ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第23話〝奴隷解放〟

赤い土の大陸――

 

それは世界を分かつ壁となっている惑星を一周する大陸の事を指す。

その名の通り赤い岩石で構築されており、上部は雲がかかる程高く、両端はほぼ垂直な崖でもある。

この大陸により、世界は北極側――〝北の海〟と〝西の海〟及び〝偉大なる航路〟後半の海〝新世界〟と南極側――〝東の海〟と〝南の海〟及び〝偉大なる航路〟前半の海〝楽園〟に分かたれている。

 

〝偉大なる航路〟は凪の帯に囲まれており、同じ半球同士の海洋であっても横断することは非常に困難故、〝赤い土の大陸〟と〝偉大なる航路〟が交差するリヴァース・マウンテンが〝偉大なる航路〟の入り口とされている。

 

リヴァース・マウンテンの反対、すなわち〝偉大なる航路〟の折り返し地点においては海底1万mに小さな穴が開いており、その内部に陽樹イブにより光差す魚人島がある。

 

空でも飛ばない限り、〝新世界〟に入るには赤い土の大陸を上り〝聖地〟マリージョアを通過するか、コーティングした船で深海を行きこの魚人島を経由するしか方法はない。

 

――そして〝赤い土の大陸〟の上部には〝聖地〟が存在している。

 

 

 

〝聖地〟マリージョア――

 

そこは赤い土の大陸に存在する天竜人の住まう地の事を指す。

世界政府における首都に等しい地点でもある。

その中心としてパンゲア城と呼ばれる巨大な城が建てられている。

さらにパンゲア城の先には天竜門が聳え立ち、その先には天竜人が住まう〝神の地〟が存在している。

 

 

 

天竜人――

 

それは世界で最も誇り高く気高き血族として、世界の頂点に君臨する者達の事を指す。

何せ――800年前に世界政府を創設し、〝聖地〟マリージョアに移り住んだ20人の王達の末裔の一族であるから。

――ただ、ある一族だけが移住を拒否したようだが……それは別の話。

 

――だが、長い年月の内に伝承・根拠が歪んで権力が暴走し、人を人とも思わないような「教育」により、世界中の全ての地域において殺傷行為や奴隷所有等の傍若無人の限りを尽くす、極悪非道を当たり前のように行う外道集団となっていった……それが現在の天竜人の実態だ。

 

 

 ――とにかく天竜人の住まう〝聖地〟……を目指し、標高数千mの〝赤い土の大陸〟を素手でよじ登るというあまりにも無謀な真似を実行した男が1人。

 

「…」

 

 彼は肌が赤く、水かきとヒレを持つ大柄な男――魚人だ。

 

 この男の名はフィッシャー・タイガー。

 

「…」

 

 彼が何故あまりにも無謀な真似を実行してまでも〝聖地〟を目指すかというと――ある事を行う為だ。

 人が知れば戦慄するであろう――それこそ〝世界の禁忌〟と称されるであろう事……〝聖地〟への襲撃である。

 その目的は……奴隷達の解放である――何故彼がそうしようと、その心内を知る者はいない……ただ、人知れず彼の胸に刻まれている〝爪痕〟が彼をそうさせているのだ。

 

「……!」

 

 そして、ついに〝聖地〟に辿り着いた彼はその地を見つめる視線を鋭くし――駆け込んだ。

 

          ●

 

「おほっほ!」

 

「楽しそうアマス」

 

「お前達、そろそろ寝る時間だから、遊びは程々にしなさい」

 

 横暴極まりない天竜人だが、今夜もその行為が続けられていた。

 そもそも――彼らが横暴な振る舞いをしていてもいられるのは――海軍や世界政府上層部が関係しているからだ。彼らが特権を行使する事で、海軍本部より大将率いる軍艦10隻が即座に派遣されたり、彼らの盾として世界最強の諜報機関が控えている。

その為、彼らに手を出せば当事者はもちろん、その周囲に偶々居合わせただけな無関係の人々はおろか、最悪の場合国が滅ぶという途方もないリスクが発生する。

 世界を創造した「神」の末裔を敵に回すと加盟国の王族であっても無力でしかないのはこういう事情故である。

 よって世界では「天竜人には絶対に逆らうな(もしくは関わるな)」とする絶対の不文律が敷かれている。

 

「――でも、こいつは飽きたから……処分するえ!」

 

「またかえ……殺すなら汚さないようにな」

 

「あ、どうせ処分するなら確かめたい事があるアマス」

 

「……!!」

 

 ――そして彼らに飼われている奴隷達は毎日が絶望に溢れている地獄だ。

 彼らは労働や愛玩目的で用いられるが、良くても乗馬の代わりの移動手段として四つん這いで移動させたり、見世物目的で後ろに繋げて行進させている……だが、気まぐれに目を奪われ――威厳を奪われ――命さえも奪われてしまう事もおかしくはなかった……しまいには――「殺されたくない」という恐怖心にとりつかれた挙句、何をされても常に笑顔でいるために感情を削除した状態になっている奴隷もいる始末だ……

 

 ――とにかく、奴隷達の涙、血――威厳の上に天竜人の不自由な生活が成り立っていた……

 

 ――しかし、〝神の地〟のそういう致命的に歪んでいる平穏はこの夜、破れられる……

 

「さぁて、処分♪しょぶ……うわぁ!?」

 

「え、何アマス!?」

 

「な、何だ!?」

 

 また1人の奴隷が天竜人の手により命を奪われようとする――その寸前に何者かの襲撃を天竜人が受けた。その天竜人が気を失った事により奴隷がさりげなく命を失わずに済んだ――

 

          ●

 

「何事だ!!?」

 

「し、し――襲撃です!!何者かが〝神の地〟に火を放っています!!」

 

「な、何だとぉ!!?襲撃ぃ!!?この地にか!!?だ、誰がそんな事を――……いや、応援要請を!!天竜人の身が第一だ!!!」

 

 一見美しいと讃えられる程の〝聖地〟マリージョアは今は火の海だ。その火炎は暗い夜を明るく照らしていた。爆発音と倒壊音と悲鳴等を伴いながら――

 〝聖地〟を守る任務を担っている兵士――衛兵と役人、CP0が天竜人の身柄を守る等、奔走していた。その活動にはもちろん襲撃者討伐も加えられていた。

 

「あれだ!!襲撃者は――!!」

 

「……!!魚人か!!」

 

「奴を殺してでも止めろ!!どの道〝聖地〟を襲った大罪人だ!!容赦はいらん!!」

 

「……!!」

 

 だが、生まれつき人間の10倍の腕力を持つ魚人の荒くれ者が集う魚人町を力でまとめたフィッシャー・タイガーの強さには敵わなかった。

 

「つ、強い!!」

 

「くそ!!魚風情が……!!調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」

 

「……!!」

 

 タイガーにとっては聞き捨てない言葉を吐いた男を全力で殴り飛ばす。そして、それに目をくれない彼は力の限り暴れ――奴隷達を解放していく。

 呆気に取られている奴隷達に彼は声掛けた。

 

「走れ!!二度と捕まるな!!」

 

「うっ……あ……」

 

「走れ!!」

 

「……あ、ありが、とうございます……!!」

 

 タイガーは奴隷達を解放しながら回り、奴隷達から標的を逸らす為に全力で暴れ回る。

 彼の目論見が当たったのか、一目散に逃げる奴隷達を追う者は少数だ。ほとんど衛兵と役人、そして海軍本部の海兵達はタイガーに銃口を向けた。彼もそれに対して構え出す。

 

「撃て――……うわぁ!?」

 

 突然、風――それも強い風を身に受けた。体勢を崩されないように耐えたが……つい飛ばされ、建物に激突した。それを見て呆気に取られた奴隷達そしてタイガー。ふと大きな影に覆わされてハッと夜空を見上げると――

 

「「「!!?」」」

 

 ダークグレーの竜が飛んでいた。人々の驚愕をよそにその竜が着地する。

 

「グゥウウ……」

 

 何やら竜の機嫌が悪いように見られる。そして口を開ける――

 

「天竜人共ぉ!!オレの!!仲間を!!返せぇぇぇぇぇぇえ!!!」

 

 竜――オレがそう叫んだ。

 

          ●

 

 事は一ヶ月前に遡る。

 百獣海賊団のある船のさりげない航海の際、そこから年若い船員数人が姿を消したのだ。

 最初こそは脱走かと思わされたが、つい以前スサノオの前で楽しく酒を飲みながら百獣海賊団への忠誠を誓ったばかりだった。それ故に人攫いに遭ったのだと睨んで、その行方を追い始めた。特に目の前で自身への忠誠をも誓ってくれたスサノオが目を血走らせながら、探していた。そういう日々の中、そこに天竜人に奴隷として買われたという情報が届いてきたのだ。

 常人なら天竜人が関わっていると知った時点で諦めるだろう――だが、スサノオは常人ではなかった。彼に常識は存在しなかったのだ。

 

 ――天竜人に手を出すのは世界の禁忌?知った事か。

 

 ――天竜人に手を出せば、海軍大将が軍艦を率いて報復してくる?上等だ。

 

 わざわざオレの仲間を攫うだけで許さねぇのに、そいつらを玩具として弄ばれるだけでオレの頭は沸騰してしまうんだ。百獣海賊団の人間を傷付けるだけでもどうなるのか、思い知らせてやる……

 そう、スサノオは聖地に殴り込むのを決意したのだ。〝百獣のカイドウ〟はそんな息子に賛同して自身も動き出そうとした。しかし三大勢力の複雑な均衡を重く見た〝火災のキング〟が彼を差し置いてスサノオの殴り込みの同行に名乗り出た。彼の息子達、ヤマトとジャックも名乗り出て、そうして聖地に対しての襲撃を開始したのだ――

 

          ●

 

「〝雷鳴八卦〟!!!」

 

「〝裁火一閃〟!!!」

 

「〝振象牙真〟!!!」

 

 ヤマトとフドウとジャックが自身の得物で技を海兵達に放ち、吹っ飛ばした。

 

「とりあえず、海兵達は大丈夫だな」

 

「あぁ、しかし忘れてはならぬのが、奴隷解放こそが目的だという」

 

「そうだね!だからこそお兄さんも僕達も〝囮〟だもんね!」

 

 今回の計画の目的そして自身の役割を確認し合う3人の元に新たな海兵達が登場して鉄砲を構える。それに対して3人も構えるも――

 突然強風が吹き出されて海兵達が吹っ飛ばされていく。3人はハッと空を見上げる。そして誰の仕業か理解した3人はニャリとする。

 

「!……さすがっすね」

 

「フッ……」

 

「フドウ!君のお父さんも弟もすごいね!!」

 

 3人が見上げた空には――キングが変身したプテラノドン、そして――トゥプクスアラが羽を広げていた。そのトゥプクスアラは――

 

「上手くやっているようだな…ハッテン」

 

「えぇ!スサノオさん達からくれた悪魔の実のおかげですよ!」

 

 キングの次男――ハッテンが変身した姿だった。

 大きくなった彼にも悪魔の実を与えられ、翼竜トゥプクスアラの力を手にしたのだ。スサノオと父と兄との訓練によりその力を上手くものにできた。

 とにかくヤマト達が自身の役割を果たそうと動き出すのを目にするハッテンも動き出す。

 

「さぁ!行きましょう!父上!」

 

「あぁ」

 

 飛び去るハッテンを見つめるキングは続いてマリージョアを見渡す。

 

「……しかし、まさかオレ達がここに来るとはな……」

 

 キングがそう感慨深そうに呟き、首を横に振る。そのまま自身の仕事に戻る――

 

          ●

 

 竜と翼竜と海賊の登場により混乱を極めた状況がさらにメチャクチャになり、頭が真っ白になり困惑しながら固まった奴隷達の前に海賊達が現れた。百獣海賊団の海賊だ。

 

「てめぇら!立ち止まってねぇでさっさと走れ!!船はあっちだ!!」

 

「スサノオ様に感謝しろよ!!」

 

「あ、あぁ……あ、ありがとう!!」

 

「ありがとうございます……!!」

 

 解放された奴隷達は海賊達に指示されて、赤い土の大陸の岸――偉大なる航路前半側に寄せられている船へ向かう。その船に次々と逃げた奴隷が乗り込む。

 

「はぁ……はぁ……船に乗ったのは良いが、どうやって逃げるんだ……?ここ海辺じゃないぞ?」

 

「……あ!た、確かに……どうやって……?」

 

 乗り込んだ奴隷達がこの船でどうやって逃げるんだと疑問が尽きない。そもそも――どうやって海辺でもない岸に船が寄せられているんだ?

 そういう疑問に対する答えとは――スサノオが竜の姿で吹き出した風の力で船を飛ばしたからだ。

 〝百獣のカイドウ〟の持つ龍の力には空中移動の手段として〝焔雲〟が存在する。それは応用すれば、船――しまいには島1つを丸ごと浮かばせる事もできる。

 父がその力で船を浮かばせた光景を目にして憧れたスサノオは自身の持つ竜の力でもできるかどうか幾らもの試みを行った。その結果こそが――竜の風を生み出し、操る力だった。それは〝焔雲〟にならんで――

 

 ――〝風雲〟

 

 と名付けられた。今回ではスサノオが奴隷達の逃走手段が必要だと考え、その力で船数隻を持って来たのだ。

 

          ●

 

「がぁぁああ!!」

 

 オレは海兵達の注目を自身に集めようと雄叫びを上げて、しまいには空へ熱線を放った。〝囮〟としてはすごく猛々しいオレの姿に海兵達は恐れて固まってしまう。そこに

 

「やめんかえ!!」

 

「そうだえ!!」

 

「――あ゛?」

 

 なんと天竜人が無謀にもオレに制止を求めやがった。オレが固まるのをいい事にそいつらが好き勝手に言い始める。

 

「ここは〝神の地〟!!好き勝手にメチャクチャにしていいじゃないえ!!」

 

「「「そうだそうだえ!!」」」

 

「そもそも我々は尊い天竜人だぞ!竜が我々に頭を下げるべきだえ!!」

 

「「「そうだそうだえ!!」」」

 

「分かったら、その頭をわちき達に下げるえ!!」

 

「「「そうだ――」」」

 

「黙れぇ!!豚共がぁ!!〝熱息〟!!!」

 

 うっとうしい天竜人達にイラついたオレが目に入れたくねぇ姿を消そうと親父譲りの〝熱息〟を放った――

 

「「「うわぁぁぁぁぁあああああ!!!!」」」

 

 オレからの〝熱息〟を身に受けた天竜人が灰燼に帰された――

 

「はぁはぁ……バカもそこまで来るとかえってあっぱれだな……」

 

 それを見届けたオレは息切れしながら殺される可能性を考える頭さえもねぇ天竜人のバカさ加減に呆れた。とにかくそんなオレの元にある男が声を掛ける。

 

「失礼!竜よ!」

 

「!……お前は……?」

 

「オレはフィッシャー・タイガー!ここの奴隷を解放しに来た者だ!!」

 

「!?……お前もなのか……?」

 

「あなたの言葉、動きにより目的は同じという事が分かった!ここは――共闘しないか?」

 

「あぁ!構わんぞ!!」

 

「それは良かった!(やはりな!ここを無差別にメチャクチャにするのが目的だとしたら最悪だったが――目的がオレと同じだからか敵意がないのには助かった!)」

 

「お兄さん!」

 

 オレの答えにタイガーは安堵とした表情を見せていた。そこにヤマトが駆けてきた。

 

「何か変わりはあったの?」

 

「ヤマト!ちょうど良かった!こちらはフィッシャー・タイガー。目的はオレ達と同じだから共闘する!分かったな?」

 

「!そうなんだ……分かった!やろう!」

 

 オレの説明に頷いたヤマトはタイガーに笑顔を見せながら手を差し出した。

 

「……あぁ!よろしく!」

 

 タイガーが何か遠慮する様子を見せていたが――結局ヤマトの手を握った。こうしてオレ達とフィッシャー・タイガーの同盟は成された――

 そしてスサノオ達とタイガーが海兵達を相手に共闘して、奴隷達の逃げる時間を稼いだ。そして奴隷達の解放が終わり、ヤマト達とタイガーが船に乗り込んだ頃に海軍本部の増援がようやく広場にやってきたのだ。その時、広場には――

 

「っ……!!これは――」

 

「――おい!行くぞ!撤収だ!!」

 

 ちょうど仲間達と奴隷達が船に乗り終えたところに増援到着を目にしたオレは素早く〝風雲〟を発動し、船を飛ばした。船が上手く飛び進んでいるのを確認したオレも去ろうとするが――

 

「貴様ら……何をしたのか分かっているのか!!!?」

 

 海兵がそうほざいたのにこめかみに青筋を走らせたオレも言い返す。

 

「あぁ!?オレ達から仲間を奪い取っただけに留まらず、苦しめたんだ!!ケジメをつけてもらうのは当たり前だろうが!!」

 

 そして竜は夜の空に消えていく。それを海兵達は顔をしかめながら――それでも見届けるしかなかった……

 

 

――こうして〝聖地〟の約7割を燃やし尽くし、奴隷達の解放――何より複数人の天竜人の死を出した前代未聞の大事件は幕を閉じた……

 

          ●

 

 その大事件は世界中に報じられ、人々に決して小さくはない衝撃を与えていた。

 ――ただ、あの夜での出来事に対して経済新聞及び各新聞社の見出しはこう書かれていた。

 

『〝聖地〟マリージョア襲撃!!

 犯人は魚人族の冒険家フィッシャー・タイガー』

 

「見たか!?今日の新聞!!」

 

「魚人がたった1人であの天竜人に……!?」

 

「フィッシャー・タイガーは奴隷解放の英雄だ!!」

 

 人々はその報せに対して、しかし誰もがフィッシャー・タイガーに負の感情を見せずに称賛の声を上げた。

 天竜人の横暴に世界中の人々が反感を覚えるも、彼らの権力と軍事力の前に泣き寝入りしかできなかったのだ。だからこそ、たった1人で〝聖地〟で暴れ回り奴隷達を解放したという偉業を成し遂げたフィッシャー・タイガーは人々から〝英雄〟と称された。

 ――だが、あの夜での出来事を知る者はいる。その中にはもちろん……海兵も含まれていた。

 

「……記事では聖地襲撃の主犯……いや実行犯はフィッシャー・タイガー1人だと書かれているが……本当はそうではないんじゃな?」

 

「あぁ……あの夜の現場に居合わせた者達から確認がとれている――奴隷を解放したどころか……16名の天竜人の殺害――を行った海賊……そして所属しているのが「四皇」……それも……!!」

 

 ――そこは〝聖地〟マリージョアに至る玄関口になっている島――海軍本部マリンフォードの一室。そして海軍本部最高戦力、大将の1人で〝君臨する正義〟を掲げる長い顎髭を3つ編みにした男――〝仏のセンゴク〟と彼の同期にして〝英雄〟と称される海軍中将――〝ゲンコツのガープ〟の2人が真剣な表情で〝聖地〟襲撃の夜の真相についての会談を行っていた。

 

「……フン、また得意の隠蔽か……!」

 

「仕方がない……!迂闊に「四皇」を相手にする訳にはいかないからな……!そうするしかないんだ……!」

 

 世界政府の体質とやり方に不服なガープも豪快にニャリとする。

 

「しかし噂に聞いていたが、随分なヤンチャ小僧じゃな……!」

 

 ――2人の会談をよそに海軍本部では大事件の後始末を付けようと海兵達が慌ただしく動き回っている……

 

          ●

 

 大事件の現場にして、現在復興を進めている〝聖地〟マリージョア。

 その中心であるパンゲア城では同じく聖地襲撃に関して会談を行っている5人の老爺達がいた。

 ――彼らこそが天竜人の最高位にして世界政府最高権力――

 

「五老星」

 

 世界のあり方を会談し決断してきた彼らもまた今回の大事件には頭を痛めていた。

 

「――また百獣海賊団か!!!」

 

「全くだ……それでも「四皇」――それも、あのカイドウとの正面衝突はたまったものではないからタイガーに被ってもらったが……」

 

「これでリュウグウ王国は厳しい立場に置かれるだろう――残念だ……!!」

 

「だが、均衡の崩壊はあってはならぬ……やむを得まい」

 

「――だが、最近の奴らの動きが目に障るな……!!」

 

「あぁ、これでますます目を離せなくなった……!!」

 

「――最近の百獣海賊団の動きには間違いなく、この小僧が影響を与えているな……!!」

 

 彼らはテーブルに置かれている今回の大事件で新たに縣けられた2人の手背書を凝視していた。

 

『フィッシャー・タイガー

 懸賞金2億3000万ベリー』

 

『〝暴獣のスサノオ〟

 懸賞金4億2500万ベリー』

 

 

 

 

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