ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第136話〝バシレウス評議会〟

――〝バシレウス〟による〝サンモン〟への侵攻が発生してから数日……

 

 ――ある海には……5つの島が浮かんでいた。

 そのうちの4つの島はそれぞれ国になっていた。そう――5つの島をまとめる一国ではなく別々に存在する4国になっているのだ。

 そして――そんな島々に囲まれている、それは他のと比べたら明らかに小さな島が浮かんでいた。その島は4国の中心として象徴されているのだ。

 なお、それぞれの国には街が建ち並んでいて、その中に城が建設されているが……4国の中心として浮かんでいるその島にも建てられている街々と城の外観は他のとは格が違っていた。

 

 ――それこそが4つの非加盟国から発足された連合……〝バシレウス〟であり、中心の島がその中枢にあたるのだ。

 その島にも人達が住んでいるが、それだけではなく4国からそれぞれのリーダーとその配下の者達も滞在している。

 その彼らは基本的にそれぞれ統治する国々で暮らしているが、〝バシレウス〟の指針を決議する等の重要な公用がある時は必ず中枢の城に向かってそこの席に座するしきたりになっているのだ。

 

 ……そして、そのリーダー達で構成される評議会をその上に君臨する議長が率いて〝バシレウス〟を指導していくのだ――なんだが……

 ――だが、その議長はもう老齢で……今は病に伏されている。

 その事態を受けて評議会は意見を合致した――彼がそういう状態から回復してこれからも議長としてやっていけるのはもはや困難であるという事を……

 そう判断した評議会のメンバー達はやがて野心を抱くようになった――そう、自身が新たな議長……〝バシレウス〟の支配者になるという野望を抱いたのだ。

 そう考えたメンバー達は同じ野心を抱くライバルに負けじと、そして自身が議長の座に就くのを誰もが文句を言えない程の大きな手柄を手にしようと――それぞれ行動を開始した。

 

 それが少し前の事であった……それから時が過ぎた。

 それぐらいかかれば――それぞれ開始された行動の成果がそろそろ出るであろうと考えられた為に評議会のメンバー達が一度集まる事になったが……

 

「…」

 

 中枢の城内のある部屋――そこが会議室である。

 

「…」

 

 そこはすごく見栄えがしているが……その雰囲気は重苦しかった……

 そんな空気を漂わせているのがその部屋の中で席に座している1人の男であった。

 彼は――ハイレイン。評議会のメンバーの1人にして〝サンモン〟遠征の立案者であった。そんな彼は――意気消沈していた。

 ……冷静沈着かつ極めて慎重である彼が考えたその計画がうまくいけば――議長の座に就けられるだろうと見込められていた。

 だからこそ、ハイレインはそれを何としてでも成功させようと色々してきたんだが……その結果としてそうなるどころか――逆にあまりにも高い代償を払う羽目になってしまった。

 ……そう――彼は目当てのものを手にできなかった上に敗走を強いられてしまったのだ。しかもハイレイン自身の弟を含む優秀な戦士達――何より〝バシレウス〟が誇る猛者の1人であるヴィザを失ってしまった。

 その動かし難い事実によって議長の座に就くどころか――今の立場さえも危うくなっても無理ではなかった。そう考えたからこそ彼は気が滅入らざるを得なくなっていた。

 

「…(クソ……こんな事になるとはなぁ……!!)」

 

「(議長の席は諦めるとして――少なくとも今の立場を何とかしなければな……!!)」

 

 今身を置かれる状況を受けてハイレインもどうすべきか思い悩んでいた。

 その深刻性から議長の座は完全に諦めざるを得なくなったが、一方で自身の立場に発生するであろう損害の程を可能な限り軽減させようと考える彼だが――その為にはどうすべきか考え付けなくて頭を抱えずにはいられなかった。

 そういうふうに切羽詰まっているハイレイン――に突如声を掛けられた。

 

「――ギャハハハハハ!!随分暗そうだなぁ!?ハイレイン!」

 

 ……もっとも、それは嘲笑であるが。

 それに対して彼はイラつきながら――しかし今の状況な故に強く出られなかった。辛うじて不機嫌さを隠しながら、その名を口にする。

 

「……ドッザ」

 

 そう名を呼ばれた髭面の大柄な男性――ドッザ。

 彼はハイレインと同じ〝バシレウス〟評議会のメンバーだ。

 その見た目に違いなく粗暴で品がなくて――卑劣な男である。

 ……ただ、決してバカではなくきちんと仕事をこなす、また鍛練を怠らない努力家でもある。

 もちろん、野心家でもある彼も策を講じてきた。

 ――そして、どうやらそれが大成果を上げたらしく上機嫌になっているドッザはその様子から策略を失敗したと見受けられるハイレインを嘲笑せずにはいられなかった。

 

「――いんやぁ、思うようにいっていないらしいお前の事が気になってなぁ……!」

 

「くっ……!」

 

 意地悪く笑ってくるドッザに対してイラつくハイレインはしかし言い返せず、黙るしかなかった――そんな一方的な状況に

 

「……やめろ、品がないぞ」

 

「!」

 

「……あ゛ぁ゛?」

 

 突如放たれたその厳かな声にハイレインが目を見開き、一方でドッザはさっきと違って機嫌を明確に悪くした。

 そんな彼らからそれぞれの視線を浴びたその者――長髪をオールバックにしている温厚な青年。彼もまた評議会のメンバーである。

 その名はギーラン。民の事を親身に考え「義」を重んじる人望が厚い清廉な人物である。

 そういう性格な故かドッザがハイレインを嘲笑する状況を彼はよしとせずに制止したのだ。

 そして、やはりというかそんな彼の事が気に入らないドッザは自身に口を挟んできた事態も重ねてギーランの前でケンカ腰になっていた。

 

「……テメェ〜相変わらずの偽善者のようで〜……ムカつくなぁ……!!」

 

「……貴様は腐っても評議会のメンバーだろう?なら、それにふさわしい振る舞いをしろ」

 

「知るか」

 

 そんな彼にギーランが怯まずに忠告を続ける。それがドッザの逆鱗に触れたらしく彼を叩き潰そうと構え出した。ギーランもそれに対応しようと素早く身構えた。

 もはや一触即発――そのまま戦いが始まるのかと思われたその時だった。

 

「――実に滑稽よな」

 

 その声が場に響かれたのは。

 それに伴い登場した女性の姿に3人が視線を一気に向ける。

 

「……レグラヴァリマか」

 

「おう」

 

 ますます険しい表情を浮かべたギーランがその名を口にすると彼女が応える。

 ――それは二色の長髪を多く結び付いて独特的な髪型をする女性……レグラヴァリマももちろん評議会のメンバーである。

 その外見には独特風ながらも凛々しさを感じされているが……実は非常に欲深く冷酷で悪辣、利己的な支配欲の権化のような性格の持ち主である。

 そんな彼女は頂点に立ってあらゆる富と権力を手中にせんと目論んでいるのだ。

 ――そして、異様な強さを有する戦士としても知らされる彼女の登場にその場の空気が張り詰めるようになった。ギーランとハイレインはもちろん――あの粗暴なドッザさえも大人しくしていた。

 その場に広がられる雰囲気に満足するかのように微笑むレグラヴァリマは促進する。

 

「ケンカも結構だが……今は座らんのか?妾は成果を発表したくて仕方がないのだ」

 

「……ハッ!」

 

 不敵に笑いながら腰掛ける彼女の言葉にドッザも共感したのか獰猛な笑みを浮かべながら自身も腰掛けた。それに対してギーランも険しい表情を浮かべ続けながら腰掛ける。

 ――もう既に腰掛けているハイレインは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。

 

 ――とにかく、これで〝バシレウス〟評議会が出席した。ここから議論が開始されるのだ。

 

「――まずは妾から発表しようか」

 

 そう宣したレグラヴァリマが自身が取った行動の結果を発表しようとする。

 

「――妾は」

 

「〝ネロコルヴィーノ〟を捕らえたぞ」

 

「「「!!」」」

 

 その内容に3人も驚愕せざるを得なかった。何せ――それはある鳥の事であるが、それはただのものではない。

 なかなか人前に姿を現してこない上に――人が捕獲できるのが困難な程の強さを持っている珍しい鳥であるといわれている。

 ただ、その鳥は人が食べれば、それこそ天に昇るように思わせられる程の美味を秘めているらしい。

 実は美食家であるレグラヴァリマはその噂な故に目を付けていた〝ネロコルヴィーノ〟を機会として執念深く追い続けてきたのだ。

 ――そして……捕獲できた。

 その事実に3人もつい感心せずにはいられなかった。その態度に満足した彼女は言葉を続ける。

 

「――それで?そちらはどうじゃ?」

 

 その問いかけに対してすぐドッザが声を上げる。

 

「ギャハハハ!!このオレは――〝ガロプラ〟と〝ロドクルーン〟と〝エルガテス〟を征服したぞぉ!!」

 

「「!!」」

 

 武闘派である彼は率直に武力にものをいわせて3つの国を征服してきたのだ。

 なお、その国々は〝バシレウス〟にとっても手強い敵国でもあるようだ。そんな国々の征服は実に価値があるのだろう。

 自身の実績を誇らしげにするドッザの姿にハイレインとギーランは顔をしかめる。ハイレインはとにかく、穏健派であるギーランはその事実を好ましく思っていないのだ。

 そんな態度にドッザは嫌らしく笑いながら――挑発めいた言葉を送り付ける。

 

「クク……お前はどうだ?」

 

 その問いかけにギーランは身を引き締め、厳かに発表する。

 

「……私は〝キオン〟と休戦協定を組んできた」

 

「「「…!」」」

 

 その内容に3人は何ともいえない表情を浮かべた。

 ――ただ休戦協定を組むだけなら、別に大した事はない。

 ……だが〝キオン〟は〝バシレウス〟にとっては敵国の1つだが、手強い大国でもある。

 そんな国と休戦協定を組んだという事は――面倒な負担を払わずに済められる事になるからだ。故にそれを成し遂げたギーランに対して3人も何ともいえない感情を抱いたのだ。

 ……といえ、十分な成果に変わりはない。

 

 ――これで3人は発表し終えた。後はハイレインだけだ――だが

 

「…」

 

 ……肝心の彼は発表せずに俯いていた。その様子にギーランは心遣わしげにする。

 

「……ハイレイン」

 

「ハッ!――良い結果が出なかったかぁ?」

 

 その一方でドッザは意地悪く言い付ける。

 そしてレグラヴァリマは別に気にしない様子で宣する。

 

「……さっさと発表してもらうか――さもなければ、事を進められないからな」

 

「……分かった」

 

 その言葉にハイレインは観念したかのように目を閉じ――やがて意を決したように口を開く。

 

「……オレは――〝サンモン〟を遠征しようとしたが……」

 

 そして彼は話した。自身達が行った〝サンモン〟遠征の結果を……

 さすがに異質な力を秘める「メーテール」の事は口にしなかったが、それ以外の事――多くの優秀な兵士達を失った事実を率直に説明した――そう、あのヴィザの戦死をも……

 

「「「…」」」

 

 その事実に3人もさすがに口を開けたところに苦悶の表情を浮かべるハイレインが言葉を続ける。

 

「……お前のところの亡命者を2人捕らえたがな……」

 

 辛うじて少ない収穫を口にする彼だが、その表情は明るくならなかった。それでも慰めになれないからだ。

 現に自身の国の亡命者を捕らえたと言われたドッザは動揺せず、それどころか苦笑した。

 

「そうか、それはありがとよ――礼に何かでもしようか?」

 

「くっ……」

 

 その皮肉にハイレインも顔をしかめずにはいられなかった。

 それでも言葉を続けようとするドッザ――をギーランが制止する。

 

「それ以上はよせ!そういう場合じゃないだろう!」

 

「……はいはい」

 

 その言葉にドッザもさすがに異議を唱えられなかった。今度はレグラヴァリマがハイレインに声を掛ける。

 

「……そなた達と戦ったのは海兵だけではなく――海賊もいたらしいが……」

 

「……あのヴィザを倒したとは――一体何者じゃ?」

 

 実は認めているヴィザの戦死に衝撃を受けた彼女が投げずにはいられなかったその問いかけに彼も嫌な事を思い出してしまったのか、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

 だが、それでも答えようと努める。確かにあのヴィザが敗北したという事態は深刻だ。その詳細をレグラヴァリマ達が把握しなければならないのも道理だ。

 それをしっかり理解しているハイレインが踏ん張って説明しようとする。

 

「……その海賊団は他のコソ泥とは明らかに違った」

 

「「「…」」」

 

 その強さを知っている彼の説明に3人共目を細める。そんな彼女達に対してハイレインはその名を伝えようとする。

 

「……その名は――」

 

 ――だが、そう伝えかける途端にその場が激しく揺れられた。

 

        ●

 

 その会議室を揺らした衝撃は――城全体にも走っていた。

 

「――何事だ!?」

 

「!!これは……!」

 

 突如のその事態に動揺しながらも状況を把握しようと慌ただしく動き回る人々はそれを目にする――

 ――それは城の上層階に何と船が押し込んでいるというものであった。その異様な光景に人々が呆然とした――その時、その船上に男が姿を現した。

 

「「「!!?」」」

 

 その姿に人々が目を見開いた途端にその男の口が開かれた。

 

「――オレ達は!!」

 

 大声を上げたその男――〝暴獣のスサノオ〟はそれを告げた。

 

「――暴獣海賊団だ!!!」

 

 

――〝暴獣のスサノオ〟率いる暴獣海賊団が〝バシレウス〟に殴り込みをかけてきた……

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