ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第19話〝新しい仲間そして新たな悪魔の実〟

 オレはワノ国の独特的な文明と自然が好きだ。海外のとは違うようなそれを眺めるのを楽しんでいるし、それもなかなか飽きない。

 だからこそ――普段住み込んでいる村を離れて、ワノ国をたまに散歩している。その地を楽しむ為に。

 だがワノ国の地全般を散歩しているからこそ、予想外の出来事に出くわす事も当然ながらある。

 それはオレがワノ国のある村を散歩する時に起こった。

 ――小さな子供がガラの悪い大人に奪われた刀を取り戻そうとしているところにオレが遭ったのだ。

 普通なら大人に睨まれて子供が泣き寝入りしてしまうのだろうなと思い、気に食わねぇから助力に入ろうとしたが――

 

「返せ!その刀はオレのだぞ!!」

 

「あぁ⁉うるせぇな!これはもうオレのものだ!まだ言ってんなら――殺すぞ!」

 

「はん!やってみな!だけどオレはな、死ぬのは怖くないぞ!」

 

「怯えながら生きるなんて死んでいるようなもの!なら精一杯生きてやる!!」

 

「!」

 

 意外に子供が大人に怯まずに睨み返す。それどころか、子供が言い放つ言葉にオレは目を見開く。その言葉はオレの胸中に響いた。そう――その言葉には何を感じない訳にはいかねぇ。

 だがその言葉に何も感じなかったらしい大人が奪ってきた刀を抜いて子供を斬ろうとしたが――

 

「フン!」

 

 オレがその大人に駆け寄り、蹴った。吹っ飛ばされた大人は地に倒れて気絶した。

 呆然とした子供にオレは拾った刀を差し出しながら声掛けた。

 

「大丈夫か?これ、お前のだろう?」

 

「⁉お、おう!あ、ありがとな!」

 

「しかし〝怯えながら生きるなんて死んでいるようなもの!なら精一杯生きてやる!!〟……か。いい言葉だ」

 

「き、聞いてたのか!それは恥ずかしいな……でも」

 

 子供がチラリと気絶している大人を見る。そしてオレに視線を移してニャリと笑みを浮かべる。苦しい生活を送ってるとは思えない程に活発な笑みをだ。

 

「ああいう人間にナメられずに生きていきたいと思ってな。それがどれだけ苦しんでも――」

 

 子供の言葉そして濁っていねぇ光のある目にオレはニャリとしてしまう。

 ――ますます気に入ったぜ!ここはやはり……

 ある決意を抱えたオレはコドモに新たに言葉をかける。

 

「なぁお前――オレ達、暴獣海賊団に入らないか?」

 

「⁉か、海賊⁉」

 

 驚愕する子供にオレは説明する。

 

「オレはお前のような骨のある奴が大好きなんだ。逆にああいう奴は嫌いだ」

 

 気絶している大人をチラリと見るオレは鼻を鳴らす。しかし子供に視線を移してニッと笑みを浮かべる。

 

「オレは――暴獣海賊団を自分らしく自由に生きていく――そんなところにしたいんだ……そうお前のように――どうだ?」

 

 オレの説明にしばらく子供は考え込んだが――

 

「……入るぜ!よろしくな!」

 

「うん、よろしくな……そういや、お前の名前は?」

 

「――明日郎だ」

 

 ――オレがワノ国を散歩しているのはこの国の文明と自然を楽しむ理由もあったが、そこに光月おでんと霜月牛マルそして明日郎のような腐りきったワノ国の民の中にもいる骨のある人間を見つける理由も加えるようになった。そういう人間をワノ国の民共なんかで腐らせるには惜しいからな……

 そしてオレが散歩する中で出会った過酷な生活でも胸を張って生きている人間とガラの悪い人間を恐れずに戦おうとする人間を保護してきた。その中での子供達はほとんどオレ達、暴獣海賊団が受け入れた。

 

 

――こうしてワノ国の骨のある子供達が暴獣海賊団に加入した。

 

          ●

 

時が経ち――

 

「親父……そいつらは……?」

 

 オレは親父からの呼びかけに応じて彼の元へ行ってみたら、彼だけではなく2人の子供がいた。

 つい先程は親父が航海に出かけていたよな?確か、因縁のある海賊が死んだとかそれを確認しにとか……もしやそこで拾ったのか……?

 オレの疑問を感じ取れたのか親父は2人の子供の事を紹介した。

 

「女のガキがうるティで、男のガキがページワンで姉弟だ。こいつらはオレと因縁のあった海賊のガキでな……親が死んだ事で身寄りのなくなったところをオレが引き取った」

 

 ……因縁のあった海賊の子供を引き取るとは……親父、甘くはないと豪語しているが……甘いじゃん!いや親父にそういう面があるのがかえって良いと思っているぜ!

 オレが子供達に視線を移すとうるティという女子がオレを――いや周囲を警戒していて、威嚇しやがる。対してページワンという男子がうるティに隠れながら怯えている。それをオレが真剣に見つめている中、親父が申し訳なさそうに話し出す。

 

「あ――お前を呼んだのはつまり……あれというか……」

 

「分かってるよ、親父」

 

 親父の態度そして状況から事情を大体理解したオレは頷く。

 

「こいつらはオレが――暴獣海賊団が預かる……これでいいよな?」

 

「あぁ、子供が多い暴獣海賊団ならこいつらが安心するだろうと思ってな……悪ぃな、引き取ると決めたオレが面倒見ないのはどうかと思っているが……」

 

「いや、こういう生意気な奴は大歓迎だぜ!それに親父の事だ、時間があれば面倒見るつもりだろ?」

 

 生意気な奴が好きなのはそういう態度をとられると逆に湧いてしまうからな!そんでやり合うと相手の事を少しでも理解できるようになり絆を育てられるからな!そうやってできる仲間は普通より大きな信頼を置けるからな……

 それに意外と真面目な親父の事だ、自分で引き取ると決めた以上、何としてでも自分で面倒見るべきだと考えているところがあるからな……そうするように時間を作るつもりなんだろ?

 

「……ウォロロロ!そのつもりだ!」

 

 オレの言葉にニャリとするまで頷く。だが――

 

「おい!」

 

 突然うるティが大声を出す。その大声にオレ達は彼女に視線を移し、ページワンがビクッとして涙を流す。

 

「お前らが何を考えているのか分からねぇが!私達をナメたらシバキ殺すぞ!――って!ペーたんが泣いている――!お前ら!何をした⁉」

 

 うるティのあんまりに理不尽的な噛みつきに――オレも親父も頬を引きつった……

 

「……おいおい。ページワンが泣いているのは単にお前が突然大声を出すからだ……」

 

「おぉおああああ!!」

 

 オレがツッコむも、しかしオレの言葉を聞いていなかったのかうるティがオレに殴りかかろうと駆け寄ってきた。さすがにうっとうしく感じたオレがうるティの頭にチョップして気絶させた。

 

「うがぁ!!」

 

「お、お姉ちゃーん!!」

 

 気絶して倒れた姉に駆け寄るページワンをよそにオレ達は遠い目をする。

 

「……生意気すぎだよな……」

 

「あぁ……頼もしいだろ……?」

 

「……まぁな……」

 

「ぼ、ぼくが!」

 

「「…ん?」」

 

「ぼくが相手だ!!」

 

 また声がして、その元にオレ達が視線を移すとページワンが怯えながら姉を後ろに立って構えていた。その姿にオレ達はニャリとする。

 何だ!怖いにも関わらず姉を守る為に勇気を出して戦おうとするとはなかなか見所があるんじゃねぇか!!

 

「リュドドド……安心しろ、何もしねぇよ。姉については殴りかかってきたから気絶させたまでだ」

 

「……あ、そうなの?」

 

 ページワンはオレの言葉に安心したのか、緊張が解けて座り込んだ。そんな彼にオレが近付く。

 

「リュドドド!ページワン……これからはオレ達――暴獣海賊団がお前らを預かるぜ」

 

「?暴獣海賊団……?」

 

「リュドドド……このオレとお前らのような子供でできている集団だ!気に入るぞ!」

 

「!……本当?」

 

「リュドドド……本当だ。だから来いよ、暴獣海賊団へ――」

 

 そう言うオレの差し出す手にページワンが戸惑いを見せながら、しかし手を伸ばそうとした――

 

          ●

 

「はっ!!」

 

 気絶していたうるティが目覚ましていた。彼女は自身にかかっている毛布、そして枕に気付いて首を傾げる。

 

「!そうだ!ペーたん!」

 

 うるティは最愛の弟の姿を探そうと立ち上がると――

 

「「「あはははは!!」」」

 

「!?……は?」

 

 笑い声が響いて、その元を見たうるティは呆気に取られた。何せ――

 弟――ページワンが他の子供達と楽しく駆け回っていた。

 

「な、な」

 

「あ!お姉ちゃん!」

 

 目を覚ましている姉の姿に気付いたページワンが彼女に手を振った。

 

「スサノオ兄の暴獣海賊団は楽しいよ!お姉ちゃんも来て!」

 

 そう言ったページワンは他の子供達との遊びに戻った。いつも自身の後ろに隠れている弟の姿を知っているうるティはその姿に衝撃を受けた。

 

「ペ、ペーたんがあんなに楽しそうに……」

 

「リュドドド……いいだろ?」

 

「!お前は……」

 

 うるティの隣にオレが立っていた。うるティが警戒するのもオレの敵じゃないのを思い出して威嚇するだけに留まった。

 

「私達をどうするつもりだ?」

 

「あぁ、オレ達――暴獣海賊団に入ってもらう」

 

「あぁ!?わた「別に好きに生きてもいいぞ」!?」

 

「どうせ、他に行きツテがないんだしな」

 

 オレの言葉を否定できないか言葉がなかなか出ないうるティ。

 

「私はペーたんを守るんだ……」

 

「そのペーたんはあの通り楽しくやっているぞ」

 

 弟の明るくやっている姿を見て元気がなくなってしまううるティ。

 

「わ、私は……」

 

 俯いてしまううるティにオレは声掛ける。

 

「姉として弟を守ろうとして頑張っているよな?偉いぞ!お前は!」

 

「!」

 

 うるティはハッとしてオレを見つめる。オレはニャリとして言葉を引き続く。

 

「これからはオレの陰にいろ!このオレがお前らの砦になってやる!」

 

「だからよぉ!自分らしく生きろ!!」

 

 オレの言葉にうるティは目を見開く。そして俯く。

 

「……私が――私達が好きに動いていいんだな?」

 

「おう、オレ達と弟の迷惑にならないなら」

 

「……分かった。暴獣海賊団に入る」

 

「おう!歓迎するぞ!弟はもう歓迎を受けているがな」

 

 オレの言葉にうるティは弟に視線を移す。

 

「……む〜」

 

 自身とは違う子供達と楽しく遊んでいる弟の姿を面白くなさそうに見つめるうるティ。やがて――

 

「おい!私も混ぜろ――!!」

 

 うるティがそう叫びながらページワン達へ駆け寄っていった。そして笑い声がすごく響いた――

 

「リュドドドド!」

 

 

――こうして〝百獣のカイドウ〟と因縁のあった海賊の子供達――〝うるティ〟と〝ページワン〟の姉弟が暴獣海賊団に加入した。

 

          ●

 

さらに時は経ち――

 

「リュドドド!親父!連れてきたぜ!」

 

 ある部屋に座り込んでいる親父の目前にはヤマトとフドウとジャックが立っており、彼らの間にはオレが立っていた。ヤマト達はオレが連れてきた為に要件は何だろうかと疑問符を浮かべていた。そういう3人の様子にオレと親父もニャリとする。

 

「お前らに来てもらったのは他でもねぇ……」

 

 そう呟いたオレはある木箱の蓋を開けて、その中を3人に見せた。

 

「っ!?」

 

「そ、それは……!」

 

「も、もしかして悪魔の実⁉」

 

 そう木箱の中には悪魔の実が――それも3つ。それらに驚愕してしまう3人にオレも親父も笑った。

 

「リュドドド!いい驚きだぜ!」

 

「ウォロロロ!昔のスサノオと同じだぜ!」

 

 サプライズが上手くいったのに嬉しく笑ったオレ達にヤマトは興奮しながら問った。

 

「も、もしかしてこれを僕達にくれるの!?」

 

「リュドドド!そろそろやるべきだと思ってな。なぁ?親父」

 

「ウォロロロ!探すのに手間かかったぜ!特にお前用のはな」

 

 親父の言葉を補助するようにオレは木箱の中からある実を掴み取った。ヤマトに食べせようと決めた悪魔の実をだ。それをヤマトに与えた。

 

「親父がお前の為に苦労して見つけた悪魔の実だ」

 

「わぁ……!」

 

 オレの言葉にヤマトは目をキラキラとしながら手に取った実を見つめた。

 

「どんな能力なの?」

 

「フッ、それは食べた後の楽しみだ」

 

 ヤマトの好奇心にそう答えたオレは続いてフドウとジャックの方に向いた。

 

「で、こっちは……あ〜悪ぃが、何の実か分からねぇ。食べなくていいが」

 

「!いえ!悪魔の実を頂けるなら十分です!食べます!」

 

「力が欲しいから食べる!!」

 

 どんな能力を秘めているのか分からないという問題があるにも関わらず、フドウとジャックが慌てながら悪魔の実を食べる事に気が乗っていた。そして互いにジロリと隣を見つめ合う。

 

「(……どっちだ?どっちの実が正解だ?)」

 

「(……分からねぇが、こいつには負けたくねぇ!)」

 

「(そもそも……オレが素早く取るべきなのか……?それともこいつが取った後に残りを取るべきか……?)」

 

 そうなのだ、犬猿の仲である2人はどっちの実を取るべきか、または素早く取るべきか後から取るべきか決めかねていた。しばらく悩んでいた2人だが――

 

「……これだ!!」

 

「っ!!」

 

 腹を決めたジャックが素早くある悪魔の実を取った。呆気に取られたフドウに対してジャックは自慢気に鼻を鳴らす。

 

「フン……」

 

「チッ……」

 

 舌打ちしたフドウは残りの1つの実を手にした。そして3人は手にした悪魔の実を一口かじるが――

 

「「「マズっ!!」」」

 

「リュドドド……だろうな……」

 

「ウォロロロ……分かるぜぇ……」

 

 3人とも悪魔の実の想像以上のマズさに顔をしかめ、オレ達もそれに苦笑してしまう。

 そうなんだよな……あのマズさは世のものじゃねぇぜ……それこそ、たとえたった1度でも経験したくねぇ程に。

 とにかく悪魔の実の一部を飲み込んで一息ついている3人にオレは助言する。

 

「お前ら……「変われ」と念じてみろ。動物系なら変身できるぞ」

 

「!やってみる!」

 

 オレの言葉に従ってみる3人とも1人残らず――身体が変わった。

 

「!へぇ……いいじゃねぇか!」

 

「ウォロロロ……悪くねぇな!」

 

 3人の変身し終えた姿を見てオレ達は感嘆する。

 

「僕達は何に変身しているの??よく分からない!」

 

「えーっと……オレも何に変身しているのか……」

 

「オレも……」

 

 自身が何に変身できたのかよく分かっていない3人に親父は頷く。

 

「あぁ、鏡を用意してある。それで確認するといい」

 

 親父の言葉に従って、3人は自身の変身した姿を鏡で確認した。

 

「!!わぁ……!」

 

「ほぉ……これは」

 

「へぇ……」

 

 3人も自身の変身した姿に感嘆する。

 ジャックはふさふさとした体毛と巨大な牙を持つ大きな象――マンモスに変身していた。

 フドウは背中に菱形の骨板を並べた恐竜――ステゴサウルスに変身していた。

 そしてヤマトは――幻想的な白き狼に変身していた。

 

「ウォロロロ!フドウもジャックも2人とも動物系古代種とはな!」

 

「リュドドド……綺麗だぜ!ヤマトにピッタリだ!」

 

 親父にそう言われて、フドウとジャックは互いに相手を見つめ――目をそらす。どうやら力を手にしたのはいいが、犬猿の仲の相手も同じように古代種――それも似たようなものになっているのが気に入らないようだ。

 そしてオレに褒められてヤマトは自身の身体を見て――ニンマリと笑った。どうやら気に入れたようだ。

 

「お兄さん!お父さん!この実は一体?狼なの?」

 

「ウォロロロ!いやいやそれはただの狼じゃねぇ」

 

 ヤマトのその疑問に説明する――希少種だと謳われる動物系幻獣種の中でも少し珍しい悪魔の実の事を――

 

「お前が食べた悪魔の実はな――〝イヌイヌの実 モデル大口真神〟……そいつは「ワノ国」の守り神だと象られる狼神だそうだ。スサノオを支えようとするお前にピッタリだろうなと考えてな……」

 

 リュドドド……正直「ワノ国」の守り神なんとか知らぬが……一応〝神〟と象られる獣だ。その力は凄まじいのに違いねぇ……その力をヤマトに授ければ良かろうと考えていたが、ああいう幻想的な白き姿はヤマトの白い髪毛に合っているぜ!……まぁ、オレのも白いが。

 そう考えているオレをよそに親父の説明を受けたヤマトは嬉しそうに飛び跳ねっていた。

 

「あははは!!すごいね!これ!お父さん!お兄さん!こんなにすごい実を僕に……ありがとう!!」

 

「ウォロロロ!そんなに喜ばれるとオレも嬉しくなるぜ!!」

 

「リュドドド!何気にすんなよ……お前らも運頼りなのにピッタリな実で最高じゃねぇか!!」

 

「……確かに背中に剣があるし……脳筋の長鼻じゃなくて良かったですよ」

 

「……確かに体が逞しくなれてこんなにすげぇ牙もあるし……背中しか取り柄のないものじゃなくて良かったな」

 

「「……あぁ?」」

 

 フドウもジャックも自身の手にした力の事を褒めて、そしてさり気なく相手の力そのものを落とす言葉を出し、相手を睨み合う。そんなフドウ達に苦笑するオレは3人に向けて言い出す。

 

「お〜い!もういいか?」

 

「「「!」」」

 

 3人ともオレを見つめてくる。その視線にオレはニャリとする。

 

「これからは――」

 

 

――そうして暴獣海賊団に新たな動きが進められ始める。

 

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