ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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☆激動の事態が収束した「バシレウス」。それからー


第170話〝新たな一歩〟

「バシレウス」で勃発した「暴獣海賊団」と「ビッグ・マム海賊団」と「バシレウス」の抗争が終わってから時が経ち――

 

 「百獣海賊団」のナワバリになった「バシレウス」は今――

 

「――それをあそこに運んで!」

 

「ここをこうして……」

 

「――」

 

「――」

 

 賑やかになっていた。

 

 激しき戦いで損壊してしまった城を含む各所の復興が行われているのだ。

 荒れ果ててしまった「バシレウス」を活気づかせようと大勢の民が真摯に取り組む。どの島の出身、身分に関係なく……

 そのような状況を眺める者達がいた。

 

「……まだ始まったばかりなのに、本当にすっかり様変わりしたね。ここは」

 

「そうだね!まぁ、あの「百獣海賊団」のナワバリになった以上ここも変わらざるを得なくなったからね!」

 

「ああ、まだ様子見だが今のところ滞りなく進んでいるようだしな」

 

 それはかつての「バシレウス」からの逃亡を図った子供達のリーダー格を務める3人――ノーマンとエマとレイだ。

 3人は目にする今の「バシレウス」のあり様を感慨深く感じていた。何せ、子供達が逃亡した時とはそのあり方が大きく変わったのだから……

 

「しかし、まさかこうなるなんて――予想以上に良い結末になったね……!」

 

「本当にね!」

 

「全くだな。ただ、こうなるまでの間には随分と波乱万丈な道のりを歩いちまったがな」

 

「「「……」」」

 

 ノーマンとエマが現状に満足するよそで同じように考えてるレイはふとそう呟いた。その内容に3人共遠い目をするようになった。

 それもそうだろう……子供達は自由を手にするためにそれが叶う事ができない不自由な「バシレウス」から逃亡したというのに、「暴獣海賊団」との出会いを含む巡り合わせによって生まれ変わるといえ、まさか「バシレウス」に戻りそこでもう一度生きてみる事になったんだ。

 その奇妙な運命に3人も皮肉に感じずにはいられなかった。

 だが悪くはない。かつてと違って今は希望を感じられるんだから。

 

「……とにかく、海賊のナワバリになったのにここの体制と治安がある程度しっかりしているとはね」

 

「うん!海賊といっても話が通じる人達だったからね。最初に出会った海賊が「暴獣海賊団」で良かったよ」

 

「まァ、あいつらが圧政を敷かない理由が反乱防止というんだから逆に信頼を置けるしな」

 

 統治に関してある程度合理的になった「百獣海賊団」のナワバリに「バシレウス」がなったのに伴い、今までのあり方と体制をほとんど変更される事になった。

 その事に対しての問題が全く起こらなかった訳でもないが、それを踏まえて物事が少しずつ改善されていったのだから。

 

「それにギーラン様がここを治めるという事実もあって最初に多く出てた不満も今は少なくなってきたしね」

 

「ああ、ここを上手く統治してくれているからな。あの人がここのリーダーになってくれて本当に助かるぜ。全く」

 

 そもそも、今の「バシレウス」のリーダーはかつての評議会メンバーにして穏健派であるギーランだ。

 彼はリーダーとして「百獣海賊団」の要望に沿いながら「バシレウス」の理念にも可能な限り沿っての統治を行ってくれている。その姿勢、そして影響により「バシレウス」のあり方が変わった事に対して最初こそ民が抱いた不満も少なくなっていった。

 その背景からギーランの存在に心から感謝を覚えるレイにエマも微笑みを浮かべる――ふと気付く。

 

「そういえば、おじい様の具合は今どうなっているのかな?」

 

「ん、今のところ悪くはないみたいだよ」

 

 彼女がそう気にかけるのに対してノーマンが微笑んで答える。

 

 〝おじい様〟――かつてのバシレウス評議会議長はあれからしばらくするとペインの〝エネエネの実〟の能力による効果が切れたらしく再び体調を崩してしまった。

 ただ、影響が完全に消滅した訳でもなくそれどころか身体機能が少々向上したらしく状態も以前ほどに悪くなくなったようだ。

 今は議長の座から完全に引いてゆっくり隠居している。たまにギーランからの相談に乗るぐらいだ。

 それが今の「バシレウス」の統治体制である。体制がそんな風になっているのならば、まだ始まったばかりにも関わらず今のあり様に不安をほとんど抱かないのも道理だろう。

 今の「バシレウス」の情勢を受けてエマとノーマンとレイは改めて爽やかな気分になる。

 

「……本当にここ「バシレウス」は変わったんだ」

 

「そうだね。この調子なら、ここでも何とかやっていけそうだ」

 

「ああ、全くだな」

 

 ――まず「バシレウス」から逃亡したら不測の事態に見舞われてしまった……と思ったら、その果てに生まれ変わった「バシレウス」で新たに生きる……

 実に予想外の展開に3人も笑みを抑えられなかった。

 3人――否、子供達はそもそも生まれ育った環境によって心から安らぐ事がほとんど存在しなかった。それが今、ようやく安らぐようになった子供達は完全に年相応に振る舞っていた。あれもこれも全て――

 

「「暴獣海賊団」――スサノオさん達のおかげだよね……!」

 

「ああ」

 

「そうだね」

 

 エマが満面の笑みを浮かべてそう言う。その内容にレイもノーマンも笑みを浮かべて賛同する。

 そうなのだ。子供達が「暴獣海賊団」と出会った事でその運命、そして「バシレウス」のをも変えてくれたんだ。その事実に感謝を覚えずにはいられない3人だが……

 

「でも、あの人達は私達の感謝を頑として受け入れないんだけどね」

 

「は、はは……そうだねェ」

 

「……」

 

 ただ、「暴獣海賊団」の振る舞いと気質を思い返したエマは苦笑を浮かべた。その意見にノーマンも同じく苦笑を浮かべ、レイも肩をすくめる。

 ……確かに彼らの行動によって助ける結果となったが、そもそも彼らは海賊である。その自負な故か

 

 ――誤解すんな!!お前らに手を貸したのはオレ達にとっても利益があったからに過ぎねェよ!!

 

 以前「暴獣海賊団」が「バシレウス」から去る時に感謝を伝えようとするエマ達に向けて船長スサノオがそう言い放った。

 その様は海賊らしく荒っぽかったが……

 

「……その割には万が一の時のためにわざわざ連絡メモをオレ達に残したんだから、結構メンドくさい人達だったな。あいつらは」

 

「「は、はは……」」

 

 レイが淡々とする表情を浮かべながらそう言い張る。「暴獣海賊団」のひねくれぶりに対する彼のツッコミにエマとノーマンは苦笑するが異議はなかった。同感だからだ。

 ふとエマは空を見上げて微笑みを浮かべる。

 

「……今頃、ノヴァ君は元気にしてるかな〜?」

 

 彼女は「暴獣海賊団」と関わる際に仲良くした男の子、ギルド・ノヴァの事に思いを馳せる。そんな彼女にノーマンも微笑みを浮かべる。

 

「ああ、ノヴァ君か。彼の歌も心地良かったね」

 

 同じくノヴァの事を思い返した彼も感慨深く思う。

 実は子供達とノヴァは年が離れない事もあって打ち解けていたのだ。なんならノヴァは自ら歌って子供達を楽しませてあげた事もあった。

 それ故に子供達もノヴァの事を好ましく思っている。しかもそれだけに留まらずエンターテイナーとして子供達を楽しませるなど優しく接してくれたノヴァの両親にも好感を抱いている。また彼らだけではない。

 

「小紫さんとマリアさんの三味線も素晴らしかったね」

 

「そうだよね!海賊船に乗っちゃってどうしようかと思ったところにあの素晴らしいものを聴かせてもらって――感動ものだわ!!」

 

「ああ、それにハクジとかペドロとかも良くしてくれたよな」

 

「そうそう!怖い人達もいたけど優しい人達もいたよね!」

 

「……ただ、うるティかという奴がメンドくさくてページワンに同情したぜ……」

 

「は、はは……そういえば、オサムさんも良くしてくれたよね」

 

「そうだったね。「海軍G-3支部」に関しては残念な結果になったけど、彼は真剣に取り組んでくれたね」

 

「……奴は立場があって心苦しかっただろうに、それでも行動したんだ。そのあたりには感謝するな」

 

 「暴獣海賊団」の海賊達を含む自分達に優しく接してくれた者達に関してエマとノーマンとレイが話に花を咲かせた。やがて――

 

「……本当に私達はたくさんの人々に良くしてくれたんだね」

 

「そうだね。本当に幸運に恵まれたな、オレ達は」

 

「ああ……だが」

 

 大勢の者達に助けてもらえたという事実を3人は改めて認識し、その事に深い感謝を覚える。それにつれてその場に粛然とした空気が漂う。

 そんな中でレイが口を開く。

 

「それもオレ達が自らの運命を掴むために行動したからこそなんだよな」

 

「……うん、そうだよね」

 

「確かにな。成り行きを見れば、そういう事になるな」

 

 今に至るまでの成り行きからその事をレイが重々しく指摘する。その内容にエマもノーマンも深く頷く。

 そうなのだ。それは子供達が自らの道を自ら切り開こうと足掻いてみせたからこその結末である。

 ある意味自らの手で成し遂げたといえるかもしれないという事実を3人が噛み締める。そのうちにエマが口を開く。

 

「――だから、だからこそ……これから何が起こっても――」

 

 言い出すエマは真剣な目つきでノーマンとレイを見つめる。

 

「――皆で足掻いて生きていこうよ!!」

 

「「ああ」」

 

 自分達のあり方に対してエマとノーマンとレイはそう誓う。

 すると――

 

「――エマ〜!」

 

「ノーマンもレイも!」

 

「「「!」」」

 

 そんな3人に声をかけられた。それに3人揃って顔を向けてみると一緒に逃亡を試みた仲間達が3人に向けて生き生きと手を振っていた。

 

「そろそろ行こうよ!」

 

「皆もお前らを待っているぞ!」

 

「「「エマ!ノーマン!レイも!」」」

 

 仲間達の年相応の姿に3人はきょとんとし、そして互いに顔を向けて笑みを浮かべ合う。

 

「――行こっか!」

 

「うん!」

 

「やれやれ……」

 

 エマが呼びかけに応えて駆け込み、ノーマンもまた走り、レイはやれやれとするものの仲間達の元に向かおうとする。

 

――自由を求めて足掻いた子供達は苦難を乗り越えてようやく自由を手にした

 

 

「サンモン」――

 

 以前「暴獣海賊団」が泊まり、そしてかつてのバシレウス評議会メンバーの1人ハイレイン率いる軍団の侵攻を受けたその島はその際の損壊からの復興が進んで活気づけていた。

 

「――いや〜!何とかなったな!!」

 

「全くだ!!一時はどうなる事かと思ったぞ!」

 

「ああ、あんな事はもう勘弁だな」

 

 そんな中である会話が行われていた。

 その者達はつい以前まで「サンモン」を襲いかかった危機に戦慄し、今後に不安を抱いた。だからこそ今の状況に安堵感を覚えられた。それは「サンモン」の民の総意だろう。何せ――

 

「ここに「バシレウス」何かが攻めてきて大変だったのに、その後に」

 

「――海賊どもが攻めてきたなんてな!!」

 

 そう、実はハイレイン派が撤退し「暴獣海賊団」も去った「サンモン」によりにもよって海賊が襲来したのだ。

 侵攻によってボロボロになってしまった「サンモン」ならば確かに海賊にとってはいいカモになろう。危難が去ったと思ったら、まさかの海賊の襲来だからまさに悪夢だといえよう。

 だが、その新たな危機さえをも乗り越えられた。なぜかといえば――

 

「さすがは「海軍」だ!!損害を被ってなお、それでも海賊どもを倒してくれたんだからな!!」

 

「ああ!!彼らがいれば、ここは間違いなく安泰だな!!」

 

 「サンモン」を蹂躙しようとした海賊はその島に構えている「海軍G-3支部」の海兵達に撃破されたからだ。見事に「サンモン」を守りきった海兵達に民達は感謝を覚え、ますます信頼を置くようになった。

 「海軍G-3支部」が存在する「サンモン」は安泰だと――

 

 

「海軍G-3支部」――

 

 基地中のある部屋には張り詰めた空気が漂っていた。

 

「――以上です」

 

 1人の海兵が背筋を伸ばして目前の列席する数人の海軍将校に向けて何やら説明していたようだ。

 そう、そこは会議室で海兵――オサムが上層部の前に立っていた。上層部からの鋭い視線にオサムは冷や汗を流し、それでも臆する事なく立つ。

 そんな彼に向けて会議室の中心に陣取るマサムネ中将が口を開く。

 

「そうか、ご苦労だった。オサム伍長」

 

「はっ!」

 

 かけられる労いの言葉に敬礼を返すオサムに今度はマサムネの左に座するマサフミ中将が声をかける。

 

「報告感謝するぞ、オサム伍長。下がってよし」

 

「はっ!」

 

 その指示を受けてオサムが会議室から退室する。その途端に議論が開始される。

 

「厄介な事になりましたね」

 

「ああ、まさか「暴獣海賊団」が「バシレウス」を制圧して「百獣海賊団」のナワバリにしたとは……!」

 

 上層部は「暴獣海賊団」と「バシレウス」に関して深刻に議論する。

 そう、「暴獣海賊団」に同行してしまったオサムが「サンモン」で起こった事を上層部に報告したのだ。その詳細に彼らは悩まされざるを得なかった。

 

「……聞けば、「バシレウス」の戦力と技術もなかなかのようだ。それが「百獣海賊団」のものになると……面倒だな」

 

 そのうちの1人、タクミ中将が険しい表情でそう指摘する。その事実に他の面々も深く頷く。

 

「しかし、その情報を今得られたのは不幸中の幸いだな。それに「暴獣海賊団」の情報も手にできた」

 

「うむ」

 

 そこにその事も挙げられ、それによってその場の雰囲気も少し和らぐ。

 

「……といえ、オサム伍長もとんだ目に遭ったものだ」

 

「ああ、まさか――」

 

 ふと、1人が苦笑を浮かべながらそう言い出す。それにつれて他の面々も苦笑する。何せ――

 

「まさか子供達を助けるためといえ、「()()()()()()()()()()()()とはなァ」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだから、浅はかな」

 

「だが、そのおかげで情報を得たのだから何とも言えんな」

 

「まァ、彼自身も短慮だと自覚しているようだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からな」

 

「その時は〝電伝虫〟を持っていなかったようだしな」

 

「にも関わらずに、子供達を救うために躊躇なく向かうとはね」

 

「いやはや正義感が強いとか何とかいうか……」

 

「――だが、こういう無茶は頂けんな」

 

 オサムが取った行動があまりにも無謀だったからだ。その無鉄砲な行動力に将校達は呆れ、懸念をも抱く。

 ……だが、その内容はなぜかオサムが「暴獣海賊団」と行動を共にする事とは異なっていた。

 ――実はそもそもオサムが「海軍G-3支部」に戻れたのは「暴獣海賊団」による手引きがあったからだ。

 もしも彼が普通に戻った場合は規律違反を咎められるだけではなく「暴獣海賊団」のスパイになった嫌疑をかけられる可能性も否めなかった。

 それを避けるために「暴獣海賊団」のあるツテによってオサムが子供達を救おうと海賊船に潜り込んだという設定に向けて情報を操作された。そのおかげでオサムが何事なく「海軍G-3支部」に戻れたのだ。

 情報操作は実にできていてオサムの事をほとんどの者達が疑いなく受け入れたが――

 

「「「……」」」

 

 ただ、鵜呑みにしない者が少なくとも3人いた。

 

「「……」」

 

 オサムの行動をめぐる議論を意味深に眺める2人の将校、マサフミとタクミはマサムネにチラ見する。

 

「……」

 

 その視線、そして議論を前にマサムネは目を閉じて思案する。

 

「……(本当にそうなのか?)」

 

「(オサム伍長は自らの正義に従って子供達を救おうとしたのは本当だろう)」

 

「(だが、海賊船に潜り込んだ?海賊どもに気付かれずに?)」

 

「(滞りなく動き回り、情報を手にしただと?)」

 

「(話ができすぎる……彼に関する情報を鵜呑みにするのは愚の骨頂だ)」

 

 マサムネはオサム関連の情報に引っかかりを覚え、その事からそう考えるようになる。だが、その一方で

 

「(だが、確たる証拠がない。それにここはまだ完全に立て直していない)」

 

「(こんな状況下でオサムをどのようにするのは得策ではないな)」

 

 今における状況と事情からマサムネは物事を慎重に考えるようにもしていた。やがて――

 

「(なら、ここはー)ーオサム伍長をタクミ中将の下に置こう」

 

「「「!!」」」

 

 最終的にオサムへの対応を決めたマサムネが毅然とその事を言い放つ。

 その内容に議論していた人々が驚愕する。マサフミとタクミも同じく驚愕するが、すぐ冷静になる。そう言い出した彼の意図を察したからだ。彼は――

 そうする事でオサムを監視下に置こうと考えたのだ。

 

「(それなら彼が何かをしようとしてもすぐ対応できるだろう)」

 

 そう考えたマサムネだが……

 

「(しかし、彼関連の情報ー…)」

 

「(――まさか?「海軍本部」……もしくは「世界政府」に「暴獣海賊団」の手の者が?)」

 

 今手元にある情報に引っかかりを覚えたという事からマサムネはその可能性を考えついた。そのまさかの可能性に彼もさすがに動揺するが、すぐ冷静になってみせた。

 

「……(センゴク殿に相談しなければならんな)」

 

 その深刻性からそう判断するマサムネは改めて気を引き締める。

 

「(この私は海軍G-3基地長。ここに害をもたらすものは何だろうが――排除するだけだ)」

 

 その決意を固めるマサムネの姿勢は海軍支部の長にふさわしく威厳があった。

 

 

「……」

 

 会議室から退室して廊下を歩むオサムの表情は真剣になっていた。今彼が考えているのは「バシレウス」での事であった。

 

「……(オレが子供達を助けようとする筈が十分な行動ができていなかった。むしろ、海賊の方が子供達を助けていた)」

 

 当時の自身の姿勢を思い返したオサムはその不甲斐なさに顔を激しく歪めずにはいられなかった。しかも、それだけではない。

 

「(ここに戻るのに奴らの手を借りてしまった!!!)」

 

 事もあろうにオサムは「暴獣海賊団」の手引きで「海軍G-3支部」に戻ってしまった。なのに、それに関する対価の要求を……出されなかった。

 

 ――ハッ!別にいらねェな!!お前からの対価など!!

 

 ――あん?なぜ手を貸したァ?それはお前のような海兵がいると面白くなると思ったからだ!!

 

 ――海賊に手伝われて悔しいか?なら、強くなって再びオレ達の前に来てみろ!!相手してやるよ!!

 

 そう言い放ち、不敵な笑みを浮かべたスサノオの顔が頭に浮かんだオサムは目を鋭くする。

 

「……いいだろう。その余裕をなくさせる程に強くなってやる……!!!」

 

 海兵の身であるにも関わらずに海賊に助けられてしまった悔しさを糧としてそう固く決意したオサムはさっそく鍛錬を始めようと足を早める。

 

――奇妙な運命に導かれた1人の海兵は新たな道へ進み始める




☆濃密な経験を経て人々はそれぞれ新たな一歩を踏み出すー!!
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