ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第131話〝その悲運の真実〟

 〝サンモン〟に正義の砦として所在している海軍Gー3基地。

 だが、その拠点内に何と侵入者が次々に現れてきた。

 

――自身の欲求を満たす為に分け隔てなく暴れ回るエネドラ

 

――海軍Gー3が回収した〝それ〟を入手する為に忍び込むヒュース

 

――〝バシレウス〟からの亡命集団を追跡し捕獲する為に忍び込む兵士達

 

 そのような者達の内部への侵入をまんまと許してしまった上に騒ぎを起こされた事であまりにもな危機的状況に陥ってしまった海軍Gー3支部。

 ――だが、基地中にいた数人の海兵。それも上層部に所属する程の3人の海兵将校の活躍によって侵入者が難なく撃破され、騒ぎも収束されていった。

 これで少なくとも基地を襲った不測の事態が解決された――そう思われた中で突如基地そのものを揺らす程の大きな爆発が発生された事で事態がまたしても少し変わってしまった。

 ――その強い威力を発揮した爆発によって態勢を崩されざるを得なかった海兵達の隙を突いた1人の兵士が亡命集団――子供達から2人をも捕獲してまんまと逃走してしまったという結果になった。

 無論、海兵達もその失態を挽回する為にすぐ追跡を行った……

 

「――爆発の詳細がまだ分からないのか!?」

 

「申し訳ありません!!被害がひどくて、分析も進めるどころか……!!」

 

「っ……分析はもういい!!修繕の方に力を入れろ!!」

 

 そして、同時に残りの海兵達も爆発を受けて損害されてしまった基地の修繕を含める〝サンモン〟での非常事態の対処に改めて動いた……

 

 基地内に控えられている指揮所で海兵達が慌ただしく動いていた。それぞれ自身の任務を果たす為に……

 まず〝サンモン〟全域でそれぞれ発生した〝バシレウス〟との戦いに関してはどうやら各所でも決着を付けられたらしく、少しずつ収束されていった。

 それはそれでマシかもしれないが……今は基地内の損害が予想以上に大きくて、それの修繕に専念しねばならなくなっているのもあってやはり余裕ではない。

 様々な事が発生した状況が許容範囲を超えられて混乱せずにはいられない海兵達だが……そんな中で指揮役として立つタクミ中将が指示を次々に下している事でいったん少しながらも最適な動きをするようになっていった。

 そのように熱気が渦巻いている現場だが……

 

「――タクミ中将!」

 

「……タクミ中将」

 

「!!――マサムネ中将!マサフミ中将!」

 

 そこにそれぞれの現場に自身のやるべき事を果たしに行っていたマサムネ中将とマサフミ中将の2人が戻ってきた。その姿に汗を流す程に焦っていたタクミも少し安堵の笑みを浮かべた。

 

「――状況はもうお聞きになりましたか?」

 

「あぁ、報告を受け取った。世話をかけたな」

 

 だが、それも一瞬。すぐ態勢を引き締めたタクミがそう問いかけるとマサムネも頷き、続いて自身が託した指揮役をしっかり務めてくれた彼に対してその労をねぎらった。

 そのねぎらいに一瞬つい笑みを浮かべたタクミがすぐ真剣な表情を浮かべ

 

「……預かった指揮権を返します」

 

「確かに受け取った……君はここの修繕に専念しろ」

 

「はっ!」

 

「マサフミ中将、君はまだ収束されていない現場に向かって終わらせろ」

 

「はっ!」

 

 彼から託した指揮権を受け取ったマサムネはさっそく2人にそれぞれ最適な役割を与える。その命令にタクミとマサフミも従い、素早く動き出した。それに周囲の海兵達も続いていく。

 その姿勢を見届けたマサムネは今時点の〝サンモン〟の状況を改めて把握しようと気を引き締め――ふと気付く。

 

「…(ここを揺らす程の爆発……あれは一体?)」

 

 基地そのものを揺らし、軽くはない被害を出した程の爆発に関してマサムネは訝しげにする……

 

        ●

 

時は少し遡って――舞台は〝バシレウス〟のある船の船上

 

 そこで2人の男が戦っている――んだが……

 

「…!!」

 

 そのうちの1人――ハイレインはひどく狼狽していた。

 何せ、届いてきた数々の報告が彼をそうせざるを得なかったからだ。それもその筈――

 

「……ヒュースまでか……!!」

 

 そう、海軍Gー3基地で決行された作戦の結果を報告されていたのだ。

 前もって報告を受けたヴィザとランバネインの敗北に続いてヒュースとエネドラも敗北し、〝あれ〟の入手と亡命集団捕獲の失敗だという結果にハイレインももはや余裕を完全に失われた。

 

「……〜〜!!クソッ!!」

 

「……どうやら、そちらにはいい事どころか――悪い事が重ねて起こったようだな?余裕を感じられねぇぞ?」

 

 狼狽え、しまいには額に青筋を走らせ目を血走らせるようになったハイレインの姿にオレはそう言ってみた。

 からかいのようなその言い草をしたオレをギロリと睨みつけたハイレインだが、否定できないからか何も言えずに歯を食いしばった。

 まぁ、現にオレもその様子に爽快な気分になっているし……

 突如〝サンモン〟を攻めてきてオレ達の息抜きを邪魔しやがった奴らが思い通りにならないらしい状態に陥るとかえって気分がスカッとなる。

 そのまま――さっさと叩き潰そう、そう考えたオレは彼に対して「神武」を振り回してやる。

 

「安心しろ!!すぐ終わらせてやる!!」

 

「!!」

 

 あまりの動揺によってか動かなくなったハイレインもその言葉と迫ってくる「神武」によって我に返り――

 

「クソッ!!」

 

 すぐ後ろに下がろうとする――が、それよりオレの方が素早かった。強烈な勢いで放たれた「神武」を受けたハイレインが勢いよく吹っ飛ばされ、壁に叩き込まれた。

 

「……まだだな」

 

 そんな様にオレはしかし目を細めてそう呟いた。そう、攻撃を当てた時の手応えからハイレインがまだ撃破されていないと気付いた。

 その見当は間違っていない。彼は後ろに下がろうとする勢いと迫った「神武」をギリギリで蹴った事でその威力を少し弱めた事でダメージを負わされながら、それでも意識を失わなかった。

 そんなハイレインは壁に捉えられながら辛うじて――電伝虫を手にする。実はさっきから今後の方針に関して頭脳を全力で巡らせていたのだ。

 そして、決断した事をさっそく決行しようとする……

 

「……私だ」

 

『!ハイレイン隊長!どうしま――』

 

「例の爆弾を爆破させろ」

 

 繋がった電伝虫の相手に対して彼はすぐその指示を出した。その内容に相手も息を飲んでしまう。

 

『……!!それは……』

 

「エネドラはもう助からないだろう。そもそも、ここで処分する予定だ。それに……このままじゃ「ボルボロス」を奪われてしまう」

 

「それは避けねばならない。そうなるぐらいなら――」

 

「破壊する……分かったか?」

 

『っ……分かりました!すぐ取り掛かります!』

 

 その命令を決行するのに躊躇をみせている相手にハイレインもその判断に至った理由を説明する。その内容に相手も納得し、すぐ準備に取り掛かろうとする。

 その事を受けてハイレインは何を思ったのか目を瞑る……

 

        ●

 

海軍Gー3基地内――

 

「――クソッ!!離しやがれ!!」

 

「離すか」

 

「そうだ――ここをメチャクチャにしやがって……覚悟しろよ?貴様」

 

 そこでは――暴れている男が数人の海兵に束縛されていた。

 ――エネドラが海兵達によって捕らわれの身になっているのだ。だが、それでもあがいている彼に対して海兵達は怯まずに厳しい視線を向けていた。

 当然だ。〝サンモン〟を攻めてきただけに飽きずに海軍Gー3基地にまでも攻めてきた男だ。そのような者に対して怒りを抱かずにいる方がどうかしてる。

 ましてや彼がこうも横暴な振る舞いをしているのではかえってだ。

 

「――これから牢に連行する!」

 

「!!――クソォ!!」

 

 海兵がそう宣し、自身を牢へ強引に連行させられるという状況にエネドラもさらに悪態をつき始めた。

 

「……みっともないな……しかし、これはすごかったよな」

 

 そんな彼の悪あがきに侮蔑の眼差しを向けて呆れている海兵が続いて手に持つ腕輪――「ボルボロス」を凝視しながら、その性能に感嘆を覚えていた。

 そりゃ、そうだろう――〝悪魔の実〟の能力、それも〝自然系〟を操る力を得られるのだから、つい興味を惹かれてしまうのだろう。

 

「!!――オレの「ボルボロス」に手を出すなぁぁぁ!!」

 

「黙れ!!」

 

「さっさと進め!!」

 

 そんな彼の所作が目に入ったエネドラがすぐ頭に血が上り、そう怒鳴り付けた。だが、彼の態度がそろそろうっとうしく感じてきた海兵達によって黙らされながら強引に連行させられていった。

 そんな光景にちらりと視線を向けた海兵はため息を吐いた。

 

「……元気だな、アイツ……さて、これを格納庫に入れるんだったな」

 

 マサフミ中将から強烈な攻撃を受けたにも関わらずに悪態をつく元気があるエネドラに呆れざるを得なかった海兵は気を取り直して、マサフミ中将からの指示――「ボルボロス」を格納庫に入れるという任務を遂行しようとするが……

 

「……ん?これは……?」

 

 ふと気付く。海兵が手に持つ「ボルボロス」以外のもの――エネドラが着ていたマントの中に何かが混ぜ込んでいるのを……

 疑問に思った海兵がそれを手にしてみたら、出てきたのが――真っ黒い鉄球だった。

 

「……鉄球?」

 

 そのものに海兵も首を傾げ、その正体を見極めようと顔を近付けてみる。

 

「……ん〜ただの鉄球だな。しかし……これをなぜ持っているんだ……?……ってあれ?何か熱くなって……?」

 

 やがてそう判断した海兵が続いてその疑問符を浮かべる――が、手に持つ鉄球が熱くなっているのに気付き……

 

 

 

 ――そして、その場に爆発が発生した。

 

 しかも、その規模はあまりに大きくて基地の5の1程度をあっけなく吹き飛ばした。それ程に勢いは凄まじく――もちろん基地を揺らし、二次被害をも与えていった。

 

 そう、これこそが海軍Gー3基地に発生した爆発の真相である。

 その爆発が「ボルボロス」の破壊、エネドラの死を完遂できたのはもちろんだが、それだけに留まらず――

 ――偶然にも亡命集団のうちからの2人の捕獲成功を招いてしまった。

 とにかく、その爆発が〝バシレウス〟の〝サンモン〟遠征の結果に微かながらも影響を与えていた……

 

        ●

 

「……ん?」

 

 舞台は〝バシレウス〟の船の船上に戻る。

 そこでオレは――何かを感じ取り、首を傾げた。実は海軍Gー3基地の爆発を辛うじて感知したが……それが何なのかこのオレには見当を付けなかった。

 その一方で何とか立ち上がってみせたハイレインは電伝虫を由来して指示を続ける。

 

「……これから我々は撤退に専念する。作戦は失敗だ。もうこれ以上の損失は避けたい」

 

『……分かりました』

 

 作戦失敗――その事実を嫌でも認めざるを得なかった彼が血を吐く気分でそう言い張ったのに電伝虫の相手はその気持ちを察し、沈痛そうながらも承知する。

 その反応に頷いたハイレインは続いて自身と対峙しているオレに視線を向ける。

 

「……ただ、問題がある……目の前の男は予想以上に強い。オレだけでは厳しい」

 

「……だから、お前も動け」

 

『分かりました』

 

 今身を置かれている状況に拍車をかけるようなオレの強さに対して激しき負の感情を抱えながら認めざるを得ない彼が今の戦況を冷静に見極め――物事を都合良く進めるにはその力を必要だと判断された相手にその要求を出す。

 それに対しての承知を受け取ったハイレインは改めてオレの方に身体を向ける。

 

「……本当にやってくれたな。貴様」

 

「ん?……あぁ…お前らが突然〝サンモン〟を攻めてきたからだ」

 

「あれでオレ達の息抜きを台無しにされてな……そのツケを落としてもらいたくなっただけだ」

 

 今の状況とオレの存在からその関連を疑わずにはいられない彼がたまらずにそう恨み言を言うとそれを知る由もないオレもその様子から何となく察し、自身が暴れた理由を口にしてやった。

 その理由にハイレインも目を見開き口をあんぐり開けた。

 

「……そんな理由で……!!」

 

 その理由はどうやら彼にはあまりに納得しにくかったらしく、それでこのオレと戦わざるを得なくなってしまった、そしておそらく作戦を邪魔されたであろう自身達の不運にハイレインは慨嘆せずにはいられなかった。

 

「……だが、今はここを切り抜けるのが先だ……!!」

 

 だがその慨嘆を今はいったん置いといて、まずオレとの戦いを切り抜ける決意をした彼は身構え――そして……

 

「…!?」

 

 展開されたその光景にオレは目を見開く。そこには――ハイレインの周囲を数多くの鳥が飛び浮かんでいた……

 

「今こそ見せてやる……〝バシレウス〟の力をな……!!」

 

 驚愕しているオレを前に〝バシレウス〟評議会ハイレインがその力を解放する……

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