第174話〝結婚そして…〟
侍の国「ワノ国」を拠点として支配する「四皇」〝百獣のカイドウ〟率いる「百獣海賊団」。
彼らは年に一度、本拠地「鬼ヶ島」で宴――〝金色神楽〟を催す習わしになっている。その宴は百獣海賊団総出なだけはあって規模が並外れていた。
それ程の宴〝金色神楽〟が今年ももちろん行われた。
――ただ、今回は一味違っていた。
「ウォロロロロ!!お前ら!!もっと騒いで祝え!!!」
「「「うおおおお!!」」」
「鬼ヶ島」に大分集まってきた海賊達に向けてカイドウが満面の笑みを浮かべながら高らかにそう言い放った。それに従って海賊達も盛り上がった。
その盛況の程は前回を凌いでいた。だが、それもその筈。
「我が息子スサノオが結婚するんだ!!!それを祝うためにもっと騒げェ!!!」
「「「ウオオオオ!!!」」」
「もちろんゥゥゥ!!」
「若様〜!!おめでとうッス!!」
カイドウがそう言い放った通りに今年の〝金色神楽〟は彼の息子スサノオの結婚式としても行われてるからだ。息子のめでたい晴れ舞台にカイドウも笑みを浮かべずにはいられず、海賊達も喜んだ。
歓喜に沸く人々によって大いに盛り上がる宴の中心にその者達がもちろんいた。
「リュドドドド!!!ありがとな!!お前ら!!」
宴の主役の一人、スサノオ――オレは自身達の結婚を祝福してくれている人々に感謝を伝えた。
なお、今のオレの風貌は普段とは少々異なっていた。愛する女との晴れ舞台に立つ故にいつもの服装の見栄えをもっと良くしておいたのだから。それがオレの外見をさらに向上させてくれていた。
周りからの祝福に自分の幸せを実感でき、笑みを浮かべずにはいられなかったオレは隣にいる妻を見る。
「気分はどうだ?小紫」
オレの問いかけに妻――小紫は微笑みを浮かべる。それも晴れやかなものを。
ちなみに小紫の風貌もまた異なっていた。オレと同じくいつもの服装の見栄えが向上したのはそうだが、それよりなのが彼女の美貌だ。
元から美しかった彼女なんだが、おそらく結婚で得られる充実感によってその美しさに磨きがかかったんだろう。その美貌は今までより多くの人々を魅了して中には失神する者が現れてしまった程だ。
そんな小紫が微笑みながら言う。
「ええ、幸せです。だって、あなたと結ばれるんですから……!!」
「――リュドドド!!嬉しい事言うな!!」
その事を小紫が率直に口にする。しかも、照れからか頬を染めながら少々視線をそらしながら。その可愛らしい様子にオレも込み上げてくるものを抑えられず、小紫を抱き寄せた。
「お前を離さねェぞ……!!!」
「……ふふっ!!私もあなたから離れませんよ……!!!」
突然の事で驚く小紫もオレが熱を込めて言ったその言葉に微笑み、寄り添ってくれた。そうしてオレ達は自身達の絆を実感するように強く抱きしめた。
そんなオレ達の姿に場も大いに沸いた。
「オオ〜〜〜〜!!」
そんな中でカイドウの娘にしてスサノオの妹ヤマトは鼻息が荒くなる程に興奮した。彼女は兄が女と官能的な展開をみせたのを受けて昂ぶったのだ。
そんなヤマトの後ろにいるカイドウも朗らかに笑う。
「ウォロロロ、熱いじゃねェか……!!」
カイドウは熱い雰囲気を漂わせる息子達に笑みを浮かべていて、そしてどこか遠い目をしていた。
そんなカイドウ達がオレ達を見守る一方で別のところでは
「「「お、おお……」」」
河松とイヌアラシとネコマムシがオレ達を見ながらたまげていた。
今の3人は小紫に仕えてる立場故に〝金色神楽〟に参加できているが、目にしたスサノオと強く抱きしめる小紫の姿に言いようのない気持ちになっていた。
「……あの小さかった姫が……!」
「ああ、何とも言えん気分や」
「うむ……年若いといえ、小紫様はもう――「女」だからな」
河松とネコマムシとイヌアラシは小紫が幼かった頃を昨日の事のように思い出した。あの頃の小紫――光月日和は兄に飛び蹴りをする程のお転婆な女の子だった。
それが今は大きくなった上に結婚したというんだから、3人揃って感傷に浸らずにはいられなかった。
遠い目で小紫を見守る3人の隣で同じく見守る者がいた。
「ふふっ、綺麗よ。小紫」
ブラックマリアが微笑みを浮かべて小紫の晴れ舞台を見守っていた。彼女は親友の結婚をもちろん喜ばしく思っていると同時に亡き親友達に思いを馳せてもいた。
「……(見てるかしら?おハネちゃん、おカタちゃん)」
たくましく生きたある姉妹の事を思い浮かべたブラックマリアは含み笑いしながら小紫達を眺める。
そしてまた別のところでは
「……フン、随分と情熱的なものを見せつけておって……嫌味のつもりか?」
スサノオと強く抱きしめる小紫の姿にハンコックは面白くなさそうに頬を膨らませていた。
「七武海」である筈の彼女だが、実は百獣海賊団傘下に属しているために密かながら〝金色神楽〟に参加できていた。
といえ、ライバルである小紫が幸福に浸る展開に対してハンコックはひねくれぶりをみせた。そんな彼女に対して隣の男が話しかける。
「おい、小紫は別にそんな事を考えていないんだぞ?」
フドウが見当違いの事を考えているらしいハンコックを諭そうとする。
「彼女はスサノオさんと結ばれて幸福になっているんだ。他意はないぞ?」
「――分かっておるわ!!いちいちうるさいわ!!そなたは!!」
フドウが真面目に注意してくるのを煩わしく感じたハンコックがムキになりながらそう言い返した。ガルルと凄む彼女の姿にフドウはフッと笑みを浮かべる。
「……なんだ。愛しき人が完全にライバルにとられてしまったから落ち込んでいるかと思ったら、元気そうじゃないか」
「……フン!!どこの誰かが世話を焼かしてくるからな!!落ち込む余裕がないわ!!」
予想とは違う様子に驚いてみせるフドウに対してハンコックはそう言い捨て、顔をそらした。なお、その頬は赤くなっていた。
何だかんだで賑やかに話が盛り上がるフドウとハンコックだが、そんな姿に驚愕する者達がいた。
「……驚いたわね」
「ええ、まさかこういう事になるなんてね」
ハンコックの妹サンダーソニアとマリーゴールドだ。彼女達は今の姉の姿に仰天していた。
無理もない……ハンコックはスサノオにゾッコンであるのは誰もが知る話だ。たからこそ今回の結婚を受けてハンコックが暴れ狂うんだろうと予想に難くなかった。
なのに、今のハンコックはその予想を裏切って平然としていた。その事に人々が驚愕せざるを得ないのも道理だ。だが、彼女を最も近くで見てきた妹達は知っている。姉は今ある男に恋い焦がれてるのを……
それ故にハンコックはフドウに向けてケンカ腰だが、その内では充実しているのを察するサンダーソニアとマリーゴールドは違う意味で驚愕した。ただ、同時に喜ばしく思ってもいた。
「でも、いいんじゃない?これ」
「ええ、私もそう思うわ。第一あの姉様が楽しそうにしているし」
スサノオと小紫の結婚によって恋が破れる事になってしまったといえる姉の心身を2人が案じたからこそ、彼女に新しい恋ができたという事を心から喜んだ。
そんな2人の元にある者が近寄った。
「――本当にそうだね〜」
「「!ハッテン」」
フドウの弟ハッテンだ。突然声をかけてきた彼に目を見開くサンダーソニアとマリーゴールドに向けてハッテンは微笑みを浮かべる。
「まさか、あの名高い〝海賊女帝〟がお兄さんに目をかけてくれるなんて……ビックリだよ」
絶好の美女と讃えられるハンコックが兄に恋い焦がれたという事実にハッテンももちろん仰天した。今までは彼女がスサノオにゾッコンだった故にかえってだ。
そんなハッテンにサンダーソニアとマリーゴールドもその気持ちが理解できるように微笑みを浮かべる。
「ふふっ、でもあなたのお兄さんもスサノオさんにも負けないなかなかの男のようだからね」
「だからこそ、姉様も彼に心惹かれたんでしょうね」
姉が恋い焦がれるフドウの事に関して2人は率直にそう評する。それを受けてハッテンも目を見開くものの、笑みを浮かべる。
「――ははッ!!当然さ!お兄さんは最高だからね!!」
兄を賞賛されたハッテンが誇らしげにする。その様子にサンダーソニアとマリーゴールドも笑みを深める。そしてせっかくのご縁な故に3人で歓談を始めた。
そういう感じで「鬼ヶ島」では賑やかになっていた。
……ただ、そのような状況を快く思っていない者達もまたいた。
「ウォロロロロ!!ウチの息子があんなにいい女を娶ったんだぜ!?いいだろォ!!」
「む、ムハハハ……ほ、本当にうらやましい話だ……!」
まず、カイドウと同盟を組んでいる「ワノ国」の将軍、黒炭オロチだ。
彼は今カイドウに絡まれていた。上機嫌なカイドウからスサノオ達の事をさんざん自慢されているオロチは引きつった笑顔をしていた。
が、その内ではぐちゃぐちゃになっていた。
「ムハハハ(何がうらやましい話だ!!!)」
「(こっちはてめェらに殺されるんじゃねェかと冷や冷やなのに、幸せアホ面を見せやがってェ〜〜!!オレへの当てつけか!?あァん!?)」
実は今の頃オロチと「百獣海賊団」の同盟関係の雲行きが怪しくなっていた。それ故に警戒心が強いオロチは命の危機を感じずにはいられなかった。
にも関わらずにそんな自分を普通に、しかも結婚式に招いたカイドウ達の出方とお祭り騒ぎな「百獣海賊団」の姿がオロチには腹立たしくて仕方がなかった。
それでも力関係がハッキリしている故にオロチはカイドウ達に対して下手に出られず、必死にうわべを飾るしかなかった。
「(今に見てろよ〜〜!!!)」
今身を置かれる状況と立場に屈辱感を覚えたオロチは目の前で盛り上がる「百獣海賊団」に必ず思い知らせてやるんだと固く決意する。
そして「鬼ヶ島」から離れたところではオロチにも負けない負の感情を抱く者がいた。
「ウゥゥ…………!!!」
ある森の奥の小さなお堂の中で籠もる男がいた。彼はオロチの家臣〝居眠り狂死郎〟である。またの名を
「赤鞘九人男」の一人、傅ジローという。
彼は〝金色神楽〟に向かわざるを得ないオロチにお供せずに留守を預かる形で都に残り、そしてお堂で……荒れ狂っていた。
「ウゥゥ…………!!!(なぜなんです……!!!)」
なぜならば今「鬼ヶ島」で行われてる事態が傅ジローには心から受け入れがたかったからだ。
「(なぜなんだァ!!!日和様ァ!!!)」
光月日和――小紫がスサノオと結婚したという事実に傅ジローは激しき衝撃を受け、困惑と怒りなどが入り混じる激情を抱かずにはいられなかった。
それもその筈。傅ジローの主君の娘である筈の小紫が事もあろうに主君を死にいたらしめた怨敵の息子と結婚したというのだから。その事実に傅ジローが唖然とするのも道理であろう。
つまり、今の傅ジローの精神状態はそれ程に危うくなっていた。そんな彼がもしもオロチにお供して結婚が直で行われる〝金色神楽〟に参加したら……確実に精神状態が悪化するのを避けられなかったんだろう。
そうなれば、敵陣の真っ只中で〝居眠り狂死郎〟の正体が嫌でも露見するのが目に見える故にオロチからの要請を断ってまで参加するのを避けた傅ジローだが……
結婚の事さえも何か考えがあっての動きなんだと藁にもすがる思いで考えようにも今の小紫の言動から不穏な空気を感じるようになってきた今ではもはや確信を持てそうにもない。
しかも、傅ジローの心を苛むものはそれだけではない。
「ウゥゥ…………!!!(一体!!!何やってんだァ!!!貴様らはァ!!!)」
「(河松!!!イヌアラシ!!!ネコマムシィ!!!)」
傅ジローと同じ「赤鞘九人男」であった筈の河松とイヌアラシとネコマムシの3人が揃って事あろうに「暴獣海賊団」に入ったという事であった。
同志だと信じてた3人が敵側についたという事実に傅ジローの頭がぐちゃぐちゃになり、心が裂かれかけていた。
――おでん様が殺されてから9年。
――この国はあいつらに長らく好き勝手にされてきた。
――それでも信じた。帰ってくるモモの助様達と共にあいつらを討ち取り、「ワノ国」を取り戻せるんだと。
主君の死に際に立てた誓いを思い起こした傅ジローだが、その顔が激しく歪ませられた。
――なのに、何なんだ?今の様は……?
――アシュラ童子が殺され……
――同志が3人も敵に寝返り……
――しまいには日和様があのカイドウの息子と契りを結んだ。
その事実を前に傅ジローは絶望せずにはいられなかった。
――一体、オレは何のためにやってきたというんだ!!?
そのあんまりな現実に自身のやろうとする事の意義を見失いかける傅ジローは血涙を流し、そして叫ぶ。
「う、ウオオオオ〜〜〜〜!!!」
断腸の思いを吐き出すかのように絶叫した傅ジローの顔の形がさらに歪まされ、そして青い髪毛が白くなっていった……
――〝金色神楽〟が盛り上がる裏で怨念が渦巻いていた。
だが、そのようなものなど知った事かというように「百獣海賊団」が宴を心から楽しんでいた。
その主役であるオレと小紫はその盛況に笑みを浮かべた。
「リュドドド!!皆がオレ達を祝福してくれているな!!」
「ええ、ありがたい事です」
人々からの祝福にオレ達は感謝を覚えた。そこでふとオレ達は互いに見つめ合う。そして微笑みを向け合った。
「リュドドド……小紫」
「はい」
まずオレは口を開く。小紫に問いかけてみたい事を口にするために……
それが分かっている故に待ち構える小紫に対してオレはそれを言う。
「オレとどこまでも……いてくれるのか?」
「!」
オレが投げたその問いかけに小紫は目を見開くものの、すぐ微笑む。
「ええ、もちろんじゃないですか……!」
「……リュドドドド!!そうか!!」
そして小紫が躊躇なく口にしたその答え、毅然とする態度にオレも熱いものが込み上げて満面の笑みを浮かべた。
これ程にいい女がそばにいてくれるおかげもあってかオレが心満たされていくのにつれて抱いている野望にさらに燃えるようになった。
「――このオレは絶対に最強の海賊王になってやる!!!」
「その時をそばで見てろよ!!小紫!!!」
オレが野望を高らかに宣言し、続いて小紫にそう言ってやると彼女も微笑む。
「ええ、もちろん――ただし」
そして獰猛に笑う。
「私はジッとするつもりはないので力を尽くしましょう……!!!」
小紫がそう言い放つのを受けてオレも笑みを深める。
「そうか!!ならよ……」
「オレ達で頂を掴もうぜ!!!」
「ええ」
オレは小紫を抱き寄せ、そう言い放つ。それに小紫も同意を示す。
そうして互いに誓いを確認できたオレ達は朗らかに笑い合う。
そんなオレ達の勢いを受けてか〝金色神楽〟がさらに盛り上がっていった。
そして時は流れ――
ある海を〝カイリュー号〟が進んでいた。その様は一見順風満帆のようだが……
「「「……」」」
普段ならば賑やかな筈の〝カイリュー号〟が今では沈黙に包まれていた。
「……」
そんな甲板で座しているオレも例に違わず、黙りこくっていた。ただ落ち着けず、貧乏ゆすりをしていた。
「……」
重苦しい雰囲気を漂わせるオレにそばで控えていたフドウとジャックがたまらずに声をかける。
「……スサノオさん、酒はどうですか?飲めないならば他の何かを……」
「ジッとするのは調子に悪いからな、せめて何かをすべきじゃないか?」
こんなオレの心身を案じる2人がそれぞれ提案してくれたが。
「……悪いが、そんな気分じゃねェんだ」
今のオレは気が向かなかったので断った。その意志にフドウとジャックも口をつぐまざるを得なかった。
それからも沈黙が〝カイリュー号〟を支配した。その重苦しさに誰かがついに耐えられなくなりかけたその時だった。
オギャアアアアアアアアア!!!
「「「!!」」」
大きな――すごく大きな産声が響き渡った。
その声に人々が目を見開く中でオレはハッと立ち上がり、そして素早く船内に駆け寄っていった。
すると――
「……!!!」
その光景を目にしたオレは目を大きく見開き、言葉をなくした。
何せ、そこには――
「!スサノオさん……!」
汗だくになりながらも晴れやかな笑顔の小紫がいて、そして……
「スサノオさん!おめでとうございます――男の子ですよ!」
そんな彼女に寄り添っていたステラが微笑みながら知らせてくれた通り、小紫の腕には赤ん坊が泣き叫んでいた。
――そう……オレと小紫に子ができたのだ。
その事実を前にオレも今までより最も込み上げてくるものがあり、つい破顔せずにはいられなかった。
「そうかァ……!!!」
感激のあまりに声を上げたオレに小紫は微笑み――
「ふふっ、この子に顔を見せてあげて?〝お父さん〟?」
そう促されたオレはハッとし
「あ、ああ!」
素早く小紫のそばに近寄り、そして彼女が抱っこする我が子を恐る恐る覗いてみた。
自らの存在を知らしめるかのように大きく泣き叫ぶ赤ん坊の姿にオレはたまげた。
「おお、激しく泣き叫んでいるな……!」
「ふふっ、それが元気である何よりの証拠ですからね」
オレと小紫に見守られる赤ん坊は泣き叫び続けていた――が、その目にオレの顔が映された途端にすぐ泣き止んだ。
「!?」
突然赤ん坊が泣き止んだ事にオレは驚き、うろたえた。だが、そんなオレを赤ん坊がじっと見つめた。
しばらくオレと赤ん坊は視線を交わし、やがて赤ん坊が――笑った。それは負の感情が微かさえもない明るい笑顔だった。
その笑みにオレも目を丸くし固まった――が、すぐ笑い出した。
「……リュドドド!!このオレを見て笑うか!!――どこかの誰かみたいだな!!」
どこかで聞いた話と同じ状況にオレはつい笑うのを抑えられなかった。そんなオレにつれてか赤ん坊もますます笑った。
そんな父子の姿に小紫も微笑み、そしてオレに話しかける。
「――スサノオさん。この子に名前を教えてあげて」
「!おお、そうだな」
その言葉にオレはハッとし頷く。そして居住まいを正し、赤ん坊に向けて朗らかな笑みをみせる。
「お前の名前だが、お母さんと話し合って決めたぞォ!!」
我が子にそう語ったオレはその名を口にしようとする。
「お前の名は――」
「〝アマノム〟だ!!!どうだァ!!?」
オレが公表したその名に我が子は――明るく笑った。どうやら、その名を気に入ったらしい我が子――アマノムの笑顔にオレも小紫も笑う。
「気に入って何よりだ!!」
「ふふっ、そりゃいい名前ですもの。ね?アマノム」
「あーあー」
――〝運命〟のバグにてイレギュラー……〝スサノオ〟
――〝運命〟から外れたはぐれ者……〝小紫〟
――奇縁を結んだこの2人に息子が生まれた。その名は――〝アマノム〟
☆ついに契りを交わしたスサノオと小紫の間に息子、生まれるー!