ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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☆〝妖精伝説〟は本当だった!?


第186話〝妖精の正体〟

 「ドレスローザ」に息づく〝妖精伝説〟のルーツの疑惑がある「グリーンビット」に向かうためにその島に架かる橋を渡るオレ達。

 その橋は獰猛な強さを持つ「闘魚」の脅威にさらされていたが、それをオレ達はものとせずに歩を進め続けた。

 だが、そんなオレ達の前に姿が見えない何者かが闘魚を獲ろうとするという事態が展開された。

 

「も、もしかして」

 

「――妖精!?」

 

 そんな光景にオレ達が驚愕する中でヤマトがそう叫んだ。

 ヤマトがそう考えても無理もないかもしれない。まず、その場には声が響いた上に闘魚を引き上げられている。その事からその場に誰かがいるのは間違いないだろう。

 だが、その姿はおろか人影さえも見当たらない。そんな奇妙な話だが…姿が見当たらないという事はつまり透明か、あるいは姿()()()()()()()()かもしれないといえる。

 そういう可能によってヤマトは妖精なのではないかと考えついて、そのまま口をついて出たのだ。

 だがその叫びに応える声もなく、しかも完全に引き上げられた闘魚が向こう先へものすごい速さで引きずられていった。

 

「急げ急げ!!」

 

「大人間に姿を見られずに逃げろ!!」

 

 どうやら、闘魚を引きずる何者は姿を見られたくないらしくその場からさっさと離れようとしていた。

 

「ま、待って!?」

 

 妖精と思わしき者達が去っていくという事態を受けてヤマトが慌てて追いかけようとするが

 

「待て、ヤマト」

 

 そんなヤマトにオレが待ったをかける。突然の制止にヤマトが目を大きく見開いて顔をオレの方に素早く向ける。

 

「!?どうして!?」

 

 信じられないという顔で声を荒げるヤマトにオレは苦笑する。

 

「リュドドド、いや。そりゃお前だけならすぐ追いつけるは追いつけるんだろうよ」

 

「だが、こんな場所でオレ達全員が行くとなるとすぐ追いつけねェんじゃねェかな」

 

「……あ」

 

 オレがそう指摘するとヤマトはしばらく呆気に取られ、やがてハッとする。そう、今オレ達がいる橋は途切れていて簡単に移動しにくい状態になっている。

 向こう側とは距離があるが、行けない訳ではない。ただ今からオレ達が全員で移動するとなると手間が少々かかる事になっちまうのだ。

 その事実もあってオレはある判断を下す。そうと決まったオレは皆に向けて言い出す。

 

「ここからは〝風曇〟で行くからお前らはオレのそばでひとかたまりになれ」

 

「「「!ああ」」」

 

 オレがそう言い放つと皆がその指示に従ってオレのそばで集まろうとする。それを目視したオレはさっそく右腕を勢いよく振り回す。

 するとその勢いから風――〝風曇〟が生み出され、それがオレ達の足元を包み込む。そしてオレ達は〝風曇〟によって橋を離れて上空へ飛び上がる。

 そうしてオレ達は妖精と思わしき者達を追って引きずられた闘魚の消えた先、「グリーンビット」に向かって空を飛翔していった。

 

 

「――着いたぞ」

 

 オレはそう言い放った。そう、〝風曇〟で空を飛翔したオレ達は今「グリーンビット」に無事辿り着いたのだ。

 闘魚の群れに取り囲まれた橋をすり抜けてその島に足を踏み入れたオレ達の目に映るのは

 

「――デカッ!!デカくて野生丸出しの森だァ〜〜!!」

 

「ええ、「ナター」にも負けない程に濃いですね」

 

 その光景を目にしたオレ達はそうたまげた。何せ、その島は確かに自然だらけだが……よく見ればそれは木ではなく植物だった。それもただの植物ではない。なんと驚く事に巨大な植物だった。

 常軌を逸する程に巨大な植物がその島に生い茂っていた。その中には花も咲いているが、その花径は人間の身長の数倍も大きかった。

 それはまた常識を超える光景で「ワノ国」の農林水産分野に特化して自然環境が整えられる郷「ナター」にも及ぶ濃いものだった。それ故にそんな光景をしばらく眺めるオレ達だが。

 

「……この跡を見るとこの中に入ったのは間違いなさそうだな」

 

「そうみたいだね」

 

 そんな中でそれを見たオレがその事を指摘する。その事を耳にしたヤマト達も同じくそれを目にする事でその考えに賛同する。

 そんなオレ達が見下ろす地面には大きなものが引きずられたような跡が残ってあった。そう、さっきの闘魚だ。

 闘魚が引きずられた跡が巨大な植物だらけの中にまでも続いている。つまり、妖精と思わしき者達がその中にいるだろう。その事実によってオレ達はそう考えるが。

 

「でも、見つけられるのかな?こんな中で?」

 

 ヤマトが眉をひそめてそう言う。そう、そこには巨大な植物が生い茂っている。しかもそれに加えて自身達が探そうとするものもおそらくすごく小さい。

 そんな中から妖精と思わしき者達を見つけるなど、〝見聞色の覇気〟を使っても手間がすごくかかるのだろう。

 そう考えたヤマトが悩ましげにすると小紫が話しかける。

 

「ヤマト、それは大丈夫だと思いますよ」

 

「!?どうして?」

 

 その言葉にヤマトが目を丸くして首を傾げると小紫が微笑み、そしてイヌアラシに視線を向ける。

 

「イヌアラシ、できますか?」

 

「ええ」

 

 小紫がその問いを投げかけるとイヌアラシは堂々とそう返す。

 

「闘魚のにおいがブンブンしていますので」

 

 イヌアラシは犬のミンクだ。すなわち鼻が利く。その鋭い嗅覚によってイヌアラシは巨大な植物だらけの中から場違いな魚臭い匂いを嗅き付けたのだ。

 そんなイヌアラシの回答に小紫は笑みを深める。

 

「結構。それじゃ頼みましたよ」

 

「はッ、皆のもの。この私に続いてくだされ」

 

 小紫から任されたイヌアラシは自らの嗅覚で闘魚を引きずられた際に染み付けられた匂いを嗅ぎながらその道を駆けていく。そんなイヌアラシにオレ達も続いて駆ける。

 そうしてオレ達は巨大な植物だらけの中を進むが、多くの巨大な植物があちこちに散らばっている故にそれらがオレ達の行く手を遮る障害として立ち塞がる。

 まァそれさえもオレ達にはものにならずに平然と進んでいった。

 

 やがて

 

「!……ここでございます」

 

 匂いを嗅ぎながら駆けていたイヌアラシが突然立ち止まった。それに伴ってオレ達も足を止める。そしてオレ達の目の前には引きずられた筈の闘魚がぽつんと置かれてあった。

 

「……ここにはいないのか?」

 

 闘魚が置かれた地には別に何もなく人影もみられない事からもしかしてオレ達をまくために闘魚を置いたのではないかとオレは考えた。

 その考えを口にするとすぐイヌアラシが否定する。

 

「いえ、います」

 

 イヌアラシが周りを慎重に見渡しながらそう言い張った途端だった。突然その場に煙が勢いよく発生したのは。

 

「麻酔花ッ!!!」

 

「「「!?」」」

 

 突然の事にオレ達は驚愕する。そんな中でオレはさっき叫ばれた〝麻酔〟という言葉、そしてその煙を身近で目にする事でその性能を察した。

 

「!!(麻酔か!なら!)んオラァ!!」

 

 それに伴って今身を置かれる状況を把握したオレはその麻酔ガスを嗅ぐ前に右腕を勢いよく振った。その勢いにより場に広がる麻酔ガスがあっけなく吹き飛ばされ、晴れていった。

 

「「「!!?」」」

 

 まさかの力技で事態を乗り越えたという事実に麻酔ガスを発生させた者達が驚愕するよそでオレは不敵な笑みを浮かべる。

 

「リュドドド!!麻酔ガスを放つとは、そこまで姿を見られたくねェようだな!!」

 

「恥ずかしがり屋かしら?」

 

 姿を決して見せないどころか攻撃をもしてくる何者かの態度に対してオレは面白がり、小紫は疑問に思って考えついた可能性を口にしてみる。

 とにかく皆が訝しげにする時だった。オレ達の周りが騒がしくなったのは。麻酔ガスを放った者達が今度はオレ達の周りを俊敏に動き回っているのだ。

 

「「「!!」」」

 

 その動きにオレ達が目を見開く隙にその者達が跳躍してオレ達の方に勢いよく突き進んできた。

 

「!おっと」

 

「わわッ!」

 

 だが、その突進をオレ達はしっかり見透かしていた。まず小紫とヤマト達がその突進を事もなげにかわしてみせた。そして

 

「……!!」

 

「そこか!!」

 

 オレとフドウは猛烈な勢いで突っ進んできた者達をがっちりと掴み取った。

 確かにその動きは俊敏で勢いがすごい。並の人間ならば手を出せなかったんだろう。だが、そもそもオレ達は親父達、カイドウとキングの並外れたスピードを目にする事がある。

 〝最強生物〟達のスピードを知るオレ達にはその者達が例え全力でやってもそのスピードが遅く感じるのだろう。故にその者達を何の事はなく捕まえられたのだ。

 

「捕まえた――おおッ!?」

 

「む!」

 

 捕まえたその者達が逃げないようにがっしりと掴んでみせるオレとフドウだが、ただそんなオレ達の手の中にいる者達は抵抗して暴れた。

 その事に別に驚きはない。捕まえられたら抵抗するのも当然の事だからだ。オレ達が驚くのはその力だった。それは思ったよりすごくあってオレ達もさすがに驚かざるを得なかった。

 といえ、オレ達もまた並外れた力を持っている。激しく暴れる者達をそれでもしっかり掴んで離さなかった。

 

「すげェ力だな!一体どんなものー…!」

 

「これが〝妖精〟の正体か」

 

「「「放せ!!」」」

 

 その凄まじき力にオレは興味を惹かれ、それで手の中にいるものを拝めようとしてみたら目を見開いた。同じく手の中にいるものを確認したフドウが冷静にそう言う。

 そんなオレとフドウの手には人間の手のひら程度に小さな人間がいた。よく見れば二頭身で尖った高い鼻に丸く膨らんだ尻尾を持っている。

 そう、それこそが「ドレスローザ」に伝わる〝妖精〟の正体であった。その正体にオレ達が驚くと足元から声が響く。

 

「――スリーピーとバッシュフルとスニージーとドーピーを放せ!!大人間!!」

 

「さもなければ攻撃するのれす!!」

 

「「「!!」」」

 

 その声にオレ達が足元に視線を向けるとそこには同じように小さな人間達がいて、そして小さな槍のような針をオレ達に向けていた。

 その者達は仲間達がオレ達の手に囚われているのもあってか抵抗の姿勢を示していた。そんな者達の姿に小紫とヤマトとブラックマリアは言う。

 

「「「……か」」」

 

「「「可愛い……!!」」」

 

「だ〜!」

 

 3人が目を輝かせてそう言い張り、そしてアマノムが食い入るように見ていた。どうやら、小さな人間達が小さいながらも真剣に身構える姿勢が心にグッときたようだ。

 まァ、幼いアマノムはとにかく3人は何だかんだで女の子だ。無理もないだろう。そんな3人の姿勢にオレは苦笑を禁じ得なかった。

 

「リュドドド……」

 

 といえ、女の子としての面をみせる3人の姿にオレが微笑ましく感じるよそでフドウは平然と真面目な態度で言う。

 

「やはり――」

 

「「小人族」だったな」

 

小人族――

 

非常に小柄で手のひらサイズの小さい体つきを持つ種族だ

目にも止まらぬ速さと並外れた怪力を持つなど種族としてのスペックは人間を遥かに凌駕しているという。また植物栽培にも長けているともいう

なお、平均寿命はなんと150年だという

 

 そんな「小人族」こそが〝妖精〟の正体であった。

 その存在は知識として知っているが、直で目にする事がなかったオレは目下にいる「小人族」を興味深そうに眺める。

 

「リュドドド!本当に小せェな!お前らは!」

 

 「小人族」の姿が本当に小さいという事実にオレは笑みを漏らした。オレの場合は人間の数倍も大きい大男な故に余計に小さく見えるのでかえってだ。

 だが、そんなオレ達の姿勢に小人達はしかしそれでも毅然とした態度を取り続ける。

 

「「「さっさと放せ!!」」」

 

「スリーピーとバッシュフルとスニージーとドーピーをさっさと放せ!!」

 

「我々を捕まえるつもりだろうが、そうはいかない!!」

 

「覚悟しろ!!大人間!!」

 

 オレ達にいまだに掴まれている小人達が全力で暴れ、そしてそんな仲間達の身を案じながら自分の身を守るために小人達は抗戦の構えを見せる。

 そんな小人達の物怖じしない姿勢を受けてオレは笑みを浮かべる。

 

「おおっと、それは悪かったな」

 

「「「!?」」」

 

 オレは朗らかにそう言いながら手の中にいる小人を仲間達の元に降ろしてやった。

 

「「「……!?」」」

 

「オレ達は身を守るためにお前らが突っ進んできたのを掴んだだけだ。なァ?フドウ」

 

「……まァそうだな」

 

 その事に驚愕する小人達に対してオレは笑いながらその事を語り、フドウに同意を求める。そんなオレの姿勢を受けてフドウは一瞬黙り込むが、やがて肯定して同じく小人を降ろす。

 それに頷いたオレは続いて小人達に向けて言う。

 

「そもそも、オレ達はただ〝妖精伝説〟の真実を知りたくてここに来ただけでお前らをどうにかするためじゃねェんだ」

 

 そう、〝妖精伝説〟を解き明かすためにオレ達は「グリーンビット」を訪れてきたんだ。その正体が「小人族」だったという事実はそれはそれで目にした事がない種族と会う事ができた。

 そう考えたオレがその事を率直に言い張るが、それを受けても小人達の警戒は解かなかった。彼らはオレ達の事を疑わしげに見て、そして言う。

 

「……本当に我々を捕まえに来たんじゃないれすか?」

 

「ああ、お前らを捕まえるなんて少なくともオレ達にとっては利がねェからな」

 

 投げかけられたその問いに対してオレは堂々とそう言い放った。そうだ。今小人達を強引に捕まえても別に利益が存在しないのだから。

 オレが率直に口にする答えを受けて小人達はそれでも険しい表情を浮かべる――

 

 

 

 

 

「――そうなんれすか!!」

 

 ……訳でもなく朗らかな笑みを浮かべて構えを解いた。

 

「「「……は?」」」

 

 さっきまで警戒心が強かった筈の「小人族」の一変された態度にオレ達もさすがに呆気に取られた。それに気付かないか小人達が朗らかに言う。

 

「我々を捕まえに来た訳じゃないんならいいれす!」

 

 そう言った小人達がニコニコする。実に邪心の欠片もない笑顔にオレ達はますます唖然とする。だが、そんなオレ達の感情を置き去りにして状況が進展する。

 

「あ、でも……我々の姿を見られてはいけない筈なんだけど、いいれすかな?」

 

「あ……でも、この大人間達は我々を捕まえるつもりはないれす」

 

「それはそうれす」

 

 小人達は今自分達の置かれる状況とオレ達の存在に関しての話し合いを始める。やはり、「小人族」は人間に姿を見られてはいけない決まりでもあるらしい。

 真剣に話し合う小人達の雰囲気を受けてオレ達はつい黙って進展を見守った。すると小人達が話を止めてオレ達を一気に見上げる。

 

「我々の事を他に言うつもりはないれすか?」

 

 小人達のリーダーらしき小人が真剣な表情でオレ達に向けてその問いを投げかける。やはり彼らにとっては一大事な事であるために事を慎重に進みたい心づもりだろう。

 そんな小人達の真剣な姿勢にオレも真剣な態度を示す。

 

「ああ、お前らの事をいたずらに言い散らすつもりはねェ」

 

 オレはハッキリとそう言い放った。無論その事による利益が全くないからやる理由がどこにもない。オレがその事をごまかさずに言い切ると小人達の顔が明るくなる。

 

「ならいいれす!」

 

「「「!?」」」

 

「我々の事を他に言い散らすつもりならば殺すつもりだったけど、そのつもりがないならばいいれす!」

 

「「「……!!?」」」

 

 なんと、小人達はオレの言った事を完全に疑わずに信じた。彼らが実にいい笑顔でその事をあっけらかんと言ったのにオレ達はやはり呆気に取られざるを得なかった。

 

「「「(な、何だ!?こいつらの信じやすさは!!?)」」」

 

 まるで疑う行為を知らないような小人達のあり様にオレ達ほぼ全員が口を大きく開けて冷や汗を流した。

 そんなオレ達の戸惑いに気付かない小人達が平然と話しかける。

 

「それで大人間達はどうして〝妖精伝説〟の真実を知ろうとしたのれすか?」

 

 自身達を捕まえに来た訳ではないのは分かったが、じゃあ一体何のために知ろうとしたのか?その疑問を抱く小人達にオレはすぐ気を取り直して言う。

 

「ああ、オレ達はもしも〝妖精〟が本当にいるなら拝みたいと思ってな」

 

「〝妖精伝説〟のルーツがここにあると考えてそれを確かめに来たんだ」

 

 オレが「グリーンビット」を訪れる目的を率直に口にすると小人達が納得する。

 

「なるほど!そういう事れすね!」

 

「まァ間違ってはないれすね」

 

「ほう?」

 

 小人達が納得してそれぞれ言い出す中でその言葉を聞き取ったオレが目を細める。

 〝()()()()()()()〟、その意味を察するオレは笑みを浮かべて小人達に向けて、そして言う。

 

「なぜお前らの事が〝妖精伝説〟として伝わったのか、それを教えてもらえるか?」

 

 オレがそう言ってみると案の定、小人達が朗らかな笑みを浮かべる。

 

「いいれすよ……あ、そうだ!」

 

 オレの要求を了承した小人達がふと閃く。彼らは笑顔で思いついた事を口にする。

 

「せっかくの機会れす!」

 

「我々の国――「トンタッタ王国」に行くれす!!」




☆妖精改め「小人族」の国!?
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