ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第9話〝ジャックそしてカタクリ〟

 ある島の街を大男と3人の子供達が歩いていた。

 それはキングさんとオレ――そしてヤマトとフドウだった。

 大きくなったヤマト達もワノ国の外に行くのを許可されたのだ。

 

「オレの近くから遠くに行くなよ」

 

「分かった、父上」

 

「うん!……私もお父さんの娘としてお兄さんの妹として世界をこの目で見ちゃ……!」

 

 キングさんの注意にフドウもヤマトも頷く。大きくなってワノ国の外に行けるようになっているといえ、まだ幼いのに加え2人にとっては初めての地理なのだ。好き勝手に行って、姿を見逃すわけにはいかないのだ。

 とにかく頷くヤマトは何やら背筋を伸ばして気合を入れている。

 彼女の気合いを入れる理由を耳にするオレは声掛ける。

 

「おいおい……せっかくの外なんだ、ゆっくり楽しまなければ損だぜ。そういうのはもう少し大きくなってからだ」

 

「う……お兄さん……」

 

「まぁ!その努力は買うがな!!」

 

 まだ幼いながらも親父の娘としてオレの妹としてしっかりしようと自覚している姿勢は好んでいる。といえまだ幼いなのに肩に荷を作るのはどうかと思うんだ。今は楽しんでほしいなと考えている。

 オレの言葉にゆっくり笑い始めるヤマトは頷く。

 

「うん!そうだよ!せっかくの外だし!楽しもう!!」

 

「アハハ……ん?騒がしいな」

 

 妹の様子に微笑んでいるオレは何やら騒ぎが起こっているのに気付いた。オレ達がその騒がしい所へ近付いてみると十数人の男達がオレとフドウぐらいの背丈の子供を武器を持ちながら囲み――暴行しようとしていた。

 

「おら!バケモノめ!」

 

「なめたマネしやがって!」

 

「このクソガキをさっさとやれ!」

 

「…!!」

 

「スサノオさん⁉」

 

 元々虐待行為に嫌悪感を感じてしまうオレがその光景を目にした瞬間、子供を助けようと素早く駆け込むが――

 

「うがぁ!!」

 

「おわ⁉」

 

 なんと男達の1人がオレの方に吹っ飛んできたのでオレはそいつを受け止める。

 

「な、何だ……?」

 

「ぎゃあ!!」

 

 よく見ると子供が男達の攻撃を跳ね返していたのだ。

 男達を殴り、蹴り、しまいには鋭いとみられる歯で噛みついていた。

 子供の猛攻を見たオレは感心してしまう。

 

「ほー……いいじゃん」

 

 そう呟くと子供はオレの方にも襲いかかろうとしてきた。

 

「オオオ!!」

 

「は?おいおい……」

 

 突進してくる子供の頭をオレは受け止める。

 子供はそれでも歯を見せながら押し切ろうとしている。

 こいつ……!無差別かよ!しょうがねぇ……気絶させるか。

 オレは子供の頭に正拳突きを叩き込んだ。

 オレの拳を身に受けた子供は吹っ飛ばされて地に落とされた。

 だが、しばらくして子供が起き上がってきた。

 おぉ、起き上がってくるのか。

 並なら立てない程を与えた子供が起き上がってきたのにオレは感心してしまう。

 再び襲撃してくる子供にオレは構える――が。

 

「〝炎皇〟!!!」

 

 空から子供の頭に炎を纏わせた拳が叩き込んだ。

 それを受けて子供はようやく倒れた。

 そして子供に炎を纏わせた拳を叩き込んだのが――

 

「スサノオさんに手出しやがって……」

 

「フドウか」

 

 慕っているオレに手出したのに怒りを見せたフドウだった。

 

「大丈夫⁉お兄さん!」

 

 ヤマトがオレの元に駆けてオレの身を心配してくれた。

 ヤマト、そしてフドウを安心させたオレは子供を見て思案に耽った。

 

「しかし、大した奴だ……」

 

「まさか!オレにのされたので大していないですよ」

 

 オレが子供を讃えるとフドウがなぜかムッとしながら否定してくる。

 だが大した奴は大したもんだろ……よし。

 

「やはり、こいつを連れて帰ろう」

 

「スサノオさん⁉」

 

「お兄さん⁉」

 

「ハァ……やはりか」

 

 オレの提案にフドウとヤマトは驚愕し、前列を知っているキングさんはため息をつく。

 

「だってよ、こいつ。面白ぇだろ?なぁに、いざという時はオレが抑え込むからよ」

 

「しかし……」

 

「むぅ……」

 

「分かった、お坊ちゃま。オレが運ぶ」

 

 フドウとヤマトが渋るが、理解してくれたキングさんが子供を運び、オレ達は船に帰還する――

 

          ●

 

 ベッドで寝ている子供は目を開けて体を起こす。そして身の置かれている状況に疑問符を浮かべる。

 

「オレは一体……?」

 

 子供は気絶するまでの記憶を辿ってみた。

 そして……スサノオに挑み、フドウにのされた事を思い出し、唖然とする。

 

「オレが……負けた!?……このオレが⁉」

 

 自身がのされたという事実に子供は衝撃を受けてしまう。何せ子供は生まれてから一度も負けた事がなかった。それこそ大人にもだ。だからこそ自身の腕に自信を持っていた。自身に敵はいねぇと――

 なのに、負けた……

 

「おう!目覚めたか!」

 

 生まれ始めての敗北に目を開く子供に声が掛けられた。

 視線を向けるとオレが立っていた。

 

「お前は……」

 

「スサノオ。それがオレの名前だ」

 

 近付いてくるオレに子供は眉間に皺を寄せ、警戒しながら疑問をぶつける。

 

「何なんだ……?」

 

「ん〜そうだな……まぁ勧誘だな」

 

「?」

 

「お前……オレ達の元でその強さを磨いてみねぇか……?」

 

「…⁉」

 

 オレの予想外の言葉に子供は驚愕した。

 

「何を……」

 

「オレは気に入ったんだ。お前の度胸、そして強さをな……どうだ?」

 

 オレからの勧誘に子供は少し考え込みゆっくりと……そして問いかける。

 

「オレは…」

 

「ん?」

 

「オレは…魚人なんだ……それでも受け入れるのか?」

 

 子供のどこか恐れるかのような問いかけにオレは目を開く。そして首あたりのエラに気付く。

 

「……お前が人間でなかろうが――そんなの関係ねぇよ」

 

「お前はお前だ。お前だからこそ――誘っているんだ」

 

「それとな……種族が違うだけでくだらねぇマネはしねぇよ」

 

 オレのその断言に目を大きく開く子供。

 少し俯き――

 

「分かった……!スサノオさん!オレは今からあんたに付く……!」

 

「決まりだな!……それでお前の名前は……?」

 

「……ジャック」

 

 子供……〝ジャック〟の名を聞いたオレは驚く。

 何せその名前といえば……百獣海賊団には〝キング〟と〝クイーン〟の名前が存在しているから……

 

「おーう……すごい偶然だな……まぁよろしくな!」

 

「あぁ」

 

 

――こうして子供とは思えぬ強さを持っている少年〝ジャック〟はスサノオの元に付いた。

 

 

「言っとくが、お前がスサノオさんの下に付く以上、オレの事は〝先輩〟と読んでもらうか――」

 

「あぁ?何でてめぇを〝先輩〟と呼ぶんだ?……焼き鳥が……」

 

「……あぁ?オレに負けた負け犬の癖に……」

 

「「あぁ?」」

 

 

――そして、あるルナーリア族の少年とは犬猿の仲になってしまった。

 

          ●

 

「〝雷鳴八卦〟!!!」

 

「ぐああああ!!」

 

 百獣海賊団はオレ、ヤマト、フドウはもちろんだが、新たにジャックを船に乗せて航海していたところに海軍が襲いかかって来た。そうして戦争が勃発した。

 ある程度大きくなって強くなったオレは戦争に参加できて海兵達を吹っ飛ばしてきた。

 海兵達の下っ端等、もはやオレの敵じゃねぇ!もっと強ぇ奴を連れてみろ!

 

「おらぁ!もういねぇのか!」

 

 オレの周りに海兵達は倒れ込んでいた。他に海兵がいないのを確認したオレはまだ戦っている親父達の元へ向かおうとすると

 

「「スサノオさん!!」」

 

 フドウとジャックが慌てて駆けてきた。未熟な彼らは戦争に参加せずに隠れていたのに。しかもヤマトの姿がいないのに気付き、嫌な予感がしてしまった。

 

「大変です!ヤマトが……!」

 

「海軍にさらわれました!」

 

「あ゛?」

 

 その言葉を耳にした瞬間、オレの目の間が真っ赤に染まった。

 そんなオレになぜそうなったのかフドウとジャックが説明してきた。

 

 ヤマト達はオレ達の命に従って、戦いに参加せずに船内に身を隠していた。

 だが、そこにも海兵が姿を現していたそうだ。そいつらにヤマト達はやむを得ずに応戦した。

 しばらく善戦はしたが、ヤマトが隙をつかれて海兵に気絶させられて連行されていってしまった。

 フドウもジャックもヤマトを助けに行きたかったのはやまやまだが、海兵達に邪魔されてたまたましているうちにヤマトを見失ってしまった。

 ヤマトを見失ってしまった以上、うかつに動くよりオレ達に報告すべきだと考えたフドウとジャックはオレの元に駆けてきたという――

 

 フドウとジャックの説明を聞き終えたオレは震えていた。

 そして周囲を見渡す。

 

「ヤマトは――…むっ!」

 

 あるものが目に映ったオレの目が細める。

 そのものとは――戦争から去ろうとしたある軍艦の姿だった。

 何となく、その軍艦にはヤマトが乗せられている気がしたオレは

 

「フドウ!ジャック!お前らは親父達にこの事を!オレは追う!!」

 

 そう言って海へ飛び込んだ。そのまま軍艦に追いかけた。

 

          ●

 

「ハァハァ……なんてガキだ……!」

 

「――だが、数はこっちが上手だ。このまま追い込むぞ!」

 

「「おう!」」

 

 軍艦にオレが無事乗り込んだまではいいが、海兵達に囲まれてて今は膠着状態だ。

 それでもオレは叫ぶ。

 

「いいから……ヤマトを――妹を連れて来い!てめぇら!!」

 

「突撃だ!」

 

 だが、オレの叫びを無視した海兵が襲い掛かって来る。オレも構える――が。

 突然大きな音と共に海兵達が吹っ飛ばされた。

 

「な、何だ⁉」

 

 突然一変された状況に目を見開くオレは何とか状態を把握しようとすると――

 

「てめぇら!!ブリュレは……オレの妹はどこだ!!」

 

 そう響いた声に――何より聞き捨てねぇ言葉にオレは視線を向ける。

 

「…!あれは……」

 

 突然現れた男の姿、特に顔を見たオレは驚いた。そう――……手配書で見た顔だから。

 海兵の死屍累々を見て答えが得られにくいのに舌打ちするそいつにオレは声掛ける。

 

「おい、あんた……」

 

「誰だ!……なんだ、ガキじゃねぇか」

 

「あぁ⁉何だと!」

 

「あぁ?」

 

 ガキと言われてイラついたオレといえ、そいつの顔を冷静に見てみた。

 小豆色の髪色と鋭い目――口元を隠しているマフラー。

 間違いない、こいつは……シャーロット・カタクリだ!

 

ビッグ・マム海賊団

スイート四将星

シャーロット・カタクリ

 

「オレはスサノオっていうんだ……あんたも妹探してるのか?」

 

「……それがどうし――…いや〝も〟?」

 

「あぁ、オレも妹をさらわれてな……オレも妹を助けてぇんだ、ここは共闘でいいか?」

 

「…」

 

 オレからの言葉、提案にカタクリが数秒考え込んだが……

 

「……いいだろう、ただし足引っ張んじゃねぇぞ……?」

 

「はん!なめんじゃねぇぞ!」

 

 とりあえず手を組んだオレ達は慎重に廊下を歩んでいた。

 

「……お前の妹はどんな感じだ?」

 

 カタクリが突然オレに妹の事を問いかけてきた。

 

「え?…あ―…お転婆…だと思っていたら、意外に真面目なところがあるんだ……」

 

「…そうか」

 

「そういうあんたの方は?……多くいるんだろ?」

 

 カタクリの所属しているビッグ・マム海賊団はビッグマムの本物の家族――それも数十人の子供達を中心に構成されていると聞いているからな……

 カタクリといえばシャーロット家次男……すなわち数十人の妹がいるはずだ。

 

「……あぁ、多くいるとも。どれもそれぞれ違う個性を持っていて……だからこそ可愛いと思える」

 

「だが……オレの事を最も理解してくれる妹はおそらく……アイツだと断言できるだろうな……」

 

 そう呟くカタクリの目は真剣だった。

 そういうまでに大切な妹……もしかして……

 

「……もしかしてさらわれた妹はそいつ?」

 

「あぁ……何としてでも取り返さなきゃ……」

 

 カタクリの目がますます真剣さを浴びていく。その目にオレは共感を覚えてしまう。

 そうだ……妹は可愛いものだ。取り戻す為なら何でもやってやる……

 カタクリの熱意につれてオレも決意を固くする。

 すると――

 

「……声が聞こえたぞ、それも子供――おそらくお前の妹かもしれん」

 

 ヤマトらしき声を聞き取れたらしいカタクリにオレは慌てて寄った。

 

「!!どっちだ⁉」

 

「こっちだ」

 

 そうしてカタクリはオレを連れてその声がする方角へ向かった。

 

          ●

 

「離せ!離せ!」

 

「静かにしろ!……ったく」

 

「しかし、本当にこの子も百獣海賊団なのか……?」

 

「間違いないだろう。何せ百獣海賊団の船の中にいて、しかも金棒を持って数人の海兵を倒しやがったからな……」

 

「そうなのか……恐ろしいな」

 

 ある部屋でヤマトを拘束して、それを2人の海兵が見張っていた。

 

「だが……こうすれば問題ない……がっ!!」

 

「⁉何だ⁉……ぐわぁ‼」

 

 突然2人が吹っ飛ばされていった。

 どうやらヤマトの見張りに集中し過ぎた2人をカタクリが吹っ飛ばしたようだ。

 突然現れた大男に目を見開くヤマトにオレが駆け寄る。

 

「ヤマト!大丈夫か!」

 

「お兄さん!」

 

 オレを目にしたヤマトが涙を少し流し、明るくなった。そんなヤマトをオレは抱き付いてやった。

 そんなオレ達をよそにカタクリは海兵を尋問していた。

 

「今度こそ答えてもらうぞ――……ブリュレは……オレの妹は……どこだ?」

 

 カタクリのドスの利いた声での問いかけに海兵は涙目で答える。

 

「ヒィィ〜〜今向かっている基地にいる筈!」

 

「そうか」

 

 ようやく欲しかった答えを得たカタクリは一息ついて――オレ達に視線を向ける。

 

「……そいつがお前の妹か」

 

「あぁ」

 

「ね、ねぇ?この人は……?」

 

「あぁ……実はな」

 

 オレはヤマトにカタクリ、その妹の事を説明した。そして説明を受けたヤマトは――

 

「私も行く!」

 

「危ない……と言いたいところだが、親父の所に連れて行く手段がないし……仕方がない。代わりに無茶はするなよ?」

 

「うん!」

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