ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第152話〝新たなる軌道〟

――〝バシレウス〟で勃発したその国と海賊――暴獣海賊団の戦争。

――だが、そこに突如ビッグ・マム海賊団が参戦した事により戦況が思いがけない形で激化を迎える事になった……

……そして、今ビッグ・マム海賊団も加えられた三陣営それぞれで最も強き者である3人がその場で対峙していた――

 

 

「このオレを忘れんなよ……!?」

 

 2人だけで戦いを始めようとするカタクリとレグラヴァリマに対してオレは自身の事を2人に思い出させる為に獰猛な笑みを浮かべながらそう言い放ってやった。

 そんなオレに対して――まずレグラヴァリマが口を開く。

 

「――フハハハハハ!!いやいや!そなたの事を忘れてはおらんぞ!?」

 

「むしろ――歓迎ぞ!?そなたも加えてくるのを!!」

 

 彼女は獰猛な笑みを浮かべながら戦意を燃やすオレを歓迎する。一方でカタクリは――

 

「……さっき言ったが――」

 

 眉をひそめて不服そうな姿勢をみせた。

 

「――お前と手合わをする理由は存在しない……故にやる必要はない」

 

 その事を堂々と宣する――それはそうだろう。彼が〝バシレウス〟にまでやってきた理由を考えるとわざわざオレと戦う必要性がないといえる。

 ――だが

 

「リュドドド!!――お前になくても……このオレには戦う理由があるんだよ!!」

 

 それをオレが率直に承認する筋合いもまたない。

 

「――っていうか、オレの方が先にレグラヴァリマと戦っていたんだぜ!?今更来たお前にそう言われるいわれはねぇな……!!」

 

「――まぁ!お前とも戦えるのなら、別に構わねぇがなぁ!!〝盤石のカタクリ〟!!」

 

「…!!」

 

 オレが思う事を漏れなく言い張ったのを受けてカタクリもますます険しい表情を浮かべ――しかし、何も言えない。すると今度はレグラヴァリマが大笑いを上げた。

 

「フハハハハ!!いい!!――すごくいいぞぉ!!」

 

 オレが自身、そしてカタクリに対しても戦意を燃やすのについ笑いを抑えられなかった彼女は思い切って笑った。そして――獰猛な笑みを浮かべる。

 

「――この際だ!!――三つ巴でいこうではないか!!」

 

 放たれたその提案にオレもニャリとする。

 

「リュドドド!!――だよな!!そうなるよな!!」

 

 オレは否定もせずにノリノリする一方でカタクリは

 

「……チッ、こちらはそんな余裕がねぇってのに――」

 

「……しょうがねぇな……やるか……!」

 

 面倒に感じながら、しかしそうせざるを得ないと理解した為に腹をくくる事にした。

 

 

――そうして〝暴獣のスサノオ〟とレグラヴァリマと〝盤石のカタクリ〟による三つ巴の戦いが始めようとする……

 

        ●

 

 会議室内にいる者達はついさっきまで戦っていたが――次々に起こった不測の事態につい固まっていた。

 だが、オレ達による三つ巴の戦いが起ころうとするのを受けてようやく動こうとする。

 

「っ!!れ、レグラヴァリマ達を助けるんだ!!」

 

「「「お、オォ!!」」」

 

 まず、〝バシレウス〟側ではある兵士がレグラヴァリマを含める評議会メンバー達を助けてなお敵に立ち向かおうとまだ倒されていない兵士達に対して発破を掛けた。

 それによって呆然としていた彼らも我に返り、辛うじて動き出そうとする――が

 

「…!?」

 

「な、何だ!?」

 

 ――カタクリの後ろに開けられた穴から突如集団が新たに現れてきた事で兵士達を含める人々も少し固まらざるを得なくなった。

 その集団は〝バシレウス〟側の、そして暴獣海賊団の増援でもなかった。それは――

 

「ち、チェスの駒!?」

 

 ある者がそう口にした通り、何とチェスの駒――が擬人化したような外見をする軍団であった。

 そのように奇想天外な集団に人々も言葉をなくした――が、暴獣海賊団の海賊達はその正体を知っている故にすぐ冷静になった……〝そう聞いたから〟だ。

 ――他でもならないビッグ・マム海賊団と戦った事がある百獣海賊団の海賊達から。

 ――そう、その軍団こそがビッグ・マム海賊団である。

 

 

――〝チェス戎兵〟

チェスの駒を擬人化したような外見をする〝それら〟はビッグ・マム海賊団の一般構成員にあたる。

その素性は特殊な故か大量に存在している上にそれなりの戦闘能力を有しているので厄介であるといえよう。

 

 

 そんな軍団が〝バシレウス〟の兵士達と暴獣海賊団の海賊達に対して得物をビッシリと向け、しっかりとした足取りで歩を進めた――

 

「――請け負った任務を果たす為に邪魔者を討ち倒すのだ!」

 

「「「オォ!!」」」

 

「「「…!!」」」

 

 

――そうして、暴獣海賊団と〝バシレウス〟とビッグ・マム海賊団による三つ巴の戦争がさらに本格的になっていった……

 

        ●

 

「スサノオさん……!」

 

 ――激化されていく戦況の中で小紫はスサノオの様子を知ろうと視線を向ける。そして彼が実に楽しげに戦おうとするのを目視した途端に頷き――

 

「――河松!イヌアラシ!ネコマムシ!」

 

 続いて自身の配下達の状況を確認しようとそう声を上げながら顔を向けると――

 

「「「――ハッ!ここに!」」」

 

 彼女の前にその3人が少し頭を下げながら近付いてきた。

 

「我らは問題ありません!すぐにでも動けます!」

 

「わしらが相手した敵は撃破したき心配無用や!」

 

 そして自身達の状況の詳細を伝えた。なお、そこから離れた場には……

 

「お、おのれぇ……!」

 

「…」

 

 3人が相手した敵――イヴェルクとノウムが力なく倒れ伏せていた。そう、彼らは3人によって撃破されていたのだ。

 ……その2人は確かにレグラヴァリマに仕えるだけはあって中々の実力者であった。

 まず、イヴェルクは戦闘より政治に長ける文官であるが……戦闘の腕もない訳でもない。その頭脳にものをいわせて知略を巡らせながら戦う厄介な戦士だ。

 続いてノウムはどうやら血の気が多い気質らしく、戦う際の姿勢には未熟さが見受けられたが……それでもキレのある動きをする戦士であった。

 ――だが、それでも「ワノ国」最強の侍の元で鍛え抜いてきた河松とイヌアラシとネコマムシには敵わない。

 彼らに対して2人は奮戦していたが、それでも太刀打ちできず撃破された。

 ――それは置いといて、河松が3人を代表して小紫に問いかける。

 

「――スサノオ様に力添えを?」

 

「……いいえ」

 

 その確認に彼女はしかし頭を振った。

 ――スサノオへの加勢は行わないつもりだ。なぜならば……

 

「――あの方はあの戦いを純粋に楽しむつもりよ。だから、今の彼に加勢するのはむしろ……水を差すだけよ」

 

 その理由を口にする小紫はスサノオを凝視する――彼は実に楽しげだった。その姿に彼女も微笑む――楽しそうにしているのが喜ばしいからだ。

 とにかく、その考えに納得したかのように頷いた3人のうちから今度はイヌアラシが口を開く。

 

「――でしたら、我々は……」

 

 そう言う彼の視線はこちらにも歩を進めてくる〝チェス戎兵〟、そして〝バシレウス〟の兵士達に向ける。

 

「あちらを対処するんですね?」

 

「……えぇ、それもそうだけど――」

 

 その言葉を小紫は否定せず、しかし目を鋭くする。

 

「――あちらにも手を回す必要があるわね……」

 

 そう口にする彼女は勘付いたのだ――〝チェス戎兵〟の後ろにはあのカタクリにも負けない程の猛者も存在しているのを……

 だからこそ小紫は判断を下した。

 

「――あ奴らに対処しながら、皆に連絡を」

 

「「「はっ!」」」

 

 会議室内に――否、城内に散らばっている仲間達と連携を取りながら〝バシレウス〟とビッグ・マム海賊団と戦うという事を……

 その指示に3人は従って、すぐ動こうとする――

 

 

 

「――それから、イヌアラシ」

 

「!」

 

 ――その際に小紫はイヌアラシにある事を言った……

 

 

 

 ――そして

 

「――アハハハハ!カイドウさんと同じ「四皇」のビッグ・マム海賊団かぁ〜〜!――戦い甲斐があるね!」

 

「……例え「四皇」だろうが何だろうが――攻めてくる敵はただ排除するのみだ……!」

 

「……確かにスサノオさんの楽しみを邪魔する訳にはいかねぇな……!――だから、オレはアイツらを叩き潰せばいいんだな――話は分かった……!」

 

「――今度は!コイツらを多く倒した方が勝ちだぁぁぁ!!」

 

「あぁ!?――上等だ!!コラァ!」

 

「――あぁ、オレもそれがいいと思うぞ――小紫」

 

 ――暴獣海賊団も激化された戦況に怯まずに対処して突破しようとする……

 

「――OKだよ!小紫!」

 

 ――その場にいるヤマトもまた「電伝虫」を通して小紫とあちこちにいる仲間達と議論していた。

 そして話はまとめられた。

 

「――うん!お兄さんなら大丈夫だよ!――そんで、僕達は〝バシレウス〟の残っている奴らとビッグ・マム海賊団を叩けばいいんだね!」

 

 まとめられた結論を改めて口にしてみた彼女は気を引き締める。

 

「――うぉぉぉぉ!!ビッグ・マム海賊団がどうしたごわす!!最強はカイドウ様とスサノオさんごわす!!」

 

「姉貴!!――だが、それは確かにな!!カイドウ様とスサノオさんの部下であるオレ達がビッグ・マム海賊団ごときに怯まねぇな……!!」

 

 さらに、そのそばで耳を傾げていたうるティとページワンもビッグ・マム海賊団に対しても負けじと戦意を激しく燃やす。

 ――そして……

 

「!――ヤマト!アイツらが……!」

 

「!」

 

 それに気付いたページワンが慌ててヤマトに声を掛ける。その声にハッとした彼女がその方向を見る――そこにはサンダーソニアとマリーゴールドがもう既に駆けていた。

 ……よく見れば、その先には――ハンコックが駆けていた。それはそりゃ凄まじき勢いで。

 ――どうやら、あの2人は突如駆けていった姉を追っているようだ。

 その事態に呆然としたヤマトだが――ハンコックを追いに駆けているサンダーソニアとマリーゴールドが突如振り返った。そして、その目がヤマトの目と合わせた。

 

「―!」

 

「「…」」

 

 ――それによって、3人の間に少しながらも意思を伝えられたようだ。目を見開いたヤマトも真剣な表情を浮かべ頷いた。それに2人も頷き返した。

 だが、それを知る由もないうるティは自身達の元から駆けていくハンコック達に対してイラつきを覚えた。

 

「あ゛ぁ゛!?アイツら!!何やって「姉貴!!」――……!?」

 

「今は黙った方がいい!!」

 

 そして彼女が何かを言おうとする――のを勘付いたページワンがその口を必死に黙らせる。

 突如の弟からの制止に戸惑ったうるティをよそに彼は続いてヤマトに声を掛ける。

 

「――アイツらとは無関係を装うべきんだな!?最後まで!」

 

 ただ、彼女にしか聞こえない程に小さな声でハンコック達との関係に関しての確認を投げてみた――自身達と彼女達の立場を考えたからこそ彼があえてそうしたのだ。

 その意図を理解できるヤマトもそれに肯定するかのように少し頷いてみせた。

 

「――うん!そうすべきだね!」

 

 彼女も〝チェス戎兵〟をちらりと見ながら小声でそう言う。

 ――「世界政府」の傘下「七武海」の1人であるハンコックが実は――海賊、それも「四皇」配下の暴獣海賊団と関わりを持っているという事実を無闇に明るみに出すべきではない。

 ましてや、今回ではカイドウと小競り合いをする「四皇」〝ビッグ・マム〟が率いる海賊団の海賊もいる。しかも質が悪い事にその海賊団は海賊業界一と言われる程に秀でる情報力を有している。

 そんな海賊団の前で情報を最大限出さない為にふるまいに気を付ける方がいいだろう。

 ヤマトとページワンも、そしてサンダーソニアとマリーゴールドもそう考えたからこそ――無関係を装う事にしたのだ。

 そういう背景からそう結論付けられた事でようやくその事を飲み込んだうるティもヤマトに声を掛けてみる。

 

「話は分かったごわす。それじゃ、私達はアイツらを潰すごわす?」

 

 〝チェス戎兵〟と〝バシレウス〟の兵士達を指差す彼女からの問いかけにヤマトは頷き――

 

「うん!そうしよう!」

 

 そう言い放った彼女は続いて――ある方向に顔を向ける。その時のヤマトは――獰猛な笑みを浮かべていた。

 

「――この僕はあそこに行ってくる……!――どうやら、〝アイツ〟も来ているみたいだし……!」

 

 何かに勘付いた彼女はそう宣しながら金棒を手にする――その姿勢にうるティとページワンは少し目を見開くものの、すぐ頷く。

 

「――よし!これで話は決まったか?――んじゃ、行くか!」

 

「おぉよ!ごわす!」

 

「うん!」

 

 やがてそう宣される。その途端に3人はそれぞれ駆けていった――自身がやる事を果たす為に……

 

        ●

 

「――まさか、ここまでの事になるなんてね……!」

 

「えぇ!――姉様もこれ以上悪化しないように暴れてほしいけど……!」

 

 色々な意味で混乱し始めた戦況の中をサンダーソニアとマリーゴールドが駆けていた。

 彼女達は今身を置かれた状況の混乱の程があまりにも大きい事に驚愕せずにはいられなかった。

 ――そして、姉の暴れぶりが状況をさらに悪化させないように願ってもいた。

 そんな2人が追う姉――ハンコックは……

 

 

 

「――お〜の〜れぇ〜!!あの人に手を出そうとするとは……!」

 

 顔を怒りに歪めながらある場に勢いよく駆け向かった。その場とは――

 

「覚悟しておれ!!――カタクリぃ!!レグラヴァリマぁ!!」

 

 ――〝あの人〟、すなわちスサノオ。そしてカタクリとレグラヴァリマがいる場であった……

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