その戦場には激しい爆発が立て続けに起こった。
「「「うわぁあああああ!!!」」」
その連続爆発により海兵達が勢いよく吹っ飛ばされ、そのまま地に落とされていった。
「ぐ!」
「んおらぁ!!」
だが、そのうちの数人が何とか踏ん張り――恐れずに敵を睨みつける。それに対して敵――ランバネインも笑みを浮かべる。
「おう!骨があるな!!お前らは!!」
「当然だぁ!!オレ達は海兵としてテメェらから〝サンモン〟を守らなければならねぇからなぁ!!」
自身の攻撃にさえもやられず、しかも挫けない海兵達の事をランバネインも率直にそう言うのに対して黒髪リーゼントに眼鏡というインテリヤンキーのような外見をしている海兵――タクマは海兵としての使命を語気を強めながら述べる。
その強い意思にランバネインもつい嬉しそうな笑みを浮かべるのに対して今度は鋭い目をしている海兵――シュウジが苦々しく口を開く。
「……思ったんだが――その武器は随分とデタラメだな……!」
自身達以外の海兵達を容易く撃破したランバネインの持つ武器に対してシュウジはそう評する。その言葉に対してランバネインもまるで子供かのように盛り上がる。
「ハハハ!!これこそがオレの武器――「ケリードーン」だからな!!」
自慢気に笑うランバネインが掲げる武器「ケリードーン」とは――大砲だった。それも彼の左腕と一体化した砲塔からの高速連射型になっていた。
そこから放たれた攻撃の威力が大きくて警戒に値するのはもちろんだが、何より恐るべきのは――それ程の威力を込められる攻撃の連発が可能であるという事であった。
1発だけでも厄介なのに連発されるのでは――海兵達が小さくはないダメージを負わされ、地に伏せてしまうのも無理はないだろう。
そんな性能を秘めている「ケリードーン」を警戒している海兵達に対してランバネインは――容赦なく攻撃を続けた。
「ほら!!休ませないぞ!?」
「「「!!」」」
「ケリードーン」から砲弾らしきものが強烈な勢いで立て続けに放たれ、海兵達もその難から逃れようと全力で素早く避ける。
――再びその場に爆発が立て続けに起こった。
「……うん!避けられてしまったな!!」
――海兵達が何とか攻撃から避けられ、しっかり立っている景色を目視したランバネインが残念がるのに対して海兵達はしかし、切羽詰まっていた。
「……やっぱ、ただの砲弾を飛ばすだけじゃ、こんな損害が出る訳がねぇだろ!!ぜってー何か秘密がある筈だ!!」
「えぇ――これはやはり……」
今立っている場を見渡して、その損害の程を認識したタクマがそれ程の損害を出した「ケリードーン」に関してそう評せずにはいられず、シュウジもその意見に共感し、そして推測を口にしてみる。
「――〝悪魔の実〟でしょう!」
「お!分かってるな!――その通りだ!!」
その推測にランバネインが持つ「ケリードーン」には〝悪魔の実〟の能力が宿っているのだ。
――だが、そもそも〝悪魔の実〟の能力は実を口にした者が得られる仕組みになっている筈だ。
故に無機物がその能力を宿る事ができない筈だ――にも関わらずに「ケリードーン」が能力を宿っているのは……ある男がやった事による影響だ。
――「世界最大の頭脳を持つ男」と呼ばれる天才科学者Dr.ベガパンク。
その彼が如何なる研究を実施していたが、その中には――〝悪魔の実〟関連の研究も含まれていた。
その研究でも大きな実績を挙げられたが、その中には――「銃と剣等を含める無生物に〝悪魔の実〟を食べさせる新技術の開発」というものが存在していた。
その技術の事が世間に向かって発表された時に〝バシレウス〟は――さっそくその実践にかかった。
実は〝バシレウス〟にとって〝悪魔の実〟の力は実に有益で――重用している。だが、だからこそデメリットに悩まされていた。
まず「〝悪魔の実〟を口にした者が海に嫌われ、一生カナヅチになる」はもちろんだが――それよりなのが「〝悪魔の実〟の能力者が死ぬと世界のどこかにその能力を秘めた〝悪魔の実〟が復活する」というリポップ機能が〝バシレウス〟には不服だった。
〝バシレウス〟は一度でも手にした〝悪魔の実〟の力をそのまま失わずに所有し続けたいと考えていた。そんな彼らだからこそ、その技術は実に〝渡りに船〟だった。
そうして――〝バシレウス〟は〝悪魔の実〟を入手したら、必ず人の口に入れずに最適な武器に食べさせるようにしていた。
その結果として――〝バシレウス〟には能力者がいない代わりに〝悪魔の実〟の能力を宿る武器を扱う兵士が存在しているのだ。
……そして、ランバネインが取り扱う「ケリードーン」に宿る〝悪魔の実〟とは――
「…(コイツに宿るのは――〝バチバチの実〟)」
「(その能力は――電気を操る)」
「(その特性をこの「ケリードーン」……大砲に付与する事でそれはそりゃ――強力な電磁砲と化するぜ!!!)」
「(その威力はまさにレーザー砲そのものだから、そりゃ強ぇよ!!!)」
「(……まぁ、さすがにその事を敵にストレートに教える訳にはいかないがな!!)」
そうランバネインは自身が取り扱う「ケリードーン」の能力を改めて認識した。なお、さすがに彼でも敵にその事をストレートに教える程に単純ではなかった。
それを知る由もない海兵達は――それでも真剣な表情を浮かべていた。
「さぁて……コイツをどう倒すかぁ〜」
「……強い上にバカじゃない……骨が折れるな」
「……ハハハ!!やはりいい!!戦士とはこうでなくちゃな!!」
ランバネインの強さに対して海兵達はしかし挫けずにどう克服しようと頭脳を巡らせてみる。その様子にランバネインも喜ばしそうにする。
彼には兵士として不適切な感情かもしれないが、たとえ敵でも諦めずに目前の困難をどう乗り越えるのかを検討する姿勢が好きでたまらないのだ。
だからこそ、海兵達に敬意を払い――心置きなく全力を出すと決意する。
「さぁ!!行くぞ!!戦士達よ!!」
「チッ!来るぞ!」
「えぇ――……!?」
「「「!?」」」
だが、一触即発しようとする海兵達とランバネインは気付く。今、彼らが戦っているその場には――新たな者が現れてきたのを……
「…」
――それは実に無表情の男性……ゼノンだった。
「何だぁ!?新たな敵か!?」
「……いや、オレ達の仲間じゃないぞ?」
突如登場してきたゼノンに対してその場にいる者達が訝しげにする。そんな反応をゼノンはしかし気にかけずに――足を進め続ける。
やがて、ランバネインから少し近いところで足を止めた。そうしてゼノンとランバネインが対峙する事になった。
「…」
「……何者だ?」
その異様な雰囲気を放っているゼノンを前にランバネインも今まで浮かべていた陽気な笑みを消し、険しい表情を浮かべた。
そんな彼から投げかけられたその問いかけに対してゼノンは閉じている口を開く。
「……それをお前が知る必要はない。ただ――お前がこのオレに排除されるだけだからだ」
そう宣するゼノンから殺気が湧き出てきた。
「「「!!」」」
その冷たくて重い殺気にランバネインが抱えていた警戒感をさらに高め身構える。海兵達ももちろん身構えるが――
「……お前らには別に何もするつもりがない……だからそこで大人しくしていろ」
「……だが、攻撃するつもりなら――容赦なく排除する」
そんな海兵達をちらりと冷たい目で見るゼノンがそう釘を刺しておく。もちろん、そんな言い草に海兵達も黙らずにはいられなかった。
「何だと!?誰か知らないが、随分と勝手な事を言うな!?」
「…」
真っ先に憤激したシュウジが当然ながらそう怒鳴ったが、ゼノンは言いたい事を言い終えたからか海兵達に視線を向ける事はなかった。
彼が凝視しているのはもうランバネインだけだった。
まるで〝サンモン〟の為に戦っている自身達を軽視するかのようなその態度に海兵達も堪忍袋の緒が切れた。
「おい!!なん「待て」とか――!?」
だが、タクマがシュウジ達をなぜか制止した。同じどころから大激怒するかと思われてた彼の行為に戸惑う海兵達に対してタクマは重々しく言う。
「ここは――待機だぁ」
「「「!?」」」
その提言にシュウジ達もあまりの衝撃で言葉を失う。やがて憤慨を隠せずにタクマに迫る。
「ど、どういう事ですか!?なぜ、待機するんですか!?」
「……それはぁ」
その問いかけに対してタクマは――苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら答える。
「――誰か知らんが、オレ達と戦わずにわざわざアイツと戦ってくれるんだ。オレ達の戦力を削がなくすむこの好都合を逃すべきじゃねぇ」
そう――自身達が戦わなくても敵と得体のしれない者が勝手に戦ってくれるんだ。思惑が分からないが、ゼノンの言葉に甘えるべきだ。
「!!……ですが!」
その考えにシュウジ達が目を見開くが、それでも納得できずに何かを言おうとする。だが、それより素早くタクマが口を開く。
「……オレ達の仕事はここ――〝サンモン〟の平和を守る――ってもんだろ?」
「!それは……」
「え、えぇ、そうですね……」
その表明にはシュウジ達も否定できず、言葉を失う。そこに構わずに言葉を続けられる。
「なら、プライドなんかにこだわらずに目の前の状況を見極め、最適な選択をしてみせるんだぁ」
「「「…」」」
その考えにシュウジ達は何も言わなくなった――ただ、彼らも一理あると考えているようだ。黙り込んだシュウジ達にタクマは自身が考えた動向を口にする。
「……気に入らねぇのは分かってる。このオレもそうだ――」
「……だが、アイツは強ぇ。例え撃破できても大きなダメージを負うのを避けられねぇ!!」
「――それに奴も――得体が知れねぇが……ありゃ、強ぇ」
「ならよ!!オレ達はこのまま様子見して――チャンスを待つんだ!!」
「「「っ……あぁ!!」」」
その動向に海兵達には納得しがたくても――賛同せざるを得なかった。
とにかく、海兵達の動向が決まった一方で対峙しているゼノンとランバネインの間には――まだ何も起こらず、しかし緊張感が高まっていた。
「……ハハハ!!海兵じゃなければ――何の為にオレと戦うんだ?」
ゼノンの身分が分からない上にその意図を掴められないランバネインがストレートにその問いかけを投げかけてみた。それに対してゼノンは――
「……お前らの襲撃がオレには都合が悪くてな、故にここでお前を消す。ただそれだけだ」
一応その理由をある程度隠しながら口にする。その理由にランバネインもさすがに苦笑を浮かべざるを得なくなった。
「何と、それは参ったな!!オレ達の遠征がお前を招いてしまったのか!!」
自身達の計画がこういう不測の事態を招いたのを悟ったランバネインはすぐ次の行動を決意する。
「じゃあ!!さっさと修正しなきゃな!!」
ゼノンの得体の知れなさからすぐ排除すべきだと考えたランバネインは「ケリードーン」での攻撃を行い始める。
そこから弾が素早く放たれた故にもう既にゼノンに当たろうとしていた。
その場に大きな爆発が起こった。
「「「!!」」」
今までより威力が強いように感じられる爆発に海兵達が目を見開く中、ランバネインは攻撃を容赦なく続ける。
「オラオラ!!」
――実は彼はゼノンの殺気、そして得体の知れなさを感じてきた事でこう考えてもいた……
――あんな殺気を放てる上にこうも得体が知れないという事は……底が見えにくいともいえる。
自身達が進めている計画を潰す危険性が見込まれる存在をランバネインは自身の力を惜しまずに全て出して排除するのを決意したのだ。
そんなランバネインからの激しき攻撃によってその場に爆発が立て続けに起こり、やがて煙が広がられた。その煙が上がった途端にランバネインはいったん攻撃を止めた。
「…」
ランバネインは煙で姿が見えにくくなっているゼノンの動向を警戒して身構える。すると
「…!!」
その煙から数々の骨が姿を現してきたのだ。
それが目に入った途端にランバネインが素早く後ろに下がるものの、骨はそんなの関係なしに彼を追いかけようと伸ばし続けた。
その事にランバネインも後退が難しいと悟り「ケリードーン」で防衛しようと身構える。
「――オォ!?」
だが、骨がランバネインの武装色で硬度を上昇させられている「ケリードーン」を微かながらも貫き、そのままランバネインの身体をも貫いた。
その事に驚愕したランバネインはしかし踏ん張り「ケリードーン」を振り回す事で襲いかかってきた骨を跳ねのけてみせた。
これで更なる攻撃から逃れられたランバネインだが、今負わされたダメージに少し眉をひそめた。
「……いやいや、痛いな!!」
ランバネインが陽気に笑うものの、その目は険しかった。
そんな彼の前に広がられた煙が晴れ、そこからゼノンが現れた。その姿は――汚れはおろか傷さえも見受けられなかった。
「……終わりか?」
無表情のゼノンが挑発めいた発言をしてきたのに対してランバネインもニャリとし
「何の!!まだまだ!!」
そう宣したランバネインは突如飛び跳ねた。そして――
「!」
今まで無表情を保っていたゼノンも初めて驚愕の表情をみせた。何せ、ランバネインは――空中を浮かびながら移動したからだ。
――それは〝月歩〟といって「世界政府」に伝えられる〝六式〟の1つだ。
それは強靭な脚力により得られる空中の二段ジャンプであり、空気そのものを蹴る事で足場とする技だ。
これを連続して使用する事で空中を高速移動する事が可能なのだ。
ランバネインはその技で空中を移動し回り――そのまま「ケリードーン」でゼノンに対して攻撃を放った。
「!」
「ハハハ!!悪いな!!このまま終わらせてみるぜ!!」
――その場に再び爆発が立て続けに起こった。
これでゼノンは撃破された――かと思われたら
「!」
今度は突如前に顔を向けたランバネインの方が驚愕の表情をみせた。
空中を浮かんでいる彼の前には――ゼノンもまた空中を浮かんでいたからだ。しかも彼の背中には――図体が大きな骨が生えていて、それがまるで羽翼のように羽ばたいていた。
「……オレの骨はこれだけじゃない」
ゼノンがランバネインに対して堂々とそう宣する――