だ。何かが起こっても無理もない。なら計画を達成させるようにしなければな」

 

 そう、彼は冷静沈着かつ極めて慎重な性格であった。それは常に失敗を想定して立ち回る程だ。

 そんな彼だからこそ、今回は自陣が少し優位だと考えるものの予想外の出来事の発生を警戒し、油断しないようにしていた。

 するとハイレインの補佐役を請け負っている毛先を前方にカールさせたボブカットの髪型をしている美女――ミラが彼に新たな報告をする。

 

「今、ランバネイン達4名が上陸した模様。これから任務に着手するでしょう」

 

 ミラが少し微笑むものね淡々とそう述べるとハイレインもニッとする。

 

          ●

 

〝サンモン〟のある地――

 

「ハハハハハ!!――さぁ!!戦いを始めるぞ!!海軍の戦士達よ!!」

 

 警戒しながら身構える海兵達に対して大柄な男性が爽やかながらも勢いよく言い張った。

 なお、その男はどこかハイレインの面影があった……それもその筈。名はランバネイン。ハイレインの弟なのだ。

 とにかく、それは一見ムードメーカーであるかのように振る舞いながらも決して軽くはない覇気を放つ彼に海兵達も気を引き締める。

 

「……おい!あの男――」

 

「あぁ、分かってる!――お前ら!気合を入れろ!!」

 

「ハハッ!!」

 

 そう緊張感が走っている中で戦いが始まろうとする……

 

          ●

 

〝サンモン〟のある地――

 

「――失礼。お手合わせお願いできますかな」

 

 そこで事態に対処している海兵達の前にその者が姿を現した。

 それは穏やかな笑みを浮かべた老人で――今切迫している戦場には実に似合わなさすぎる者だった。

 だが、その老人を前に海兵達は――冷や汗を流していた。

 

「……分かるか?」

 

「……あぁ、コイツは――やべぇ」

 

 その海兵達はこそこそ話しているが、それでもその老人から目をそらさなかった。

 ――そもそも、彼らは今まで〝サンモン〟へ攻めかかってきた者達を怯まずに返り討ちにし、その平和維持に貢献してきた精鋭なのだ。

 故に……理解できていた――理解できてしまった。

 ――その老人の強さを……

 

「……貴様ら!!怯むなよ!?ここで逃げたら――この〝サンモン〟は終わりだと思え!!!」

 

「「「おう!!!」」」

 

「……うむ、素晴らしい気勢ですな」

 

 その強さについ怯んでしまった自身を何とかしてでも奮い立たせる為に1人の海兵があえて周りの海兵達に対して鼓舞してみせた。

 その鼓舞に同じく怯んでいた者達も自身を奮い立たせて、その老人に対して身構えた。

 その気勢に老人も感心し、嬉しそうに微笑む。

 ――彼はヴィザ。

 海兵達が感じる通り〝バシレウス〟でも五指に入る程の猛者である。

 それ程の者を前に海兵達は自身の使命を果たそうと攻撃を仕掛けていった――

 

          ●

 

海軍Gー3基地――

 

 そこはもちろん指揮書として機能されていて、現場で対処している海兵達と行動連携しているのだ。そんな場所に――

 

「「「!!?」」」

 

「ハハハ!!テメェらぁ!!皆殺しだぁ!!」

 

 ――なんと、侵入者が現れてきた。その事態に中にいた海兵達は激しく動揺するものの、何とか冷静になり身構えた。

 

「――敵だ!!!」

 

「冷静に事に当たれ!!!」

 

「コイツらをもうこれ以上好き勝手にさせるな!!!」

 

 基地の中に敵が侵入してしまったという事態を受けて海兵達はますます腹をくくり、自身のやるべき事に取り組もうとする。

 自身に対して攻撃を仕掛けてくる海兵達をその黒いボブロングの髪型をしている男性――エネドラは嘲笑する。

 

「ハハハハハ!!このエネドラを倒せると思ってんのか!?身の程を知れよ!!」

 

 横柄にそう言い張ったエネドラは自身の力を発揮する――

 

 

 

「……あの無礼者が……まぁいい、あれはあれでいい陽動になる――あれが暴れてくれる間にオレは任務を果たすのみだ」

 

          ●

 

場面は戻って――

 

「ミラ。経過確認を抜かるなよ。状況次第ではオレが動く必要があるだろうからな」

 

「分かりました」

 

 〝サンモン〟を凝視するハイレインがそこから目をそらさずにミラにそう念を押す。その指示に従ってミラは〝サンモン〟内で推進されている計画の進捗状況確認に徹底しようと手配を進める。

 その姿勢を感じられたハイレインは改めて〝サンモン〟に凝視するのに意識を入れる――

 

「…!」

 

 だが、突如そんなハイレインが素早く顔を見上げた。極めて冷静な彼もその時は吃驚の表情をみせていた……そんな彼が見上げた先には――

 

「ガァアアア!!」

 

「――竜……!?」

 

 そう、ダークグレーの竜が空を飛び浮かんでいた。

 その常識を疑わざるを得ない景色にハイレインも一瞬身が固まった――が、すぐ冷静になり頭脳を巡らせてみせる。

 

「――ミラ!警戒レベルを上げるように全体に伝達だ!!」

 

「っ!!はい!!」

 

 そして同じく身が固まり、今も冷静さを取り戻していないミラに語気を強めて命令を下した。

 勢いよく命令を下された事で彼女もようやく冷静さを取り戻し、素早く執行に移した。

 ミラが動き出したのを確認したハイレインは竜に意識を集中するようにする。そして思案に耽る。

 

「…(本物の竜か?それとも〝悪魔の実〟の能力者か?)」

 

 そう彼は竜に対しての分析を試みた――と同時に今後の進行方法に関しても画策する。

 

「(前者であれば……その強さ次第ではヴィザ翁を呼び戻す必要があるかもしれないな。その場合は彼が来るまでにはオレが何とか時間を稼がなければならなくなるな……)」

 

「(――後者であれば、ここはこの私が対処すればいいだけだ。いざとなれば、ミラのサポートを要請する必要があるな)」

 

 ハイレインがそう今後の進行方法を画策していると空を飛び浮かんでいる竜は突如ハイレインの方向に向かって滑空してきた。

 

「!」

 

 その様子から少なくとも自身を標的として今乗っている船に突っ込むつもりかと判断したハイレインが身構えるとその竜の姿が変わり始めた。

 それはみるみるうちに竜の姿が少しずつ人の姿に変貌を遂げていった。やがて……完全に人の姿になった竜――オレはその船上に降り立った。

 突如のオレの登場に対してハイレインは警戒を高めながら――口を開く。

 

「……何だ?お前は?」

 

「リュドドド!!オレはスサノオ!!――海賊だ!!」

 

 堂々とオレが上げたその名乗りにハイレインは再び身が固まったが、すぐ冷静さを取り戻し思案に耽る。

 

「…(やはり〝悪魔の実〟の能力者か……!しかし――海賊だと!?)」

 

 彼は竜の正体に納得したものの、その身分に対しては驚愕せざるを得なかった。

 

「(海軍を相手取りながら〝アレ〟を回収しなければならないからこそ、ここまで精密な計画を考え抜いてきたのに――ここで海賊だと!?)」

 

 ――例え、精密な計画を編み出そうが順調に進もうが――どこかで必ず予想外の出来事が発生してしまうという真理が存在しているのを心掛けているハイレインも海賊の参戦にはさすがに顔をしかめずにはいられなかった。

 そんな彼を前にオレは構わずに獰猛な笑みを浮かべる。

 

「リュドドド!!――少し面を貸せよ!!」

 

          ●

 

「何事だ!?」

 

「分からん!!――だが、竜がハイレイン様のいらっしゃっている船に突っ込んでいったのは確かだ!!つまり――」

 

「あぁ!!ハイレイン様が危ない!!」

 

 オレとハイレインが対峙している一方で〝バシレウス〟艦隊では人々が慌ただしく動き回っていた。それもその筈。

 突如竜が〝バシレウス〟評議会の1人にして自身達のボスが乗っている船に突っ込んでいったのだから――仔細は分からないが、少なくともハイレインが危機的状況に陥っているのは確かだ。

 なら、すぐ彼を救出しなければならない。

 

「船に近付けてハイレイン様を救出するんだ!!」

 

「あぁ――っつ!?何だ!?」

 

 〝バシレウス〟兵士達の総意としてその方針を上げられ、さっそく執行に移そうとし――突如艦隊に爆発がそれぞれ発生してきた。

 

「「「!!?」」」

 

 突如のその爆発に兵士達は驚愕し、そして立て続けに起こった不測の事態に混乱させられてしまう。

 

「こ、こ、これは……え、え、えーっと…どうすれば……!!?」

 

「く、クソぉ!!ハイレイン様を救出しなければならねぇってのに!!」

 

「――誰だぁ!!これをやったのはぁ!!」

 

 混乱のあまりについやるべき事を見失ってしまった兵士達はパニックに陥ってしまった。これで〝バシレウス〟の活動も鈍化せざるを得なくなっただろう。

 ――そして、そういう状況を作り上げたのが……

 

「〝火龍〟!!!」

 

 ――そう、フドウであった。

 カラスの如き黒い翼を羽ばたかせる事で空を飛翔している彼は〝バシレウス〟艦隊がオレの邪魔をさせないように大きく振り下ろした「降魔」から放たれた炎で形成した龍を艦隊に放ってやったのだ。

 〝火龍〟を受けた事で損害している上に火が上がってしまっている艦隊の有り様とそれに乗っている者達がパニックに陥っている状況を目視したフドウが呟く。

 

「……スサノオさんの邪魔はさせん」

 

          ●

 

 ――そして〝サンモン〟でそれぞれ化された戦場にも異変が起こっていた。

 

「「「何だ!?」」」

 

 突如の〝それ〟の登場に交戦していた海軍と〝バシレウス〟兵士達も驚愕し、つい手を止めてしまった。そうさせてしまう程の〝それ〟とは……

 

「海軍の新たな応援――じゃないのか……?」

 

「――まさか、観光客か!?き、危険です!!下がって!!」

 

 そう――両陣どちらともの格好をしていない、それどころか観光客らしい格好をしている者達が戦場に姿を現してきたのだ。

 その登場に〝バシレウス〟兵士達が訝しげにし、その正体にそう見当をつけた海兵達も慌てながら彼らを制止しようとする。

 だが、それに構わずに観光客らしい集団――暴獣海賊団の海賊達は獰猛な笑みを浮かべながら〝バシレウス〟兵士達に襲い掛かった。

 

「な、何だ!?コイツら!!オレ達を――!?」

 

「ど、どういうつもりだ!?」

 

「――な、何で観光客が奴らに襲い掛かったんだ!?」

 

「何でだ……?」

 

 その集団が〝バシレウス〟兵士達に襲い掛かったという事実に両陣共、混乱している中にその声が周囲に広く響かれてきた。

 

「オラァ!!――息抜きを邪魔しやがった恨みぃ!!」

 

「「「ええぇ〜〜っ!!?息抜きを邪魔したから襲い掛かってきたのぉ!!?」」」

 

 明らかにされたその集団が〝バシレウス〟兵士達に襲い掛かったまさかの理由に両陣共、衝撃を受けざるを得なかった。

 

 

――とにかく、これで戦場はさらに混沌になっていった……

 

          ●

 

「〝無侍冬至〟!!!」

 

 〝バシレウス〟の攻撃によって大火に包まれている建物の軒並みの中をその白き狼――大口真神に変身したヤマトが自身の身から吹雪を激しく吹かせながら駆けていった。

 その激しき吹雪によりその辺りに上がられている大火は難なく鎮火されていった――その大火に焼かれかけていた人々はヤマトに驚愕しながらも感謝を覚えずにはいられなかった。

 

「し、白き狼!?――でも、火事を消してくれたよな?」

 

「あぁ!アレが何なのか知らねぇが――感謝だぜ!!」

 

「ありがたや〜」

 

 人々からの感謝を受けてなおヤマトはそれでも真剣に〝サンモン〟で発生する大火の消化活動に専念していた。

          ●

 

「〝焔裂き〟!!!」

 

 ヤマトが消化活動に専念するところとは違うところでも上がっている大火は――突如消された。

 ――明日郎によって斬られたのだ。そもそも、彼の剣術〝狐火流〟は刀から火を放ち、さらに炎を斬る事ができる流派の剣術だ。

 その技で明日郎は〝サンモン〟で上がっている大火を斬り回る事で大火の鎮火に貢献しているのだ。

 

「――このオレに斬れねぇ火はねぇよ!!」

 

          ●

 

「〝天魔王流〟」

 

「〝火之巻〟」

 

「〝火鬼征伐〟!!!」

 

 さらに明日郎がいるのとはまた違うところで上がっている大火が斬られ、鎮火されていた。それをやってみせたのが――小紫であった。

 そう、彼女もまた〝狐火流〟の技を体得している故に火を斬る等他愛はないのだ。

 

「……スサノオさん達の火に比べれば、大した事はないわね」

 

 〝サンモン〟で発生する大火に対して小紫は何かズレた感想を口にしながら、消化活動を続けようとする……

 

 

――その動きにより〝サンモン〟の危機も収束される目処が立てようとする……

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