ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第129話〝裏の裏〟

 その場に大きな音、そして凄まじい衝撃が響かれた――

 

 ――数々の大型で強力な武器……大剣、剣、ウォーハンマー、メイスがその場に狙いを絞って強烈な勢いで放たれたのだ。

 その数が莫大でしかも放たれた勢いがそりゃ凄まじくて、それらが飛んできたその場は無論、無惨に叩き壊されていた。

 ――そもそも、実はその場ではそこに用があるヒュースと基地長としてそこ――否、基地を守らなければならないマサムネ中将がその場を巡って戦っているのだ。

 だが、ヒュースはマサムネと少しばかりの戦いを交わしただけでその強さが尋常ではないのを理解し、それに加えて自身の事情も重ねてすぐ決着を付ける為に力を惜しまずに出し切る決意を下した。

 そんな彼が取り扱う「ランビリス」の最大限の力を発揮する事で生み出した莫大な量の砂鉄で構成された数々の武器がマサムネを叩き潰そうと試みた。

 なお、その攻撃にはヒュースが尊敬する強大な強さを有する戦士――ヴィザの戦術を参考にして手を加えている。それもあって、その攻撃には彼も少し自信を持っているのだ。

 

 ――いくら警戒が必要だと知らされる海兵の1人であるマサムネ中将だろうが……これにはさすがに適える訳がない筈だと……

 

 そう考えているヒュースはそれでも目前の状況に注意を払うようにしている。

 ……少なくとも結果が確定されるまでは気を抜いてはならぬ――それが彼が教わった兵士としての心構えだ。それに彼も従い、目前の光景を注視しながら――少しコソコソする。

 そんな彼――の目前に突如マサムネが姿を現した。

 

「!!?」

 

「―」

 

 その思いがけない事態に目を見開き固まらずにはいられなかったヒュースに対してマサムネは構えている刀を容赦なく強烈な勢いで振り上げた。

 

「オォォォォ!!」

 

 突如の事を展開された上に繰り出される烈しき斬撃をどうしようもなく受けざるを得なかったヒュースが勢いよく吹っ飛ばされた。

 その彼は壁に激しく叩き付けられる――が、そのまま倒れず何とか態勢を立て直し床に足を付けてみせた。

 ……実はまずヒュースは普段、砂鉄を自身に鎧の如き覆わせている。その上にさらに身をもって思い知らされたマサムネの強さから万が一に備えて周囲に砂鉄を蠢かせる事で壁を作り、防衛力を強化させていったのだ。

 もっとも、その壁と砂鉄の鎧さえをもマサムネからの斬撃が打ち破りヒュースの身体に傷を負わされてしまったが……

 とにかく、そのその慎重さが功を奏してまだ撃破されずに済んだ彼が気を引き締め、次の手を考える為にまず目前の光景に視線を向ける。そこには――斬撃がヒュースに飛びかかってきていた。

 

「……は?」

 

 思わず呆気に取られた彼をその斬撃が容赦なく斬り捨てた。

 

「が、がは……!?」

 

 更なる深い傷を負わされ、それによるダメージで彼もさすがに倒れざるを得なくなった。彼が倒れていく様に斬撃を放った張本人――マサムネは口を開く。

 

「……中々の心意気だったようだが――終わりだ」

 

 今まで、そしてさっきの自身の斬撃を受けてなおそれでも立ち上がってみせたヒュースの姿勢に微かに感嘆を覚えたマサムネも今の彼の状態から考え得られる状況により冷徹にそう宣する。

 ――さっき、ヒュースが繰り出した数々の武器による攻撃を受けた筈のマサムネはその姿には傷が少し見受けられるが、それでも無事だったのは……

 

「……誰かの戦い方を参考にしたようだな?――さっきの攻撃……それぞれの規則性、速度をズレさせながら攻撃する――そのやり方は実に悪くはないが……所詮模倣だろうな。隙がそれぞれみえたぞ」

 

 そう――ヴィザの戦術を参考にするだけはあってその攻撃は確かに少し洗練されているが、それでも所詮〝付け焼き刃〟だ。

 それなりに数々の戦いを経験してきたマサムネの目には数々の武器の動きがなってなくて、そして数が少ない上に規模が小さくても――隙が存在していた。

 そこをたやすく見つけた彼は迷いなくその中の1つを突いていったのだ。

 なお腐っても多種多様な武器を構成されただけはあって、それぞれの鋭角に傷を負わされざるを得なかった彼がそれでも駆け進めた――傷に関してもそれ以上は素早く的確な身動きをする、刀を振り回す事で防いでいた。

 

 そうして――ヒュースの全身全霊をかけた攻撃さえをマサムネは打ち破り、そのまま彼に対して攻撃を仕掛けていった。

 一度は剣を勢いよく振った事でヒュースを吹っ飛ばしたが、その手応えから砂鉄で防衛力を強化された故に十分なダメージを与えていないと気付いた彼は続いて斬撃を容赦なく放ったのだ。

 その鑑識眼、冷徹で的確な判断力によってヒュースももはや戦闘不能にならざるを得なかった……

 

 

『海軍Gー3支部 マサムネ中将

  VS

 バシレウス ヒュース』

 

『海軍Gー3基地

「ある廊下の戦い」』

 

『勝者 マサムネ中将』

 

 

「……さて、勝負アリだな」

 

 その場に倒れ、それっきり動けなくなったヒュースに近付いたマサムネは彼を冷徹に見下ろしながら、そう宣する。

 その内容に辛うじて意識をまだ失っていないヒュースは歯を食いしばるものの否定できず、何も言えなくなる。

 そんな彼を凝視するマサムネは続いてある部屋に繋がる扉に視線を移す。

 

「……君は私と戦いながらあの部屋に何とか入ろうと考えていたようだが――その余裕がなかったのかね?」

 

「……そういうあんたがオレにその余裕を作らせないようにしていたんだろうが……」

 

 あえて疑問を投げかけるのようにそう言いつけるマサムネだが、その白々しさにヒュースもイラつきながらその指摘をせずにはいられなかった。

 そう、実はそもそも目的が〝サンモン〟を占領する事でもなく、海軍Gー3支部と戦う事でもなく――その部屋の中に置かれてあるものこそにあるヒュースはマサムネと戦いながら――何とかその部屋に入ろうとその隙を伺っていた。

 だが、その目的を勘付いた事でその意図をも見通しているマサムネはそのような隙を晒し出さないのはもちろんだが、目前のヒュースにそのような余裕を与えないように戦いながらその戦況を整えていた。

 その老猾さによって戦いに専念せざるを得なくなったヒュースはその部屋にさえ入られず――そのまま撃破されてしまった。すなわち任務失敗――

 

 

 

 

 

 ――かと思われた。

 

「…(だが、どうやら――〝こういう〟のはさすがに気付けなかったようだな!)」

 

 今身を置かれている状況を無念に思う姿勢をみせていりはヒュースだが、その胸内では……はくそ笑っていた。

 実は――彼は戦いの最中で人の目には目視できない程に微量の砂鉄を密かに動かし続けて――その扉……の隙間を通り、部屋に入れていたのだ。

 そして、ある程度溜まってきた砂鉄がさらにその部屋の床に穴を開けようとしていた。

 マサムネに気付かれないように密かに進めていたその作業が実を結んで、その床に穴が無事に開けられたのを感知したヒュースは今もまだ気付かない彼の様子からまだチャンスはあると希望を持つ。

 

「(上手くやれよ……)」

 

 ヒュースがそう託したのを受け取ったかのようにその穴から――1人の黒ずくめの男が姿を現した。そう、彼も〝バシレウス〟の兵士である。それもヒュースの任務を代わりに遂行するという役を請け負っている。

 ――何と、ヒュースは自身に何かがあった場合の策をも抜け目なく講じていたのだ。そして、任務を遂行しようとするところにマサムネ中将が現れてその強さを理解した彼はさっそくその策を決行したのだ。

 

「…」

 

 部屋の中にまんまと入れた兵士は任務を果たす為にまずその部屋に目を凝らしてみる。そこには――数多くのものが置かれてあった。

 それもその筈。その部屋は海軍の任務内で入手したものの置き場になっている。

 その場には〝バシレウス〟が〝サンモン〟を、続いて海軍Gー3基地にまでも襲撃を繰り返してまでも求めるものが置かれているのだ。

 

「……これか」

 

 ――そして……見つけた。

 

 部屋中を見渡していた兵士はその部屋に目を付けた。その特徴は受け取った情報のと相違ない。故にそれこそが目当てのものだと確信した兵士はその箱に手をかけようとする……

 

「(これをハイレイン様に届けなければ――……!?)」

 

 ――だが、その腕を突如掴まれた。突如の事で目を見開いた兵士が素早くその手の主に視線を向けた途端に顔を掴まれる。

 

「〝幻火〟」

 

        ●

 

それからしばらくして――

 

 その部屋の扉が開けられ、足を踏み入れた者がいた――マサムネだ。

 彼は〝バシレウス〟の目的が確定された以上、その目当てのものの安否を確認しようとしていた。そもそも――

 

『……悔しがっているように見えるが――何か余裕があるように見えるが?』

 

『!……何の事だ』

 

 さっき撃破したヒュースに対して尋問をもちろん行っていたが、やはりというか彼は口を割らなかった。

 だが、その際に彼の態度を注視したらそれに違和感を覚えたマサムネがそう指摘してみるとさすがに一瞬反応をみせざるを得なかったヒュースもとぼけるかのようにそう言い、それっきり黙った。

 それが逆に違和感をますます増したマサムネは来てもらった海兵達にヒュースの身柄を任せると〝それ〟を確認しようと部屋に入室してみたのだ。すると――

 

「…!!?」

 

 そこに広がられる光景にさすがの彼も固まった。

 何せ、そこにはまず床に穴を開けられていて、そして――黒ずくめの男が抜け殻のような状態で尻餅をつけていた。

 そんな異常な事態に動揺したマサムネだが、すぐ気を取り直して〝それ〟が置かれている筈の場所に視線を向ける。

 

「!?置かれてある……?」

 

 ……肝心の箱が相も変わらずにそこに無事に置かれてあった。その箱をすぐ開けてその中を確認してみると――

 

「……うむ、無事だな」

 

 〝それ〟が確かに置かれてあるのを目視できたマサムネは続いて自身の入室にさえも反応をみせていない男を確認する。

 

「……おい、聞こえるか?」

 

 その頬を叩く等軽い衝撃を与えながらそう声を掛けてみるが――それに対してもその男……兵士は反応せずにボーッとしていた……

 

「…」

 

「……催眠術か」

 

 その状態にそう見当を付いたマサムネは顔をしかめる。

 たった今手にした情報によって改めて認識した今時点の状況があまりにも異常だったからだ。

 まず、床の穴に関してはその形跡からおそらくヒュースの仕業かもしれない。彼の違和感を覚えさせた態度からその可能性に拍車をかける。

 次にその穴から来たであろう黒ずくめの男に関しては彼が〝バシレウス〟の者であるのは想像に難くない。

 ……だとすれば、それこそがヒュースが取った策だろう。しかも、上手くいけば〝それ〟をまんまと奪われてしまったのだろう。

 マサムネはその段取りには感嘆を覚えずにはいられないのと同時に自身は詰めの甘さがあったと反省せざるを得なくなった。

 ――だが、それより解せないのが……

 

「……なぜこ奴がこうなっていて、しかもこれが奪われなかった……?」

 

 自身が下手をこいてしまった事でまんまと奪われてしまった筈の〝それ〟が相も変わらずそこに置かれていて、回収役であろう者がその場を離れずにこういう状態になっているという事である。

 一見あまりにも理解不能な状況だが、それからマサムネはある可能性を見出した。

 

「……まさか?ここには〝バシレウス〟――以外にも勢力が存在していて、その者によって〝バシレウス〟が〝それ〟を奪おうとするのを阻止した……?」

 

 彼が着想したその可能性は根拠がない、ただの勘によるものだが――この状況をみれば、説得力が少なからずある。だが、そうだとすれば――

 

「……一体何者なんだ……?」

 

「そして、その目的は何だ……?これが置かれているという事は〝バシレウス〟の邪魔をする為か……?」

 

 その正体、目的に関しては残された情報があんまり少ない事から全く見当を付けにくい故にマサムネも顔を険しくする程に思案に耽る。

 といえ、ここで考え悩んでもしょうがない。ここは腕がそれなりに立つ者達を置き、自身は指揮所に戻る判断をする彼はすぐその準備に取り掛かろうと動く……

 

 

 

 

 

「……そりゃ〝バシレウス〟の兵士さんから教えてもらった〝それ〟には確かに興味を惹かれるが……それはさすがにスサノオさんの意思に反するだろうからねぇ〜」

 

 そこで蠢く影がそう囁く……

 

        ●

 

 海軍Gー3基地内で実に様々な事が発生している中でその部屋では――

 

「――ほわぁぁぁ!!」

 

「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」

 

 多くの者――〝バシレウス〟の兵士達はその男――タクミ中将によって撃破されていた。

 勢いよく吹っ飛ばされ、床に倒れ伏せられた兵士達は信じられない顔をする。

 

「ば、バカな……わ、我々があんな男1人にやられるなんて……」

 

 〝バシレウス〟の兵士としてそれなりの強さを有する筈の自身達がたった一人の男に適わないという事態に衝撃を受けざるを得ない兵士達にタクミは不敵な笑みを浮かべる。

 

「はっはっは!これでも海軍Gー3支部ナンバー2なんだ。その地位に就く者として――おっさんでもそう負けられんよ」

 

「ぐ、ぐぅ!!」

 

「お、おのれ〜!!」

 

 その軽い雰囲気から予想できない程に威厳にそう告げるタクミに兵士達も何も言えず、口惜しがる。

 そんな状況に子供達は――呆気に取られていた。

 

「す、すごい……」

 

「う、うん……心配無用だったね……」

 

「はっはっは!だろ!」

 

 その姿勢を感じ取れたタクミは彼らに対して朗らかな笑みをみせる。その笑み、そして今の状況に子供達もようやく安堵感を覚える。

 そんな彼ら――を倒れ伏せている1人の兵士が睨み付ける。

 

「……そうはいくか……数人ぐらいは捕獲してやる……」

 

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